独学でススメ-読むだけで独学合格できるかもしれない、適当なヒントとTips

民法の勉強は管理業務主任者で

今となっては昔の話ですが、かつて、民法の勉強に“丁度よかった”と言われていたのが、宅建と行政書士でした。

そう、かつての両試験は、今と比べると遥かにやさしい出題であったのです。

出題の大半は、①基本的な条文知識か、②代表的な判例知識で、本当に法律初学者に適した内容であったのです。

一時など、“国家公務員試験の力試し”として扱われていたくらいです。

しかし今では、両資格とも、難問化の波に襲われ、加えて、専門的な出題も増えたため、そうそう簡単には受からない資格となってしまいました。

応じて、民法の難易度は、かつてと比較にならないほどに、上昇しました。

以前なんて、「債権の譲渡」に債務者の同意はいるか?で1点取れたくらいです。

今では、1つの選択肢がつぶれるかどうか、くらいになっています。

言うなれば、かつてのように、法律の初学者の「入門」にはならなくなっているという塩梅です。

もちろん、しっかり勉強したら、初学者でも理解できないことはありません。

しかし、『壁』が大幅に高くなったのは、事実です。

では、じゃあ、「民法の勉強」で手ごろなものはないか?という寸法です。

その答えが、「管理業務主任者」という資格試験です。

管理業務主任者は、マンション管理に深く関わっている資格で、一定規模のマンション管理業者に設置が義務付けられています。

宅建が、一定規模の不動産業者に設置が義務付けられているのと、同じ“システム”な寸法です。(管業は宅建のパクリなどとはいいませんが、大きく参考にしたことは否めないでしょう。)

ま、資格そのものの説明は「管理業務主任者 独学資格ガイド」に委ねるとして、管理業務主任者の試験について、述べておきます。

管理業務主任者の試験科目に、民法があります。

しかし、出題は、到って基本的な問題が多く、頭を抱えるものではありません。

管理業務主任者固有の論点もあります。たとえば、マンションの管理でとても重要な、管理費や修繕積立金の徴収ですが、これらの金銭債権は「定期給付債権」であり、他の債権と比べて時効が短くなっている云々です。

身に憶えのある方もおられるかもしれませんが、一度でも管理費等の支払いが遅れると催促の電話や手紙が『山』と来ます。

これは、管理費等の債権が、他の債権に比べて時効が「5年」と短いのを受けた、正しい管理行為なのです。

まあ、ややこしいのはこのあたりで、他は、かつての、宅建や行政書士で問われていた、基本的でオーソドックスな民法知識が問われます。

このため、民法の基礎基本的な内容を修めるのに適した試験となっています。

管理業務主任者では、民法以外に、区分所有法の出題があり、「一般法と特別法」の関係を押さえるのに有意義ですし、「標準管理規約」という、法律の契約への落とし込み過程が見える科目があるので、実践的法律解釈とでもいいましょうか、より現実に即した法律の勉強が出来る点で、とても優れていると思います。

管理業務主任者の合格率は、30%~40%台なので、がんばれば「合格証書」というご褒美ももらえるので、励みになります。

下手に法律入門書を読んでも、法律の知識はそう身に付きませんが、「試験」を絡ませると、憶えは大変よくなります。

管理業務主任者自体は、そう求人数もなく汎用性にも欠けるので、宅建に比べるとアレですが、それでも必置資格なので、取っておいて損はありません。

宅建だと何だかなーという方は、管理業務主任者から挑戦してみるといいかと存じます。

士業系資格を考えているなら、前・中に日本政策金融公庫

結論から言うと、独立開業系の国家資格の取得を考えているなら、日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)の事業計画書や現況報告書、創業計画書といった各PDFは目を通しておこう、という寸法です。

なぜなら、当該PDFには、試験勉強や本試験以上の難敵が、そこに待っているからです。

試験というのは、難しくても、だいたい受かりますし、受かっていきます。世の中に合格体験記が、腐るほどある所以です。

普通の資格なら、受かって合格証書なり免状を受け取ったらそれでおしまいです。

しかし、たとえば、税理士やら社労士やら行政書士やらの独立開業系国家資格で問題なのは、合格以上に、合格後にいかに顧客を見つけるか・確保するか、です。街の中に「○○士」の看板が氾濫しない所以がそこにあります。

当該日本政策金融公庫のPDFが優れているのは、それらを軽く目を通しただけで、『資格と自分』とをまざまざとイメージさせるからです。

先のPDFの中で、一番重要なのは『主要取引先』の欄です。

今現時点で、どれだけ、埋められるでしょうか?

