令和2年度(2020年度)東京都の登録販売者試験の総評や傾向をまとめています。このページでは、「救済試験」についてと、当該年度の試験傾向と対策について述べています。各試験科目の傾向も併せて言及しています。
資格試験では、合格率が異常に低いと、年度間のばらつきを“平均化する”ため、次の試験が合格者をたくさん出す「救済試験」になることがあります。
令和1年度の東京都の合格率は、「26.0%」でした。
全国的にも低い数字なので、「救済試験」があるかと思いきや、令和2年度の合格率は、「33.0%」となりました。
プラス5ポイントで、微増はしていますが、激増とはいえません。
この「2つ」の数字から、「東京都は、救済試験を行わない」と、判断してよいと思います。
受験生の方は、「救済試験」を当てにすることなく、本試験に臨みましょう。
では、令和2年度試験の総評です。
令和2年度(2020年度)に行われた、東京都 登録販売者試験ですが、結論から言うと、「やはり、東京都は、レベルが高い」です。
「医薬品」と「適正使用」は、年々難化しているのですが、当該年度も、去年に比べて、難しくなっています。
事例問題や応用問題が増えており、(ムムム)という感想を抱くはずです。
東京都受験予定の方は、今後も、試験勉強のウエイトを、当該2科目に大きく割きましょう。
さて、「医薬品」の「生薬」が完全復活して、昨年以上の「11問」も、出題されています。
そして、「漢方処方製剤」は、「9問」前後で、まったく無視できない出題数となっています。
「適正使用」においても、「医薬品的な問題」で、「マオウ」が問われるなど、手強くなっています。
「漢方処方製剤」と「生薬」は、捨ててはいけない、勉強しなくてはいけないと、釘を刺しておきます。
ところで、「基本知識」や「人体」、「法規」は、あまり変わりがありません。
ですが、決して「楽」な科目ではありません。
これら3科目も、勉強しない限り、点が取れないです。
一番悔しい不合格のケースは、難の「医薬品」や「適正使用」で点が取れているのに、残る3科目で足切りにかかったときです。
油断禁物としか言いようがないです。
次に、試験問題の全体について言えることですが、これまで問われなかった論点(語句・数字)の出題がとても目立ちます。
昨年度から、この傾向が見られていましたが、本年度も、継続中です。
全科目において、未出題事項の出題を、とてもよく目にします。
過去問題集やPDF過去問を解いたら、必ずテキストに戻って、“試験に出てないもの”を、意識して精読してください。
そして、念のため、釘を刺しておきたいのですが、“試験に出たところ”も、重視してください。
多くの問題は、定番問題・頻出論点で構成されており、過去問の再出題も、実に多いです。
要は、「全部やらないといけない」なのですが、出たところも、出てないところも、丁寧に押えましょう。
ひしひしと実感するのですが、合格に必要な勉強量は、年々、増しています。
過去の登録販売者試験は、あまり勉強してない人でも、合格できるものでした。たとえば、このわたしがそうです。
定番問題ばかりだったし、ぬるい選択肢もそこそこあったりしたからです。
しかし、昨今では、きちんと勉強しないと、まずもって受からない試験に変貌しています。
実際問題、登録販売者の充足数は足りているので、今後の試験は、合格者の「数」を絞る可能性が高いです。
とはいえ、根っこの部分は、「登録販売者試験」です。
他県同様に、「テキストを3回精読、過去問演習を3回」していれば、間違いなく合格点は確保できます。
やはり、受かっている人は、相応に勉強しています。
安易な受験は、高い受験料をドブに捨てるようなもの。
「ちゃんと勉強するぞ!」という覚悟を決めてから、試験勉強に臨みましょう。
なお、当該年度の過去問は、「令和2年度(2020年度)登録販売者 東京都の過去問+解説インデックス」です。
以下、科目別に、傾向を述べていきます。
第1問~第20問の計「20問」の「医薬品に共通する特性と基本的な知識」ですが、令和2年度も安定した出題です。
小難しい選択肢もありますが、大半の問題は、基礎・基本的なものばかりなので、まあ、だいじょうぶでしょう。
テキストと過去問を繰り返しておけば、満点近く、点が取れるはずです。
当該「基本知識」で、点をがっつり稼いでおくのが、ベストの試験戦術です。
