独学でススメ-読むだけで独学合格できるかもしれない、適当なヒントとTips

簿記2級出題区分の改定ポイント3-簿記1級からのダウングレード系統

ご存知のように、平成28年度から30年度にかけて、簿記2級の出題区分が改定されます。

そのうち、「簿記1級のダウングレード論点」は、以下の通りです。

何が言いたいのかというと、「これらの論点では、大きな混乱は少ない」という次第です。

というのも、以下の論点は既に簿記1級で出題されていて、それらを言うなれば、“簿記2級用に焼き直す”だけなので、試験指導や教材に大きな混乱はあまり生じない、という塩梅です。

言ってしまえば、簿記1級のテキストや問題集の内容を、ちょっといじって簿記2級のそれらに移植するだけであり、「ゼロから作ると言うわけではない」ので、混乱はそう起きないだろうという次第です。

もっと言うと、簿記2級の問題が、簿記1級より難しくはならないだろうし、簿記2級の出題が、簿記1級とまったく異なる異色の傾向になるとは考えられない、といった次第です。

定評のある教材を使えば、そこそこの点数は確保できると思われます。

圧縮記帳

2級でも圧縮記帳が登場します。が、当該圧縮記帳は、1級ではポピュラーな論点で、何度も出題されたことがあります。

商工会議所の配布資料の仕訳例は、以下の画像です。

最初はとっつき難いのですが、処理そのものは難しくないので、それほど心配することはありません。

ソフトウェア

簿記2級では、自社利用のみの処理です。

ぶっちゃけ、簡単です。有形固定資産と同じように償却するだけです。

配布資料の仕訳例は、以下の画像です。

当該論点も心配には及びません。

子会社株式・投資有価証券

売買目的とか満期保有といった、有価証券の「分け方」の問題なので、難しくはありませんし、そう難しい問題も出せないでしょう。

当該論点も心配には及びません。連結会計と関わる子会社株式だけは、よく読んでおきましょう。

リース取引

出題は、ファイナンスリース取引の「借り手」に限定されているので、そう難しくはないと思います。

仕訳例は、以下の画像です。

横文字が多いので、難しいのは、最初だけです。

外貨建取引

従来、外貨建取引は主に大企業に限られていましたが、昨今では中小企業でもバンバン取引を行っている現状を受けて、簿記2級に登場と相なった次第です。

ややこしいというよりも、煩雑です。

どういう処理方法を採っているかを正確に読み込んだ上で、正確に対応する為替レートで計算をしなくてはならず、計算ミスの続出します。

逆に言うと、当該外貨建取引に、配点が来ることが多いので、しっかり計算できるようにしておきましょう。

良質な問題を何度も解いて、確実に“計算機”を叩けるようになっておくことを勧めます。

仕訳例は、以下の画像です。

連結会計

今回の出題範囲の変更の目玉です。

実務動行を鑑みても、「連結会計」が一番大事なところだと思います。正直、今となっては常識レベルですので、試験勉強という意識を薄めて、教養や実務能力の補填の意図をこめて、シッカリ勉強しましょう。

逆を言うと、知らないと恥をかきます。勉強しておいて絶対に損はありません。

簿記2級出題区分の改定ポイント2-なくなる論点(特殊商品売買・社債・繰延資産・本支店会計)

