令和1年度(2019年度)東京都の登録販売者試験の傾向をまとめています。このページでは、東京都試験の「共通する特性と基本的な知識(基本知識)」と「人体の働きと医薬品」「主な医薬品とその作用」「薬事関係法規・制度」「医薬品の適正使用・安全対策」の各科目別に、傾向やコメント、注意点を挙げていきます。
このページは、「はやわかり‐令和1年度(2019年度)東京都 登録販売者試験の総評その1‐試験全体」の続きです。
先のページでは書き切れなかった、試験科目ごとの傾向と対策を、見ていきます。
第1問~第20問の計「20問」の「医薬品に共通する特性と基本的な知識」ですが、R1年度も安定した出題です。
例年通り、凝った出題もなく、難しい問題や捻った問題もなく、きちんと勉強した人なら、満点も狙えるはずです。
当該「基本知識」で、点をがっつり稼いでおくのが、ベストの試験戦術です。
後述するように、「医薬品」「法規」、そして、「適正使用」の失点をカバーすべく、満点を狙うくらいに、勉強しましょう。
第21問~第40問の計「20問」の「人体の働きと医薬品」ですが、「少し難しくなった」です。
定番問題が多いのですが、それでも、出題実績のないところからの出題が目立ちます。
注意点ですが、「人体」でも、「数字」には、チェックを入れてください。
当該年度では…、
「21問:消化器系1」では、消化管の長さ「約9m」が…、
「27問:目」では、眼筋の数「約6本」が、問われています。
これらの数字が問われるのは、登録販売者試験で、「初」かと思います。
わたしは、(まさか?!こんな「数字」が問われるとは?!)と、思いました。
改めて、「数字」は狙われていると、実感した次第です。
「人体」でも、「数字」が狙われてきているので、テキストの精読の際は、「数字」を意識して押えていきましょう。
次の注意点ですが、これまで以上に、「副作用」のところを、勉強してください。
「副作用」ですが、すべての論点が出題されるようになっています。
つまり、過去に問われてなかった諸々の副作用の論点が、かなり、問われるようになってきています。
たとえば、「肝機能障害」「喘息」「皮膚の副作用」といった、あまり出なかった論点が、丸ごと「1問」となって、出題されています。
参考:33問:肝機能障害
参考:37問:副作用‐喘息
「副作用」のすべての論点は、「出る」と踏んでください。テキストの細かいところ・出ていないところを、端折らず、丁寧に精読してください。
第41問~第60問の計「20問」の「薬事関係法規・制度」ですが、R1年では、「まあ、例年通り」です。
例年、難問・奇問の目立つ「法規」ですが、当該年度も、難問・奇問があり、別段、驚くような出題ではないです。
ホント、例年通りのオーソドックスな問題でした。
ただ、今後、注意すべき論点があります。
「42問:販売従事登録」と「50問:薬局・薬剤師不在時間」です。
「販売従事登録」も「薬剤師不在時間」も、登録販売者とは関係が薄いので、わたしは、1回こっきりで、もう出ないだろうと思っていました。
ですが、東京都や他県の傾向を見るに付け、「定番問題」化しそうな「感」があります。
「法規」での失点は、極力抑えたいので、念のために、テキストで確認しておきましょう。
なお、難問として『定番』の「資料問題」が、今年も、顔を見せています。
「48問:食品」なのですが、これは、「捨て問」でいいです。
「資料問題」をやるくらいなら、その時間と労力を、「医薬品」に割くか、配偶者の小屋掃除に充ててください。
第61問~第100問の計「40問」の「主な医薬品とその作用(医薬品)」ですが、「例年通り」となっています。
んなもんで、キチンと勉強した人なら、相応の点数を「医薬品」で確保できて、他の科目の失点をカバーできたように思います。
「医薬品」でネックの「漢方処方製剤」や「生薬」ですが、例年どおりの問題・出題数でした。
「漢方処方製剤」は難しいので、「捨て問」にする人も多いかと思います。
しかし、そうするなら、必ず、「生薬」を勉強してください。
逆もまた真なりで、もし、「生薬」を捨てるなら、必ず、「漢方処方製剤」を勉強してください。
「漢方処方製剤」と「生薬」の両方を捨てるのは、ゼッタイに止めてください。
両方を捨てると、「医薬品」で点数が取れず、しわ寄せが他の試験科目に思いっきり生じます。
特に、今後の試験では、「適正使用」で点が取り難くなることが予想されるので、「医薬品」の出来が、合否に直結します。
「漢方処方製剤」と「生薬」のどちらかは、必ず勉強して、本試験に臨んでください。
