現状の第2種電気工事士(2電工)は、従来の傾向が続いているが、「難化」が資格試験のブームであり、2電工が「難化」しないとはいえない。そこで、2電工の学科試験の「難化」を予想する。本ページで述べるように試験問題が変わることが予想されるが、一口で言えば、「従来の勉強をしっかりしておけば恐るるに足らず」。
資格試験の「難化」とは、別に、出題者の意地悪ではなく、テキストすらまともに読んでこない「不良受験生」を駆逐(デストロイ)するために、行われます。
質の悪い受験生を合格させないための『措置』が、試験の「難化」という現象です。
後述するように、「難化」とは、まっとうな受験生までも、落とすものではありません。
「難化」によって、難易度は多少上がっても、しっかり勉強した人なら、合格点が取れるような配慮がなされるのが『常』です。んなもんで、いたずらに不安を抱かないでください。
学科の「難化」ですが、これまでは、そんなに言うほど、気にしなくても良かったのです。
しかし、「2018年:下期学科」では、「難化」が顕著になってきています。
以下に、これまでにない“問われ方をした問題”を挙げていきます。
まず、「2018年:下期学科‐5問:スター(Y)結線」です。
これまでは、1つの問題に、1つの論点が問われるのが常でした。
言うなれば、1つの問題で問われる公式は、「1つ」だったわけです。
しかし、先の問題では、1つの問題を解くのに、2つの公式を知っていなければならなくなっています。
次の例ですが、「2018年:下期学科‐11問:漏電遮断器」も、先と同じ「1問2論点」の問題です。
器具の知識に加え、電気の規制知識の「2論点」を問うています。
これまでは、「器具」の知識ならそれだけがほとんどだったのですが、本問では、「規制知識」と一緒に問われています。
こういう出題もあるので、混乱しないように注意してください。
テキストに載ってないかもしれない問題も、2018年度の下期学科では、目立ちました。
「2018年:24問:回路計操作」や「2018年:25問:対地電圧」は、使用テキストによっては、ここまで突っ込んだ記述がないため、解けない人もいたことでしょう。
テキストを精読して、電気について理解していないと解けない難しい問題が出ました。
「2018年:27問:開閉器」は、暗記主体の試験勉強では、解けないはずです。
まあ、「捨て問」でもいいので、こういう問題が出るんだと、傾向把握の一環にしてください。
「2018年:35問:電線管図記号」のように、「内経か?外径か?」は、テキストに記載があります。
しかし、頻出事項でないので、見落としていた受験生が多かった論点です。
本問のように、選択肢を2つまでは絞れても、最終解答は、シッカリ出せないという問題も出ます。
例年なら、「図記号」の知識だけを問うていたのに、「付記」まで問われたのが、「2018年:39問‐図記号目的」です。
これは、???となった受験生がたくさんいたはずです。わたしもわかりませんでした。
比較的点の取りやすい「写真鑑別」にも、難しい問題が出ています。
「2018年:45問:図記号」なのですが、あまり出題実績のない論点が問われています。
また、「写真鑑別」での“こういう問い方”は、あまりなかったので、多くの受験生が「???」となったはずです。
本問も、選択肢を2つまでは、絞れますが、最終解答は決めれない(判別できない)問題となっています。
こんな次第で、現状の2電工学科では、上記のような「難化」が見られています。
傾向把握の一環として、押えておいてください。
現状では、先のように「難化」していますが、さらに、難しくなる可能性もあります。
その「可能性」の1つとして、「問い方・設問・答え方」に変化をつけてくるのが、当世の「難化の手法」です。
他の資格試験では、「いくつ?」と「組み合わせは?」の2つが問題を難しくする手法として有名です。
当該2手法で、どれほど試験問題が凶悪化するかを、H28年度の学科を例に、見ていきましょう。
設問が、「正解(誤り)はどれ?」から、「いくつ?」になるだけで、試験問題は、激烈に手ごわくなります。
たとえば、最近の平成28年(2016年度)の上期試験の第28問です。
定番中の定番問題「免状の書き換え」で、誰もが点を取るところです。
「誤っているものは“どれ?”」ですので、答えは「ハ」です。
言うまでもありませんが、2電工の免状には、「住所」が表記されていません。
ですから、住所が変わったからといっても、免状の効力には影響がない→書き換えの必要なし、ってな寸法です。
当該問題が、「正解はいくつ?」で難しくなるとどうなるでしょうか?
