仕訳問題で狙われるのが、「仕入割引」です。
仕訳そのものは、難しくありません。「仕入割引」の額を掛け算して、「収益」として認識すれば、仕訳が切れるからです。
しかし、「仕訳」のカンタンさは「見かけだけ」のものです。
油断していると、間違えて憶えていたとか、混同していたとか、どっちがどっちかわからなくなったとか、すぐに点数が取れなくなるからです。
ケアレスミスの発生率も多く、そのうえ、仕訳問題のみならず、総合問題(T/BやP/L)でも、よくよく出題されるので、よくよく勉強して、試験後にくよくよしないようになっておかねばなりません。
以下、「仕入割引」の覚え方やポイントです。
よくある問題文としては…、
「○月1日に購入した商品の購入代金¥10,000円を、本日○月10日に、小切手で支払った。当該売買契約には、取引日より15日以内に支払のあるときは、5%の割引きが受けられる旨がある。」
…となっています。
答えの仕訳を先に挙げておきます。
当該「仕入割引」の、まず第1の注意点は、「仕入割引」の類似語句があるところです。
そう、ご存知の「仕入値引」と「仕入割戻」です。
両者は、「名前が似ているだけでなく、処理も似ている」ため、より混沌とします。
語句を暗記する前に、頭に『警告』を、つまり、「仕入割引は、仕入値引・仕入割戻という、類似語句があるので、注意が3倍必要」と、刻んでおく必要があります。
多くの受験生が、語句の混同で失点していることを、肝に銘じておくべきです。
仕入値引・仕入割戻は、言ってしまえば、その分だけ、「仕入と買掛金を減らせばよい」だけです。
直感的に理解ができるのです。
しかし、「仕入割引」は、いまいち、わかりにくいものがあります。
わたしたちは、空前の「低金利」に生きています。
ですから、利息など「ない」ものであり、ほとんど意識に上らないはずです。
しかし、かつては、銀行預金の利息が7~10%もあった時代もあったのです。
低金利では利息など付きませんが、これが、7~10%がざらだった昔では、そこそこ利息が付いていました。
さて、「仕入割引」を受けるのは、代金を、本式の支払日・期限より、早めに支払ったときです。
もし、「早めに支払わなかった」なら、そのお金は、銀行にありますから、利息の対象となったはずです。
しかし、「早めに支払った」ために、銀行口座から引き出され、利息の機会を失ってしまったわけです。
「仕入割引」をざっくりいうと、この「利息分」の補填、といった寸法です。
言うなれば、形を変えた「受取利息」なわけで、故に、「収益」の認識とするわけです。
このように、現在では、「仕入割引」の意味合いが薄れているため、いまいち、ピンと来ないのですが、かつての高金利下では、大きな意味があった、という手合いです。
商売上の「割引」は、手形の割引のように、「金融活動」です。
しかし、どうしても、「日常用語で使われる、スーパーや商店での割引感」が頭に刻まれており、しっくり来ない人もいるはずです。
そういう人は、銀行に行って、キョロキョロして、銀行業務の看板を探してみてください。おおむね、「手形“割引”」の業務が記されているはずです。
アレを一目で見ると、「割引=金融」だと、がっつり憶えられて、今後、絶対に間違えなくなります。
最近では、財務諸表の作成も出題されています。
「仕入割引」は、損益計算書では、「営業外収益」に記載します。
先も述べたように、「仕入割引」は、形を変えた「受取利息」であり、「1種の金融活動」と考えるからです。
「受取利息」は「営業外収益」でしたね。
このように、「仕入割引」は、P/Lでの記載も定番ですので、併せて、憶えておきましょう。
「仕入割引」は、先述したように、形を変えた「受取利息」であり、「1種の金融活動」です。
ですから、「仕入値引」や「仕入割戻」の処理とは異なり、「仕入」を加減しません。
言うなれば、「仕入」や「仕入値引」や「仕入割戻」は営業で、「仕入割引」は財務といった次第で、「両者は異なるカテゴリ」であるといった手合いです。
売上原価のボックス計算で、これらの取扱の区別はド定番ですので、これまた併せて、きっちり押さえておきましょう。
「仕入割引」は、昔からのド定番の論点です。
どうしてか?
単純に、受験生が間違えるからです。
どうして間違えるか?
