5問‐管理業務主任者 R1過去問と解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 第5問は、民法‐「保証契約」の問題です。代位,求償,事前求償などが出題されています。テキストに載っていない、突っ込んだ出題もあり、例年と比べると、難しい問題となっています。今後の出題に備えて、チェックしておきましょう。

5問‐民法‐保証契約

 

 (クリックして拡大。)

 本問の難易度は、「やや難」です。

 なお、解答はこちら(数字のみ)です。

法改正に注意

 ごぞんじのように、「民法」は「大改正」が行われています。

 過去問の問題は、「過去の民法」の問題です。

 本ページは、当時の過去問に、当時の解説を付与しています。

 現状の「改正された民法」には対応していないので、傾向把握の一環として、活用ください。

 参考:民法改正 インデックス

保証契約

 「保証契約」ですが、改正によって、大きな変化があります。

 ざっと見て…、

 ・第448条:保証人の負担等

 ・第457条:主債務者効力

 ・第458条:連帯保証人効力

 ・第458条の2:主債務情報提供

 ・第458条の3:喪失情報

 ・第459条:保証人求償権

 ・第459条の2:期前求償

 ・第463条:保証人求償制限等

 ・第465条の6:公正証書作成

 ・第465条の10:締結情報提供

 …このあたりです。

 時間があるなら、一読してみてください。

選択肢1

 選択肢1の「AがCの委託を受けて保証人となり、保証債務を弁済した場合において、BがC所有の不動産に抵当権の設定を受けていたときは、Aは、Bの同意を得なければ、Bに代位して当該抵当権を実行することができない。」ですが、誤った記述です。

 Aが弁済したのですから、当然に代位できます。

 よって、Bの同意なくして、抵当権を実行できます。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

選択肢2

 選択肢2の「AがCの委託を受けずに保証人となったが、それがCの意思に反する場合において、AがCに代わり弁済をしたときは、Aは、弁済の当時にCが利益を受けた限度で求償することができる。」ですが、誤った記述です。

 選択肢の場合、「現に利益を受けている限度」で、求償できるに過ぎません。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

選択肢3

 選択肢3の「BC間で特定物の売買を内容とする契約が締結され、売主Cの目的物引渡債務についてAが保証人となった場合において、Aは、Cの債務不履行により契約が解除されたときの代金返還債務については、特に保証する旨の意思表示のない限り、責任を負わない。」ですが、誤った記述です。