ごぞんじのように、簿記2級の出題区分の改定がなされます。

平成28年度以降の試験で、出題されなくなる主要な論点は、以下の4つです。

念のために言っておきますが、平成27年度の試験(2015年11月の本試験、2016年2月の本試験)では、そうではないのでご注意ください。

特殊商品売買

これまでの簿記2級では、割賦販売を代表とする特殊商品売買は、メジャーな論点でよく出題されていました。

ですから、皆が皆、よく勉強していました。

が、実務的に、一部の特殊商品売買は、もはや行われていないために、簿記2級では削除と相なりました。

28年度以降は、割賦販売のあのメンドクサイ表や割賦販売契約といったヤヤコシイ勘定科目を憶えなくて済みます。

勉強した者からすると、少しさびしいものがあります。

社債

主として、簿記2級とは、中小企業の会計・経理担当者向けに設計されている試験です。

ちなみに、簿記3級は個人事業者向けで、簿記1級は大企業の経理担当者向けです。

で、当該社債ですが、社債を発行して引き受け手がいるような、信用のある企業は、一口で言うと、『大企業』くらいにしか存在しません。

つまり、中小企業が社債を発行するケースはごく少数なので、簿記2級の試験対象者とはそぐわないといった塩梅で、簿記2級からは削除と相なりました。

繰延資産

繰延資産は、税法の改正で多くが即時償却=その期の費用にすることが認められていたり、償却額が大きくなったりで、あんまり、計上されなくなっています。

そら、企業からしたら、1円でも税金が安くなるなら当期の費用にしますよ。誰が費用を繰り延べるか、ってな塩梅です。

このため、相対的に重要性が低くなったので、2級からは削除、1級に移行という寸法です。

本支店会計

なくなって一番うれしい論点ではないでしょうか?

今後の簿記2級からは、本支店会計のうち、「未達事項の整理」「内部利益の除去」「本支店財務諸表の合併」といった主要な論点がなくなり、「本支店間取引の処理」のみとなります。

そもそも、昨今では、未達事項が出ないような経理システムにしています。ですから、未達事項そのものがあまり“ない”状況です。

内部利益についても、以前のように振替価格を設けると、手間ばかり食うし内部処理も複雑になるしで、設定しないほうが主流となっています。

こうした理由から、本支店会計の大半の論点が削除と相なりました。

そのほか、細かい削除事項はありますが、大きいものは以上です。

シチメンドクサイ論点がなくなるので、今回の出題区分の改訂は、そう悪いものではありません。(外貨建取引のように細かくてウザイ論点も増えますが…。)

簿記2級出題区分の改定ポイント1-カンタンな勘定科目言い換え系

ご存知のように、簿記2級は平成28年度から試験範囲が改定されます。

当該改定のうち、簡単な部類に入るのが、以下の勘定科目言い換え系です。

それぞれ新しく追加される勘定科目なのですが、内実は、「言い換え」だけなので、カンタンです。

「勘定科目が頭に入っていればいいだけ」なので、しっかり得点源にしておきましょう。

クレジット売掛金

普通の小売店でも、クレジットカードによる決済が増えているのを背景に導入された勘定科目です。

クレジット払いの売上の際に用い、通常の売掛金と区別するのが、勘定科目のねらいです。

商工会議所の配布している資料によると、普通に売掛金の処理と同じで…、

・クレジット売掛金  99/売上  100
  支払手数料     1

…とするだけです。まさに、勘定科目の言い換えでしかありません。

電子記録債権・電子記録債務

電子記録債権・電子記録債務もまた、勘定科目の言い換えです。

実務的なことを言うと、領収書等を作ると印紙税を払わなくてはいけないために、新たな決済方法として「電子記録債権・電子記録債務」が急速に普及しています。

この背景を受けて、今回、簿記2級に登場という寸法です。

一口で言えば、「売掛金」と「買掛金」を、今風に言い直したものと考えておけば、学習上、支障はありません。

商工会議所の配布している資料によると…、

・仕入時:仕入 ○○/買掛金 ○○

・発生記録の請求を行った:買掛金 ○○/電子記録債務 ○○

・支払期限が到来した:電子記録債務 ○○/現金 ○○

・売上時:売掛金 ○○/売上 ○○

・発生記録の請求を行った:電子記録債権 ○○/売掛金 ○○

・債権の一部を譲渡した:現金 ○○/電子記録債権 ××
                    電子記録債権売却損 △△

…となっています。本当に目新しいものはないですね。

言い換え系は、これら「クレジット売掛金」と「電子記録債権・電子記録債務」しかありません。

改定項目なので、絶妙に総合問題の1部で問われる可能性があります。

内容は簡単ですので、そう不安はありません。

役務収益・役務費用

経済のサービス化を受けて、「役務収益・役務費用」という勘定科目が追加されます。

資料の例では、専門学校の講座が掲載されていて…、

・○○講座(1年)の料金を受け取った:現金 200/前受金 200

・決算日。講座の6割は終了している:前受金 120/役務収益 120

…ってな仕訳が例として挙げられています。

まあ、シンプルな処理ですが、決算整理仕訳の1部として出題しやすいので、こういうものがあるとだけは記憶しておくべきでしょう。

以上、今回の改訂にて、目新しい勘定科目でした。