消防設備士 甲種4類(甲4)の公式過去問の、第2問目の解説。第2問は「法令」の問題で、基準法令の遡及適用を問う問題です。語呂があるので、憶えやすいですが、要注意部分もあります。ま、でも、普通に勉強していたら、解ける問題です。
(クリックして拡大。)
本問のレベルは「ふつう」です。
法改正等があった場合、既存の消防設備は、どうしたらいいか?が、本問のテーマ「基準法令の遡及適用」です。
頻出論点なので、ぜひとも、解けるようになっておきましょう。
本問の答えは、「こちら(番号のみ)」です。
常に、現行基準に合わせないといけない消防設備は、以下のとおりです(語呂あり)。
漏電火災警報器
非難器具
消火器または簡易消火用具
自動火災報知設備(ただし、地下街・準地下街をのぞく特定防火対象物と重要文化財のみ)
ガス漏れ火災警報設備(ただし、特定防火対象物と一定の温泉採取設備のみ)
誘導灯と誘導標識
非常警報器具または非常警報設備
…上記設備は、常に現行法に合わせないと行けません。
当該規定の語呂は…、
『老秘書、爺がゆけ』です。
当方のオリジナルではなく、出展は「わかりやすい! 第4類消防設備士試験」です。これが一番よくまとまっていて憶えやすいです。
『老秘書、爺(じい)がゆけ』は…、
老・・・「漏」電火災警報器
秘・・・「非」難器具
書・・・「消」化器または簡易「消」化用具
爺(じい)・・・「自」動火「災」報知設備
が・・・「ガ」ス漏れ火災警報設備
ゆ・・・「誘」導灯と「誘」導標識
け・・・非常「警」報器具または非常「警」報設備
…のそれぞれの文字と対応しています。
ブツブツ、2~3回唱えれば、即、憶えられるはずです。
後は、当てはめるだけです。
選択肢1の「消火器」は、先の語呂にあります。
従って、選択肢1は、「現行基準に適合させる」ものです。
問題文は、「現行基準に適合させなくてもよいもの」です。
選択肢1は、「×」です。
選択肢2の「非難器具」は、先の語呂にあります。
従って、選択肢2は、「現行基準に適合させる」ものです。
問題文は、「現行基準に適合させなくてもよいもの」です。
選択肢2は、「×」です。
選択肢3の「簡易消化用具」は、先の語呂にあります。
従って、選択肢3は、「現行基準に適合させる」ものです。
問題文は、「現行基準に適合させなくてもよいもの」です。
選択肢3は、「×」です。
ところで、「簡易消化用具」とは、水バケツや乾燥ひる石などです。
選択肢4の「自動火災報知設備」は、先の語呂にあります。
しかし、注意が必要です。
「自動火災報知設備」は、「ただし書き」にあるように、地下街・準地下街をのぞく特定防火対象物と重要文化財のみが、遡及適用が義務付けられています。
言い換えれば、「地下街・準地下街をのぞく特定防火対象物と重要文化財」の「自動火災報知設備」は、遡及適用が義務付けられる、といった塩梅です。
さて、銀行は、「特定防火対象物」でしょうか?
違います。
んなもんで、銀行の「自動火災報知設備」は、「遡及適用しなくてよいもの」となります。
問題文は、「現行基準に適合させなくてもよいもの」です。
従って、選択肢4は、「○」です。
本問は、「改正後の規定に適合させなくてもよい消防用設備等として、消防法令上、正しいものは次のうちどれか?」です。
よって、選択肢4が正解となります。
答え:4
本問のテーマは、「基準法令の遡及適用」で、先の語呂がきちんと頭に入っていれば、穏当に解けます。
さて、選択肢の「映画館」とか「図書館」とか「小学校」とかについて、一言、述べ置きます。
当該文言は、一口で言えば、『迷彩』で「ひっかけ」です。
遡及適用の論点では、「特定防火対象物」は、原則として、現行基準に適合させる義務が“あり”ます。
対して、特定防火対象物でない建物等については、原則として、適合させる義務が“ない”のです。
言うなれば、出題者は…、
選択肢1:映画館→特定防火対象物だ→義務あり!
選択肢2:図書館→特定防火対象物じゃない→義務なし!
選択肢3:小学校→特定防火対象物じゃない→義務なし!
選択肢4:銀行→特定防火対象物じゃない→義務なし!