今現在で、「候補」というか、潜在顧客というか、伝手というか、当てというか、頼もしい親戚の名前で埋まらないなら、合格後も間違いなく埋まりません。

そして、『創業計画書』や『事業計画書』です。

士業といえども、事業には変わりありません。で、ならば、あなたは何をやろうとするのか、です。

生き残っている士業の方は、やはり、賢いし努力をしているし、これまでにないサービスや切り口で、事業を展開しています。一口で言えば、商売人です。

消えていく人は、まあ、『これ』といったアイデアも展望も計画も、そして、熱意もない人です。一口で言えば、サラリーマンです。

別段、自己啓発や自分の勉強として、資格の勉強をするのは構わないのです。わたしもこの口だからです。

しかし、独立開業系国家資格の大半の就職先は、当該国家資格の業界くらいしかなく、「士業系資格を、就職や転職目的で取るのは考えもの」でも述べているように、一般企業からの求人はあんまり当てになりません。

正直言って、地域差や求人のタイミングからすると、「一般企業からの求人はない」と考えておいていいです。

絶対数がそもそも少ない上に、そうそう自分の住んでいるところと、待遇等の条件が合致することなど、ないからです。

もっと言えば、「よほどの経験と知識と能力を有した、企業が涎を流すほど優秀な人材でない限りマッチしない」のです。

独立開業系国家資格は、その名の通りに、「独立」して「開業」するくらいしか、役に立ちません。

受けてみようかという決意の前に、そして、試験勉強の中途で、最低1回は、日本政策金融公庫の「融資のご案内」を見ておきましょう。

かつての、開業してがんばればうまくいった、幸せな時代は過ぎ去っています。

受験生のときから、『顧客』の問題をリアルに把握している人と、そうでない人とでは、『大差』が生じるかと思います。

士業系資格を、就職や転職目的で取るのは考えもの

就職や転職目的のために資格を取ろうと思うなら、士業系の国家資格は、後回しにした方がよい、という雑文です。

たとえば、税理士や社会保険労務士、行政書士といった、独立開業系国家資格ですが、これらの有資格者は、一般企業において、「労働力」としては、いうほど評価されていません。

ハローワークにて、各資格の求人先を覗いてみてください。そうすれば、即解するかと思います。

税理士は、一般企業の経理や財務の求人が多そうですが、ハロワの求人の口は、あまりありません。

大半の求人は、会計事務所や税理士事務所、税理士法人からであり、一般企業からの「税理士有資格者求む!」なんて求人はごくわずかです。

社労士も、求人状況は同様です。

社労士は、一見すると、一般企業の総務職で重宝されそうですが、一般企業から「社労士求む!」という求人はほとんどありません。あっても稀です。

基本は、社労士事務所か社会保険労務士法人からの求人です。

行政書士も、企業の総務や法務部門からの求人がありそうですが、大半は行政書士事務所からの求人で、まれに、官公署からの行政物件のお手伝いのようなパート求人しかないのが実情です。

士業系国家資格を持っているからといって、一般企業への就職や転職がうまくいく保証は全くないことを、知っておくべきかと存じます。

なんで、こんなことをいうのかと言うと、今の国家資格は、取るのが格段に難しくなっているからです。

かつては、「一生懸命勉強すれば、まず1回で合格できていた」のです。(一部の難関国家資格を除きます。)

反対に言うと、「適当に勉強していても、2~3回受けてたらスルッと通っていた」のです。

しかし、昨今の難化傾向からすると、「一生懸命勉強しても2~3回くらいは受けないと受からない」ケースも多々あり、言うまでもなく、適当な勉強では歯が立たなくなっている実情です。

せっかく勉強して合格しても、一般企業からはあまり評価されないし、基本は当該士業業界くらいにしか勤め先がないために、『壮大なロス』が生じかねません。

しかもです。

かつては、一生懸命がんばれば、「合格」というハッピーエンドに終わっていましたが、現下、最後の最後まで受からずに止めるという、挫折リスクもとても高くなっています。

もし、就職や転職を有利にするために、独立開業系国家資格の取得を考えているのなら、どうぞ、ハローワークの求人票を、一度は検索してみてください。

それか、人脈や縁を、そして覚悟を、きっちりと築いた上で、受験及び試験勉強に着手してください。

やる気に水をぶっ掛ける気はないのですが、こうした方が、『壮大なロス』が発生しないように思います。

就職や転職に強い資格は、厳然として他にあります。

自分の目的ときっちり合致する資格を取得すべきです。

やっぱり、士業系資格は、『独立開業』するためにあります。

老婆心ですが、著名で高名な国家資格を持っていればいるほど、他の従業員、特に上司同僚の『嫉妬』の対象になるので、よほど理解のある会社を除いて、有資格者の一般企業へのアレはアレかなーと思います。