 第四百四十七条の「保証債務」によると…、

 『保証債務は、主たる債務に関する利息、違約金、損害賠償その他その債務に従たるすべてのものを包含する。』

 …とあります。

 選択肢のいう代金返還債務は、「その債務に従たるすべてのもの」に当たりますから、別段の意思表示がない限り、責任を負うことになります。

 よって、選択肢は、「誤」となります。

選択肢4

 選択肢4の「AがCの委託を受けずに保証人となった場合において、Aは、Cに対し、事前の求償権を行使することはできない。」ですが、正しい記述です。

 第四百六十条の(委託を受けた保証人の事前の求償権)には…、

 『保証人は、主たる債務者の委託を受けて保証をした場合において、次に掲げるときは、主たる債務者に対して、あらかじめ、求償権を行使することができる。』

 …とあります。

 「委託を受けた場合」で、かつ、「一定の条件」に該当するなら、事前求償が認められています。

 選択肢の場合、「委託を受けずに保証人となった」のですから、事前求償は行使できません。

 よって、選択肢は、「正」となります。

答え

 「1」は「誤」です。

 「2」は「誤」です。

 「3」は「誤」です。

 「4」は「正」です。

 本問は、「正しいものはどれか?」ですので…、

 正解:4

 …と相なります。

 >>> 次の問題へ。

R1過去問一覧

 1問:民法‐相続・・・「ふつう」。

 2問:民法‐贈与契約・・・「ふつう」。

 3問:民法‐不法行為・・・「ふつう」。

 4問:民法‐留置権・・・「やや難」。

 5問:民法‐保証契約・・・「やや難」。

 6問:民法‐同時履行の抗弁権・・・「やや難」。

 7問:標管委託契約書‐総合問題1・・・「ふつう」。

 8問:標管委託契約書‐総合問題2・・・「ふつう」。

 9問:標管委託契約書‐総合問題3・・・「ふつう」。

 10問:滞納等・・・「ふつう」。

 11問:時効の中断・・・「ふつう」。

 12問:標準管理規約‐修繕積立金・・・「ふつう」。

 13問:標準管理委託契約書‐管理事務報告・・・「ふつう」。

 14問:標準管理規約‐監事・・・「ふつう」。

 15問:会計・仕訳1・・・「やや難」。

 16問:会計・仕訳2・・・「やや難」。

 17問:建築基準法‐共同住宅の共有階段・・・「やや難」。

 18問:建築基準法‐用途地域・・・「難」。

 19問:建築基準法‐容積率・・・「ふつう」。

 20問:特定住宅瑕疵担保責任履行・・・「ふつう」。

 21問:マンションの構造・部材・・・「やや難」。

 22問:建築士法・・・「難」。

 23問:雨水排水設備・・・「ふつう」。

 24問:消防用設備・・・「やや難」。

 25問:LEDランプ・・・「やや難」。

 26問:共用部分の工事・・・「ふつう」。

 27問:長期修繕計画作成ガイドライン1・・・「やや難」。

 28問:長期修繕計画作成ガイドライン2・・・「やや難」。

 29問:標準管理規約‐共用部分の範囲・・・「ふつう」。

 30問:標準管理規約‐団地総会・・・「難」。

 31問:標準管理規約‐利益相反行為・・・「ふつう」。

 32問:標準管理規約‐複合用途型マンション・・・「難」。

 33問:標準管理規約‐専有部分の修繕・・・「ふつう」。

 34問:標準管理規約‐役員任期・・・「ふつう」。

 35問:区分所有法‐罰則・・・「難」。

 36問:区分所有法‐専有部分の用途・・・「ふつう」。

 37問:区分所有法‐規約別段定め・・・「やや難」。

 38問:区分所有法‐管理組合法人・・・「ふつう」。

 39問:判例:理事長の解任・・・「やや難」。

 40問:品確法・・・「ふつう」。

 41問:地震保険・・・「ふつう」。

 42問:借地借家法等・・・「ふつう」。

 43問:マンション建替円滑化法・・・「ふつう」。

 44問:各種法令・・・「ふつう」。

 45問:宅建業法・・・「ふつう」。

 46問:マンション管理適正化指針・・・「ふつう」。

 47問:適正化法‐財産分別管理・・・「ふつう」。

 48問:適正化法‐重要事項の説明・・・「ふつう」。

 49問:適正化法‐管理事務の報告・・・「ふつう」。

 50問:適正化法‐業者登録・・・「ふつう」。

独学向け教材

 使用教材の詳細は「教材レビュー」で述べていますが、読むのがメンドウな人は…、

 テキストには、「管理業務主任者 基本テキスト」を…、

 過去問には、「管理業務主任者 項目別過去7年問題集」を使えば、支障ありません。

 予想問題集・模試問題集も、必要な状況です。「教材レビュー:管理業務主任者 予想問題集」を、参考にしてください。

民法入門

 民法が苦手で苦手で仕方のない人は、読書で凌ぎます。

 お勧めの入門本は、「弁護士が教える分かりやすい「民法」の授業」と「民法はおもしろい」です。

会計・仕訳問題

 苦手な人の多い「会計・仕訳問題」ですが、テキストの数ページで理解は不可能です。

 時間があるなら、いっそのこと、簿記3級で勉強します。100%取れるようになります。簿記3級は、2週間あればマスターできます。

 独学向けの教材は、テキストと問題集が一緒になった「スッキリわかる 日商簿記3級」で勉強すれば、まず間違いなく「1点」取れるようになります。

PDF過去問演習

 また、公式の過去問は、PDFで配布されています。過去問演習は、「タブレット」が便利です。もってない人は、受験を機に、アマゾンの「Fire HD」を推奨します。最優秀のコスパです。

管理業務主任者のこまごましたもの

 管理業務主任者に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。

 興味のある方は、「管理業務主任者:ブログ記事」をばご参考ください。

みんなとシェアする