令和1年度(2019年度)福岡県の登録販売者試験の総評や傾向をまとめています。全体的な傾向のみならず、科目別に述べています。
R1年度(2019年度)に行われた福岡県の登録販売者試験ですが、一口で言うと、「全体的に、難易度が上がっている」です。
「未出題問題の増加」と「人体の副作用の難化」が、難易度上昇の背景です。
以下に、その背景と理由とを、見ていきたいと思います。
なお、当該年度の過去問は、「こちら」にあります。
R1の福岡県の試験ですが、「未出題問題」が増えています。
「未出題問題」とは、これまでの試験では、問われた試しのない論点が、そこそこ『問題化』されている現象を指します。
R1の福岡県の試験では…、
…といった問題が「未出題問題」です。
先の問題や選択肢には、他の都道府県を含めて、あまり問われなかった事項が、正面から問われています。
これら「未出題問題」は、決して難しくはないのです。
すべてテキスト記載事項であり、テキストの精読をしていれば、穏当に解ける問題です。
しかし、“これまで、あまり、試験に出てなかった”ので、見落としがちになるとも、言えます。
出題者は、この受験生の“盲点”を突いて来ている、ってな次第です。
「未出題問題」の対策としては、「テキストの精読」です。
最初から、身を乗り出して、精読する必要はありません。
ある程度、過去問を解いて、出題の感じがつかめた『後』からで、結構です。
試験勉強の中盤辺りから、「まだ出てない」ところに意を払いつつ、精読していってください。
「テキストの精読」は、通常の勉強にも、ぜんぜんに有効なので、少しも損ではありません。
以下は、蛇足です。
まあ、言ってしまえば、「未出題問題」は、難問枠の1種であり、出題者からすれば、“難易度調整”として出題しているといえます。
出題数もそう多くはないので、「捨て問」にするのも一手です。
しかし、「捨て問」にするのなら、その失点分をカバーすべく、他の科目なり他の頻出論点をミッチリ仕上げておきましょう。
試験科目の「人体」の「副作用」の論点が、かなり、手強くなっています。
これまでの「副作用」は、メジャー副作用や頻出・定番の副作用が多く問われていました。
たとえば、「SJS」や「TEN」、「間質性肺炎」や「薬疹」といった副作用の問題が、これまでの定番でした。
よって、受験生は、出る「副作用」だけをピンポイントに押えておけば、そこそこ点が取れた、といった次第です。
しかし、本年度の「副作用」には、これまで問われてなかった副作用が数多く問われており、試験問題が、副作用全般から出題されるようになっています。
参考までに、本年度の「副作用」の問題を挙げてみると…、
…といった塩梅です。
先に見たような、個別具体的な副作用ではなくて、副作用全般から出題されていることがわかります。
当該副作用の出題の変化は、福岡県だけの傾向ではなく、他の都道府県においても、見られるようになっています。
よって、今後は、副作用のうちメジャーなものだけ・試験に出るものだけ押さえておく、という「やり方」が通用しない公算が「大」です。
「人体」での「副作用」は、100%試験に出る論点なので、落とすわけには行きません。
テキストに載っている副作用は、“すべて出題される”と踏んで、テキストを丁寧に読み込んでいってください。
これまでのように、“出てないから・出そうにない”から、「端折る」「読み飛ばす」は、厳禁です。
さて、「難易度は上がった」とはいえども、根っこの部分は、「登録販売者試験」です。
試験問題の大半は、テキスト記載事項です。
また、定番問題・頻出問題の出題も、“どっさり”です。
んなもんで、これまでの試験・他県の試験と同様に、テキストと過去問を『3回』やっておけば、穏当に、『合格』できます。
難化や傾向変化はあれど、「テキストを読む。憶える。過去問を解く。」という、すべての受験生がやっていることを、まじめにやっていけば、合格できるので、がんばってください。
以下、科目別に、傾向を述べていきます。
第1問~第20問の計「20問」の「医薬品に共通する特性と基本的な知識」ですが、R1年度も安定した出題です。
「薬害訴訟」で、細かいところまで問われるようになっています。
キッチリ、見ておきましょう。
まあ、例年通り、凝った出題も、難しい問題や捻った問題もそんなにないので、きちんと勉強した人なら、満点も狙えるはずです。
当該「基本知識」で、点数をガッツリ稼ぐのが、ベストの試験戦術です。
