乙種公式過去問解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 消防設備士 乙種の公式過去問の、第5問目の解説。本問は「法令-共通」の問題で、命令受領者を問う問題です。初めて見る問題ですが、なんて事のない問題です。落ち着いて解きましょう。常識を働かせれば解けます。

5問‐命令受領者

 

 (クリックして拡大。)

 本問のレベルは「ふつう」です。

 あまり出ない論点なので、最初は面食らいますが、「ふつう」に考えれば、大丈夫です。

 本問の答えは、「こちら(番号のみ)」です。

解説

 一口で言えば、「消防設備」の最終的な責任者は、「防火対象物の関係者で権原を有する者」です。

 本問のように、“お叱り”を受ける場合、当該最終責任者である「防火対象物の関係者で権原を有する者」に対して、改善命令等の行政指導が行なわれます。

 ところで、消防設備設置の届出と、点検結果の報告も、「防火対象物の関係者で権原を有する者」が、届出義務者となります。

 ですから、当該規定から転じて、「改善命令なども同じ手合いで、防火対象物の関係者じゃないの?」という見当を、付けることができます。

選択肢1

 選択肢1の言う「防火対象物の関係者で権原を有する者」とは、建物の所有者、占有者、管理者を指します。

 ちなみに、「所有者」とは、建物の所有権を持っている者です。たとえば、「○○不動産」といった塩梅です。

 「管理者」とは、代表的な例で言えば、「○○ビル管理」といった管理会社を思い浮かべればいいでしょう。

 次に、「占有者」ですが、これは、ざっくり「借りている人、使っている人」くらいに考えておけばいいでしょう。貸しビルの店子といって体です。

 違反状態の消防設備がある場合、これらの人の“どれか”に命令が下ることになります。

 よって、選択肢は、「○」となります。

 なお、本選択肢の『権原』がわからない人は、法令用語のコツ「権限」「権原」「権能」を参考をば。

選択肢2

 先に答えを言うと、選択肢2は「×」です。

 「もし」の仮定で考えてみましょう。

 もし、違反状態の消防設備がある場合に、「工事責任者」に改善命令が下されるとした場合、消防長等は、当該「工事責任者」を、“いちいち”探さないといけなくなります。

 目の前に、建物を使っている人・持っている人がいるのに、わざわざ、工事をした人を探さないといけない、というのは手間です。

 また、もし、当該「工事責任者」が倒産していたらどうなるか、という問題もあります。

 「工事責任者」が倒産して居なくなっていたら、目の前に違法状態の建物があるのに、行政庁は指導できなくなるってことになります。理不尽です。

 こんな風に考えれば、選択肢2は「×」と判断できます。

選択肢3、4

 選択肢3の「工事した消防設備士」と、選択肢4の「点検した消防設備士」ですが、先の選択肢2の同様の理屈が考えられます。

 行政庁からすれば、「工事・点検をした消防設備士」を探し出して命令を出すより、建物の所有者・管理者等に命令したほうが、よっぽど確実ではやくて手間もかかりません。

 まあ、実際の作業は、消防設備士等がやるでしょうが、命令を受ける者としては、適当でないと考えられます。

 こんな風に考えれば、選択肢3・4は「×」と判断できます。

まとめ

 本問は、「正しいものはどれか?」です。

 従って、選択肢1が正解となります。

 答え:1

 次の問題へ。

PDF過去問について

 公式のPDF過去問は、ノートPCやスマホで見ることはできます。

 しかし、本格的な“問題演習”となると、「タブレット」での閲覧が最も勝手がよく、ストレスが少ないです。

 スマホだと画面が小さくて問題文が読み難く、PCだとキーボード等が邪魔で、問題を解くのに集中できない、といった塩梅です。

 

 当方は、PDF形式の過去問は、12インチのタブレット(thinkpad helix2)で閲覧しています。

 PCと違って周辺がごちゃごちゃしないので、普通に「紙」の過去問を解くような感じに、問題演習ができる、といった次第です。

 こんな次第で、PDFタイプの過去問演習でイライラしている方は、「タブレット」の利用を勧めます。

 なお、手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。

 アンドロイド製のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安いので、コストパフォーマンスが秀逸です。もちろん、PDFの閲覧もできます。

