登録販売者 平成30年度の「基本知識」「医薬品」「適正使用」の改正について

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 登録販売者試験の「試験問題作成に関する手引き」が、平成30年3月に改正された。本ページでは、基本知識、人体、医薬品、適正使用の改正事項について述べる。これらは、1個当たり15分もあれば、加筆なり修正なり削除ができる。「法規」は量が多いので、まずはこちらから。

はじめに+法規リンク

 登録販売者試験の「試験問題作成に関する手引き」が、平成30年3月に改正されました。

 公式のPDF等は、「登録販売者 手引き」などで検索すれば、厚生労働省の該当ページに辿りつけます。ほしい人は、ダウンロードしておきましょう。

 今回の改正は、大別して「2つ」の系統があります。

 「法規」と「法規以外」です。

 「法規」には、グダグダした長文の追加が「2つ(700字・3,000字強)」あり、実に、メンドウです。んなもんで、「法規」は、別のページにまとめています。

 このページでは、「法規以外」の改正、つまり、「基本知識」「医薬品」「適正使用」のそれについて見ていきます。これらの改正は、マイルドなもので、1個当たり15分程度、ぜんぶで1~2時間あれば済む分量です。

 なお、「人体」には、目立った改正はありませんので、旧テキストがそのまま使えます。

 先の「法規」の改正については、こちらを参考ください。

 あと、使用するテキストによって、記載内容やレイアウト、編集が絶妙に異なっているので、改正事項が既に反映されていたり、記述そのものがなかったりしますが、そのあたりは、応用を効かせてください。

全般的なもの

 誤植レベルの明らかな間違い、漢字のルビ、助詞、言い回し、条文の数字の改定・修正が多々あります。

 これらは、直に試験に関係ないので、割愛します。知りたい人は、公式のPDFを追ってください。

 全般的な改正事項のうち、重要なのは、以下の2つです。

「アナフィラキシー様症状」が削除

 「アナフィラキシー様症状」という単語が手引き全体から削除されています。テキスト等を読む際は、今後無視していく、ってな寸法です。

 「アナフィラキシー様症状」の文言を見るたびに、「アナフィラキシー様症状」みたいに、線を引いていけばいいでしょう。

ブロムワレリル尿素からブロモバレリル尿素へ

 以前は、テキストにて「ブロムワレリル尿素」という表記がありましたが、「ブロモバレリル尿素」に統一されています。

 テキストの「ブロムワレリル尿素」を、「ブロモバレリル尿素」に読み替えるなり、修正するなりします。

基本知識の改正事項

 「医薬品に共通する特性と基本的な知識」の見ておくべき改正は、「削除」が「2件」です。テキストの該当箇所を探して、取消線を引くだけです。すぐ片がつきます。

高齢者の記述の一部削除

 「4)小児、高齢者等への配慮」の「(b) 高齢者」より、以下の文言が削除されました。

 『生理機能が衰えている高齢者では、少ない用量から様子を見ながら使用するのが望ましいとされるが、一般用医薬品の用法用量は、使用する人の生理機能を含めて、ある程度の個人差は織り込んで設定されている。このため、一般用医薬品については、基本的には、定められた用量の範囲内で使用されることが望ましく、それ以下に量を減らしても十分な効果が得られなくなるだけで、必ずしもリスクの軽減にはつながらない。しかしながら、既定用量の下限で使用してもなお作用が強過ぎる等の問題を生じる場合もあるので注意が必要である。』

 上記文章がテキストに載っていれば、丸ごと消すだけです。

重要!一般用医薬品の役割の一部削除

 「III 適切な医薬品選択と受診勧奨」の「1)一般用医薬品で対処可能な症状等の範囲」の「一般用医薬品の役割」に削除が入っています。

 改正前は、「(1) 軽度な疾病に伴う症状の改善、(2) 生活習慣病等の疾病に伴う症状発現の予防(科学的・合理的に効果が期待できるものに限る。)、(3) 生活の質(QOL)の改善・向上、(4) 健康状態の自己検査、(5) 健康の維持・増進、(6) その他保健衛生の6つがあり、医療機関での治療を受けるほどではない体調の不調や疾病の初期段階、あるいは日常において、生活者が自らの疾病の診断、治療若しくは、予防又は生活の質の改善・向上を図ることを目的としている。」となっていました。

