かつて、情報というものは、実に貴重なものでした。情報というのはあればあるほど、よかったのでございます。
例えば、織田信長は隣国甲斐の武田信玄や北陸越後の上杉謙信のことについては、なんでも知りたがったと申します。
もちろん、彼らが、己の野望である天下統一への障害になると踏んでいたからでございます。
それこそ好物は何か、酒はどのくらい飲むのか、どんな馬が好きなのか、どんな歌を愛唱しているのか、などなど、知りうる限りのものを知ろうと勤めたといいます。
こうした細々としたことを総合し相手の心理を推し量ろうとしたり、行政や戦争の仕方を総合勘案して、自分の戦略に役立たせていたわけでございます。
しかし、いまや、インターネットの時代でございます。
「武田信玄 甲斐」と打ち込めば、それこそ腐るほどの情報に接することができるかと存じます。
信長が居れば、狂喜したことでありましょう。
情報量の少なすぎた数百年前に比べて、今や隔絶の感がする次第でございます。
しかし、情報が多くなったからと言っても本当に必要なことはそう変わらないかと思います。
逆に、現代では、情報がたくさんあり過ぎても困るというのが実情ではないかと考える次第でございます。
情報が増えた分、どうでもいいもの、とるにたらないものも同時に、多くなっていると言うわけでございまして、その分、キッチリ取捨選択をしていかないと、あっというまに時間をスポイルされてしまうわけでございます。
情報の取捨選択というのは別段に難しくはないかと思います。
常に少なめにするという意識を常に持っていれば、効率のよい選択ができるように思います。
最悪なのは、情報はたくさんあればいいという過去の神話を妄信している方でございます。
このネットの世の中、求めようと思えばいくらでも情報は集まります。それ何がしについてかかれた本、筆者その他の情報がどんどん集まってまいります。
しかし、わたくしたちの時間は24時間しかありません。すべてを追いかけることは不可能です。
また、追いかけようにも、それが真に自分の求めるものと適っているかどうか不明でございます。
まず、情報は増やさない、減らす、と言う観点から見ていくのがよろしいかと存じます。
今現時点手にしている情報で、うまく行かないのかどうかをお考えください。
うまく行かないのであれば、どうしてうまく行かないのかを考えてみてください。
うまくいかないときは、何かが不足している、準備不足、前提となるものをよく調べていない、表面的なものしか見ていない、答のみ・結論のみを急いでいる、などが考えられるものでございます。
どうでもいいことは、ほんのちょっとの時間と考察で結論付けても、それはそれでよいのです。
だって、どうでもいいことだから、失敗しようがうまく行こうが、どっちに転んでもどうだっていいわけであります。
しかし、少なくともやるべき価値のあることであれば、それなりの時間を割いて情報を集め、集めた情報を調べて分析し、現状の自分の事情と引き合わせ、考えることが必要であるかと存じます。
やるべき価値があるからこそ、知るべき価値があるのでございます。
価値のない事を追い求めない、そんなことに時間を費やさない、これだけでも十分に情報の選択は上手になっていくかと存じます。
| カテゴリー: 過去のススメ | | 2009年12月9日 11:04 AM |
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独学では、言い出すときりがありませんから、好不調をそれほど考えません。
良いときと悪いときが相互に訪れて、まあ、最後の本試験のときに、良い状態に巡り合っておけばよい、位に考えております。
まあ、正直なところ、うまくは進まないのが普通の状態であって、すらすら行く好調が珍しいくらいに考えておけば良いかと思います。
ですから、うまく行かないのをグダグダいっても仕方がありません。
それが普通なのでございます。普通の事を嘆いたところで、良くも悪くもなりません。
お天気と言いますのは、晴れの日と雨の日があるのが普通でございます。
それを雨が降ると、テメエコノヤローと怒っても致し方のないことでございます。
ま、愚痴で時間を浪費する分、「悪」とさえ言うことが出来ましょう。
基本的に独学では、ぐじぐじする時間があるくらいなら、次善策を練った方を選択するものでございます。
わたくしなどは常に前向きだと、肯定的だといわれておりますが、精神論や一般論でそうするのではなく、単純な功利性ゆえにでございます。
だって仕方ないんだもん、というわけでございます。
成績伸びねえ、進まねえといって酒を飲めば進むわけでもなし。
ぐじぐじしますと時間を失うだけでなく、精神力と言いますか気の張りといいますか、テンションその他のものも、一緒になくなっていくような感じが致します。
こうした精神的なものはいったん失うと、取り戻すのにこれまた、時間と労力がかかるものでございます。
