独学でススメ-読むだけで独学合格できるかもしれない、適当なヒントとTips

第44問:複線図とリングスリーブ‐平成28年後期筆記‐第2種電気工事士の過去問解説

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

難易度は「難」。しかし、できるなら、1点取りたい問題。本問は、複線図の問題で、複線図を読み取った後、リングスリーブの種類と数を答える問題である。苦手な人もいるかもしれないが、本問は取りたい。技能の予習にもなるのでしっかり勉強しておく。捨て問にするのは惜しい。平成28年の後期の筆記試験の第44問の過去問解説。文系ド素人や独学者向け。

第44問は、複線図がわかっていないと解けない「リングスリーブ問題」です。

ちなみにわたしは、「複線図」系統の問題は、『捨て問』にしていました。

理由は、『どのみち技能で勉強するんだし、筆記ではしなくていいや。失点は他でカバーできるし。』という塩梅です。

ま、とはいえ、完全に捨てるのではなく、「解けそうなら解くが、そうでないなら捨てて、他の問題でカバーする」方針で臨んでいました。

本問は、当該「解けそうなので取る」問題で、挑戦する価値は大です。

また、本問は、「技能試験で必要となることが、“みっちり”含まれている」問題です。

本問をマスターすれば、技能試験で“そこそこ”楽になるので、苦手な人も、粘り強く取り組んでください。

ド暗記事項

当該リングスリーブの問題では、“ドレッドノート”級に暗記しないといけないことがあります。

そのド暗記事項とは、リングスリーブの「小」と「中」の使い分けです。

これが頭に入っていないと、本問を解答できません。本問を制覇したい人は、まず当該使い分けを頭に叩き込むことになります。

なお、当該使い分け論点は、「技能試験で重大欠陥を取られる(間違うと即落ち)超重要事項」なので、今、ド暗記しても損は全くありません。

技能の予習を兼ねて、以下のことを灰色の脳みそに叩き込んでください。

リングスリーブの「小」と「中」の使い分けは「8」

技能試験では、リングスリーブの「小」と「中」を間違えると、その時点で「重大欠陥」で落ちます。ちなみに、当方、本試験で間違えて慌てて直した次第で、首の皮一枚で受かった口です。

『リングスリーブの「小」と「中」の使い分け』は、接続する電線の断面積で区別します。

キーとなる数字は「」です。

断面積が「8mm2以下なら小」で…、

断面積が「8mm2超なら中」となっています。

まず、「8」の上下でリングスリーブが変わると、脳に刻んでください。

で、電線の断面積ですが、憶えるべきは、「IV線の1.6mm」と「IV線の2.0mm」の2つです。

技能ではこの2つの電線しか使わないので、この2つの断面積だけ、脳に刻みます。

「IV線の1.6mm」の断面積は、「約2mm2」です。

「IV線の2.0mm」の断面積は、「約3.5mm2」です。

接続する電線の断面積の合計値で、「小」か「中」かを使い分ける、ってな寸法です。

刻印について

「刻印」の要領も、「重大欠陥」を取られて下手すりゃ即落ちなので、脳に刻む必要があります。

まず、種類を脳に刻みます。憶えるべき刻印は、「○(極小)」「小」「中」の3種類です。

圧着ペンチ(リングスリーブ用圧着工具)が手元にある人は、実物を手にしてみてください。上記3つの“ガッチャンコ”があるのがわかるかと思います。

持っていない人は、どのみち買うのですから、定番の「HOZAN 電気工事士技能試験セット S18」を注文しましょう。実物があると理解の深さが違います。

さて「刻印」の使い分けですが、意外にカンタンで、原則として、「小」スリーブには「小」の刻印を、「中」スリーブには「中」を刻印します。

言うなれば、「スリーブの種類のまんま」です。

しかし、原則があれば、例外があります。

その例外とは…、

「1.6mmと1.6mm」のときだけは、「○(極小)」で刻印。

…となっています。

例外はこれだけで、当該「1.6mmと1.6mm」だけ「○(極小)」で刻印する、を技能の勉強では脳に刻むことになります。

当該例外を詳しく言うと、1.6mm1本と、1.6mm1本なので、断面積は「2mm2+2mm2」の「4mm2」で、8mm2以下なので、ふつうなら、「小」スリーブに「小」で刻印することになるはずです。

しかし、当該「1.6mmと1.6mm」の場合だけは、例外的に「○(極小)」で刻印する、といった次第です。

ちなみに、技能では、当該「1.6mmと1.6mm」の接続が一番多いです。んなもんで、「1.6mmと1.6mm」は「小」スリーブだが、刻印は「○(極小)」と、憶えなくてはいけないのです。

たとえばの実例

ざっと、実例を挙げてみていきましょう。

たとえば、「1.6mmと1.6mmと1.6mm」の3本を接続する場合、「2mm2+2mm2+2mm2」の「6mm2」となるので、「リングスリーブは小」で「刻印は小」となります。

