消防設備士受験ガイド

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 結論から言うと、消防設備士の受験は、合格率が高くて難易度も高くはなく、教材の充実している「乙種6類」から受けたらよいという塩梅で、第2種電気工事士等の有資格者は、試験の一部免除のある甲種4類(乙種4類)や乙種6類、乙種7類を受ければよい、という次第です。

消防設備士の“類”と“種”の受験の仕方

 消防設備士の最初の難所は、『消防設備士試験の、何種の何類を受ければよいか?』です。

 消防設備士は、消防設備ごとに資格区分があるため、初めての人は、どの種のどの類を受験すればよいか、イマイチわかりません。(わたしもこの口で、しばしば敬遠していました。)

 そこで、本ページでは、消防設備士の受験について、「全くゼロの人(=主として、一般女性を念頭)」、「危険物取扱者の乙種4類の有資格者」、「第2種電気工事士等の有資格者」の3つのケースから、受け方を見ていきたいと思います。

全くのゼロからの人

 「全くのゼロからの人」とは、文系ド素人の方や消防設備が始めての人、消防設備とはまず無縁であろう美しい一般女性を念頭に置いています。

 結論から言うと、「全くのゼロからの人」は、「乙種」の「6類:消火器」を受験します。

 乙6の合格率は、「40%」と高く、「まじめさ」と「努力量」がストレートに合否に現れる難易度で、全くの未経験からでも、勉強さえやれば独学合格が可能です。

 次いで、乙6が、消防設備士試験の中で、「2万6000人強」と受験者数が一番多いのも、大きな推薦理由です。

 一口で言うと、受験生が多いと、教材に困らないのです。

 消防設備士の受験者数

 受験生が多いということは、教材の需要も多いので、それを当て込んで、テキストや問題集もたくさん出版される、という塩梅です。

 「独学」の場合、利用する教材の『質』は、ことのほか重要で、「教材の選択肢が多い」のは、実に重要なこととなっています。

 乙6には良質な市販教材が多く、当該テキストと問題集を、2~3回繰り返していれば、合格点を確保できます。

 逆を言うと、他の消防設備士の受験者数を見てもらえばわかるように、受験者数が少ないと、“教材の需要も薄い”ため、教材がほとんど市販されておらず、独学では苦労する、という手合いです。(○○協会発行のお堅くてお高いものを使う羽目となる。)

 ゆえに、『独学』で行くなら、教材の豊富な「乙6」という次第です。

 また、乙6の試験勉強のボリュームが、配偶者の食事のように少なめで、試験勉強期間が「おおむね2ヶ月」なのも、推薦理由です。

 乙6の試験勉強は、時間的にも労力的にも、過度な負担を生みません。通勤・通学時で多くの論点を消化できたりもします。

 まとめます。

 乙6は、市販の教材が充実しているし、試験自体がそう難しくなく、「全くのゼロからの人」でも、過度な負担を負うことなく、独学合格できる試験となっています。

 こうした理由から、「全くのゼロ」からの消防設備士受験は「乙6」、という次第です。

 なお、注意事項ですが、合格率だけからすると、一番合格率が高いのは、乙7の「60%」で、乙6の1.5倍強も高いです。

 このため、乙7の方が受かりやすいのではないか?、と考える人もおられるかと思います。

 しかし、これは数字のマジックで、乙7は、大半の受験生が第2種電気工事士などの資格で『試験科目の一部免除』をふんだんに享受しての受験となっています。このため、数字が上がっていることを頭の片隅にでも置いていてください。

 まあ、乙6と乙7とも、難易度に大差はありません。が、乙6の消火器は、消火器自体がシンプルな構造なので、学習内容が複雑ではない利点があります。こうしたことからも、最初は「乙6」です。(補足:乙7は「漏電火災警報器」で、電気配線が絡んできます。)

 最後に、消防設備士の免状を取得すると「講習受講義務」が生じますが、要点を言うと…、

 「免状を発行しなかったら受講しなくても良い

 「合格自体はずっと有効なので、免状が必要になってから発行すればいい

 「受講義務に違反しても、別段、免状が取消される大きなペナルティはない

 …という塩梅です。

 免状関係は、「消防設備士:ブログ記事」に、てきとーな雑文が収められているので、おヒマな際に、お目汚しください。

 なお、乙6の勉強方法等は、「消防設備士:乙6の独学」を…、

 独学向け教材は「教材レビュー」に述べていますが、読むのがメンドウな人は、「わかりやすい! 第6類消防設備士試験」と「本試験によく出る! 第6類消防設備士問題集」を使ってください。

危険物取扱者の乙種4類(通称:乙4)の有資格者

 本単元で述べるのは、『危険物取扱者』の乙種4類ですので、混同しないようにしてください。

 危険物の乙4の有資格者の方は、「消防設備士の乙種6類(乙6:消火器)」の受験を推薦します。

 理由は、乙4で勉強したことと乙6で勉強することとが、“そこそこ”に被っているので、試験勉強の負担が軽くなるからです。

 危険物の乙4では、油火災に使ってはいけない消火器云々を、勉強したはずですが、消防設備士の乙6でも、同様の論点があり、言うまでもなく頻出論点なので、乙4でやった分だけ、乙6でも楽ができる、という手合いです。

