アーカイブ 1問‐甲4公式過去問解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 アーカイブ問題です。令和2年までの公式過去問に掲載されていました。消防設備士 甲種4類(甲4)の公式過去問の、第1問目の解説。第1問は「法令」の問題で、防火対象物点検資格者を問う問題です。特定防火対象物と特定1階段等防火対象物が絡んでくるため、問題が複雑です。整理して解く必要があります。

アーカイブ 1問‐防火対象物点検資格者

 

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 本問のレベルは「難」です。

 論点は「4つ」あり、「防火対象物点検資格者とは、どういう制度?」と「特定防火対象物はどれ?」と「特定1階段等防火対象物ってどういうの?」「複合用途防火対象物とは?」のすべてを憶えてないと解けません。

 とはいえ、後述するテキストと問題集とを、きちんと消化していたら取れる問題です。頻出論点ですので、押さえておきましょう。

 本問の答えは、「こちら(番号のみ)」です。

解説‐おさらい

 整理して解答します。

 ある一定の防火対象物は、「防火対象物点検資格者」に定期点検させ、かつ、報告するよう、義務付けられています。

 当該「防火対象物点検資格者」による点検等が義務付けられているのは…、

 「特定防火対象物(準地下街はのぞく)で、収容人数300人以上

 「特定1階段等防火対象物

 …となっています。

 なお、「特定1階段等防火対象物」とは、地下階または3階以上に特定用途部分があり、屋内階段が1つしかない建物です。

 まず、これらの定義と数字を、正確に憶えておく必要があります。

解答手順

 まず、建物・施設が、「特定1階段等防火対象物」かどうかをチェックからします。

 「特定1階段等防火対象物」だと、用途や収容人数に関係なく、点検義務が生じるので、設問の細かい規定を調べる必要がなくなるからです。

 で、「特定1階段等防火対象物」でないなら、駒を進めて、「特定防火対象物かどうか?」をチェックします。

 このように、2段階で、設問の判別を行ないます。

設問ア

 まず、「特定1階段等防火対象物」のチェックです。

 当該建物は、屋内階段が2つあるので、「特定1階段等防火対象物」ではありません。

 次のチェックは、「特定防火対象物かどうか?」です。

 「事務所」は、「特定防火対象物」ではありません。

 選択肢1の階段やら地階やら収容人数500人は、単なる『迷彩』でしかありません。

 設問アの事務所は、「特定1階段等防火対象物」でもないし、「特定防火対象物」でもありません。

 んなもんで、設問アは、「防火対象物点検資格者」が点検する施設ではありません

設問イ

 「複合用途防火対象物」とは、いわゆる、雑居ビルで、異なる2以上の用途を含む防火対象物です。

 まず、「特定1階段等防火対象物」かどうかチェックします。

 設問イの雑居ビルですが、階段は1つで、地階1Fに、特定用途の「飲食店」があります。

 地下階に特定用途部分があるため、「特定1階段等防火対象物」に該当します。ここがポイントです。

 先述したように、「特定1階段等防火対象物」は、「防火対象物点検資格者」に、点検等が義務付けられています。

 んなもんで、設問イは、「防火対象物点検資格者」が点検しなくてはいけない施設となります。

設問ウ

 まず、「特定1階段等防火対象物」のチェックです。

 設問ウのホテルは、屋内階段が2つあるので、「特定1階段等防火対象物」ではありません。

 次のチェックは、「特定防火対象物かどうか?」です。

 ホテルは、「特定防火対象物」です。

 先述したように、「特定防火対象物で、収容人数300人以上」の場合に、有資格者による点検等義務があります。

 設問のホテルは、収容人数が「100人」です。

 当該ホテルは、特定防火対象物だけれども、収容数が「100人」なので、義務は生じません。

 んなもんで、設問ウは、「防火対象物点検資格者」が点検する施設ではありません

設問エ

 先述したように、「複合用途防火対象物」とは、いわゆる、雑居ビルで、異なる2以上の用途を含む防火対象物です。

 まず、「特定1階段等防火対象物」のチェックです。

 設問エの「複合用途防火対象物」は、階段が1つですが、「地階がない」し「階数が2」しかないので、「特定1階段等防火対象物」ではありません。

 次のチェックは、「特定防火対象物かどうか?」です。

 雑居ビルが、「特定防火対象物」に当たるかどうかは、当該用途で決まります。

 設問エの雑居ビルには、遊技場と店舗があるので、「特定防火対象物」となります。

 本雑居ビルは「特定防火対象物」ですが、収容人数は「150人」となっています。

 先述したように、「特定防火対象物で、収容人数300人以上」の場合に、有資格者による点検等義務があります。

 当該雑居ビルは、特定防火対象物だけれども、収容数が「150人」なので、義務は生じません。

 んなもんで、設問エは、「防火対象物点検資格者」が点検する施設ではありません

考え方

 本問のテーマは、「防火対象物点検資格者」による点検義務です。

 しっくり来ない人は、以下のように考えてください。

 「防火対象物点検資格者」は、なかなかに取れない資格です。

 「防火対象物点検資格者」は、消防設備士・防火管理者・消防設備点検資格者の「有資格者」であり、加えて、3年以上の実務経験があって、そこから、講習(大阪府で38,000円)を受けた者となっており、そこそこ難資格です。

 そういう、難資格の有資格者に「点検等を義務付けている」わけですから、当然、それ相応の建物・施設が対象になります。

 犬小屋の点検に、「防火対象物点検資格者」は必要ではありませんね。

 んなもんで、先に見たように、火災の際にとても危険な「特定1階段等防火対象物」と、規模の大きい=つまり、火災の場合、多数の死傷者が予想される「特定防火対象物」に、「防火対象物点検資格者」の点検が義務付けられている、ってな寸法です。