また、「医薬品」でも、これまでに、あまり問われなかった“影の薄い”成分が、問われるようになっています。
たとえば、「外皮用薬」では、「ヘパリン類似物質」とか「カンフル」とか「シクロピロクスオラミン」など、あまり問われなかった成分が、ガチンコで出題されています。
参考:88問:外皮用薬1
過去問に出題実績のないものを、丁寧に、テキストで押えて行きましょう。
ところで、R1の「関西広域連合」で起きたことですが、「漢方処方製剤‐激増、生薬‐激減」という傾向変化が見られました。
これを受けて、東京都も漢方処方製剤と生薬の出題数が変わるかもしれません。
余裕があれば、少しでも、漢方処方製剤をやっておきましょう。
参考:はやわかり‐令和1年度(2019年度)関西広域連合 登録販売者試験の総評
第101問~第120問の計「20問」の「医薬品の適正使用・安全対策」ですが、「医薬品化」がガチンコで進んでいます。
問題のテーマは「添付文書」なのですが、その内容が「医薬品」と化しており、なんと、「12問」も、出題されています。
全部で20問なので、12問という出題が、いかに驚異的かがわかります。
冗長になりますが、挙げてみると…、
…といった出題です。
これらの問題では、「使用しない(服用しない)」や「してはいけない」「相談すること」といった、「医薬品」の知識がないと、解けない問題であり、実質的に、「医薬品」の問題です。
んなもんで、「医薬品」の勉強が疎かだと、確実に、「適正使用」で大きく点を失うことになります。
よって、「適正使用」を、どう攻略するかが重要となります。
「適正使用ながら医薬品化した問題」の対策ですが、まず、数が少ない「使用しない(服用しない)」や「してはいけない」から、押えるようにしてください。
「相談すること」ですが、数が多く多岐に渡るので、「後回し」でいいです。
先の2論点が済めば、「相談すること」は、「固有事項」に絞って、勉強します。
たとえば、「痔出血・・・グリセリンが配合された浣腸薬」とか「てんかん・・・ジプロフィリン」とか「貧血・・・ピペラジンリン酸塩」とか「全身性エリテトマトーデス、混合性結合組織病、胃・十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、クローン氏病・・・イブプロフェン」など、憶えやすいものから押えていく、といった次第です。
数が多いものは、「捨て問」でも構いません。
「相談すること」のすべてを押えるのは、時間的に、不可能です。んなもんで、固有事項に絞って憶えるのが一番です。
また、「適正使用」ですが、「新問がそこそこ出ている」ので、従来の定番問題を、キッチリ取る必要があります。
新問には…、
…が挙げられます。
「113問」は、出題の趣旨を読み取らないと、配偶者並に手を焼く問題ですし、「115問」は、配偶者のように「お手上げ」になった人も多いはずです。(企業の報告なんて、登録販売者と関係ないので、手薄なはずです。)
こういう新問の存在を念頭に、「適正使用」の勉強に臨んでください。
こんな次第で、本年度の試験科目の中で、最も、ヤバイのが「適正使用」であったかと思います。
おそらく、当該「適正使用」で、足切りに遭って、不合格となって人が、たくさんいるように思います。
先に見た「適正使用ながら医薬品化した問題」は、今後も、出題される可能性が、とても大きいです。
というのも、関西広域連合でも、似たような出題構成になっているからです。
ちなみに、関西広域連合では、「適正使用ながら医薬品化した問題」が「7問」、出題されています。
よって、「医薬品」の勉強の際は、先の論点「使用しない(服用しない)」「してはいけない」「相談すること」に、意識して注意を払うべきです。
逆を言えば、「使用しない」等を「医薬品」でシッカリ勉強すれば、「適正使用」の勉強にもなっている、という塩梅で、「一石二鳥」と言えます。
「適正使用」の傾向変化で、覚えることが増えてしまいましたが、配偶者との接し方のように、マイナスには目を瞑って、「メリット」や「利点」だけを見てください。
R1年度(2019年度)の東京都 登録販売者試験は、ざっと斯くの如しです。
当該年度の全体的なことは、「令和1年度(2019年度)東京都 登録販売者試験の総評その1‐試験全体」を、一読ください。
勉強方法や独学の進め方などは、「登録販売者の独学」を一読ください。
2019年12月17日 4:20 PM
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