独学でススメ-読むだけで独学合格できるかもしれない、適当なヒントとTips

簿記2級の歴史的背景‐エア合格者

ご存知のように、簿記2級の試験方針は、「実務重視」路線になっています。

こうなった背景を、以下に述べるので、暇な時間にお目汚しください。

さて、かつての簿記2級試験は、「パターン学習で、でるところだけやっときゃ、すぐ受かった試験」でした。

一発合格者はもとより、2~3週間で受かる人はごろごろしていました。

というのも、たとえば、仕訳問題では、“ふつうの、建物の減価償却”が出ていましたし、総合問題では、毎度毎度、ふつうの貸倒引当金が問われて“配点”されていたのです。

しかし、こういう試験を続けたため、「試験に出ないところは、全く知らない合格者=エア合格者」を量産してしまったのです。

たとえば、今では、絶対に手の抜けない論点の「帳簿組織」ですが、かつては、“誰も勉強する人はいなかった”のです。

ですから、簿記2級に受かっても「総勘定元帳??」とか「試算表…??」となる『エア合格者』が多々でてきたのでした。

このため、簿記2級を持っているのに、実力的に全く使えないという次第となり、こういう『エア合格者』を何とかしろという『お叱り』が実業界・産業界からあって、試験方針が現在の「実務重視路線」となった次第です。

エア合格者の増加は就職難

ぶっちゃけ言うと、昔は、簿記の資格なんて、犬も食いませんでした。

「簿記」は、今や人気資格の一角で、本屋では1棚まるまる簿記で埋まっていますが、今と昔では隔世の感があります。

エア合格者がたむろし始めた背景は、一口で言えば、「就職難」で、「簿記」の資格さえあれば職に就けると、人が殺到したのが要因です。

そもそも、「簿記」なんて、商業高校とかビジネス系専門学校とか商学部とか、経理の実職の人しか受けなかったのです。

言うなれば、往時は、受験生の多くは、「試験外」で実務を勉強できる環境・カリキュラムがあったわけで、だからこそ、「簿記試験」は「定番ばかり」で構成しても、問題はなかったという寸法です。

しかし、先も言ったように、「資格があれば職がある」で、「簿記」と関係のない人が簿記試験に殺到したため、試験外のことはよく知らない「エア合格者」が増え、こいつはまずいという塩梅で「実務重視」路線に切り替わった、という次第です。

ひとくち試験方針

試験勉強等は「簿記2級の独学」に述べていますが、読むのが面倒な人は…、

捨て問は厳禁。満遍なく勉強しておく。苦手論点は作らない。」は憶えておきましょう。

出題者は、「受験生の手薄なところを突いてくる」からです。

出題者は、試験のたびに、「受験生が苦手とするところや、理解の薄いところ」を調べ上げ、以降の試験に採用しているように見受けられます。

あなたが、難しいから・面倒だからと「捨て問」にしたところは、得てして、多くの他の受験生もそうです。故に、出題者に狙い打ちされてドンピシャ出題されて、轟撃沈してしまうといった次第です。

100回練習しても「ダメ」なら「捨て問」も仕方ありませんが、そうでないなら、「苦手論点」すら消化して、「捨て問ゼロ」で試験に臨むのがセオリーです。

簿記2級は、かつては、カンタンな試験でした。しかし、今は、全くそうではなく、別個の試験です。

古い合格者の言うことを鵜呑みにせず、しっかり勉強してください。

簿記2級の救済試験と一発合格について

試験方針が「実務重視」に切り替わったため、予断を許さない「簿記2級」ですが、基本的には、「あきらめなければ受かる」といった次第です。

簿記2級は、過去のデータからすると、ときおり「40~50%」もの高合格率の試験が行われています。

直近では、「第136回(H26.2.23)」が40%超の合格率でした。

参考:合格率と挫折率

わたしは、これら高合格率の試験を、たまりに溜まった不合格者を一掃する、「救済」だと考えています。

簿記2級は、言ってしまえば、検定試験であり、取得したからといって何かしらの法的特権が付与されるものではありません。

言ってしまえば、どれだけライセンスを発行しようが、社会経済上、そう支障はないってな次第で、ゆえに、“どんっ”と合格者を輩出する試験が設けられているように思います。

こうした「救済試験」が、簿記試験では、行われる可能性が高いです。

言うなれば、試験に落ちても、腐らず勉強していれば、救済試験で「合格だけはできる」という塩梅です。

ちなみにわたしも、救済試験で受かった口で、わたしが合格したときは40%強の合格率でした。

高合格率は期待しない

さて、「救済試験」ですが、『昔のように、4割~5割が受かる救済試験』は、今後、まずないでしょう。

最近は合格率自体が大きく下がり、「10%台」が珍しくなく、「25%」もあれば、「高い方」となっています。

んなもんで、救済試験があっても、「25~30%台」の合格率が関の山かと思います。

先に述べたように、簿記の試験方針が「実務重視」である以上、ある程度の素養のない受験生は、容赦なく落とされます。

ですから、“猫も杓子も通すような試験”は、もうないはずで、あくまで、「きちんと勉強している受験生」が試験の前提です。

今の簿記2級は、「きちんと勉強しない限り、受からない試験」となっています。

救済試験のその日まで、ぼんやり受け続けても、試験には通らないので、この点は、注意してください。やらない限り、受かりません。

一発合格について

かつての簿記2級は、「一発合格」が少しも珍しくありませんでした。

というのも、試験問題は定番ばかり、出るところだけやっておけば、合格だけはできたのでした。

しかし、最近の試験は、ほとんどすべての論点・単元から“万遍なく”出題されており、「出るとこだけやる」勉強は、実にリスクが高くて、まず通らないやり方になっています。