まとめ

 「防火対象物点検資格者」が点検しないとけないのは、設問イだけです。

 従って、点検用の防火対象物は「1つ」となり、選択肢1が正解となります。

 答え:1


PDF過去問について

 公式のPDF過去問は、ノートPCやスマホで見ることはできます。

 しかし、本格的な“問題演習”となると、「タブレット」での閲覧が最も勝手がよく、ストレスが少ないです。

 スマホだと画面が小さくて問題文が読み難く、PCだとキーボード等が邪魔で、問題を解くのに集中できない、といった塩梅です。

 

 当方は、PDF形式の過去問は、12インチのタブレット(thinkpad helix2)で閲覧しています。

 PCと違って周辺がごちゃごちゃしないので、普通に「紙」の過去問を解くような感じに、問題演習ができる、といった次第です。

 こんな次第で、PDFタイプの過去問演習でイライラしている方は、「タブレット」の利用を勧めます。

 なお、手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。

 アンドロイド製のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安いので、コストパフォーマンスが秀逸です。もちろん、PDFの閲覧もできます。

 とりわけ、スマホしか持ってない方に勧めます。小さい画面での問題演習は、倍疲れて倍時間がかかります。

 受験が終わっても、アレコレ使えますし、安価なサブ機としても使えます。これを機に「Fire HD」を買っても、損はないです。

 インチ数は8インチから10インチくらいが適当です。

4類:独学向け教材

 戸惑うかもしれませんが、消防設備士の甲種4類・乙種4類とも、同じ教材を使います。

 教材のよい点・わるい点等の詳細は「教材レビュー」に述べていますが、読むのがメンドクサイ人は、定番の下記教材を使えば間違いありません。

 一口で言うと、テキストは定番の「わかりやすい! 第4類消防設備士試験」を…、

 問題集は、姉妹本の「本試験によく出る! 第4類消防設備士試験」でそろえます。

 甲種受験の方は、「4類消防設備士 製図試験の完全対策」を追加します。

 テキストと問題集は、消防設備士試験の定番シリーズで、試験会場では多くの人が使っていました。当方、甲4のみならず、乙6・乙7でもお世話になりました。

6類:独学向け教材

 乙6の使用教材については、「教材レビュー」に詳述してますが、読むのがメンドウな方は…、

 テキストは「わかりやすい! 第6類消防設備士試験」を…、

 問題集には「本試験によく出る! 第6類消防設備士問題集」を使います。

 わたしの受けた試験では、受験生の3~4割が本書を使っており、わたしも本書の利用者でした。

7類:独学向け教材

 フル免除だと、試験問題は10問しかないので、テキスト1冊で十分です。問題集は要らないです。

 テキストには、定番シリーズの「わかりやすい! 第7類消防設備士試験」を使えばいいです。

 わたしは、当該テキスト1冊で、構造・機能(規格)100%、法令75%で合格でした。

過去問その他の問題

 本問以外の問題は、以下のリンク先にあります。

 通勤・通学中にどうぞ。

甲種4類

 1問:消防設備士の義務・・・「ふつう」。

 2問:基準法令の遡及適用・・・「ふつう」。ひっかけ注意。

 3問:防火対象物・・・「難」。

 4問:届出・検査・・・「やさしい」。1点候補。

 5問:免状の亡失・再交付・・・「ふつう」。

 6問:消防計画・・・「ふつう」。

 11問:設置義務・・・「ふつう」。語呂必須。

 28問:P型1級の非火災報・・・「難」。

 32問:感知器・発信機・・・「やさしい」。

 実技‐終端抵抗・・・「ふつう」。

 製図・・・「やさしい」。取らんとダメ。

 旧5問(R6):免状

 旧実技(R5)‐感知器

 旧第1問(R3):防火対象物点検資格者

 旧第3問(H29):届出・検査

乙種法令共通

 1問:特定防火対象物・・・基本中の基本問題。「やさしい」。

 2問:複合用途防火対象物・・・「普通」。取るべき。

 3問:検定制度・・・「ふつう」。絶対問題。

 4問:消火設備・・・「ふつう」。絶対問題。

 5問:命令受領者・・・「ふつう」。取れる。

 6問:定期点検・・・「ふつう」。

 7問:消防設備士・・・「ふつう」。

 旧2問(R5):消防用設備

乙種4類

 11問:警戒区域・・・基本中の基本問題。「やさしい」。

 33問:煙感知器・・・「ふつう」。必須問題。

 38問:受信器・・・「やさしい」。余裕。

 実技:各感知器・・・「ふつう」。取りたい。

 旧実技(R3):煙感知器・・・「ふつう」。取りたい。

乙種6類

 13問:地下街の消火器・・・「ふつう」。

 29問:消火器の性能・・・「やさしい」。

 41問:安全栓・・・「やさしい」。基本問題。

 実技:消火器構造・・・「ふつう」。取れる。

 旧実技(R6):指示圧力計

 旧28問(R5):点検整備

 旧13問(R4):歩行距離

乙種7類

 14問:設置基準・・・「ふつう」。

 42問:警戒電路の電圧・・・「難」。

 旧42問(R6):一般構造

消防設備士のこまごましたもの

 消防設備士に関するこまごましたことは、たとえば、「危険物取扱者・消防設備士の合格証(試験結果通知書)に有効期限はない=合格はずっと有効」とかの記事を、ブログにも投稿しています。

 興味のある方は、「消防設備士:ブログ記事」をばご参考ください。

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