39問‐管理業務主任者 R1過去問と解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は、「判例:理事長の解任」の問題です。判決文を並び替えるという、奇問となっています。一種の国語の問題で、他の問題と毛並みが違うので、試験的には、「後回し」です。すべての試験問題を解いた後で、落ち着いてから解答するとよいでしょう。焦って解くと、混乱するだけです。

39問‐判例問題‐理事長の解任

 

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 本問の難易度は、「やや難」です。

 なお、解答はこちら(数字のみ)です。

解説

 「理事長の解任」に関する最高裁判所の判決文が出題されています。

 理事(たち)の決議によって、理事長の解任ができるかどうか、また、理事長の解任は総会の決議がいるのでは?を争っているようです。

 先述しましたが、こういう奇問は、「後回し」にして、一番最後に解きましょう。

 突然、こういう国語的な問題を解こうとすると、頭がド混乱します。

1番目

 ひとまず、一番最初に来るものを、探してみましょう。

 「ア」ですが、初っ端から「これは」とあります。

 最初の文としては、「これ」という代名詞に入るものがないので、不適当なものがあります。

 次に、「イ」ですが、これにも、「このような定め」という、代名詞的なものがあります。

 んなもんで、最初の文としては、不適当なものがあります。

 次に、「ウ」ですが、「そして」という接続詞が最初にあります。

 何に対して、「そして」としているのか、文意不明です。

 こうした点から、まずは、「エ」を、一番最初に持ってくるのが、穏当と言えます。

 まあ、これで、答えが出てますが、論理を追って行きましょう。

2番目

 「エ」を最初と仮定します。

 「エ」の最後の方には、「規約に委ねているものと解される。」とあります。

 ならば、次に来る文章は、「規約」がらみと考えられます。

 そうすっと、「ウ」の「そして、本件規約は、理事長を区分所有法に定める管理者とし(43条2項)(…略…)その互選により理事長を選任する(同条3項)としている。」が、うまく繋がります。

 また、「ア」の最後らへんの「規約」の具体的な説明として、「エ」があるとも言えます。

 んなもんで、「エ」が2番目といえそうです。

3番目

 「3番目」ですが、残りは、「ア」と「イ」です。

 「ウ」の最後「理事は、組合員のうちから総会で選任し(40条2項)、その互選により理事長を選任する(同条3項)としている。」に着目すると、この文意に当たるのが、「ア」の「これは、理事長を理事が就く役職の1つと位置付けた上、総会で選任された理事に対し、原則として、その互選により理事長の職に就く者を定めることを委ねるものと解される。」が、シックリきます。

4番目

 「4番目」ですが、残るは、「イ」です。

 「イ」の最初のほうの「このような定め」に注目すると、先の「ウ」の「互選により理事長の職に就く者を定めることを委ねる」の文意に繋がります。

 あと、「イ」の最後の方の「本件規約を定めた区分所有者の合理的意思に合致するというべきである。」と、「べき調」で、結論的な表記となっています。

 ここからも、「イ」が最後であると、判断できるように思います。

正しい並び

 区分所有法は、集会の決議以外の方法による管理者の解任を認めるか否か及びその方法について区分所有者の意思に基づく自治的規範である規約に委ねているものと解される。

 そして、本件規約は、理事長を区分所有法に定める管理者とし(43条2項)、役員である理事に理事長等を含むものとした上(40条1項)、役員の選任及び解任について総会の決議を経なければならない(53条13号)とする一方で、理事は、組合員のうちから総会で選任し(40条2項)、その互選により理事長を選任する(同条3項)としている。

 これは、理事長を理事が就く役職の1つと位置付けた上、総会で選任された理事に対し、原則として、その互選により理事長の職に就く者を定めることを委ねるものと解される。

 そうすると、このような定めは、理事の互選により選任された理事長について理事の過半数の一致により理事長の職を解き、別の理事を理事長に定めることも総会で選任された理事に委ねる趣旨と解するのが、本件規約を定めた区分所有者の合理的意思に合致するというべきである。