たとえば、昔は「帳簿組織」や「記帳」など出たことがなかったのですが、最近の試験では、「絶対に押さえておかないといけない重要論点」となっています。

わたしの実感ですが、「出題者は、受験生が手薄なところを狙い撃ちしている」ように見受けます。

加えて、問題の使いまわしも減少しており、手ごわい試験と変貌しています。

ですから、「1発合格」は、結構、運が絡むことを指摘しておきます。

反対に言うと、「2~3回」の受験を想定しておく方が、「精神衛生上、健全」という塩梅です。

また、簿記2級は、急激に試験問題が難しくなることがあります。

このように、昨今の簿記2級は、「1発合格」を狙えなくはないが、「運頼み」の要素も大きいです。現状でやることをやっても、試験の傾向が激変する回に当たってしまえば、パーです。

簿記2級の試験事情はこんな次第なので、「2~3回」受験するのを想定しておくほうが、精神衛生上、いいでしょう。個人的には、「2回目で合格する人が多い」という感があります。

再振替仕訳は期間損益計算‐簿記3級仕訳

仕訳問題で狙われるのが、「再振替仕訳」です。

当該論点の仕訳はカンタンです。しかし、その意味が本当につかめているかどうか、心もとないものがあります。

簿記3級では、「簿記一巡の流れ」に絡んだ出題が多数あり、当該論点も、これに従ったものです。

暗記と記憶だけではダメな論点で、「簿記一巡の流れ」を正確に理解しておかないと、仕訳が切れません。

多くの人が躓いているので、しっかり理解しておきましょう。わかってしまえば「ああ、それだけの話ね」と相なります。

問題文

よくある問題文としては…、

「前期の決算で計上した未収利息50,000円について、期首に再振替仕訳を行なった。」

…となっています。

答えの仕訳を先に挙げておきます。

決算整理仕訳では

この種の問題(経過勘定)では、「前期」と「当期」の2期間を頭に思い浮かべなければなりません。

というのも、解答するには、「前期」の期末で、「未収利息」がどのように計上されたかを把握しないといけないからです。

「その期に属する利息」を計上するのが「未収利息」ですから…、

「未収利息 50,000 / 受取利息 50,000」

…という仕訳が、「前期」の期末で切られた、といった次第です。

ポイント‐再振替仕訳の意味をしっかりと

再振替仕訳自体は、すごくカンタンです。

決算整理仕訳を逆仕訳すればいいからです。

単純に「前期の期末」で切られた仕訳を、そっくりそのまま、何もいじることなく反対にすると…

「受取利息 50,000 / 未収利息 50,000」

…こんな感じになります。

期間の損益のため

しかし、じゃあ、なんでこんな仕訳を切るのかというと、「期間損益計算」のためです。

本当ならば、こんな仕訳など必要ないのです。

しかし、実務上では、1年の「損益」を「計算」することが求められているので、人為的に期間を切って、その期間に含まれるものと含まれないものとを、区別する必要があるのです。

当該期間損益の「区別」のために、便宜上使われるのが、先の「未収利息」といった勘定項目です。

意味

答えの…、

…という、再振替仕訳を切ると、当期の「受取利息」が減ります。

たとえば、当期に、10万円の受取利息が計上されたとします。

「現金 100,000 / 受取利息 100,000」

…と相なります。

このときの、受取利息のT字勘定を見てみましょう。

残高は、「貸方」の「50,000円」です。

そう、「受取利息」が、額面では10万円ですが、実質的には、50,000円しかない、という寸法です。

消えた5万円の利息はどこに行ったか?

ご存知のように、当該5万円は、「前期」に計上されている、ってな次第です。

反対に言うと、当期の受取利息を「50,000」とするために、「再振替仕訳」をして受取利息を減らしている、という寸法です。

まとめ

要は、今年振り込まれた利息のうち、実質的には、前期の分が「5万」で、当期の分が「5万」と分けたいため、「未収利息」という勘定科目を使って、「数字を整理をしている」ってな寸法です。

経過勘定項目が苦手な受験生は結構います。

「なぜこういう仕訳をきるのか?」を、説明できるくらいに、理解しておいてください。

出題者は、ことさらに、受験生の無知を突いてきます。

ところで、再振替仕訳には、本ページの「未収利息」以外に、「未払費用」等もあるので、さらに「???」となりがちです。

再振替仕訳が苦手な人は、頭で考えるのではなく、「T字勘定」を書いて、「手」で考えてみてください。

「T字勘定」で追っていけば、“かなり”すっきりします。

再振替仕訳は、推定問題でも使われるので、「期末」と「期首」での処理の意味を、きっちり理解して、貴重な1点を確保しましょう。

『心の軍師』に、『どうしてこんな処理をするのか、わかっておられますかな?』と、助言してもらってください。

智多星呉用

なお、仕訳がうまく切れないという人は、「取引の8要素」が頭に刻まれていないからです。

独学の簿記3級:商業簿記」を参考してください。当該8要素が頭に入ってないなら、無理して問題を解かなくていいです。

また、独学向け教材については「簿記3級の教材レビュー」を一読ください。