製図‐甲4公式過去問解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 消防設備士 甲種4類(甲4)の公式過去問の製図の解説。製図は、本当にオーソドックスな問題で、基本的な数字や感知器の置き方を知っていれば、穏当に取れます。本問のような製図問題は、ラッキー問題なので、完答を目指します。

製図

  

 (クリックして拡大。)

 本問のレベルは「やさしい」です。

 テキストと問題集を繰り返し、さらに、製図用の問題集「4類消防設備士 製図試験の完全対策」を解いたことのある人なら、完全解答できるはずです。

 本試験で本問のような問題に当たったら、実に幸運です。

 100%解答できるようになっておきましょう。

 なお、本問の答えは、「こちら」です。

解説

 製図で大事なことは、ご存知でしょうが、問題の設定を把握することです。

 本問は、「主要構造部は耐火構造で、天井面の高さは3メートル」です。

 ここが『感知面積』を出すときの、基準となります。

 あと、「条件」にはいろいろありますが、穏当に“いつもどおり”なので、ざっと確認したら、問題を解いていきましょう。

作業1-感知器

 本問に限らず、大半の製図問題では、感知器は、一般的に「差動式スポット型感知器:2種」を用い、で、水っけのあるところ、たとえば、本問でいう湯沸し室などでは、「定温式スポット感知器:1種防水」を使うことになります。

 記号は、凡例どおりに…、

 「差動式スポット型感知器:2種」は…、

 

 …を、記入します。

 「定温式スポット感知器:1種防水」は…、

 

 …で、表記します。

 間違えて、「定温式スポット感知器」の「特殊」のほうを書いてはいけません。なお、「特殊」の方は、納戸とかの特殊な場所に置きます。

 さて、煙感知器ですが、本問には「廊下」がないので、置くことはありません。

 条件の「煙感知器は、これを設けなければならない場所以外は設置しない」を、遵守してください。

 これで、主役はそろいました。

作業2-感知面積

 「条件」には、「主要構造部は耐火構造で、天井面の高さは3メートル」とあります。

 従って、「差動式スポット型感知器:2種」は、「70㎡」に「1つ」置くことになり…、

 「定温式スポット感知器:1種防水」は、「60㎡」に「1つ」置くことになります。

 当該感知面積については、テキストにでっかく載っているでしょうから、それを参考にして、さっさと丸暗記してください。

 当該感知面積の表を憶えてないと、製図は、全く勝負なりません。

作業3-部屋ごと‐便所

 部屋ごとに、使う感知器と設置個数を、見ていきましょう。

便所

 「便所」は、カンタンで、受験生思いのところです。

 「便所」は、感知器の省略ができます。従って、無表記です。

 「条件」には、「設置個数は最低」とあるので、無理から便所に感知器をおく必要性はありません。

湯沸し室

 次に、「湯沸し室」です。ここは間違いなく「配点部分」です。

 「湯沸し室」は、火気を使用し水蒸気が発生します。従って、ここに「定温式スポット感知器:1種防水」を用いることになります。

 置く数ですが、先も述べたように、「定温式スポット感知器:1種防水」は、「60㎡」に「1つ」置くことになります。

 湯沸し室は、「3×3」の「9㎡」です。

 「9÷60」で「0.15」。小数部分を繰り上げて「1」、1個設置と相なります。

資料室

 資料室には、「差動式スポット型感知器:2種」を使用します。

 先述したように、「差動式スポット型感知器:2種」は、「70㎡」に「1つ」置くことになります。

 資料室は、「10×5.5」の「55㎡」です。

 「55÷70」で「0.785…」、小数部分を繰り上げて「1」、従って、1個設置と相なります。

応接室

 応接室には、「差動式スポット型感知器:2種」を使用します。

 先述したように、「差動式スポット型感知器:2種」は、「70㎡」に「1つ」置くことになります。

 応接室は、「3×4.5」の「13.5㎡」です。

 「13.5÷70」で「0.192…」、小数部分を繰り上げて「1」、従って、1個設置と相なります。

事務室

 事務室には、「差動式スポット型感知器:2種」を使用します。

 先述したように、「差動式スポット型感知器:2種」は、「70㎡」に「1つ」置くことになります。

 事務室は、「10×10」の「100㎡」に、湯沸し室の「9㎡」を引いた「91㎡」です。

 「91÷70」で「1.3」、小数部分を切り上げて「2」、2個設置と相なります。

機器収容箱

 残る作業は、機器収容箱です。

 機器収容箱には、「P型発信機」「表示灯」「地区音響装置」を記入します。

 おそらく、ここも「配点箇所」なので、ついウッカリ書き忘れる、なんてことのないようにしてください。

配線

 配線も、迷うことはないでしょう。

 機器収容箱から、まあ、下の湯沸し室めがけて配線して、次に、事務室の感知器2つに配線、次いで、応接室→資料室と配線して、機器収容箱に帰ってきます。

 まあ普通に、感知器ごとに“線を引いて辿っていけば”いいです。

 最後に、忘れずに、「2本」の配線数を示す「//」を、それぞれの配線に記して、終了です。ここも、どこぞに「配点」があるはずです。

答え

 公式の答えは以下のようになっています。

 

 以下、補足事項です。

 事務室には、感知器を2個置きますが、置き場所ですが、よほど近いところでない限り、点をくれると思います。普通に、適当な間隔を設けたらOKなはずです。

 感知器の間隔が重大ならば、テキスト等で、その旨の指摘があるはずです。しかし、間隔の指示等は見当たらないので、そう、神経質にならないでよいかと思います。

 他の部屋についても、よほど変なところでない限り、点をくれるはずです。神経質にならないでいいでしょう。

 さて、「定温式スポット感知器:1種防水」ですが、先の解答画像では、「配線」と被っており、わかりにくくなっています。

 

 …のように、縦線が入ってますので、注意してください。

 なお、基本的に、甲種も乙種も、問題に大差はありません。甲種受験の方は、力試しとして、「乙種4類」の過去問のほうも、解いてみてください。

 消防設備士甲種4類の例題は、以上です。お疲れ様でした!

