宅地建物取引士(宅建)試験の令和1年度(2019年度)の各種数字(申込者数、受験者数、合格者数、合格率、合格基準点)の解説から始まり、当該年度の「全体的」な傾向や特長について、説述しています。当該年度の試験は、「3つ」の特徴である、「ソフトひっかけ」「難易度の平準化」「やっぱり宅建は、過去問」を、説明しています。
このページは、「令和1年度(2019年度)の宅建本試験」の「全体的な傾向・特徴」を解説しています。
んでは、本編です。
令和1年度(2019年度)の宅建試験ですが、申込者数「276,019人」で、受験者数「220,797人」で、合格者数は「37,481人」となりました。
合格率は「17.0%」、合格基準点(一般)は「35点」でした。
ちなみに、昨年の平成30年度(2018年度)は、申込者数「265,444人」、受験者数「213,993人」、合格者数は「33,360人」、合格率が「15.6%」で、合格基準点(一般受験者)が「37点」でした。
R1年度は、昨年と比べて、合格者数が4,000人も、増加しています。
R2の受験生にはアレですが、過去のデータを見ると、ある年度に合格者が増加したら、翌年は「減る」ことが多いです。
しかも、H28・H29・H30・R1と、近年ずっと合格者が増加しており、翌年以降に、引き締める「可能性」があります。
R2は、合格者数が35,000人を切るおそれもあります。
やることさえやれば合格できる宅建ですが、油断せず、「少し厳しいかも」と、気を引き締めて臨むべきかと思います。
R1試験の全体的の傾向は、「ほぼ例年」といった寸法です。
試験問題は、全体的に、それほど難しくなかったです。
そのためか、前年に比べ、合格率が約2ポイントも高くなりました。「17%」に達したのは、H26から“5年ぶり”です。
令和1年度(2019年度)の試験ですが、傾向(特徴)を挙げると、3つあって…、
①「ソフトひっかけ」
②「難易度の平準化」
③「やっぱり宅建は、過去問」
…となっています。
以下、ざっくり、上記3点を見ていきます。
以前から、“似たような現象”はあったのですが、「ソフトひっかけ」とも言うべき、“ゆるい「ひっかけ」が如実に散見されます。
代表的なのは…、
「第36問:宅建業法:37条問題・・・選択肢ア」といった選択肢です。
一口で言えば、「突拍子のない内容」の選択肢なのですが、一読しても、(なんだこりゃ?!)的に、頭が真っ白になるものとなっています。
出題者が「ソフトひっかけ」を繰り出す意図としては、「受験生を混乱させる」ことだと思います。
ガチの「ひっかけ」ではないので、配偶者のような極悪さはありませんが、新手のタイプなので、動揺しないなどの注意が必要です。
今後の試験では、(何いってんの?これ、「ソフトひっかけ」じゃないの?!)的な判別が増えるかもしれません。
対策としては、テキストを精読し、知識を整理しながら、正確に憶える、です。
当該年度の試験問題ですが、突出した難問は出ていませんが、選択肢の1~2つを難しくして、個々の難易度を、“平準化”した感じの試験問題となっています。
まず、選択肢のすべてが難しい「ガチ難問」が出なくなっています。
当該年度では、H30のような「一目で解けないとわかる難問」が影を潜めています。
参考:平成30年度(2018年度)宅建の過去問+解説インデックス
先に述べたように、当該年度は、1問中に難儀なガチ選択肢が1~2つ登場する、といった構成が目立ちます。
このため、難問であっても、判別可能の選択肢もあり、多少は、正解に“肉薄”できた受験生が多かったように思います。
キッチリ勉強した受験生なら、難問とはいえ、そこそこ点数にしたのではないかと、推測します。
個人的には、当該年度の試験は、いい仕事をしていると思います。(洗練されたなー)と思っています。
見るからに、即、「捨て問」となる難問を出すよりも、当該年度のように、受験生がせめて一太刀できる難問の方が、『試験』になると思います。
もちろん、今後の試験で「難易度の平準化」が続くかどうかは不明です。
ですが、難問といえども、「即、諦めないで、目を凝らして、解ける選択肢だけでも解く」ことは、重要な試験戦術かと思われます。
手短に言いますが、やはり、「宅建の根幹は、過去問」です。
過去問演習では、(もう、こんなん、出ないだろー)という考えは、危険です。
具体的な例は、「第10問:抵当権譲渡」です。
当該「抵当権譲渡」の論点は、H27にも出題されており、油断せず過去問演習をした人なら、ラクラクと「1点」が取れたはずです。
参考: H27-7問 抵当権の譲渡、放棄
実は、わたし、H27の第7問を見たとき、(こんなクソ問題、金輪際、出ることはないな)と思ったのです。
(完全に捨ててよい)と確信していたのですが、蓋を開ければ、4年後に、再登場したのでした。
R1の第10問を見たときは、洗面所で配偶者とかち合ったときのように、仰天しました。
正直なところ、わたしが現役の受験生だったら、この第10問を落としたことで、不合格になっただろうと、実感しています。そのくらい、致命的な「失点」となったはずです。
宅建は、本当に、過去問を甘く見てはいけない、と再認識しました。
当該第10問に限らず、試験問題の全体を見ても、そこかしこに、「過去の出題実績」のある選択肢が登場しています。
過去問さえシッカリ繰り返していれば、「過去問の使い回し」の選択肢が判別できて、あとは、適当に選んでも、半々(50%)で正解できるという問題は、結構あります。
当該年度の傾向を踏まえ、皆さんも、「過去問に出たものは、ゼッタイに、甘く見てはいけない。安易な判断は、厳禁。必ず、チェックだけはする。解けるようになっておく。」と、肝に銘じてください。
やっぱり、宅建は、過去問です。
繰り返します。
最も点数を上げる勉強が「過去問演習」です。
R1試験も、宅建試験の原則に則った出題でした。
つまり、「テキストを精読し、過去問演習を繰り返す」ことで、穏当に合格できる、といった塩梅です。
ただ、過去問演習だけでは、対応のできない、新手の問題・論点が、ゾクゾクと、登場しています。
特に、「宅建業法」で、それが顕著です。
そこで、ある程度、過去問演習が進んだら、模試問題集・予想問題集で、さらに問題演習の数を稼ぐことを、勧めます。
過去問演習とテキスト精読で、点数の取りこぼしが防げます。
んで、模試問題集・予想問題集で、さらなる問題演習をすることで、新手の出題にも、対応できるようになります。
先に挙げた「三角形」が、“合格する”宅建の試験勉強です。
「科目別総評」に、続きます。
2020年1月18日 10:19 AM
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