試験方針が「実務重視」に切り替わったため、予断を許さない「簿記2級」ですが、基本的には、「あきらめなければ受かる」といった次第です。
簿記2級は、過去のデータからすると、ときおり「40~50%」もの高合格率の試験が行われています。
直近では、「第136回(H26.2.23)」が40%超の合格率でした。
参考:合格率と挫折率
わたしは、これら高合格率の試験を、たまりに溜まった不合格者を一掃する、「救済」だと考えています。
簿記2級は、言ってしまえば、検定試験であり、取得したからといって何かしらの法的特権が付与されるものではありません。
言ってしまえば、どれだけライセンスを発行しようが、社会経済上、そう支障はないってな次第で、ゆえに、“どんっ”と合格者を輩出する試験が設けられているように思います。
こうした「救済試験」が、簿記試験では、行われる可能性が高いです。
言うなれば、試験に落ちても、腐らず勉強していれば、救済試験で「合格だけはできる」という塩梅です。
ちなみにわたしも、救済試験で受かった口で、わたしが合格したときは40%強の合格率でした。
さて、「救済試験」ですが、『昔のように、4割~5割が受かる救済試験』は、今後、まずないでしょう。
最近は合格率自体が大きく下がり、「10%台」が珍しくなく、「25%」もあれば、「高い方」となっています。
んなもんで、救済試験があっても、「25~30%台」の合格率が関の山かと思います。
先に述べたように、簿記の試験方針が「実務重視」である以上、ある程度の素養のない受験生は、容赦なく落とされます。
ですから、“猫も杓子も通すような試験”は、もうないはずで、あくまで、「きちんと勉強している受験生」が試験の前提です。
今の簿記2級は、「きちんと勉強しない限り、受からない試験」となっています。
救済試験のその日まで、ぼんやり受け続けても、試験には通らないので、この点は、注意してください。やらない限り、受かりません。
かつての簿記2級は、「一発合格」が少しも珍しくありませんでした。
というのも、試験問題は定番ばかり、出るところだけやっておけば、合格だけはできたのでした。
しかし、最近の試験は、ほとんどすべての論点・単元から“万遍なく”出題されており、「出るとこだけやる」勉強は、実にリスクが高くて、まず通らないやり方になっています。
たとえば、昔は「帳簿組織」や「記帳」など出たことがなかったのですが、最近の試験では、「絶対に押さえておかないといけない重要論点」となっています。
わたしの実感ですが、「出題者は、受験生が手薄なところを狙い撃ちしている」ように見受けます。
加えて、問題の使いまわしも減少しており、手ごわい試験と変貌しています。
ですから、「1発合格」は、結構、運が絡むことを指摘しておきます。
反対に言うと、「2~3回」の受験を想定しておく方が、「精神衛生上、健全」という塩梅です。
また、簿記2級は、急激に試験問題が難しくなることがあります。
このように、昨今の簿記2級は、「1発合格」を狙えなくはないが、「運頼み」の要素も大きいです。現状でやることをやっても、試験の傾向が激変する回に当たってしまえば、パーです。
簿記2級の試験事情はこんな次第なので、「2~3回」受験するのを想定しておくほうが、精神衛生上、いいでしょう。個人的には、「2回目で合格する人が多い」という感があります。
| カテゴリー: 資格こもごも | Tags: 簿記2級, 簿記2級‐勉強 | 2017年5月22日 10:13 AM |
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仕訳問題で狙われるのが、「再振替仕訳」です。
当該論点の仕訳はカンタンです。しかし、その意味が本当につかめているかどうか、心もとないものがあります。
簿記3級では、「簿記一巡の流れ」に絡んだ出題が多数あり、当該論点も、これに従ったものです。
暗記と記憶だけではダメな論点で、「簿記一巡の流れ」を正確に理解しておかないと、仕訳が切れません。
多くの人が躓いているので、しっかり理解しておきましょう。わかってしまえば「ああ、それだけの話ね」と相なります。
よくある問題文としては…、
「前期の決算で計上した未収利息50,000円について、期首に再振替仕訳を行なった。」
…となっています。
答えの仕訳を先に挙げておきます。
この種の問題(経過勘定)では、「前期」と「当期」の2期間を頭に思い浮かべなければなりません。
というのも、解答するには、「前期」の期末で、「未収利息」がどのように計上されたかを把握しないといけないからです。
「その期に属する利息」を計上するのが「未収利息」ですから…、
「未収利息 50,000 / 受取利息 50,000」
