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役務収益は前受金とセットで憶える‐簿記2級新論点ノート

役務収益・役務原価の注意点は、「収益・費用の認識」の前に、ごちゃごちゃしている点です。

当該役務収益・役務原価の論点は、『前後に罠がある』ことを頭に入れておくのがポイントかと思われます。

役務収益では、前に「前受金」が、場合によっては、後に「役務原価」が噛んできます。

役務収益は前受金が絡む

単に、「A社に清掃サービスを提供し、現金で○○円得た」のなら、仕訳は簡単です。

「現金 ○○ / 役務収益 ○○」

…と、これまで勉強したことで解答が可能です。

しかし、公式では、「対価が、前もって支払われた場合」が想定されています。

以下、公式が発表した仕訳例では…、

「資格試験の受験学校を経営している日学商園は、7月20日、8月開講予定の簿記講座(期間1年)の受講料¥900,000を現金で受け取った」

この場合は、『前受金』で処理するよう指定されおり、公式では…、

「現金 900,000 / 前受金 900,000」

…の仕訳が例示されています。

次は、当該取引の認識時の仕訳ですが、公式の例は以下。

「決算にあたり、先の収益を計上する。決算日現在、先の講座は、3分の2が終了している」

で、仕訳は…、

「前受金 600,000 / 役務収益 600,000」

・・・となっています。

このように、「前受金」で処理しておいて、決算日に提供したサービスの分だけ、収益として認識する、といった次第です。

「役務収益は前受金が絡む」と、まずは、憶えます。

狙われるのはここです。

仕訳問題で出た場合に、「仮受金」など、紛らわしい語句が勘定語群に入っているはずなので、注意してください。

で、次に、「期間損益計算」で収益が認識される、と押えておきます。

役務原価も絡んでくる

役務収益の仕訳には、役務原価が絡んできます。

公式発表の問題と仕訳は以下の通り。

「旅行業のAツーリストは、企画したツアーの申し込みに、代金¥600,000を現金で受け取った。」

「先に企画したツアーを提供し、添乗員の報酬などのもろもろの費用¥400,000を小切手で支払った」

最初の仕訳は…、

「現金 600,000 / 前受金 600,000」

・・・で、おなじみ「前受金」勘定を使います。

で、次の仕訳は…、

「役務収益 600,000 / 前受金 600,000」

「役務原価 400,000 / 当座預金 400,000」

…となっています。

役務(サービス)の提供時に「収益を認識」し、当該収益の認識時に、相対する「費用を認識」する、という塩梅です。

まとめ

役務収益は、「知らないとできない」です。

一連の要領を知らないと、先の仕訳の「前受金」を「売上」で処理しそうですし、ついうっかり、「仮受金」で仕訳を切りそうになります。下手をすれば「売掛金」で処理しそうですw。

こんな次第で、役務収益の論点は、「複雑ではないが、知っていないと、正解は難しい」です。

役務収益は、第1問の仕訳問題で採用されそうなので、一連の処理をしっかり見ておきましょう。

そこそこに落とし穴があるので、見かけのカンタンさに目を奪われてはいけません。

銀行勘定調整表の勉強‐両者区分調整法・企業残高基準法・銀行残高基準法は「×(ばってん)」‐簿記2級ノート

結論から言うと、銀行勘定調整表の処理は、「両者区分調整法」のやり方だけを憶えます。

残る「企業残高基準法」と「銀行残高基準法」は、「×(ばってん)」の1語で済ませてしまいます。

まずは両者区分調整法

銀行勘定調整表が出題されたら、まず、下のように、テキストでお馴染みの「図」を書きます。

で、調整項目を地味に記入していきます。

ここでのポイントは、「企業残高基準法」と「銀行残高基準法」での処理が指定されていても、まず、下書き用紙に「両者区分調整法」の図を書く、という塩梅です。

クソややこしくて脳が焼ける

端的に言うと、「企業残高基準法」と「銀行残高基準法」は、「両者区分調整法」の図さえ書ければ、すぐに処理できます。

これを、「企業残高基準法」では、「銀行上の加算項目を、企業上の減算に」とか、「銀行上の減算を、企業上の加算に」などと、「頭」で考えると、クソややこしくて、面倒くさいことこの上ありません。

