登録販売者の試験科目「主な医薬品とその作用(通称:医薬品)」に登場する成分の試験対策ページ。本ページで述べる「妊娠検査薬」は、「一般用検査薬」にあります。試験のポイントをまとめたり、出題傾向を「○×」形式の過去問で紹介したりしています。通勤・通学時のおさらい用にどうぞ。
復習用に、手引きを抜粋します。長いので注意してください。
「妊娠の初期(妊娠12週まで)は、胎児の脳や内臓などの諸器官が形づくられる重要な時期 であり、母体が摂取した物質等の影響を受けやすい時期でもある。」
「そのため、妊娠しているかどうかを早い段階で知り、食事の内容や医薬品の使用に適切な配慮がなされるとともに、飲酒や喫煙、風疹や水痘(水疱瘡)などの感染症、放射線照射等を避けることが、母子の健康にとって重要となる。」
【検査結果に影響を与える要因】
「妊娠が成立すると、胎児(受精卵)を取り巻く絨毛細胞からヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)が分泌され始め、やがて尿中にhCGが検出されるようになる。」
「妊娠検査薬は、尿中のhCGの有無を調べるものであり、通常、実際に妊娠が成立してから4週目前後の尿中hCG濃度を検出感度としている。」
「その検査結果に影響を与える主な要因として以下のものがある。」
「(a) 検査の時期」
「一般的な妊娠検査薬は、月経予定日が過ぎて概ね1週目以降の検査が推奨されている。」
「月経周期が不規則な人や、月経の日数計算を間違えた場合など、それよりも早い時期に検査がなされ、陰性の結果が出たとしても、それが妊娠していないこと(単なる月経の遅れ)を意味するのか、実際には妊娠していて尿中hCGが検出感度に達していないことによる偽陰性であるのか判別できない。」
「(b) 採尿のタイミング」
「検体としては、尿中hCGが検出されやすい早朝尿(起床直後の尿)が向いているが、尿が濃すぎると、かえって正確な結果が得られないこともある。」
「(c) 検査薬の取扱い、検出反応が行われる環境」
「尿中hCGの検出反応は、hCGと特異的に反応する抗体や酵素を用いた反応であるため、温度の影響を受けることがあり、検査操作を行う場所の室温が極端に高いか、又は低い場合にも、正確な検査結果が得られないことがある。」
「(d) 検体の取扱い、検体中の混在物質」
「採取した尿を放置すると、雑菌の繁殖等によって尿中の成分の分解が進み、検査結果に影響を与えるおそれがあるので、なるべく採尿後速やかに検査がなされることが望ましい。」
「高濃度のタンパク尿や糖尿の場合、非特異的な反応が生じて偽陽性を示すことがある。」
「(e) ホルモン分泌の変動」
「絨毛細胞が腫瘍化している場合には、妊娠していなくてもhCGが分泌され、検査結果が陽性となることがある。」
「また、本来はhCGを産生しない組織の細胞でも、腫瘍化するとhCGを産生するようになることがある(胃癌、膵 癌、卵巣癌等)。」
「経口避妊薬や更年期障害治療薬などのホルモン剤を使用している人では、妊娠していなくても尿中hCGが検出されることがある。閉経期に入っている人も、検査結果が陽性となることがある。」
…となっています。
数字は、常に狙われています。憶えておく方が無難です。
そして、上記太文字部分は、出題実績があるところなので、シッカリと見ておきましょう。
ご存じのように、「妊娠検査薬」は、「一般用検査薬」として登場します。
市販薬には、「ドゥーテスト・hCG 妊娠検査薬 2回用 」などがあります。
一般用検査薬は、ボリュームは少ないのに、本試験では1~2問出る単元です。
優先順位は「高い」です。コスパのよさを存分に享受してください。
妊娠検査薬は…、
① 一般的な妊娠検査薬は、月経予定日での検査が推奨されている。
② 尿中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)の検出反応は、hCGと特異的に反応する抗体や酵素を用いた反応であるため、温度の影響を受けない。
③ 妊娠の確定診断には、尿中のホルモン検査だけでなく、専門医による問診や超音波検査などの結果から総合的に妊娠の成立を見極める必要がある。
④ 絨毛細胞が腫瘍化している場合には、妊娠していなくても検査結果が陽性となることがある。
⑤ 妊娠検査薬は、尿中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモンの有無を調べるものであり、その結果をも って直ちに妊娠しているか否かを断定することができる。
⑥ 経口避妊薬や更年期障害治療薬などのホルモン剤を使用している人では、妊娠していなくても尿中hCGが検出されることがある。
⑦ 高濃度の糖尿やタンパク尿は、擬陽性を示すことがある。
⑧ 妊娠検査薬は、尿中のエストラジオールの有無を調べるものである。
…といった感じで出題されます。
先の○×問題の解説です。