PDF過去問について

 公式のPDF過去問は、ノートPCやスマホで見ることはできます。

 しかし、本格的な“問題演習”となると、「タブレット」での閲覧が最も勝手がよく、ストレスが少ないです。

 スマホだと画面が小さくて問題文が読み難く、PCだとキーボード等が邪魔で、問題を解くのに集中できない、といった塩梅です。

 

 当方は、PDF形式の過去問は、12インチのタブレット(thinkpad helix2)で閲覧しています。

 PCと違って周辺がごちゃごちゃしないので、普通に「紙」の過去問を解くような感じに、問題演習ができる、といった次第です。

 こんな次第で、PDFタイプの過去問演習でイライラしている方は、「タブレット」の利用を勧めます。

 なお、手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。

 アンドロイド製のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安いので、コストパフォーマンスが秀逸です。もちろん、PDFの閲覧もできます。

 とりわけ、スマホしか持ってない方に勧めます。小さい画面での問題演習は、倍疲れて倍時間がかかります。

 受験が終わっても、アレコレ使えますし、安価なサブ機としても使えます。これを機に「Fire HD」を買っても、損はないです。

 インチ数は8インチから10インチくらいが適当です。

4類:独学向け教材

 戸惑うかもしれませんが、消防設備士の甲種4類・乙種4類とも、同じ教材を使います。

 教材のよい点・わるい点等の詳細は「教材レビュー」に述べていますが、読むのがメンドクサイ人は、定番の下記教材を使えば間違いありません。

 一口で言うと、テキストは定番の「わかりやすい! 第4類消防設備士試験」を…、

 問題集は、姉妹本の「本試験によく出る! 第4類消防設備士試験」でそろえます。

 甲種受験の方は、「4類消防設備士 製図試験の完全対策」を追加します。

 テキストと問題集は、消防設備士試験の定番シリーズで、試験会場では多くの人が使っていました。当方、甲4のみならず、乙6・乙7でもお世話になりました。

6類:独学向け教材

 乙6の使用教材については、「教材レビュー」に詳述してますが、読むのがメンドウな方は…、

 テキストは「わかりやすい! 第6類消防設備士試験」を…、

 問題集には「本試験によく出る! 第6類消防設備士問題集」を使います。

 わたしの受けた試験では、受験生の3~4割が本書を使っており、わたしも本書の利用者でした。

7類:独学向け教材

 フル免除だと、試験問題は10問しかないので、テキスト1冊で十分です。問題集は要らないです。

 テキストには、定番シリーズの「わかりやすい! 第7類消防設備士試験」を使えばいいです。

 わたしは、当該テキスト1冊で、構造・機能(規格)100%、法令75%で合格でした。

過去問その他の問題

 本問以外の問題は、以下のリンク先にあります。

 通勤・通学中にどうぞ。

甲種4類

 1問:消防設備士の義務・・・「ふつう」。

 2問:基準法令の遡及適用・・・「ふつう」。ひっかけ注意。

 3問:防火対象物・・・「難」。

 4問:届出・検査・・・「やさしい」。1点候補。

 5問:免状の亡失・再交付・・・「ふつう」。

 6問:消防計画・・・「ふつう」。

 11問:設置義務・・・「ふつう」。語呂必須。

 28問:P型1級の非火災報・・・「難」。

 32問:感知器・発信機・・・「やさしい」。

 実技‐終端抵抗・・・「ふつう」。

 製図・・・「やさしい」。取らんとダメ。

 旧5問(R6):免状

 旧実技(R5)‐感知器

 旧第1問(R3):防火対象物点検資格者

 旧第3問(H29):届出・検査

乙種法令共通

 1問:特定防火対象物・・・基本中の基本問題。「やさしい」。

 2問:複合用途防火対象物・・・「普通」。取るべき。

 3問:検定制度・・・「ふつう」。絶対問題。

 4問:消火設備・・・「ふつう」。絶対問題。

 5問:命令受領者・・・「ふつう」。取れる。

 6問:定期点検・・・「ふつう」。

 7問:消防設備士・・・「ふつう」。

 旧2問(R5):消防用設備

乙種4類

 11問:警戒区域・・・基本中の基本問題。「やさしい」。

 33問:煙感知器・・・「ふつう」。必須問題。

 38問:受信器・・・「やさしい」。余裕。

 実技:各感知器・・・「ふつう」。取りたい。

 旧実技(R3):煙感知器・・・「ふつう」。取りたい。

乙種6類

 13問:地下街の消火器・・・「ふつう」。

 29問:消火器の性能・・・「やさしい」。

 41問:安全栓・・・「やさしい」。基本問題。

 実技:消火器構造・・・「ふつう」。取れる。

 旧実技(R6):指示圧力計

 旧28問(R5):点検整備

 旧13問(R4):歩行距離

乙種7類

 14問:設置基準・・・「ふつう」。

 42問:警戒電路の電圧・・・「難」。

 旧42問(R6):一般構造

消防設備士のこまごましたもの

 消防設備士に関するこまごましたことは、たとえば、「危険物取扱者・消防設備士の合格証(試験結果通知書)に有効期限はない=合格はずっと有効」とかの記事を、ブログにも投稿しています。

 興味のある方は、「消防設備士:ブログ記事」をばご参考ください。

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