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簿記2級の出題区分の改定は、あんまり怖くない-1級のダウングレードか焼き直し

ご存知のように、簿記2級の出題区分は、平成28年から29年、30年と3年かけて、出題区分に大きな変更が加えられます。

(正確には、平成28年6月の本試験から、改定適用後の試験問題に、順次なっていきます。)

確かに、「やる」ことは、大きく変わります。

しかし、それほど、試験そのものは不安に思わないでいいです。

というのも、端的にいうと、今回の出題範囲の改定の多くは、「1級からのダウングレード」だからです。

つまり、今回、新しく簿記2級に加わる論点の大半は、たとえば、連結会計などは、もう既に簿記1級にて「出題されたもの」なのです。

試験範囲の変更で、一番恐ろしくて、手を焼いて、徹頭徹尾油断ができないのは、「従来にはなかった、全く新しい会計制度」が出題される場合です。

というのも、出題者側からして、当該新会計制度を、どう問題にしたらよいか、慣れていないからです。

どういう問題を、どういう難易度で出せばよいかの“塩梅”が付いていないため、突出して難しい問題を出しかねないのです。

加えて、専門学校等の指導機関も、「ノウハウとデータ」がないために、どう教えたらよいかわからず、本試験と逸脱する指導をしてしまい、結果として、本試験がたいへん混乱することが多いのです。

しかし、今回の変更は、先も言いましたように、1級からのダウングレードが大半です。

簿記2級の多くの新論点は、「簿記1級で出題済み」ですから、出題者側には、出題ノウハウが豊富に蓄えられています。どういう問題を出すと、どんな受験生の反応が返ってくるか等々に精通しているはずです。

また、専門学校等においても、簿記1級の指導ノウハウはあるので、当該ノウハウを元に、簿記2級の対策を練ることができます。

こうした背景から、今回の出題区分の変更は、実に大きなものですが、受験自体は、それほど大きな混乱は起きないように考えます。

極端に言えば、簿記2級の出題は、「1級の焼き直し」になる可能性が大きいのです。

しかも、難易度の点で天井があります。「簿記2級」の問題が、簿記1級以上になるわけはないので、最悪、簿記1級レベルの問題までです。

まあ、実際の難易度は、「2級」なのですから、1級以下の『そこそこ』なところに、落ち着くように思われます。

それに、商工会議所も商売でやってます。

試験問題を変えすぎて合格率が急落し、受験生が減ってしまえば、目も当てられません。全経や全商の簿記試験に受験生が流れてしまいます。

合格率が5%まで落ちるような、試験問題の大激変はないと思われます。

あと、付け加えるなら、新論点が増える代わりに、古い論点・有用ではない論点が、たとえば本支店会計や繰延資産や社債が、結構削除されています。

ですから、労力という点でも、従来の受験生を大幅に超過する試験にはならないように思います。

まとめます。

①新論点の大半は、簿記1級で既に出題済みで、それらを2級用にダウングレードするため、試験対策は十分に取れる。

②受験料収入からして、大きな変更は加え難いことが予想される。

③出題内容は増える一方で、削除されるのも多い。

こうした次第で、改定によって「勉強内容」は変わるけれども、従来の簿記2級と同様に、良質な教材で勉強しておけば受かるという、「実質さ」は変わらないように思われます。

なお、個人的に今回の改訂で危惧するのは、「製造業を営む会社の決算整理」です。

当該論点は、簿記2級固有の出題となっています。

つまり、簿記1級や3級ですら出題実績のない、簿記試験上で全く新しい論点となっています。

このため、どういう問題になるのか、未知となっています。

そう、出す方も受ける方もデータやノウハウがないので、トンデモナイ出題と頓珍漢な受験指導になりかねないところなのです。

総合問題の一部として出題され、ちょっとした資料が提示され、仕掛品の処理や計上を、“商業簿記の問題”で問うような感じなのですが、現段階では、よくわかりません。

出題範囲の改定の資料からして、多くは“既知”なのですが、当該新論点だけは“未知”なので、テキストの購入の際は、詳細に述べられているかどうかをチェックしてみてください。

とはいえ、当該新論点は、平成30年の4月以降(つまり、平成30年の6月試験)からなので、時間的余裕はあります。この間に、ある程度の“出題のリークなり情報開示”があって、多少の出題予想が付くように思われます。

以上、当たるも八卦・当たらぬも八卦の個人的な予想でしかありませんが、ちょっとでも示唆が得られたなら幸いです。

平成28年度以降の簿記2級は、古本を使ってはいけない

結論から言うと、平成28年度6月以降の試験を受ける受験生は、簿記2級の独学では、古本のテキストや問題集を使ってはいけない、という塩梅です。

簿記2級は、来年度から平成28年にかけて、試験範囲が大きく変わります。

当該変更は、小手先の変更ではなくて、簿記2級史上、最大規模の変更となっています。

あまりに大きな変更になるので、1年ごとに、変更を加えていくという、激変緩和措置付きなほどの改定って寸法です。

当該“段階的に”変更が加えられていくところに、受験生は、注意をしないといけません。

つまりは、毎年毎年、改定点や新論点が付け加えられていくために、応じて、テキストなどの教材も、毎年版が改められていくことが予想されます。

ですから、古本の教材を買うと、新しい論点が抜け落ちている可能性が高く、極めて危険です。

たとえば、です。

今回の変更の目玉は、「連結会計」が簿記2級に加わることですが、当該連結会計は、その仕組みと、処理の手順と、フォーマットの作り方を知っていないと、絶対に解けません。

