独学でススメ-読むだけで独学合格できるかもしれない、適当なヒントとTips

マンション管理士と管理業務主任者のダブル受験はすべきでない

管理業務主任者の一般的な受験生は、欲を出してマンション管理士をダブル受験はすべきではありません。

理由は、『しんどい』からです。

逆を言うなら、体力と時間に余裕のある人(学生やフリーター)や、仕事が激務でなくて定時・定刻・定量で終わる人以外は、試験の連荘は体力的・精神的にきついので避けるべし、という次第です。

ご存知の通り、マンション管理士の試験日は「11月下旬」で、管理業務主任者は「12月の初旬」です。

試験間隔は「1週間」しかありません。

両資格のような難易度の試験のダブル受験は、緊張の連続となるために、体力的に、精神的に、実に厳しいものがあります。

わたくし事ですが、合格率70%の二級ボイラー技士と、合格率30%の乙4という資格を連荘したことがあります。

試験間隔は1ヶ月ほど空いていましたが、それでもしんどかったです。

かなり高い合格率の試験、低い難易度の試験ですら、連続するときついのです。

マンション管理士は1ケタ台の合格率、管理業務主任者は20%台と、難易度はボイラー等に比べたら、格段に高いのですから、その消耗度はかなりあります。

しかも、です。

マンション管理士と管理業務主任者は、試験範囲はかなり被っていますが、業務の方向性が違っているので、勉強することは、結構「差」があるのです。

マンション管理士とは、端的に言うと、相談業や助言業、企画立案業(コンサルティング業務)です。

管理業務主任者は、マンション管理の1業務です。

たとえば、管理費や修繕積立金の未払いがあったとします。

管理業務主任者は、自分の会社の従業者であるマンション管理人が、事案が起きたときにやるべき契約事項(○○日以内に電話をする→××日経っても入金なき場合は書面勧告を行う等々)を、ちゃんと行っているかどうか、そして、経緯を管理組合に上げているかどうかをチェックします。

一般的には、契約どおりの催告業務を行ったなら、管理業務主任者及びマンションの管理人、マンション管理業者の仕事は終わりです。管理組合の代わりに取り立てるのは、弁護士法に抵触するため、できないからです。

以降の取立ての主役は“管理組合”となり、で、そこからの出番がマンション管理士です。

催告をしたが払わない不良住民に対する管理組合のサポートをするわけです。

どういう法的手続きを取ればいいの?とか、次の手は何をしたらいい?とか、実際に差し押さえ後の手続きはどうなん、どうやってお金が振り込まれるの?といったような、実務・実際的な相談にのるという塩梅です。

多岐のコンサルティング業務がマンション管理士の業務のために、その試験では、民事訴訟法や民事執行法、競売手続きまで出題されることがあり、一筋縄ではいかない難易度となっています。おおむね、宅建のレベル・範囲を超えています。

また、民法に限らず、区分所有法についてもかなりの突っ込み方がされるので、管理業務主任者とは、「一線を画している」といっていいでしょう。

正直なことを言うと、ほとんどの人は、専門的かつ知識・経験が必須のマンション管理士を受ける必要はありません。

取るとしたら、管理業務主任者オンリーです。

マンション管理士は、「取るのも難しい」うえに「活かすのも難しい」からです。

最低でも宅建があるなど、他の不動産系資格があるならまだ大丈夫ですが、ふつうの仕事持ちの人は、ダブル受験はやめるように、アドバイスします。

仕事にしわ寄せ(バカミス、連絡不足など)が発生したら、元も子もありません。

両方受けるにしても、1年目に管理業務主任者→2年目でマンション管理士+試験免除(適正化法免除‐5問正解扱い)と受ける方が賢明だと思います。

管理業務主任者は、教材選択が一番難しい

はじめて法律的な勉強をする人や、はじめて資格の勉強する人への、管理業務主任者の注意点を述べます。

管理業務主任者の独学で、第1に知っておくべきことは、「教材の選択が一番難しい」ということです。

「管理業務主任者には、法律初学者向けの教材が少ない」ことが、まず、挙げられます。

この背景には、『宅建の存在』があります。

管理業務主任者は、試験科目が宅建と被るために、宅建の合格者だとけっこう楽になります。

このため、多数の宅建合格者が受験しています。(わたしも宅建の口です。)