 改正後は、太字の「診断」が削除され、「(略)生活者が自らの疾病の治療、予防又は生活の質の改善・向上を図ることを目的としている。」と、役割が「治療と予防」の2つになっています。

 ここは、択一式から空欄穴埋めまで、試験に実によく出るところなので、必ず、見ておいてください。

 たとえば、「一般用医薬品の役割は、生活者が自らの疾病の診断、治療、予防をするものである」などと出たら、「×」となります。「診断」は、その役割ではなくなっています。診断は、お医者さんのすることなのでしょう。

医薬品の改正事項

 次は、各試験科目ごとに、改正事項を見ていきます。

 次に見ていく「主な医薬品とその作用」の改正は、テキストの修正や記入等で、十分、間尺に合います。

 2~3時間もあれば、完了するかと思います。

リゾチーム塩酸塩の一部削除

 「抗炎症成分」のリゾチーム塩酸塩の“一部”削除がなされています。「出るもの」が減ったのですから、悪くない改正です。

 「リゾチーム塩酸塩」が「かぜ薬」「鎮咳去痰薬」「内服アレルギー用薬」から、削除されています。

 上記医薬品のページに記載されている「リゾチーム塩酸塩」の説明に、「×」などしていけばいいです。

 さて、先の薬では、リゾチーム塩酸塩が削除されましたが、「痔の薬」「口腔咽喉薬」「眼科用薬」「歯槽膿漏薬」等での「リゾチーム塩酸塩」は、削除されていません。

 よって、依然として、「リゾチーム塩酸塩」は、重要な論点となっています。基本の「リゾチーム塩酸塩・・・抗炎症成分(腫れを和らげる成分)」とか、「リゾチーム塩酸塩・・・たまごアレルギーの人、ダメ」などは、憶えておく必要があります。

鎮咳去痰薬‐コデイン類に、追記

 鎮咳去痰薬の「麻酔性鎮咳成分」の「コデインリン酸塩」と「ジヒドロコデインリン酸塩」に、以下のような、追記がなされました。

 クソ長いので、「コピペ用のテキストファイル」を参考ください。

 ぐたぐた書かれていますが、試験に出る筆頭は、「コデイン類は、12歳未満の小児等に使用しない」かと思われます。

 これ以外の、改正の背景や経過措置等は、軽く押えておけばよいでしょう。

 まあ、心配な人は、先の「コピペ用のテキストファイル」の文言を、ワード等にコピペ・印刷して、テキストに挟むなり貼りつけるなりして、何回も目を通しておきましょう。

女性ホルモン成分‐エチニルエストラジオール、エストラジオ-ル

 「婦人薬」の「女性ホルモン成分」である「エチニルエストラジオール・エストラジオ-ル」に、加筆修正があります。

 以前は、「定期的な検診を受ける」でしたが、改正されて、先の「定期的な検診を受ける」は削除され、代わりに、「継続して使用する場合には、医療機関を受診するよう促すべき」となりました。

「眼科用薬」の点眼薬の注意に、記述が追加

 「眼科用薬」の【点眼薬における一般的な注意】に、「薬液が鼻腔内へ流れ込み、」という記述が追加されています。

 参考までに全文をあげると…、

 『1滴の薬液の量は約50μLであるのに対して、結膜嚢のうの容積は30μL程度とされており、一度に何滴も点眼しても効果が増すわけではなく、むしろ薬液が鼻腔内へ流れ込み、粘膜や喉から吸収されて、副作用を起こしやすくなる』

