独学でススメ-読むだけで独学合格できるかもしれない、適当なヒントとTips

為替手形の勉強方法‐最優先は振出人で他は後回し

簿記3級の為替手形の簡便な勉強方法は、以下の通りです。

まず、優先順位ですが、一番狙われる「振出人の仕訳」を、一番先に憶えます。

「振出人の仕訳」は、「買掛金 ×× 売掛金 ××」(※)です。

名宛人や指図人の仕訳は、その後でいいです。

なぜ、振出人の仕訳の優先順位が高いのかと言うと、問題文は「“為替”手形を振り出した」なのに、「手形を振り出した」と誤読して…、

『買掛金 ×× 支払手形 ××』

という仕訳を、反射的に切る受験生が、たくさんいるからです。

本当に気持ちがいいくらいに、「振り出した」に条件反射する受験生は多数です。

言うなれば、簿記3級の為替手形は、『一種のひっかけ問題』と考えておいて支障はありません。

そう、シッカリ勉強していても、本試験時に時間に押されて焦っていたりすると、「振り出した」だけに反応して、「買掛金○○/支払手形○○!!」とやりかねないのです。

普段から「為替手形=ひっかけ問題の1つ」と意識しつつ、問題文の文言に意を払うようにしましょう。

そして、です。

振出人の仕訳は、勉強不足のてきとー受験生を振り落とすのに最適な出題となっています。

てきとー受験生は、為替手形の意味など少しも押さえていませんから、問題文中の「売掛金」の存在に気付くことなく、バンバンと失点してくれます。

こんな次第で、効率よく受験生を落とせるのが、「振出人の仕訳」となっており、出題者からすれば「魅力のある論点」です。

ですから、為替手形を勉強する際は、まず第一に、「振出人の仕訳」である「買掛金 ××/売掛金 ××」を、キッチリ憶えるという次第です。

なお、振出人は、この時点で、為替手形にからむ処理は終了です。振り出したら、振出人の為替手形処理は終わりです。

このことは、頭の片隅に置いていてください。

為替手形の決済が済んだなんて連絡があっても、「振出人に絡んだ処理は既に終了」なので、何かしらの仕訳を切る必要はありません。

ここも、出題者の「ひっかけ」的作為を入れやすいので、要注意です。

※上記仕訳では、便宜上「買掛金」としていますが、問題文の指定によっては、ごく稀に「仕入」になります。きちんと問題文を読んでから仕訳を切ってください。まあでも、ほとんどは売掛金の決済なので、「買掛金 ××/売掛金 ××」です。

名宛人の仕訳

後回しにされた名宛人や指図人の処理ですが、問題分の文言を読めば、“何となく”仕訳を切れるので、ぶっちゃけ簡単です。

名宛人は、要は、為替手形を引き受ける人ですから、仕訳も単純です。

買掛金を支払手形に振り替える的な処理と踏んでおけばいいでしょう。

『買掛金か仕入 ××  /  支払手形 ××』

…となります。

強いて注意点をあげるとすれば、問題文の指定です。

買掛金か仕入のどちらの処理になっているかを、丁寧に読み取ってください。

手形の決済時も、極めて普通な処理なので、問題文を読めばわかるでしょう。

指図人の仕訳

指図人は、要は、受け取る人なのでさらに単純です。

売掛金を受取手形に振り替える処理と踏んでおけば、解答上問題はないでしょう。

『受取手形 ××  /  売掛金か売上 ××』

…となります。

注意点を強いてあげるとすれば、問題文の指定です。

売掛か売上のうち、どっちの処理を求めているかを、丁寧に読み取ってください。

手形の決済も、極めて普通な処理なので、問題文を読めばわかります。

振出人名宛人指図人受取人支払人引受人

為替手形には、語句が氾濫します。

混乱してませんか?