 先の「ゼロからの人」でも述べましたが、乙6の勉強の負担や費やす時間は、強度の高いものではないので、危険物取扱者の乙4に受かる学力のある方なら、消防設備士の乙6でも全然に大丈夫です。

 ちなみに、多少ブランクがあっても、再記憶は容易です。

 何気に、乙4と乙6は、実務上でも相性がよく、勤務先で頼りになるはずです。

 危険物の乙4の有資格者の方は、消防設備士の乙6を受験してみてください。損はないはずです。

 なお、乙6の勉強方法等は、「消防設備士:乙6の独学」を…、

 独学向け教材は「教材レビュー」に述べていますが、読むのがメンドウな人は、「わかりやすい! 第6類消防設備士試験」と「本試験によく出る! 第6類消防設備士問題集」を使ってください。

電気工事士と電験の有資格者その1ー「甲種4類」か「乙種4類」

 第1種・第2種電気工事士や電験の有資格者の方は、試験免除が受けられる「甲種4類」か「乙種4類」を受けるといいでしょう。

 参考:甲種4類の免除早見表

 参考:乙種4類の免除早見表

 基礎的知識の「電気」等々が免除になるので、多少、楽ができます。(免除を受ける際は、必ず「電工免除の実態」を一読しておいてください。)

 なお、甲種は「工事・整備・点検」ができ、乙種は「整備・点検」のみができるという、資格区分となっています。

 ところで、先の第2種電気工事士等の免状は、『甲種』の受験資格となっています。

 『甲種』は、「製図」が実技試験に追加されるので、その分だけ「難」です。

 が、今後の仕事を考えるに当たって、本格的に防災を商う会社に勤めたいと思っているなら、「甲種」まで取っておくほうが良いでしょう。

 甲種は、乙種の上位互換なので、現時点で『甲種』を取って損はないです。

 対して、めんどくさいことをしたくない人や、そう勉強時間の取れない人は、「乙種」の4類でいいです。

 ハロワの求人では、厳密に「甲種」を求める求人は多くなく、メンテナンス業や設備業では、「整備・点検」が主たる業務ですから、乙種でよい、と相なります。

 わたしは、“見栄”を張って甲種を受験しましたが、今となっては、乙種でも良かったと思っています。もう2度と、製図を勉強したくありません。

 さて、甲種(乙種)4類ですが、下の画像の通りに、受験生が多い種・類なので、市販されている教材もたくさんあります。

 消防設備士甲種(乙種)4類の受験者数

 独学では重要な教材選びに苦労することはないでしょう。

 試験の難易度は、「そこそこ」ですが、きちんと教材と問題集の内容を消化すれば、まず、合格できます。「難」なのは、甲種の製図くらいです。

 こんな次第で、第2種電気工事士等々の免状があるなら、免除が受けられてそこそこ負担が減る、甲種4類か乙種4類を受験です。

 なお、勉強方法等は、「消防設備士甲種4類(乙種4類)の独学」を…、

 独学向け教材については、「消防設備士甲種4類(乙種4類)教材レビュー」を一読ください。

電気工事士と電験の有資格者その2ー「乙種7類」

 第1種・第2種電気工事士や電験の有資格者の方は、試験免除が受けられる「乙種7類」を受験するといいでしょう。

 参考:乙種7類の免除早見表

 乙7の特徴は、激烈に科目免除が受けられるところです。

 最も免除が受けられるケースでは、「他の消防設備士の有資格者」+「電気工事士の有資格者」のケースです。

 法令共通と基礎的知識、構造・機能と、そして実技試験まで免除されるので、「全35問中25問」が免除され、約7割もなくなってしまいます。

 勉強するのは、「法令類別の4問」と「規格の6問」の「合計:10問」となっている次第です。

 一番免除数の多いケースでは「10問」の勉強でよいという塩梅です。

 消防設備士の免状がなくても、電気工事士の免状があれば、先述したように「実技」が丸々免除なので、「おトク」感?があります。

 免除をふんだんに享受したい方は、乙7の受験です。

 乙7の勉強方法等は、「消防設備士:乙7の独学」を一読ください。

他の消防設備士について

 先述したように、消防設備士の甲種4類・乙種4類と、乙種6類・乙種7類以外は、言うほどに受験者数が少ないので、教材選びに戸惑うことが考えられます。

 甲種の1類は、まだ市販教材がありますが、そのほかの類となると、消防関係が実施している講座やセミナーのブツを入手して、本試験に臨むこととなります。

 個人的には、甲4(乙4)や乙6、乙7以外の消防設備士は、教材等々でコストがかさむので、職場や勤務先から、直に「取ってくれない?」などのアナウンスがあって取るのがよいでしょう。

 よほどの当該消防設備に興味があるなら止めませんが、“取りあえず取っておこう”という趣旨なら、無理して甲種4類・乙種4類と、乙種6類・乙種7類以外を受ける必要はありません。

消防設備士のこまごましたもの

 消防設備士に関するこまごましたことは、たとえば、「危険物取扱者・消防設備士の合格証(試験結果通知書)に有効期限はない=合格はずっと有効」とかの記事を、ブログにも投稿しています。

 興味のある方は、「消防設備士:ブログ記事」をばご参考ください。

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