んなもんで、正解は「1」だ!…ってな感じの“誤解答”を求めている、ってな次第です。
しかし、これまで見てきたように、「老秘書、爺(じい)がゆけ」の設備は、常に現行基準適合です。
本問のような「ひっかけ」は、消防設備士試験によくパターンです。ダーティーハリーでも青くなる汚い出題者の手口に、のらないようにしましょう。
公式のPDF過去問は、ノートPCやスマホで見ることはできます。
しかし、本格的な“問題演習”となると、「タブレット」での閲覧が最も勝手がよく、ストレスが少ないです。
スマホだと画面が小さくて問題文が読み難く、PCだとキーボード等が邪魔で、問題を解くのに集中できない、といった塩梅です。
当方は、PDF形式の過去問は、12インチのタブレット(thinkpad helix2)で閲覧しています。
PCと違って周辺がごちゃごちゃしないので、普通に「紙」の過去問を解くような感じに、問題演習ができる、といった次第です。
こんな次第で、PDFタイプの過去問演習でイライラしている方は、「タブレット」の利用を勧めます。
なお、手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。
アンドロイド製のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安いので、コストパフォーマンスが秀逸です。もちろん、PDFの閲覧もできます。
とりわけ、スマホしか持ってない方に勧めます。小さい画面での問題演習は、倍疲れて倍時間がかかります。
受験が終わっても、アレコレ使えますし、安価なサブ機としても使えます。これを機に「Fire HD」を買っても、損はないです。
インチ数は8インチから10インチくらいが適当です。
戸惑うかもしれませんが、消防設備士の甲種4類・乙種4類とも、同じ教材を使います。
教材のよい点・わるい点等の詳細は「教材レビュー」に述べていますが、読むのがメンドクサイ人は、定番の下記教材を使えば間違いありません。
一口で言うと、テキストは定番の「わかりやすい! 第4類消防設備士試験」を…、
問題集は、姉妹本の「本試験によく出る! 第4類消防設備士試験」でそろえます。
甲種受験の方は、「4類消防設備士 製図試験の完全対策」を追加します。
テキストと問題集は、消防設備士試験の定番シリーズで、試験会場では多くの人が使っていました。当方、甲4のみならず、乙6・乙7でもお世話になりました。
乙6の使用教材については、「教材レビュー」に詳述してますが、読むのがメンドウな方は…、
テキストは「わかりやすい! 第6類消防設備士試験」を…、
問題集には「本試験によく出る! 第6類消防設備士問題集」を使います。
わたしの受けた試験では、受験生の3~4割が本書を使っており、わたしも本書の利用者でした。
フル免除だと、試験問題は10問しかないので、テキスト1冊で十分です。問題集は要らないです。
テキストには、定番シリーズの「わかりやすい! 第7類消防設備士試験」を使えばいいです。
わたしは、当該テキスト1冊で、構造・機能(規格)100%、法令75%で合格でした。
本問以外の問題は、以下のリンク先にあります。
通勤・通学中にどうぞ。
1問:消防設備士の義務・・・「ふつう」。
2問:基準法令の遡及適用・・・「ふつう」。ひっかけ注意。
3問:防火対象物・・・「難」。
4問:届出・検査・・・「やさしい」。1点候補。
5問:免状の亡失・再交付・・・「ふつう」。
6問:消防計画・・・「ふつう」。
11問:設置義務・・・「ふつう」。語呂必須。
28問:P型1級の非火災報・・・「難」。
32問:感知器・発信機・・・「やさしい」。
実技‐終端抵抗・・・「ふつう」。
製図・・・「やさしい」。取らんとダメ。
1問:特定防火対象物・・・基本中の基本問題。「やさしい」。
2問:複合用途防火対象物・・・「普通」。取るべき。
3問:検定制度・・・「ふつう」。絶対問題。
4問:消火設備・・・「ふつう」。絶対問題。
5問:命令受領者・・・「ふつう」。取れる。
6問:定期点検・・・「ふつう」。
7問:消防設備士・・・「ふつう」。
11問:警戒区域・・・基本中の基本問題。「やさしい」。
33問:煙感知器・・・「ふつう」。必須問題。
38問:受信器・・・「やさしい」。余裕。
実技:各感知器・・・「ふつう」。取りたい。
旧実技(R3):煙感知器・・・「ふつう」。取りたい。
13問:地下街の消火器・・・「ふつう」。
29問:消火器の性能・・・「やさしい」。
41問:安全栓・・・「やさしい」。基本問題。
実技:消火器構造・・・「ふつう」。取れる。
14問:設置基準・・・「ふつう」。
42問:警戒電路の電圧・・・「難」。
消防設備士に関するこまごましたことは、たとえば、「危険物取扱者・消防設備士の合格証(試験結果通知書)に有効期限はない=合格はずっと有効」とかの記事を、ブログにも投稿しています。
興味のある方は、「消防設備士:ブログ記事」をばご参考ください。
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