断面積は8mm2以下だから「小」となり、例外に当たらないんで、「刻印も小」となります。

たとえば、「2.0mmと1.6mm」の2本では、「3.5mm2+2mm2」の「5.5mm2」となるので、「リングスリーブは小」で「刻印は小」となります。

これも、断面積は8mm2以下だから「小」となり、例外に当たらないんで、「刻印も小」となります。

たとえば、「2.0mmと2.0mmと1.6mm」の3本では、「3.5mm2+3.5mm2+2mm2」の「9mm2」となるので、「リングスリーブは中」で「刻印は中」となります。

これは、断面積は8mm2超だから「中」となり、例外にも当たらないんで、「刻印も中」となります。

先も言ったように、刻印の例外「○(極小)」は、「1.6mmと1.6mm」のときだけであります。

…最初のうちは、頭がこんがらがりますが、単純な算数でしかないので、すぐ慣れます。

とにかく、重要な数字だけは憶えなくてはいけません。ここを憶えないと、当該筆記の問題も解けません。

解説

さて、過去問に話を戻します。

「複線図」がわかる人はいいのですが、苦手な人は、具体的な「ケーブル」で考えるといいでしょう。

前もって言っておきますが、技能で出るケーブルには、電線が2本入っている「2心」と、3本入っている「3心」とがあります。

問題のケーブルを、ざっくり表示すると、下のような画像となります。

つなぎ方が???

文系ド素人の人は、つなぎ方に混乱しているかもしれません。

お使いのテキストによって、「複線図」の書き方は微妙に異なっているので、それぞれ自身ので参考にしてください。

わたしの勉強したやり方だと…、

まず、「接地側電線(白)」を「電灯」と「コンセント」につなぎ…、

次に、「非接地電線(黒)」を「スイッチ」と「コンセント」につないで…、

ほいで、「残り」の「赤」と「電灯」をつなぐ、といった次第です。

「接地側」の「白」からつなぐ理由は、技能では「極性」という「重大欠陥」ポイントがあり、ここをクリアするため、とりあえず「接地側」を接続するのが恒例です。

んなもんで、「白」からつなぐ、といった塩梅で、本問では、配線用遮断器・電灯ニ・スイッチの「白」を3つ、接続することになります。

「黒」の接続は問題ないでしょう。そのとおり、「配線用遮断器」と「スイッチ」と「コンセント」の黒をつなぐだけです。(スイッチとコンセント間は、渡り線でつなぎます。)

「赤」がよくわからないかもしれませんが、第46問を参考にしてください。

第46問の問題設定では、「負荷に赤」とあります。負荷とは電灯で、電灯には赤でつなぐわけです。電灯側の配線ですが、「白」は先ほど「接地側」でつながっているので、自動的に「黒」と相なり、もう頭がてんてこ舞いでしょうが、「スイッチ:赤」と「電灯(ニ):黒」と相なります。

まあ、小難しい小理屈は技能で追うことにして、筆記では、このくらいでよいでしょう。

解説

問題文の指示には、「電線はすべてIV1.6とする」とあります。

「IV1.6」とは、「1.6mm」の電線ってことです。

まとめましょう。

「白」で3本。

「黒」と「赤」で2本。

「黒」と「黒」で2本。

ぜんぶ「1.6mm」の電線なので、電線1本の断面積は、「約2mm2」です。

「白」のみの3本は、「2mm2+2mm2+2mm2」の「6mm2」で「小」スリーブで、刻印も「小」です。

「黒」と「赤」の2本は、「1.6mmと1.6mm」なので、「小」スリーブですが、刻印は例外の「○(極小)」となります。

「黒」と「黒」の2本も同じで、「1.6mmと1.6mm」なので、「小」スリーブですが、刻印は例外の「○(極小)」となります。

説明

ようやく解答できます。

選択肢を見ると、速攻で「二」を消せます。「中」スリーブは使われていないからです。

そして、「イ」も即効で消せます。「○(極小)」が使われていないからです。

で、最終解答ですが、刻印は「小」1つに「○(極小)」2つです。

んなもんで、正解は「ハ」と相なる次第です。

まとめ

いかがでしたか?本問は、文系ド素人にとっては、頭の痛い問題です。

わたしは、基本的に、文系ド素人は、「配線図」の難しい問題は「捨てる」べきだと考えています。ぶっちゃけ、一度、候補問題を組んでみないと、分からないことが多いからです。

しかし、本問は、「技能試験で絶対に出るところ」なので、ぜひとも、本問だけは練習しておくべきです。

まあでも、本試験まで時間がないなら、本問のような「複線図」問題は『後回し』か、最悪、『捨て問』でよいでしょう。

取れる勉強時間によって、「やる」か「やらないか」を選んでください。

ところで、筆記とはいえ、技能の勉強を少しでもしておくと、理解度が異なります。

どのみち買うのですから、技能用の工具と教材とを、筆記の段階で買っておくことを勧めます。

詳しくは「技能試験の教材」で述べていますが、読むのが面倒なら…、

工具は、定番メーカー:HOZANの「HOZAN 電気工事士技能試験セット S18」を…、

技能の材料には、候補問題の作り方を網羅したDVDの付く「準備万端(推奨・2回セット)」を使えば支障ありません。

テキストだけでは、やはり、きついです。文系ド素人は、実地教育が一番です。

なお、勉強方法等は「第2種電気工事士の独学」を…、

独学向け教材については、「筆記試験の教材」と「技能試験の教材」をばお目汚しください。

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