「企業残高基準法」や「銀行残高基準法」から処理しようとすると、脳細胞がちりちりと焼け始めます。

ですから、まず、「両者区分調整法」で処理して、後は、それぞれの方法に加工する、ってな次第です。

当該加工法が、先述した「×(ばってん)」です。

「×(ばってん)」は超カンタン

先に述べたように、まず、「両者区分調整法」で処理してしまいます。

で、次は、下の図のように、「×(ばってん)」してしまいます。

これだけです。

上の画像で「企業残高基準法」、下の画像は「銀行残高基準法」です。

補足ですが、「企業残高基準法」とは、「企業側の当座預金」から「始まる」ので、そう名づけられています。

「銀行残高基準法」も同趣旨で、「銀行の残高証明書」から「始まる」ので、当該名称となっています。

「基準=スタート地点」なわけです。名前が悪いです。「企業残高スタート法」とかの方がはるかに理解しやすいですね。

考えず、機械的に転記

上の画像のように処理できたら、矢印の方向に対して、それぞれの調整事項と数字を転記する、ってな塩梅です。

ここでのポイントは、頭の中で、「減算が加算云々」は考えない、ということです。

考えはじめると、頭の回路が焼け付いて、焦げ臭くなります。何も考えず、(ここはここ)(ここはここ)と、単純明快に処理してください。考えるとダメです。

「×(ばってん)」を通して転記すれば、「両者区分調整法」から、「企業残高基準法」なり「銀行残高基準法」なりの処理になった、という次第です。

まとめ

「銀行勘定調整表」の処理は、「両者区分調整法」からの「×(ばってん)」で、「企業残高基準法」なり「銀行残高基準法」に対応させるってな次第です。

シンプルな処理なので、試験問題を前にして懊悩することもなくなります。

言うまでもありませんが、当該「×(ばってん)」方式は、大元の調整項目がきちんと正確に処理できてこその解き方です。

まずは、調整項目を、正確に処理してください。ここが間違っていると、青菜にシュガーです。

なお、勉強方法等は「簿記2級の独学」を…、

独学向け教材については、「簿記2級の教材レビュー」を一読ください。

銀行勘定調整表の勉強‐未渡小切手は超主力論点‐簿記2級ノート

この近年、あまり注目されていなかった「銀行勘定調整表」ですが、大改定の影響を受けて、何気に油断できない論点となっています。

以下は、未渡小切手についてのノートです。

まず憶えてほしいのは、銀行勘定調整表の論点の中で、当該「未渡小切手」が、際立って危険であり、ほぼ必ず問われる、という次第です。

銀行勘定調整表上の修正に加え、修正仕訳が必要で、また、当該修正仕訳が爆弾で間違いやすいという塩梅で、ゆえに、出題者は執拗に当該「未渡小切手」を狙ってくるわけです。

「未渡小切手」は、他の時間外預け入れやら未取付・未取立と比べたら、何倍も注意しなくてはいけません。

「未渡小切手」は、超主力論点です。目にしたら、慎重に接してください。

未渡小切手のポイントは、「主語・わたしを付ける」と「修正仕訳は爆弾」です。

主語はわたし

銀行勘定調整表の勉強‐未取立小切手と未取付小切手」でも述べましたが、銀行勘定調整表の小切手には、主語を付けるとわかりやすくなります。

未渡小切手には、「わたし」を付けます。「み・わたし」だけに「わたし」です。

なお、「わたし」とは、自分が企業側の人間(経理職員なり経営者)として考えます。

「わたしが、未渡し小切手」→「わたしが、まだ渡していない小切手」です。

「小切手を渡していない」ということは、手元に小切手が“残っている”わけで、「銀行口座から出金されていない=減っていない」ことになります。

ですから、実際に合わせるため、銀行勘定調整表では「企業側の帳簿残高に加算」する、という手合いです。

で、「わたし」が、まだ渡していない小切手ですから、当該取引の効力は発生していないわけで、先の「小切手振出時」に行った仕訳の「修正仕訳」をしなくてはいけない、という次第です。

修正仕訳は爆弾

未渡小切手で一番注意しないといけないのは、「修正仕訳」です。

当該未渡小切手の修正仕訳は、かなり注意しなくてはいけません。

これが「買掛金の支払いのために小切手を振り出した」なら、カンタンです。

振り出し時は「買掛金○○ / 当座預金○○」と仕訳を切っていますから…、

単純は反対仕訳「当座預金○○ / 買掛金○○」をすればいいだけです。

しかし、これが費用項目なら、慎重にならなくてはいけません。

たとえば、「旅費の支払いのため小切手を振り出した」の場合、単純な反対仕訳の「当座預金○○ / 旅費○○」では誤りです。

「旅費」は旅費で認識・計上されていますから、「当座預金○○ / 未払金○○」と、「未払金」で処理しなくてはいけません。

「当座預金○○ / 旅費○○」としてしまうと、発生したはずの「旅費」がどっかに行ってしまいます。

もっと言うと、この仕訳では、旅費の値引きを受けたとか、旅費が実際には少なかった仕訳となってしまいます。

このように、修正仕訳をする際は、「元の仕訳」がどうだったかを踏まえて、行わなくてはいけません。

なお、費用が「家賃」等々だったら、費用の見越し計上云々も関ってくるので、さらにややこしくなって、さらなる注意が必要となってきます。

このように、未渡小切手は、銀行勘定調整表上の修正、修正仕訳が必要、修正仕訳が爆弾と、なかなかに論点が詰まっているので、「未渡小切手」と遭遇したら、解答スピードを落として、慎重かつ丁寧に見ていってください。

なお、勉強方法等は「簿記2級の独学」を…、

独学向け教材については、「簿記2級の教材レビュー」を一読ください。