そこそこ知っている人にとって、法律の初歩的なレクチャーなど、邪魔で冗長なだけです。

宅建合格者という、法律的な素養を持った人が多数、管理業務主任者を受けるために、法律の勉強をしたことのない、全くのド素人向けの教材が少なくなってしまうのです。

そして、受験者数という「パイ」の大小が、管理業務主任者の初心者向け教材が少ない傾向に拍手をかけます。

宅建だと、法律初心者向けの教材が、すごく多いのです。

というのも、宅建は年に20万人も受験するため、初心者教材の需要がとても旺盛です。量も裁けてよく売れるので、各社こぞって初心本を出版します。

対して、管理業務主任者は2万人規模の試験です。一定割合の初心者がいるとしても、管理業務主任者の方が圧倒的に「パイ」は少ないために、出版社も初心者向け教材を出すのに二の足を踏む、といった塩梅です。

管理業務主任者の教材には、法律初学者にとっては、キツイのが多々あるので注意してください。

次の注意事項は、「マンション管理士」との合本が多い点です。

マンション管理士と管理業務主任者は、試験科目はよく似ていても、別個の資格です。私鉄とJRくらい違います。

マンション管理士の方がはるかに試験の難易度が高いのに、資格の価値は管理業務主任者の方が高いというヘンテコリンな状況で、当然、試験の傾向もかなり食い違っています。

それなのに、「マンション管理士+管理業務主任者」と銘された、両資格が合わさった教材が売られており、管理業務主任者のみの受験生に要らざる混沌を生んでいます。

管理業務主任者は、マンション管理士の勉強をしなくても、受かります。

もっと言えば、マンション管理士の勉強は、管理業務主任者にとって、余計でムダなことも多く、無用の時間と手間を利用者に強いかねません。

管理業務主任者のみの合格を考えているなら、合本タイプの教材は使ってはいけません。

教材選択を間違えると、独学は超絶に難航します。教材は慎重に、自分に合った物を選んでください。

FP技能士ほど、受験生に大差のある資格もない

FP技能士は、けっこう錯綜した試験です。

FP技能士は、「カンタン」という評価が定説ですが、それはおそらく、宅建などの有資格者の発言だと考えられます。

FP技能士は、受験生の“バックグラウンド”で、勉強量や難易度が“極端に変わる”試験となっていることを、頭の片隅においておきましょう。

具体的に言うと、宅建や管理業務主任者やマンション管理士、社会保険労務士や行政書士、税理士や簿記といった資格を持っていると、FP技能士の試験勉強は、格段に楽に、激烈に勉強時間が少なくなります。ほとんどやらなくていい科目が出てくるためです。

税理士があれば、税金関係はやることがありません。計算問題も屁の河童です。

社労士があると、年金関係の問題は“やる前から”済んでいます。

宅建があると、民法関連(成年後見人など)、相続、不動産にまつわる試験問題は絶大に有利で、あっという間に済みます。

管理業務主任者やマンション管理士があると、区分所有法の問題が朝飯前になります。民法関連もそこそこ取れます。

行政書士は、宅建同様に、相続などの民法関連に有利です。

簿記があると、計算問題に有利です。正確に言うと、簿記の方が計算が複雑なために、簿記の合格者にとっては、FP技能士の計算など、欠伸が出るくらいの“強度”です。

知識・経験も同様です。株式投資の経験があれば、投資関連の問題では、常識的なものばかりとなります。

このような「他資格ホルダー等」には、「過去の遺産」があるのです。だから、FP技能士の試験勉強は、「自分の知らないことを追加する」だけなので、「カンタン」になってしまうのです。

しかし、何にも知らないド素人状態からだと、細々とした知識をゼロから憶えていくという、メンドクサイ作業がさんざんに待っているので、手間も取られて骨も折れ、相応に勉強しなくてはならなくなります。「過去の遺産」がないんですから、それが普通です。

初っ端のスタート地点で、遺産の有無という「大差」のあることをしっかり認識してください。

受験生には大差があり、それぞれがバラバラのスタートを切っています。スタートはぜんぜん違います。ゴール直前の人もいるのです。

ド素人なのに、「1ヶ月で合格したー」なんて情報を鵜呑みにすると、絶対間に合いません。単純に、その人にとっては「カンタン」だったのです。

とりわけ、勉強時間の計算だけは、冷静に計ることを推奨します。「15日間で合格!」なんて広告を見て唖然としました。よほど特殊な人間しか受からんぞ、と。

底の浅い意見に惑わされず、目の前のテキストと過去問題集を消化していってください。

反対に言うと、FP技能士の合格者に、他の資格の保有者が多いのは、“ひたすら受かりやすい”からです。