為替手形の憶え方」をご一読ください。

また、使っているテキストを何回読んでも、為替手形がよくわからないときは、「教材レビュー」で挙げている本格教材に切り替えた方が無難です。

為替手形の「振出人」「指図人」「名宛人」の憶え方-簿記3級の難所攻略

簿記3級の難所で、初心者キラーとして定評のある、為替手形の憶え方です。参考にしてみてください。

為替手形の関係図-振出人・名宛人・指図人

答えから言うと、振出人(自分)『○○さん!!××さんに払ってね』です。

為替手形が難しいのは、まつわる語句がゴチャゴチャしているからです。

参考:為替手形が難しい理由

ですから、以下のようにイメージして語句を整理しておくと、今後、ド混乱することはありません。

まず、「振出人」である「あなた」が、【名宛人】である【○○さん】と話している場面をイメージします。

最初に「振出人」を「あなた」に、つまり「自分」とするのは、関係を固定するためです。

為替手形は、取引の主体が入り組むので、「とりあえず、自分が振出人」にして、3者の関係を見ていくという次第です。

で、あなたが、[指図人]である[××さん]を指さしながら、先のセリフ『○○さん!!××さんに払ってね』と言っている情景をイメージします。

わざわざ「指差し」と限定しているのは、後々で、必ず指図人と名宛人の混同が生じるからです。

正直、日本語がよくないのです。

「宛」なんて字が入ってますので、(あれ、なになに宛という意味で、名宛人に対してお金が動くんだっけ?)なんていう混同が生まれます。

ですから、「指差し」を頭に描いて、指を指されている人が[指図人]という風に憶えるって塩梅です。

で、3つを3つ憶えるよりも、まず、2つを押さえて、残りが「なんたら」と言う風に憶えると、後々混同が生じません。

つまり、「わたし」が「振出人」で、指を指されている人が[指図人]ですから、残った人が残る【名宛人】と相なります。

もう一度、関係図をよく見ておいてください。

為替手形の関係図-振出人・名宛人・指図人

言い替えをマスターする

次に、為替手形を最強に混乱させている「言い換え」ですが、まず、言い換え語句が全部で「6個」あることを憶えます。

①まず、振出人には、言い換えがありません。

振出人は振出人のままです。これで1つ終了です。残り5つです。

②指図人は受取人

再度、振出人『○○さん!!××さんに払ってね』を思い浮かべます。

為替手形の関係図-振出人・名宛人・指図人

指図人からすると、自分に払ってあげてと、“指を指されながら言われている”ので、当該指さされ人である自分が、お金を受け取ることになります。

ですから、「受取人」となります。

指図人は受取人で、これで2つ終了です。残るは3つです。

③「払ってね」と言われている人が、「名宛人」で「支払人」で「引受人」

再度、振出人『○○さん!!××さんに払ってね』を思い浮かべます。

為替手形の関係図-振出人・名宛人・指図人

「払ってね」と言われているのですから、そのまま「支払人」となります。

「払ってね」とのお願いを引き受けるので「引受人」です。(正確に言うと、為替手形という約束事を引き受けます。)

で、まとめると、「名宛人」は「支払人」で「引受人」となるって寸法です。

これで3つ終了で、6個全部が済んだという塩梅です。

少し乱暴な憶え方ですが、このように憶えると、名宛人が何で引受人が何で支払人がどれ?なんてことがなくなると思います。

簿記3級の初心者殺しである為替手形。

無事、虎口を脱出できるようお祈りいたします。

為替手形が難しい理由‐簿記3級の初心者キラーな2つの原因

結論から言うと、「スピード」と「国語の問題」があるため、為替手形が難しくなって、簿記3級の初心者キラーとなってしまうのでした。

①簿記3級の中で特別に手間がかかる

簿記3級の仕訳は、大概が「反射と反応」で済んでしまうものばかりです。

売った、買った、支払ったという取引がほとんどで、問題文でそれら文言を見たら即、仕訳が切れていたのです。

しかし、為替手形は、「反射と反応」では、仕訳が切れません。

問題文をよく読んで、仕訳の主体が何で、何をしているのかを、正確に読み取らなくてはなりません。

対策としては、「為替手形は異質の作業」と踏まえておくことです。

為替手形だけは、問題文をしっかり読み取らなくてはいけないと注意して、まずは頭にブレーキです。

そして、仕訳の主体は「振出人」なのか?、それとも「指図人」なのか?、または「名宛人」なのか?、丁寧に読みます。

「振り出した」とあれば「振出人」で…、

「受け取った」とあれば「指図人」で…、

「引き受けた」とあれば「名宛人」となります。

先述したように、簿記3級の大半の仕訳は、「反射と反応」で切れるので、処理のスピードは凄く速いのです。

しかし、為替手形は“異色”で、時間をかけて問題文を読まないと、仕訳が切れない内容となっています。

これまでは、ちゃっちゃとテンポよく仕訳が切れていたのに、為替手形だけは時間と読解を必要とする作業になるために、ことさら“ひっかかってしまう”という次第です。

為替手形は、その取引の意味を理解して、落ち着いて問題文を読めば、絶対に解ける難易度です。

少し頭のスピードを抑えて落ち着いて、為替手形に取り組んでみてください。

②取引に関わる人間が多すぎる上に言い方も多すぎる

簿記3級の大半の取引は、単純です。

言うなれば、登場人物は、売り手と買い手の2人しかいないのです。

それが、為替手形になると、「3」人物が現れます。

そう、「振出人」と「名宛人」と「指図人」です。

ここで話は、スーパーややこしくなります。

取引のうち、誰が何で何をしているのかを、正確に把握しないといけないからです。

しかも、個々の言い方が多すぎて、シチ面倒くさいことこの上ありません。

「指図人」は、「受取人」とも言われます。

「名宛人」は、「引受人」とも「支払人」とも言われます。

「振出人」という言葉と合せて、為替手形では「6個」も単語が出てくる塩梅です。

5つ以上は「たくさん」です。

わからなくなるに決まっています。

対策としては、「為替手形は、国語の問題」と踏まえておくことです。

上記6つの言葉を、きっちり整理していないと、混乱するばかりです。

それぞれの言葉をしっかり憶えてから、仕訳の処理に本腰を入れるようにします。

反対に言うと、為替手形の語句が曖昧なのに、無理から仕訳を切ろうとしても、混乱するばかりという塩梅です。

もっと反対に言うと、為替手形の仕訳が切れなかったり間違ったりするのは、言葉(語句)の問題を解決していない、正確に憶えていないという寸法です。

為替手形には、まず、「国語の問題」があって、そこをクリアして、ようやく「簿記の問題」の入るという、うっとおしい「2階建て方式」なのを、頭の片隅に置いておきましょう。

なお、下手なテキストだと、為替手形の説明がおざなりで、詰まります。

使っているテキストを何回読んでもわからないときは、「教材レビュー」で紹介する本格教材に切り替えましょう。