過去問を解きましょう。

 管理業務主任者の判例問題は、毎度、癖があります。

 過去の判例問題で出てきた選択肢は、丁寧に読み込んでおくことを勧めます。

 参考:39問:区分所有法‐判例

 参考:39問:判例問題

答え

 本問は、「正しい順番に並べたものはどれか?」ですので…、

 正解:4

 …と相なります。

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R1過去問一覧

 1問:民法‐相続・・・「ふつう」。

 2問:民法‐贈与契約・・・「ふつう」。

 3問:民法‐不法行為・・・「ふつう」。

 4問:民法‐留置権・・・「やや難」。

 5問:民法‐保証契約・・・「やや難」。

 6問:民法‐同時履行の抗弁権・・・「やや難」。

 7問:標管委託契約書‐総合問題1・・・「ふつう」。

 8問:標管委託契約書‐総合問題2・・・「ふつう」。

 9問:標管委託契約書‐総合問題3・・・「ふつう」。

 10問:滞納等・・・「ふつう」。

 11問:時効の中断・・・「ふつう」。

 12問:標準管理規約‐修繕積立金・・・「ふつう」。

 13問:標準管理委託契約書‐管理事務報告・・・「ふつう」。

 14問:標準管理規約‐監事・・・「ふつう」。

 15問:会計・仕訳1・・・「やや難」。

 16問:会計・仕訳2・・・「やや難」。

 17問:建築基準法‐共同住宅の共有階段・・・「やや難」。

 18問:建築基準法‐用途地域・・・「難」。

 19問:建築基準法‐容積率・・・「ふつう」。

 20問:特定住宅瑕疵担保責任履行・・・「ふつう」。

 21問:マンションの構造・部材・・・「やや難」。

 22問:建築士法・・・「難」。

 23問:雨水排水設備・・・「ふつう」。

 24問:消防用設備・・・「やや難」。

 25問:LEDランプ・・・「やや難」。

 26問:共用部分の工事・・・「ふつう」。

 27問:長期修繕計画作成ガイドライン1・・・「やや難」。

 28問:長期修繕計画作成ガイドライン2・・・「やや難」。

 29問:標準管理規約‐共用部分の範囲・・・「ふつう」。

 30問:標準管理規約‐団地総会・・・「難」。

 31問:標準管理規約‐利益相反行為・・・「ふつう」。

 32問:標準管理規約‐複合用途型マンション・・・「難」。

 33問:標準管理規約‐専有部分の修繕・・・「ふつう」。

 34問:標準管理規約‐役員任期・・・「ふつう」。

 35問:区分所有法‐罰則・・・「難」。

 36問:区分所有法‐専有部分の用途・・・「ふつう」。

 37問:区分所有法‐規約別段定め・・・「やや難」。

 38問:区分所有法‐管理組合法人・・・「ふつう」。

 39問:判例:理事長の解任・・・「やや難」。

 40問:品確法・・・「ふつう」。

 41問:地震保険・・・「ふつう」。

 42問:借地借家法等・・・「ふつう」。

 43問:マンション建替円滑化法・・・「ふつう」。

 44問:各種法令・・・「ふつう」。

 45問:宅建業法・・・「ふつう」。

 46問:マンション管理適正化指針・・・「ふつう」。

 47問:適正化法‐財産分別管理・・・「ふつう」。

 48問:適正化法‐重要事項の説明・・・「ふつう」。

 49問:適正化法‐管理事務の報告・・・「ふつう」。

 50問:適正化法‐業者登録・・・「ふつう」。

独学向け教材

 使用教材の詳細は「教材レビュー」で述べていますが、読むのがメンドウな人は…、

 テキストには、「管理業務主任者 基本テキスト」を…、

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管理業務主任者のこまごましたもの

 管理業務主任者に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。

 興味のある方は、「管理業務主任者:ブログ記事」をばご参考ください。

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