第21問~第40問の計「20問」の「人体の働きと医薬品」ですが、R1年は、先に見たように、「手強くなった」です。
「人体」の論点は、まあ、例年どおりといった次第です。
「副作用」が、かなり、細かく出題されるようになっています。
テキストの「副作用」の単元は、細かいところ・出ていないところでも、丁寧に、精読しておきましょう。そのほとんどが「出る」と踏んで結構です。
第41問~第60問の計「20問」の「医薬品の適正使用・安全対策」ですが、例年通りといった次第です。
しかし、「東京都」や「関西広域連合」にて、「適正使用の医薬品化」が顕著に見られます。
「適正使用の医薬品化」とは、「使用しない」とか「○○は使用を避ける」とか「操作運転しない」とか「相談すること」といった、「医薬品」の知識を問う問題(医薬品的な問題)が、「適正使用」で出題されることを言います。
R1の「福岡県」では、「4問」で、これは、例年通りの数字なのです。
しかし、「東京都」では20問中11問が、「関西広域連合」では20問中7問が、「医薬品的な問題」となっています。
こうした他府県の出題を受けて、R2の福岡県も、「医薬品的な問題」が数多く問われる可能性があります。
例年通り「4~5問」なら、あまり影響はありませんが、「関西広域連合」のように、20問中7問となると、点数的に、かなりキツクなります。
「東京都」のように、20問中11問となると、配偶者レベルの破壊的な影響があります。
先の「東京都」と「関西広域連合」では、「医薬品」を疎かにした人だと、かなり厳しい闘いになったはずです。
ちなみに、「東京都」のR1試験の合格率は、「“26.0%”」でした。もしかしたら、「適正使用」で足切り点に引っかかったのかもしれません。
なお、「関西広域連合」は、50%台でした。
このように、他府県にて、無視できない変化が「適正使用」にあったので、福岡県受験予定の方も、注意してください。
第61問~第100問の計「40問」の「主な医薬品とその作用」ですが、まあ、例年通りといった次第です。
先に述べたように、「未出題問題」がそこそこ問われたため、多少の失点はあったかと思われます。
とはいえ、他の問題が定番問題・頻出問題なので、穏当に、合格点は確保できたように思います。
「漢方処方製剤」も「生薬」も、多少、出題の仕方に変化が見られますが、難易度的には、例年通りと言ってよいかと思います。
ただ、留意事項があります。
「関西広域連合」のR1試験では、「漢方処方製剤が激増・生薬は激減」という変化がありました。
参考:はやわかり‐令和1年度(2019年度)関西広域連合 登録販売者試験の総評
個人的には、一過性のものと踏んでますが、試験は水物、どうなるかわかったもんじゃありません。
福岡県もこれを受けて、「漢方処方製剤が激増・生薬は激減」したり、逆に、「漢方処方製剤が激減・生薬は激増」となったりする可能性を否定できません。
こうした背景があるので、「漢方処方製剤」でも、数の少ないものや、特徴のあるものだけは、押さえておくよう勧めます。
参考:登録販売者 漢方処方製剤の最低限の勉強‐「体力に関らず」
参考:登録販売者 漢方処方製剤の最低限の勉強‐「体力充実」と「比較的体力があり」
「生薬」も、例年通り、勉強しておくことを勧めます。
第101問~第120問の計「20問」の「薬事関係法規・制度」ですが、R1年では、「ふつう」です。
難問・奇問の目立つ「法規」ですが、当該年度は、オーソドックスな問題ばかりでした。
難問率の高い条文問題の「101問:薬機法目的」ですが、当該年度は、「穴埋め問題」だったので、キーワードを押さえてなかった人には、厳しかったはずです。
んで、「未出題問題」の「109問:生物由来製品」が難しいです。
最後の「120問:監督処分」も難しいです。
ときどき、「監督処分」は、ぶっ飛ぶことがあるので、できなくてもいいでしょう。
しかしまあ、これら3つ以外は、定番かつ基本問題なので、穏当に、点は取れたはずです。
R1年度(2019年度)の福岡県 登録販売者試験は、ざっと斯くの如しです。
勉強方法や独学の進め方などは、「登録販売者の独学」を一読ください。
2020年3月31日 11:07 AM
★みんなとシェアする
皮膚に用いる薬と公衆衛生用薬の「殺菌消毒成分」の定番論点に、「ウイルスに効くかどうか」があります。 ...続きを見る
「皮膚に用いる薬」の「抗菌作用を有する配合成分」の成分ですが、本試験では、基本の「名称‐効能」が問わ...続きを見る