税効果会計も、予備知識のない状態なら、なんでこんなことをするのか、絶対にわからないことでしょう。常人の理解の範囲を超えていると思います。NO説明・NO知識なら、ソクラテスだってわからないはずです。

このように、新論点が抜け落ちている古本教材で勉強して、新論点に触れないまま本試験に臨んでしまうと、圧倒的に不利です。

理解力やら推論やらが長じているIQ200の人でも、商業簿記は、「知らない」と解けません。

反対に言うと、「知っている」なら、IQ80~100台の普通の人でも、試験問題は解けるという塩梅です。

また、新しい教材のほうが、“直近の”本試験の動向や傾向をもらさず反映しているので、ピントのずれない試験勉強が可能になるメリットもあります。

わたしは常々、「餅は餅屋、試験は試験屋」だと思っています。

やはり、変化に当たって、どう変化するかは、プロの方が“当たりやすい”ものです。

試験は、競馬ではありません。

プロの見識や技術を買うのは、効率のよいお金の使い方の1つです。

今後、簿記2級は、大きな変更に見舞われます。

変更が終わるのは、平成30年です。

試験が落ち着くまでは、古本は避けて、プロのノウハウが反映される、最新版を買って勉強するほうが間違いがない、いった次第です。

なお、蛇足ですが、試験勉強においては、予想問題集の比重がとても高くなっています。

過去問に加えて、必ず1~2冊は、予想問題集なり改定対応の問題集を解いておいてください。

また、今回の試験範囲の改定は、商業簿記だけなのですが、「製造業を営む会社の決算整理」という新論点が加わるため、工業簿記・原価計算の傾向に、多少変化があってもおかしくありません。

試験が落ち着くまでは、工業簿記・原価計算のテキスト等でも、最新版が出ているなら、そっちを使った方が無難かと思います。

簿記2級の出題区分改定は、いい変更

簿記2級の出題範囲は、平成28年度から30年度にかけて、大きく変わることになります。

(正確に言うと、平成28年4月から、つまり、平成28年6月の本試験から、変更適用後の新しい試験問題となっていきます。付け加えると、「回」ごとではなく「年度」ごとに変更が適用されていく、段階別変更となっています。)

受験生にとって、こういう過度期に遭遇するのは、得てして「最悪」なのだけれども、個人的には、「いいほう」ではないかと思います。

というのも、今回の変更は、会計実務の実際や動向を踏まえたら、穏当かつ妥当なものだからです。

というか、追加される多くの論点は、実務や実際において、ほぼ当たり前・常識なものとなっていて、「知らないと話にならない」ものばかりだからです。

たとえば、簿記2級に新しく加わる「連結会計」です。

皆さんも、ニュースなりで連結売上や連結利益といった「連結なんたら」という言葉を耳目にしたことがあるかと思います。

それなのに…、

「簿記の資格あります」→「へー、そうなんだ。ニュースでよく耳にする連結利益って何?」→「試験に出なかったので知らないです」では、話になりません。

(…ちっ、使えねーな、知らないなら簿記持ってるなんて言うなよ。)と、面接官なり上司なり部下なり同僚に、心中にて鋭い突っ込みをいれられるのが落ちです。

その他に、新しく簿記2級で増える論点の、リース会計や外貨建取引も、大企業は言うまでもなく、昨今では、中小企業でもメジャーな取引となっています。

経理担当が「○○は、試験に出なかったので勉強してないです、知らないです」では、話になりません。

確かに受験生にとっては、「勉強することは大きく異なる」けれども、どれも、「簿記の有資格者であれば、知っておかないと困る・恥をかく」ものばかりです。

逆を言うと、運よく、変更前に合格できたとしても、いざ、実際に実務なりに就いた場合に、どうしたって、よくわかる連結会計的な本を買って勉強しないといけない、という塩梅です。

今回の出題範囲の変更によって加わる新論点のほとんどは、今後ずっと“お世話になる”知識です。

これから、先の諸論点、たとえば、連結会計やらが「なくなる」ということはないでしょう。

今回の試験範囲変更上の諸論点は、今後の会計や経理の常識なり根底なりを担うものばかりなので、『勉強しておいて全く損はない』と考えます。

確かに、やることが増えたり変わったりでウンザリするでしょうが、当該ウンザリが十分に報いられる新知識は手に入ります。

加えるなら、本支店会計や特殊商品売買などの、シチメンドクサイくせに実務ではあまり用いられていない、踏んだり蹴ったりな論点が2級からなくなりますから、その意味で、試験としての『質』は、向上しています。

意外に、試験後に勉強するというのはめんどくさいので、試験勉強で済ませられるならそれに越したことはありません。

新論点は決して受験いびりではなく、穏当な変更です。どのみち必要なことなのですから、気持ちを切り替えてがんばるほうが、トクです。

最悪な変更と言うのは、某試験のように、頭のねじの取れた出題者が、「今後は、××の(コンピューターやら情報処理やら何やら)の知識が必要だ!」なんて触れ込みで、これまで何の縁も脈絡もなかった情報処理の出題を開始したケースです。どーにもならんわな。

今回の簿記2級の出題変更については、ホントに、出題者側が“乗りと勢いで”、会計ソフトの使い方や情報処理項目などを加えなかっただけでも、よかったなーと思っておきましょう。

今回の簿記2級の変更は、かつてないほどの大きな変更ですが、どれも必要で知っておいて損はなく、そして、無用な論点は削除されているし、また、『段階的』に試験問題を変えていく配慮もあるしで、「いい変更」だと思います。