 とりわけ、スマホしか持ってない方に勧めます。小さい画面での問題演習は、倍疲れて倍時間がかかります。

 受験が終わっても、アレコレ使えますし、安価なサブ機としても使えます。これを機に「Fire HD」を買っても、損はないです。

 インチ数は8インチから10インチくらいが適当です。

4類:独学向け教材

 戸惑うかもしれませんが、消防設備士の甲種4類・乙種4類とも、同じ教材を使います。

 教材のよい点・わるい点等の詳細は「教材レビュー」に述べていますが、読むのがメンドクサイ人は、定番の下記教材を使えば間違いありません。

 一口で言うと、テキストは定番の「わかりやすい! 第4類消防設備士試験」を…、

 問題集は、姉妹本の「本試験によく出る! 第4類消防設備士試験」でそろえます。

 甲種受験の方は、「4類消防設備士 製図試験の完全対策」を追加します。

 テキストと問題集は、消防設備士試験の定番シリーズで、試験会場では多くの人が使っていました。当方、甲4のみならず、乙6・乙7でもお世話になりました。

6類:独学向け教材

 乙6の使用教材については、「教材レビュー」に詳述してますが、読むのがメンドウな方は…、

 テキストは「わかりやすい! 第6類消防設備士試験」を…、

 問題集には「本試験によく出る! 第6類消防設備士問題集」を使います。

 わたしの受けた試験では、受験生の3~4割が本書を使っており、わたしも本書の利用者でした。

7類:独学向け教材

 フル免除だと、試験問題は10問しかないので、テキスト1冊で十分です。問題集は要らないです。

 テキストには、定番シリーズの「わかりやすい! 第7類消防設備士試験」を使えばいいです。

 わたしは、当該テキスト1冊で、構造・機能(規格)100%、法令75%で合格でした。

過去問その他の問題

 本問以外の問題は、以下のリンク先にあります。

 通勤・通学中にどうぞ。

甲種4類

 1問:消防設備士の義務・・・「ふつう」。

 2問:基準法令の遡及適用・・・「ふつう」。ひっかけ注意。

 3問:防火対象物・・・「難」。

 4問:届出・検査・・・「やさしい」。1点候補。

 5問:免状・・・迷彩あるも「ふつう」。

 6問:消防計画・・・「ふつう」。

 11問:設置義務・・・「ふつう」。語呂必須。

 28問:P型1級の非火災報・・・「難」。

 32問:感知器・発信機・・・「やさしい」。

 実技‐終端抵抗・・・「ふつう」。

 製図・・・「やさしい」。取らんとダメ。

 アーカイブ:旧実技‐感知器(R5)

 アーカイブ:旧第1問(R3):防火対象物点検資格者

 アーカイブ:旧第3問(H29):届出・検査

乙種法令共通

 1問:特定防火対象物・・・基本中の基本問題。「やさしい」。

 2問:複合用途防火対象物・・・「普通」。取るべき。

 3問:検定制度・・・「ふつう」。絶対問題。

 4問:消火設備・・・「ふつう」。絶対問題。

 5問:命令受領者・・・「ふつう」。取れる。

 6問:定期点検・・・「ふつう」。

 7問:消防設備士・・・「ふつう」。

乙種4類

 11問:警戒区域・・・基本中の基本問題。「やさしい」。

 32問:煙感知器・・・「ふつう」。必須問題。

 38問:受信器・・・「やさしい」。余裕。

 実技:各感知器・・・「ふつう」。取りたい。

 旧実技:煙感知器・・・「ふつう」。取りたい。

乙種6類

 13問:地下街の消火器・・・「ふつう」。

 29問:消火器の性能・・・「やさしい」。

 41問:安全栓・・・「やさしい」。基本問題。

 実技:指示圧力計・・・「ふつう」。取れる。

乙種7類

 14問:設置基準・・・「ふつう」。

 42問:一般構造・・・基本問題。「やさしい」。

乙種:アーカイブ

 (R5)旧2問:消防用設備

 (R5)乙6‐旧28問:点検整備

 (R4)乙6‐旧13問:歩行距離

 (R3)乙4‐旧実技:煙感知器

消防設備士のこまごましたもの

 消防設備士に関するこまごましたことは、たとえば、「危険物取扱者・消防設備士の合格証(試験結果通知書)に有効期限はない=合格はずっと有効」とかの記事を、ブログにも投稿しています。

 興味のある方は、「消防設備士:ブログ記事」をばご参考ください。

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