実力未分化だと処理そのものができないし、実力が付いても、「ケアレスミス」で間違うからです。
「仕入割引」の処理は、知ってはいるのです。しかし、本試験という特殊な状況だと、問題文や資料に「仕入割引」とあっても、「脳が勝手に、仕入値引やら仕入割戻と、誤読する」のであります。
そんな馬鹿なと思われるでしょうが、「するといったらする」のが人間です。
ネコの額のように狭量な出題者は、ケアレスミス由来の失点を求めて、意図的に出題してきます。
『心の軍師』に、『仕入割引は、ケアレスミス事項でもありますぞ』と、助言してもらってください。
なお、勉強方法等は「簿記2級の独学」を…、
簿記2級の教材の詳細は、「教材レビュー」で述べています。
| カテゴリー: 資格こもごも | Tags: 簿記2級, 簿記2級‐仕訳, 簿記2級‐勉強 | 2016年11月16日 11:29 AM |
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乙4の法令では、2つの「仮系」規定があります。
1つめの「仮」は、「仮使用」です。
2つめの「仮」は、「仮貯蔵・仮取扱」です。
語句がよく似ているので、取り違いや憶え間違いをしやすいため、化石のような出題者が好んで出す論点となっています。
「仮使用」のおさらいです。
一口で言うと、「仮使用」とは、「工事をしていない部分を使うための規定」です。
当該「仮使用」は、現在使用している製造所等の施設の“一部変更の工事”をする際の取り決めです。
「工事をしている部分」は、工事中なので当然使用できませんが、そうでない「工事をしていない部分」は、使ってもいいはずです。
たとえば、「A作業所」の変更工事なのに、「B作業所」まで使用禁止になると、B作業所の人たちは働けなくなって、おかずが減ってしまう不都合があります。
んなもんで…、
『市町村長等に仮使用の申請をして、市町村長等の承認を受ければ、承認を受けた部分(工事と関係ない部分)については、完成検査の前に、仮に使用できる』という塩梅です。
暗記ポイントは、「仮使用は、市町村長で、承認」です。
次は、「仮貯蔵・仮取扱」のおさらいです。
まず規定から。
仮貯蔵・仮取扱とは、「所轄消防長または消防署長の承認を受ければ、指定数量以上の危険物を、10日以内に限り、仮に貯蔵し、仮に取り扱える」といった次第です。
当該「仮貯蔵・仮取扱」のポイントは、本式の「許可前」の話というところです。
こう考えると、わかりやすいかもしれません。
本来なら、製造所等は市町村長等の「許可」が下りないと、指定数量以上の危険物を、貯蔵・取扱できないはずです。
しかし、何らかの形で「許可」が遅れることもあります。
事業者側は、工事も完了し、物資も人もそろい、「やる気」満々なのに、行政の「許可」が遅れると、たまったものじゃありません。
しかし、厳密に法を適用すると、ギスギスしちゃうので、「10日以内だが」「所轄消防長または消防署長」の「承認」があれば、仮の貯蔵・取扱をできるようにする、ってな次第です。
(上記の「考え方」は、わたしの憶測であり、“実情”や“本来の趣旨”ではない可能性が高いです。あくまで、試験用の「考え方」なので、公言しないでください。恥をかきます。)
試験の暗記ポイントは、「仮貯蔵・仮取扱」、「10日以内」「所轄消防長または消防署長」の「承認」です。
まず、「仮」は「承認」です。
試験では、仮使用や仮貯蔵・仮取扱には「許可」や「認可」があれば可能、ってな問題が出ます。
繰り返しますが、「仮」系は「承認」と憶えましょう。
憶え方としては、ひらがなにして「かりけいはしょうにん」→「かりしょう」…、
んで、出題者の立場に立って、「(受験生を)狩りましょう」「(受験生を)刈りましょう」「(受験生から)借りましょう」などと、憶えるといいでしょう。
憶え方は「1つ or 2つ」です。
「仮使用」は1つの文言です。「市町村長等」も1つの文言です。
対して、「仮貯蔵・仮取扱」は「仮貯蔵」と「仮取扱」の2つの文言から成ります。
「消防消防長または消防署長」も、「消防長」と「消防署長」の2つの文言です。
…もうおわかりですね。
「仮貯蔵・仮取扱」は2つの文言なので、2つの文言から成る「消防長または消防署長」を絡ませて覚え…、
「仮使用」は1文言なので、1文言の「市町村長等」と絡めて憶える、ってな塩梅です。
「10日以内」という日数も正確に憶えなくてはいけません。
試験では、「市町村長等の承認を受ければ、10日以内に限り、仮使用ができる」などと出題されます。
ご存知のように、間違いです。
「10日以内」という縛りがあるのは、「仮貯蔵・仮取扱」のみです。
反対に言うと、「仮使用」には期限がない、といった次第です。