 …といった風に、太線部分が、追加されています。ここもよく出るんで、注意しておきましょう。

衛生害虫のイエダニ部分

 「公衆衛生用薬」の「衛生害虫」のところに、改正があります。

 場所は、「イエダニ」のところで、「イエダニが散乱してまった場合には」のところが、「イエダニの防除には」に、修正されています。

一般用検査薬

一般用検査薬には、試験に出そうな、重要な改正があります。

 尿糖・尿タンパク検査薬の「採尿のタイミング」の「時間」に、改正が行なわれました。具体的には…、

 『尿糖検査の場合は、食後1~2時間を目安に採尿する。』

 『尿糖・尿タンパク同時検査の場合、早朝尿を検体とし、尿糖が検出された場合には、食後1~2時間の尿について改めて検査する。』

 …となっています。

 以前のテキストでは、「食後2~3時間」となっているので、これを、「食後1~2時間」に修正します。

 過去の試験でよく出ていた論点なので、必ず押えておきましょう。

医薬品の適正使用・安全対策

 「適正使用」の改正ですが、大きなものはありません。15~30分で完了です。

 まず、「医薬品医療機器情報提供総合機構ホームページ」の“長ったらしい”文言が「総合機構ホームページ」と、短く改正されています。

 次に、救済制度の医療費の支給に改正があります。

 改正前の「医療費の支給の対象となる費用の支払いが行われたときから5年以内(平成20年4月30日以前に行われた費用の支払いについては2年以内)」の括弧のところ(下線部分)が削除されています。

 改正後は、「医療費の支給の対象となる費用の支払いが行われたときから5年以内」のみとなっています。

 救済の医療手当でも、同じ改正があります。

 改正前の「請求に係る医療が行われた日の属する月の翌月の初日から5年以内(平成20年4月30日以前に行われた医療については2年以内)」のところから、括弧の部分(下線部分)が削除されています。

 改正後は、「請求に係る医療が行われた日の属する月の翌月の初日から5年以内」のみとなっています。

 まあ、例外規定がなくなっただけなので、変な言い方ですが、受験生にとっては、プラスの改正です。

 あとは、「別表」です。が、「別表」は、軽く見ておくか、面倒なら、無視してもよいでしょう。

 大きな修正事項を挙げると、「○ 小児に対する注意」の「主な成分」の「リゾチーム塩酸塩」のところが削除されています。

 「理由」の「乳児 (3歳未満の用法がある内用液剤、シロップ剤)乳児において、リゾチーム塩酸塩を初めて服用したときに、ショック(アナフィラキシー)が現れたとの報告があるため。」も、削除されています。

 先も言ったように、「かぜ薬」等から、「リゾチーム塩酸塩」が削除されたので、これに応じての修正かと思われます。

 後は、「5-3.「医薬品・医療機器等安全性情報」:一般用医薬品に関連する主な記事」に、追加事項がありますが、まあ、興味のある人だけ、チェックしておきましょう。試験には出ないと思われます。

医薬品等、このページの改正のまとめ

 医薬品等の平成30年度の改正は、こんな次第で、チョコチョコと、加筆修正するだけです。ざっと、重要なのをまとめると…、

 全般事項は、アナフィラキシー様症状が削除され、ブロムワレリル尿素からブロモバレリル尿素へ統一されただけです。

 「基本知識」は、削除が2件です。チョイチョイです。

 「医薬品」で特に重要なのは、かぜ薬等からリゾチーム塩酸塩が削除されている、コデイン類に追記、女性ホルモン成分(エチニルエストラジオール・エストラジオ-ル)が医療機関の受診、一般用検査薬の1~2時間後です。

 「適正使用」では、「医薬品医療機器情報提供総合機構ホームページ」が「総合機構ホームページ」になったくらいです。

 こんな次第で、「基本知識」「医薬品」「適正使用」の改正は、さっくと終わるはずです。

 ぶっちゃけ言うと、今回の改正で重大なのは、次に述べる「法規」の改正です。

 本ページのは、サクサク済ませて、「法規」の改正に進んでください。

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