先ほどもいいましたが、できねえといって酒を飲めば、まあ内臓は疲れるし身体は重くなるし、二日酔いを醒ます分勉強その他のことが出来なくなるし、おいしい酒は飲めないしで、賢明とはいえないかと思います。
良い状態、すらすら進む好調な状態のみを考えると、そら、遅々として進まぬ現状は良くないものと映ることでしょう。
しかし、良い状態・蜜月・好調などといいますのは長続きしないものでありまして、そんなもんが永続すると考える方が少しく愚かであるかと存じます。
この世は天国ではありませんから、好調なんて天国の代替物を望んでも仕方がないかと存じます。
不調が普通、とお考え下さればと存じます。
しかし、不調=ダメというわけではありません。好ましくはないかもですが、最悪ではない筈です。
自分が病気になっているわけでなし、家族が寝込んだり入院しているわけでもなし。
火事で家を追い出されているわけでなし、借金負債にてんてんこまいになっているわけでもなし。
お勉強ができると言う状態は、健康であり多少の経済的な余裕と時間があってこそ、できることでございます。
少なくとも健康でなければできないのですから、多少お勉強が不調でも、人生全体では割の良い状態なのではないかと思う次第でございます。
好不調の感じ方など胸先三寸で変わってくるものでございます。
うまくいかねえなあと思っても、こんなもので結構と思って、いたずらに落ち込むことなく自暴自棄になることなく、善後策と工夫を持って目の前のことのお取り組み下さればと存じます。
| カテゴリー: 過去のススメ | | 2009年12月5日 6:17 PM |
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これは、もし・仮に、の話でございます。
もし、本試験がなかったなら、お勉強はどのようなものになるでしょうか。
きっと、全く緊張のないものになるかと存じます。
ギリギリッとした気の張りといいますか、テンションといいますか、そういったものは全く出てこないかと存じます。
やべえなあ、とかのよく口に出る台詞もでないことでありましょう。
もし、でございます。試験という選抜システムが無かったとしたら、どうでしょうか。
まあ、形式的な問題はあるでしょうがそれに答えれば、誰でも、何点であっても合格できてしまうとしたら、日々のお勉強は如何ばかりになりましょうか。
やってもやらずとも結果が同じであれば、まあ、やる気は出ないでしょう。
わたしたちは本試験というものを忌避し嫌がっておりますが、逆に、本試験があるからこそ、日々のお勉強にいい緊張と気の張りが生まれて来るわけでございます。
もし、Aという科目があったとして、それが無試験・無選抜で修了証書なりがもらえたと致しましょう。
しかし、手元に「A合格」という文言の印刷された紙切れがあったとしても、Aのそのものは10年経っても少しも上達していないでありましょう。
例えば、無試験で取れる簿記なんてものがありましても、ひとつも記帳が出来ないでしょうし、やってもミスばかりで余計に時間がかかるでしょうし、ちっとも財務諸表も読めないことでしょう。
確かに、試験勉強でありますから、試験用のくだらない知識を憶えなければなりません。
しかし、それらを補って余りある新知識や新たなる視点が得られるのが試験勉強でございます。
ストレスやプレッシャーと言う力があるからこそ、わたくしたちは勉強して新たな知識を得、新しく変化していくのでございます。
勉強をせざるを得ないという引力が働くからこそ、新たな力が付くわけでございます。
その引力が弱ければ弱い力しか付かないでしょうし、ゼロならゼロでありましょう。
プレッシャーとストレスの大元ではあるけれども、だからこそ成長の源泉でもあるのが本試験でございます。
お勉強のイヤイヤ感は、逆に言えば得られるものの大きさを示しているものでございます。
「あーめんどうだ!」とか、「したくねえ!」と叫びたくなるものほど、後々の果実は多いものでございます。
また、お勉強には、明白な期限が切られております。
永遠かつ無限にそうした状態が続くわけでもないのでございます。
資格の取得にかかる時間は、一部の最難関の試験を除けば、数ヶ月程度の比較的短期間でございます。うまく時間をやりくりすれば捻出できる時間数でございます。
終わりがない芸術に従事する事を考えれば、どれ程負担が少ないかお分かりいただけるのではないかと存じます。
試験といいますのは嫌なものではありますが、良薬口に苦しと申します。
ぐだぐだ、ぐじぐじしたところで試験の現実は変わりません。
ですから、試験そのものの利点を考えて、現実の解釈を深めてくださればと存じます。
| カテゴリー: 過去のススメ | | 2009年12月5日 10:58 AM |
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