独学でススメ-読むだけで独学合格できるかもしれない、適当なヒントとTips

FP技能士ほど、受験生に大差のある資格もない

FP技能士は、けっこう錯綜した試験です。

FP技能士は、「カンタン」という評価が定説ですが、それはおそらく、宅建などの有資格者の発言だと考えられます。

FP技能士は、受験生の“バックグラウンド”で、勉強量や難易度が“極端に変わる”試験となっていることを、頭の片隅においておきましょう。

具体的に言うと、宅建や管理業務主任者やマンション管理士、社会保険労務士や行政書士、税理士や簿記といった資格を持っていると、FP技能士の試験勉強は、格段に楽に、激烈に勉強時間が少なくなります。ほとんどやらなくていい科目が出てくるためです。

税理士があれば、税金関係はやることがありません。計算問題も屁の河童です。

社労士があると、年金関係の問題は“やる前から”済んでいます。

宅建があると、民法関連(成年後見人など)、相続、不動産にまつわる試験問題は絶大に有利で、あっという間に済みます。

管理業務主任者やマンション管理士があると、区分所有法の問題が朝飯前になります。民法関連もそこそこ取れます。

行政書士は、宅建同様に、相続などの民法関連に有利です。

簿記があると、計算問題に有利です。正確に言うと、簿記の方が計算が複雑なために、簿記の合格者にとっては、FP技能士の計算など、欠伸が出るくらいの“強度”です。

知識・経験も同様です。株式投資の経験があれば、投資関連の問題では、常識的なものばかりとなります。

このような「他資格ホルダー等」には、「過去の遺産」があるのです。だから、FP技能士の試験勉強は、「自分の知らないことを追加する」だけなので、「カンタン」になってしまうのです。

しかし、何にも知らないド素人状態からだと、細々とした知識をゼロから憶えていくという、メンドクサイ作業がさんざんに待っているので、手間も取られて骨も折れ、相応に勉強しなくてはならなくなります。「過去の遺産」がないんですから、それが普通です。

初っ端のスタート地点で、遺産の有無という「大差」のあることをしっかり認識してください。

受験生には大差があり、それぞれがバラバラのスタートを切っています。スタートはぜんぜん違います。ゴール直前の人もいるのです。

ド素人なのに、「1ヶ月で合格したー」なんて情報を鵜呑みにすると、絶対間に合いません。単純に、その人にとっては「カンタン」だったのです。

とりわけ、勉強時間の計算だけは、冷静に計ることを推奨します。「15日間で合格!」なんて広告を見て唖然としました。よほど特殊な人間しか受からんぞ、と。

底の浅い意見に惑わされず、目の前のテキストと過去問題集を消化していってください。

反対に言うと、FP技能士の合格者に、他の資格の保有者が多いのは、“ひたすら受かりやすい”からです。

『業際』という士業の壁-FP技能士の試験勉強が「広く浅く薄く」になる理由

3級でもそうですし、2級でも、そして、1級ですら、FP技能士の試験勉強は、「広く浅く薄く」が原則です。

反対を言えば、「深くやってはいけないし、専門的にやっても仕方ないし、手厚くやっても甲斐がない」という次第です。

「業際」が存在するからです。

FP技能士にできることは、1級2級3級のどの級であろうと、弁護士や税理士や社労士等の士業が絡む事柄については、具体的な手続きは当然のこと、「一般的な説明のみ」しかできないのです。

反対に言うと、個別具体的な、「業際」に関わる話は、有償無償を問わず「アウト」になる塩梅です。

たとえば、税金の相談です。一般的な話はOKです。「確定申告の何たら控除はこれこれこういう内容です」は大丈夫ですが、「○○さんは、今年、災害に遭われたのでその分についてはこういう届出をすると雑損控除…」となるとアウトでしょう。個別具体的な税金相談になるからです。

まだまだあります。たとえば、民法の成年後見人制度です。一般的な説明として、「後見人‐保佐人‐補助人という制度があります」云々はよくても、個別具体的な相談はもとより、戸籍を取り寄せるなどの事務手続きをすると、弁護士法や行政書士法に抵触します。

社会保険についても、注意が必要です。「一般的に、○年○月○日から×年×月×日生まれの人は、64歳から特別支給の老齢厚生年金が受給できます」と言うことはできます。

しかし、「年金定期便を見せてください。○○さんの生年月日からすると、63歳が支給開始ですね。この用紙に記入すれば年金がもらえます」云々、裁定手続きまで踏み込むことをすれば、社労士法に抵触します。

年金相談も、“今のところ”、やかましく言われていませんが、無資格者の年金相談が横行し、年金の無断請求や横領などが社会問題化したら、年金相談も有資格者のみとなって、『業際化』する可能性は大です。(年金系の新資格ができるかもしれない。)

年金相談は、今のところは大丈夫ですが、日本年金機構のコールセンターの求人でも、社労士有資格者が求められていたり、金融機関では、コンプライアンスからか、有資格者を年金の相談員に置いたりしている昨今、有資格者以外が、個人情報が絡んだ個別具体的な年金相談にのるのは、次第にアウトになっていくでしょう。