…という仕訳が、「前期」の期末で切られた、といった次第です。
再振替仕訳自体は、すごくカンタンです。
決算整理仕訳を逆仕訳すればいいからです。
単純に「前期の期末」で切られた仕訳を、そっくりそのまま、何もいじることなく反対にすると…
「受取利息 50,000 / 未収利息 50,000」
…こんな感じになります。
しかし、じゃあ、なんでこんな仕訳を切るのかというと、「期間損益計算」のためです。
本当ならば、こんな仕訳など必要ないのです。
しかし、実務上では、1年の「損益」を「計算」することが求められているので、人為的に期間を切って、その期間に含まれるものと含まれないものとを、区別する必要があるのです。
当該期間損益の「区別」のために、便宜上使われるのが、先の「未収利息」といった勘定項目です。
答えの…、
…という、再振替仕訳を切ると、当期の「受取利息」が減ります。
たとえば、当期に、10万円の受取利息が計上されたとします。
「現金 100,000 / 受取利息 100,000」
…と相なります。
このときの、受取利息のT字勘定を見てみましょう。
残高は、「貸方」の「50,000円」です。
そう、「受取利息」が、額面では10万円ですが、実質的には、50,000円しかない、という寸法です。
消えた5万円の利息はどこに行ったか?
ご存知のように、当該5万円は、「前期」に計上されている、ってな次第です。
反対に言うと、当期の受取利息を「50,000」とするために、「再振替仕訳」をして受取利息を減らしている、という寸法です。
要は、今年振り込まれた利息のうち、実質的には、前期の分が「5万」で、当期の分が「5万」と分けたいため、「未収利息」という勘定科目を使って、「数字を整理をしている」ってな寸法です。
経過勘定項目が苦手な受験生は結構います。
「なぜこういう仕訳をきるのか?」を、説明できるくらいに、理解しておいてください。
出題者は、ことさらに、受験生の無知を突いてきます。
ところで、再振替仕訳には、本ページの「未収利息」以外に、「未払費用」等もあるので、さらに「???」となりがちです。
再振替仕訳が苦手な人は、頭で考えるのではなく、「T字勘定」を書いて、「手」で考えてみてください。
「T字勘定」で追っていけば、“かなり”すっきりします。
再振替仕訳は、推定問題でも使われるので、「期末」と「期首」での処理の意味を、きっちり理解して、貴重な1点を確保しましょう。
『心の軍師』に、『どうしてこんな処理をするのか、わかっておられますかな?』と、助言してもらってください。
なお、仕訳がうまく切れないという人は、「取引の8要素」が頭に刻まれていないからです。
「独学の簿記3級:商業簿記」を参考してください。当該8要素が頭に入ってないなら、無理して問題を解かなくていいです。
また、独学向け教材については「簿記3級の教材レビュー」を一読ください。
| カテゴリー: 資格こもごも | Tags: 簿記3級, 簿記3級‐仕訳 | 2017年5月19日 9:57 AM |
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仕訳問題で狙われそうなのが、「決算振り替え仕訳」です。
仕訳そのものはカンタンなのですが、決算の手順を理解しておかないと、まず切れない仕訳です。
「損益」の導き方を、仕訳上で展開できるようになっておきましょう。
ま、理解さえできていれば、ボーナス問題です。
「決算振り替え仕訳」で、よくある問題文としては…、
「当期の収益は5,890,000円で、費用は5,970,000円だった。当期純損益を資本金に振り替える。」
…となっています。
答えの仕訳を先に挙げておきます。
この問題の場合、「損益」を計算しなくてはいけません。
「損益」という勘定科目に、ピンと来ない受験生が大半かと思います。
それはその通りで、「損益」とは、単なる「移し換えの容器」のようなものだからです。
現金とかの勘定科目に比べて、実質的には存在しないので、手薄になるのも仕方がありません。
当該「損益」は、便宜上必要なだけの「バケツ」と捉えておいてください。当該バケツに、収益・費用項目をぶち込んで整理する、といった塩梅です。
ま、ここでは、「よく見える」ように、収益は「売上」のみで、費用は「仕入」のみと仮定しましょう。(普通なら、損益には販管費やら支払利息やら、有価証券利息やらが振り返られて、“超”ごちゃごちゃします。)
問題文の「費用総額」は、ここでは「仕入」のみとします。
「仕入」は、「借方」に計上されています。
“計算の便宜上”、当該仕入を「損益」に移動させます。
「移動する」とは「仕入を減らす」ことです。
では、どういう仕訳を、便宜上切ればいいでしょうか?