こう考えます。
「仮使用」は、先述したように、“工事とは関係ない場所の使用を認めた”ものです。
「仮使用」部分は、「工事とは関係ない」のですから、別段、期限を切る必要はない、ってな塩梅です。
対して、「仮貯蔵・仮取扱」は、「仮」とはいえ、配偶者よりも危険な危険物をアレコレするわけです。
当然『危険』なわけで、そんな『危険』を、制限なく認めさせるわけにもいかない、ってな寸法です。
このように考えると、「10日以内」の規定についても、頭に残るように思います。
読むのが面倒な人は…、
「仮使用は、市町村長で、承認」
「仮貯蔵・仮取扱は、10日以内、所轄消防長または消防署長の承認」
…これら暗記ポイントだけ、若い男性の朝のように、ガチガチに憶えこむといいでしょう。
ただ、暗記だけだと、何気に間違うので、間違えたりわからなくなったら、先の憶え方や考え方を参考にしてみてください。
『心の軍師』に、『仮使用・市町村長・承認で、仮貯蔵・仮取扱・10日以内・消防長/消防署長・承認』と、助言してもらってください。
なお、勉強方法等は、「乙種4類の独学」を…、
独学向け教材については、「乙4のテキスト・問題集」をば、お目汚しください。
また、危険物取扱者について、適当かつ曖昧なことを、たとえば、「乙4合格後に取る資格」などを、ブログにまとめています。「危険物取扱者:ブログ記事」をばお目汚しください。
| カテゴリー: 資格こもごも | Tags: 危険物・乙種, 危険物・乙4‐勉強, 危険物・乙4‐法令, 危険物取扱者 | 2016年11月15日 11:30 AM |
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仕訳問題で頻出なのが、「訂正仕訳」です。
応用問題中の応用問題で、底の浅い受験生を、即、狩れることもあって、仕訳問題のみならず総合問題でも引っ張りだこの論点となっています。
当該「訂正仕訳」のコツは、「本来なら、どうなっているのか?」を考えることです。
よくある問題文としては…、
「商品5,000,000円を仕入れて代金は掛としていたが、実際には4,500,000円の仕入だったことが判明した。」
…となっています。
答えの仕訳を先に挙げておきます。
まず、「本来ならどうなっていたのか」、その仕訳を書き出してみましょう。
「実際には4,500,000円の仕入だったことが判明した。」だったのです。
本来なら…、
「仕入 4,500,000 / 買掛金 4,500,000」
…このような仕訳が切れてないといけないのです。
しかし、現状は「5,000,000円仕入」仕訳が切られています。
今記帳されているのは…、
「仕入 5,000,000 / 買掛金 5,000,000」
…です。
当該仕訳を、どうすれば、「本来」のものにできるかが、「訂正仕訳」です。
「仕入」と「買掛金」ともに、「500,000」だけ余分なのです。
「減らせばいい」ってな次第ですから、先に挙げた仕訳になる寸法です。
わかりにくいときは、「T字勘定」で考えると、しっくりくるかもしれません。
要は…、
買掛金の残高は、本来「4,500,000」でないといけない。
しかし、現状は「5,000,000」である。
貸方残高「4,500,000」にするには、「500,000」減らす仕訳を切ればいい、ってな塩梅です。
訂正仕訳を苦手とする人は多いです。
その理由は、処理の要領がきちんと固まっていないからです。
訂正仕訳は「3つ」です。
①まず、「本来あるべき仕訳」です。
②次に、「今、切られている仕訳」です。
③最後に、「今」を「本来あるべき」にするにはどうしたらいいか、ってな塩梅です。
ぶっちゃけ言うと、一番重要なので、最初の、「本来あるべき仕訳」です。
ここがきちんと切れたら、半分は終わったものです。後は数字の当てはめです。
逆を言えば、ここの仕訳が切れないと、先に進んではいけません。
訂正仕訳は、底の浅い受験生を狩るのに便利なので、出題者は執拗に出してきます。
『心の軍師』に、『本来なら、どうなっているのでしょう?』と、助言してもらってください。
なお、仕訳がうまく切れないという人は、「取引の8要素」が頭に刻まれていないからです。
「独学の簿記3級:商業簿記」を参考してください。当該8要素が頭に入ってないなら、無理して問題を解かなくていいです。
また、独学向け教材については「簿記3級の教材レビュー」を一読ください。
| カテゴリー: 資格こもごも | Tags: 簿記3級, 簿記3級‐仕訳 | 2016年11月14日 5:38 AM |
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