①の「一般的な妊娠検査薬は、月経予定日での検査が推奨されている」ですが、間違っています。
一般的な妊娠検査薬は、月経予定日が過ぎておおむね「1週間」以降の検査が推奨されています。
よって、①は、「×」となります。
当該使用時期は、実によく出るので、必ず押えておきます。
②の「尿中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)の検出反応は、hCGと特異的に反応する抗体や酵素を用いた反応であるため、温度の影響を受けない」ですが、誤りです。
本問は保管方法についての問題で、試験によく出ます。
高温の場所や冷蔵庫で保管されていると、設計上の検出感度が発揮できなくなることがあります。
また、室内であっても、極端に温度の高いところや低いところに保管されていると、正確な検査結果が得られないことがあります。
よって、②は、「×」となります。
保管方法への注意喚起も登録販売者の重要な仕事です。
③の「妊娠の確定診断には、尿中のホルモン検査だけでなく、専門医による問診や超音波検査などの結果から総合的に妊娠の成立を見極める必要がある」ですが、その通りです。
一般用検査薬は、単に尿中のhCGの有無を調べるだけでしかありません。
よって、③は、「○」となります。
④の「絨毛細胞が腫瘍化している場合には、妊娠していなくても検査結果が陽性となることがある」ですが、その通りの記述です。
よって、④は、「○」となります。
⑤の「妊娠検査薬は、尿中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモンの有無を調べるものであり、その結果をもって直ちに妊娠しているか否かを断定することができる」ですが、全くの誤りです。
妊娠検査薬は、先述したように、尿中のhCGの有無を調べるだけであり、妊娠を断定できるものではありません。
また、前問④のように、腫瘍があったりすると、擬陽性になることがあり、このことからも、妊娠を断定できません。
よって、⑤は、「×」となります。
検査薬の限界について注意喚起するのも、登録販売者の業務です。
⑥の「経口避妊薬や更年期障害治療薬などのホルモン剤を使用している人では、妊娠していなくても尿中hCGが検出されることがある」ですが、その通りです。
よって、⑥は、「○」となります。
擬陽性のケースは、頻出論点です。
⑦の「高濃度の尿糖やタンパク尿は、擬陽性を示すことがある」ですが、その通りです。
よって、⑦は、「○」となります。
なお、検査には、「早朝尿」が適切ですが、「高濃度の尿」だと、正確な検査結果が得られないことがあります。。このことも、併せて憶えておきましょう。
⑧の「妊娠検査薬は、尿中のエストラジオールの有無を調べるものである」ですが、全くそうではありません。
妊娠検査薬は、尿中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)の有無を調べるものです。
よって、⑧は、「×」となります。
なお、エストラジオールは、人工的に合成された女性ホルモンのことです。
妊娠検査薬の、その他のポイントです。
妊娠検査薬の検出感度は、実際に妊娠して4週間目前後のhCG濃度です。
検査結果が陰性でも、月経の遅れが著しいときは、偽陰性です。実際に妊娠しているか、病気の疑いがあります。
妊娠していたとしても、正常な妊娠かどうかは、検査薬では判明できないので、早期に医師の診断を受ける必要があります。
このあたりも、テキストを精読しておきましょう。
登録販売者の勉強方法等は、「登録販売者の独学」に述べています。独学の概要・注意事項などはこちらで。
次いで、医薬品の成分の暗記が苦手な人へのアドバイスです。
実地が一番頭に入ります。成分・効能が頭に入らない方は、机の前の勉強を止めて、ドラッグストア等で、実際の医薬品を手にしてみてください。
先に挙げた、「ドゥーテスト・hCG 妊娠検査薬 2回用 」などのページを見ながら、テキストと突き合わせるだけでも、記憶に残ります。
テキストの字面だけでは、記憶の残りは悪いので、実物を目で見て触って確かめて、憶えていきましょう。
他の「一般用検査薬」へのリンクです。
使用教材の詳細は「教材レビュー」に述べていますが、読むのが面倒な人は…、
テキストは、初心者向けでオマケ付きの「 らくらく完全攻略!登録販売者試験合格テキスト&問題集 第4版 」で…、
過去問は、掲載問題数が一番多い「 超重要!登録販売者過去問題集 '24年版 (2024年版) 」を使えば支障ありません。
登録販売者のこまごましたことは、ブログに投稿しています。
興味のある方は、「登録販売者の投稿記事 」の「登録販売者:語呂合わせ」や「登録販売者:まとめ」、「登録販売者:憶え方」などをお目汚しください。
そのほか、「登録販売者:医薬品」や「登録販売者:生薬」、「登録販売者:漢方処方製剤」で、ヒマな時間を潰してください。
★みんなとシェアする