まとめると、FP技能士の試験勉強は、無資格であれば、深く、専門的に、しっかり勉強しても仕方がないところが“多過ぎる”て、「深くやってもいけないし、専門的にやっても仕方ないし、手厚くやっても甲斐がない」のです。

反対に言うと、出題者側が、深く、専門的に、しっかり勉強させるような問題にしてしまうと、法令違反に抵触しかねないことはもとより、他の士業団体に喧嘩を売っていることになりかねないのです。

極端な言い方ですが、「やっちゃダメ」とさえ釘を刺しておけば、改造銃の作り方を無差別に広めてもよいのか?というと、そうではありません。

「深く、専門的で、手厚い試験勉強をさせる」と、どうしたって、業際を無視して業務を行うFP技能士は出てきます。「知っていることは使いたい」からです。そうなると、『責任』の一端が、主催者に被ってくるのは明白です。

だから、突っ込んだ深くて専門的な出題はなく、たとえば、固定資産税だと、税率や課税標準額の特例の数字くらいを憶えるだけで、実際のこういうケースだとどうなのかとか、どういった手続きを取ればいいのか?などの、具体的な手続きや実務・実際的なことは勉強できず、となります。

「広く浅く薄く」しか、問題を出せないのがFP技能士の実情で、ゆえに、「カンタン」に、そして、「テキストを読んで、過去問を解く」くらいが試験勉強の関の山、専門書や実務書を読む必要はなく、最終的に「羅列されている語句や用語、数字を憶えるだけの、中・高校生の公民の作業」となるのでした。

このあたりの実情をもとに、受験等を考えた方がよいでしょう。

行政書士が儲かるなら、弁護士は廃業しない‐半数は連絡が取れない

弁護士は、数年前から、食えなくなった・食えなくなったと言われてました。

わたしも、情報として弁護士事情を、知ってはいました。

「法科大学院(ロースクール)の設立により、司法試験の合格率がアップ→弁護士が過剰に供給+景気悪化で需要低下+単価下落→食えなくなった」ということを。

でも、実感はなかったのです。

資格の最高峰の弁護士なのだから、食えないとはいっても、以前のような高収入ではなくなっただけだろう、と思っていました。

しかし、知り合いのWebデザイナーから、「数年前に請け負った弁護士のWebサイトのうち、もう半数の弁護士と連絡が取れなくなった」ことを耳にしたのです。

この時代、商売しようとしてホームページを持たないのは、車を持たずに運送屋を始めるようなもの。

要するに、廃業です。

要は、行政書士の受験生は、弁護士の廃業者が出てくるほど、法律的な需要が少なくなっている状況を知っておくべき、という寸法です。

『オレは弁護士だ!!行政書士の仕事をするのは、プライドが許さない!!』といって、先の、Webサイトの更新費用すら払えなくなった弁護士は廃業したのでしょうか?

しかし、弁護士になるには、とんでもないコストがかかっています。

法科大学院時代の2~3年間は、時間が勉強に取られるので、その間の生活費を負担します。月15万としても、3年で540万です。

そして、大学院への総額300万近い学費を払い、加えて、予備校代(1科目10~20万強)を費やします。

そのうえ、合格しても、司法修習生は無給。(以前は官費で給料がもらえてました)

実家暮らしとしても、最低でも500万以上のコストを費やして弁護士になっているのです。

行政書士の仕事だからやれねーよ!と言うでしょうか?

普通は、言わないでしょう。生活どころか、人によっては借金返済がかかっているのですから。

火がついているにもかかわらず廃業していくのは、それほどにまで法的なお金を取れるニーズがなく、応じて、「行政書士にも仕事がない」ことを暗に示しています。

もっといえば、新しい行政書士に回るほど、仕事はないと考えて間違いはありません。

行政書士は、以前はカンタンな部類に入る、ぶっちゃけ、公務員試験の力試しに使われるくらいの試験でしたが、今では難関資格に数えられています。

自己啓発や法律の勉強がしたいのなら、行政書士の受験は別に構いません。

しかし、心の片隅に、本気で独立開業を考えていたり、いざとなったら開業だ!的な保険を見ていたりするなら、日本政策金融公庫の融資が通るくらいの、事業プランを練ってからにしても、絶対に遅くありません。

弁護士ですら廃業するほどの需給状態です。下位互換資格の行政書士は、よほどに人脈と縁とコネと、それらを内包する商才がないと絶対に成功しません。

知り合いの行政書士で開業して成功した例は、こんな感じです。

おじが建築会社をやっていて、そこから、建設業関連の仕事を請け負っている行政書士。

学生時代から海外旅行や留学を繰り返していたので、外国人の知り合いが多く、そこからの人脈でビザや帰化手続きを生業にしている行政書士。彼はマンションを買いました。

実家が田舎の酒屋で地域の中心なので、そのあたりから法的需要(相続など)を汲んでいる行政書士。

陸運関係に強い、バイク便をしている行政書士。

「需要が目に見えて、手を伸ばせば届くくらい」の見通しがないと、厳しいってことです。

保険的な意味で資格を取るなら、男性なら「第2種電気工事士」か「乙4」、女性なら「宅建士」か「通関士」の方が、行政書士の何倍も当てになることを、述べ置きたいと思います。

正直、わたしは今、行政書士を受けないです。行政書士で苦労するくらいなら、電験3種を取るでしょう。