子会社株式は「50%超」で、関連会社株式は「20%以上50%以下」であるが、出題者は、保有割合を計算させ、「超」と「以下」の閾値を狙ってくるので、使い分けに注意する。
子会社株式と関連会社株式の論点の第一は、「どういう株式が、それに当たるかどうか」です。
問題の資料には、おおむね、取得した株式の「発行済み株式総数」が記されているはずです。
その際に、自社の取得割合を計算して、判別する、ってなところが頻出論点です。
発行済み株式総数の「50%超」を保有しているなら「子会社株式」で…、
「20%以上50%以下」なら「関連会社株式」となる次第です。
資料にて、たとえば、『A株式:子会社株式なんたらかんたら』などと、有価証券の分類について、明記されていることもありますが、今後、難化が続けば一切、示されないはずです。
そう、受験生に計算させて、当該株式が、何株式に当たるかを判別させる、ってな塩梅です。
たとえば、『A株式 備考:当期にA株式を150株取得した。A社の発行済み株式総数は300株である』とだけ明記して、あとは知らんぷりといった次第です。
この場合、「150÷300」と電卓をたたいて、「0.5」の「50%」を保有していることを、計算しなくてはなりません。
当該論点では、「パーセンテージのしきい」は、注意点です。
とりわけ、慎重に見ておかねばならないのは、「50%超」と「50%以下」のところです。
「50%超」が「子会社株式」ですが、これは、便宜的に「51%」と憶えなおしておきます。(※)
「50%以下」は「関連会社株式」ですが、これは「50%」と憶えておきます。
出題者は、絶妙にこのあたりの「しきい」の部分を狙ってくるからです。
先の例で、「たとえば、A株式を150株取得した。A社の発行済み株式総数は300株である」という例が最たるものです。
保有割合は「50%」です。
この場合に、おっちょこちょいな受験生だと「子会社株式」で処理しかねないのです。
子会社株式は、50%“超”なので、50%を含みません。従って、「50%保有」は子会社株式になりません。
対して、関連会社株式は、50%“以下”なので、50%を含みます。従って、「50%保有」は関連会社株式となります。
このあたりの「超」と「以下」の使い分けは、ついウッカリしていると取り違えてしまいます。
「法律用語のコツ:以下・以上・未満・超える」を参考に、その使い分けをキッチリ押えておきましょう。
(※)正確に言うと、50%超=51%~ではありません。50.0000001%保有でも50%超だからです。でもまあ、こんな卑劣な比率は出さないでしょう。おおむね51%に割り切れる数字を、問題に使用するかと思われます。
子会社株式と関連会社株式は、ぜんぜん違います。
「50%超」つまり「51%~」と「50%」は、1%の差ですが、天と地ほど、結婚1年目と3年目のおかずの質くらいに違います。
経営(株主総会)は、多数決で決まるからです。
51%あれば、その保有者は、その意思のすべて行使できます。49%が反対しようと、です。
しかし、50%しかない保有者は、多数決で完勝できないので、他の保有者の意向を伺わなくてはいけないのです。
昔、FMWというプロレス団体があったのですが、事業譲渡の際、新経営陣は、創業者から「50%」しか株を取得しなかったため、つぶれた会社があるのです。
いったん経営から手を引いた旧経営陣ですが、後々、株をかき集め(他の株主の委任状なり意向を得た)、「50%」保有になったのです。
このため、新経営陣はその声を無視できなくなり、結果、会社は分裂・倒産と相なった次第です。
もし、新経営陣が「51%」取得していたなら、事態は全く違っていたでしょう。ちなみに新経営陣の社長は、私財をつぎ込んだ結果、自らの生涯を閉じています。
こんな次第で、たった「1%」の違いですが、50%と51%の実態は全く違うってな塩梅なので、試験勉強でも明白に意識しておきましょう。そこには、ある1私人の生涯を、分けたものがあるのです。
2016年9月22日 10:56 AM
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