問題文は、以下のように変化します。
「電気工事士の義務または制限について、誤っているものはいくつあるか?」
で、解答で選ぶ選択肢は、「イ.1つ」「ロ.2つ」「ハ.3つ」「二.4つ」となる、ってな次第です。
設問は同じで、かつ、問題の趣旨が同じでも、このような「問われ方」をすると、極端に難しくなることがお分かりいただけるかと思います。
「どれ?」なら、定番の選択肢「住所は書き換えない」さえ、おぼろげでも頭に入っていれば、正解できて貴重な1点が拾えたのです。
しかし、「いくつ?」で問われると、残る選択肢の1つ1つを、正しく判別できないと、正解できません。
かつては、1つの選択肢が頭に入っていれば1点でしたが、「いくつ?」で難化すると、全選択肢の4つすべてを知っていないと、1点が取れなくなる、という塩梅です。
以前の4倍は勉強しないと点が取れなくなる手法、それが、「いくつ?」による難化です。
次に挙げる例は、平成28年(2016年度)の上期試験の第11問です。
これまた定番の出題「工具シリーズ」ですが、「問われ方」が異なれば、劇的に難しくなります。
答えは、ご存知のように、「ハ.金属管工事とクリックボール」です。
当該選択肢「クリックボールで金属管の内面取り」は、過去問では超頻出であり、従来の設問では、誰もが点の取れる問題に仕上がっています。
さて、設問の「適切なものは?」が、「適切なものは組み合わせは?」に変化したとしましょう。
設問が変われば、答えの選択肢も応じて変わります。たとえば、「イ・ロ・ハ」とか「イ・ハ」、「ハ」、「なし」などと変わることでしょう。
…途端に、かなり難しくなりました。
正解は、先も述べたように「ハ」の1つだけですが、上記選択肢群で、単独の「ハ」を選べる人は少数です。
「組み合わせは?」の難化の妙は、「組み合わせ」と、正解が複数あることを“匂わせながら”、選択肢には、「単独」を入れることで、受験生を大いに惑わせることができる点です。
「組み合わせは?」の問題は、各選択肢ごとの正解な知識はもとより、心の割り切りや踏ん切りまでもが要求され、実に手ごわい問題に“化ける”のであります。
ノーマルな問い方「正解はどれ?」なら、簡単に答えられても、「正解の組み合わせは?」となると、格段に正解率は落ちる、出題者側から言うと、「落とすことができる」のであります。
以上、実際の試験問題を使って、設問が「どれ?」から、「いくつ?」「組み合わせは?」に変わるだけで、難儀になるのを見てみました。
2電工の学科が難化するとしたら、こんな出題になる可能性があるという次第です。
まあ、とはいえども、そう「難化」を恐れる必要もありません。
「すべて問題が、このページで述べたように難しくなる」ことは、限りなくゼロに近いので、安心してください。
2電工の学科は、実務試験の側面が強く、また、「配線図」の配点も大きいので、難化はごく一部の“限定的なもの”と思われます。
当然、従来の問題も残っているので、難化する数としては、3~5問くらいでしょう。
また、「難化」したとしても、出題者は、従来型の試験勉強である『テキストをしっかり読む・過去問を繰り返しておく』をしていれば、「合格点」は確保できるように、難易度を調整している“きらい”があります。
従来のように、きちんとテキストを読んで、過去問を繰り返していれば、学科は“間違いなく”通ります。
一番最初に述べたように、試験の難化とは、不良受験生の駆逐です。ですから、“不良じゃない、まっとうな受験生”であれば、恐れる必要はない、ってな塩梅です。
よほどの事情がない限り、「試験の難化→合格者大減少→阿鼻叫喚」とはならないので、難化をいたずらに不安に思わず、目の前のテキストと過去問の消化に勤めてください。
なお、技能試験の難化については「第2種電気工事士(2電工)の技能試験の難化予想」をば、ご高覧ください。
第2種電気工事士に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。興味のある方は、「第2種電気工事士:ブログ記事」をばご参考ください。
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