借方にある仕入を、貸方に持っていけば、「減り」ますから…、
「損益 5,970,000 / 仕入 5,970,000」
…といったように、借方にある仕入を減らして、対応する勘定科目を「損益」とする、ってな寸法です。
問題文の「収益総額」は、ここでは「売上」のみとします。
実際問題、受取利息やら仕入割引などが続々と計上されますが、ここでは「売上」一本とします。
先の仕入と同じ要領です。
「売上」は、「貸方」に計上されています。
“計算の便宜上”、当該売上を「損益」に移動させます。
「移動する」とは「売上を減らす」ことです。
貸方にある売上を、借方に持っていけば、「減り」ますから…、
「売上 5,890,000 / 損益 5,890,000」
…という仕訳になります。
この仕訳も、「売上」の「埋め草」として「損益」を置く、ってな寸法です。
さて、ようやくこれで、「損益」というバケツに、「仕入」と「売上」を入れることができました。
ここで、目で「整理」するために、「損益のT字勘定」を書きましょう。
借方(費用)残高が「80,000円」です。
言うまでもなく、「費用」は借方で、「収益」は貸方でしたね。
費用の方が「多かった」ので、当該問題文の損益は「純損失」となります。
「損益」の借方残高「80,000円」を、問題文の指定どおり、「資本金」に振り替えます。
「振り替え」と耳目にすると「???」ですが、「損益」の残高を『なくす』的に考えると、理解の取っ掛かりがあるかと思います。
借方にある損益をなくす仕訳ですから…、
「資本金 80,000 / 損益 80,000」
…「損益」を貸方に計上する、で、資本金でお相手する、ってな次第です。
単純に、「損益だけの増減」を考えて、お相手に「資本金」を持ってくる風に考えた方が、しっくりくるかと思います。
ま、こんな次第で、先の仕訳を切ることで、「資本金」を減らす処理が完了した、といった塩梅です。
この問題文では、出題者が意地悪く「純損失」を出していますが、反対の「純利益」だった場合を考えましょう。
「純利益」のケースとは、「損益」で「貸方」に残高があるときです。
繰り返しますが、「費用」は借方で、「収益」は貸方でしたね。
で、処理としては、「損益の貸方残高をなくす」的に考えて…、
「損益 ○○ / 資本金 ○○」
…と、このような仕訳と相なります。
「資本金」という『元手』が増えた、という手合いです。
「決算振り替え仕訳」は、見た目はカンタンなのですが、「かなり応用的な問題」となっています。
「損益」という、実体のないバケツと、馴染みのない「資本金」という勘定が絡んでくるので、余計に「???」となりがちです。
当該論点は、「仕訳を切ることが血肉」と化していないと、解けません。
ぶっちゃけ、本試験まで日がないなら、捨ててしまっても構いません。
しかし、「損益」の理解と把握は、2級の勉強時に大いに資するので、ここで消化しておくとよいでしょう。
『心の軍師』に、『???なら後回しか捨ててもよいでしょう。』と、助言してもらってください。
なお、仕訳がうまく切れないという人は、「取引の8要素」が頭に刻まれていないからです。
「独学の簿記3級:商業簿記」を参考してください。当該8要素が頭に入ってないなら、無理して問題を解かなくていいです。
また、独学向け教材については「簿記3級の教材レビュー」を一読ください。
| カテゴリー: 資格こもごも | Tags: 簿記3級, 簿記3級‐仕訳 | 2017年5月18日 10:50 AM |
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