後述するように、「医薬品」「法規」、そして、「適正使用」の失点をカバーすべく、満点を狙うくらいに、勉強しましょう。
第21問~第40問の計「20問」の「人体の働きと医薬品」ですが、「未出題論点に注意」です。
昨年と同様、定番問題が多いのですが、それでも、出題実績のないところの出題が目立ちます。
たとえば、「第21問」の選択肢1の「機械的消化」などです。
これまでに、ほとんど出なかった語句ですが、選択肢の1つとして、ガッツリ採択されています。
こういう未出題論点に備えるためにも、テキストは、キッチリ精読しておきましょう。
また、当該年度も、昨年同様、「副作用」の「すべて」が出題されています。
「登録販売者」制度の存在理由からも、「副作用」は、こういう出題が続くと思われます。
これまでのように、定番の副作用だけを勉強するやり方は、ダメです。
「副作用」は、すべての論点を押えてください。
第41問~第60問の計「20問」の「薬事関係法規・制度」ですが、「まあ例年通り」です。
小難しくはなっていますが、まあ、大丈夫でしょう。
昨年度同様に、「販売従事登録」と「薬剤師不在時間」が出題されています。
もはや、「定番化」したと踏んでいいでしょう。過去問を、キッチリ解いて、再出題に備えてください。
なお、受験生泣かせの「資料問題」は、鳴りを潜めています。
しかし、過去問に出たことは甘く見てはいけないので、過年度のPDF過去問で遭遇した際は、答えを憶えて、解けるようになっておきましょう。
第61問~第100問の計「40問」の「主な医薬品とその作用(医薬品)」ですが、「レベルが高い」です。
問題全体がレベルアップして、カタカナ成分の「難化」が顕著です。
テキストをしっかり読み込んでおかないと解けない選択肢が実に目立ちます。
んで、これまで出題実績のなかった「マイナー成分」が、ビシバシと問われています。
たとえば、「ユーカリ油」がふつうに登場しています。
参考:第89問
テキストの個々の成分は、端折ることなく、押さえておく必要があります。
そして、「漢方処方製剤」と「生薬」が、本当に、ふつうに出題されるようになっています。
全国的な傾向として、「漢方処方製剤」と「生薬」は、両方とも、10問前後の出題が続いており、今後、減ることはないと思われます。
そして、そのうえ、両方とも、問題のレベルが上がっています。
「漢方処方製剤」では、構成生薬や副作用を突く問題が出題されました。
参考:第95問
「生薬」では、これまでに出題がほとんどなかった「日本薬局方」や「注意事項」が出題されています。
これまで以上に、テキストを精読しておく必要があります。
「漢方処方製剤」と「生薬」は、数が多く、とても時間がかかります。
「漢方処方製剤」と「生薬」は、「捨て問」にできません。
片方を捨てるだけでも、点数勘定は、厳しくなります。両方を捨てると、合格は、不可能です。
受験予定の方は、「漢方処方製剤」と「生薬」を、後回しにせず、早め早めに、着手しましょう。
第101問~第120問の計「20問」の「医薬品の適正使用・安全対策」ですが、一口で言うと、「安定した」です。
昨年度は、「12問」も出題された「医薬品的な問題」が、本年度では、「7問」と、他県と同程度となりました。
昨年度は、あまりに「特異」だったといえましょう。
他の県でも、「医薬品的な問題」は、6~8問前後のところが多いので、今後の東京都も、これに倣うように思われます。
また、「定番化」された「医薬品的な問題」も、見られます。
たとえば、「第108問」の「運転操作しない」は、安全・保安の点で重要なため、東京都のみならず、他県でも、よく出るようになっています。
こういう定番化したものは、ガチで押さえておくべきです。
さて、相変わらず、「医薬品的な問題」の「相談すること」は、受験生にとってネックです。実に、難しい。
マオウを問う「第107問」や、漢方処方製剤の構成生薬を問う「第109問」は、わたしは、お手上げとなりました。
「適正使用対策」でも述べていますが、「使用しない」を優先し、「相談すること」は、できる範囲でやるのが一番かと思います。
最後に、「再審査制度」の数字が出題されました。
「数字問題」でもあり、今後の「定番」となる可能性があります。
「第112問」ですが、チェックしておきましょう。
令和2年度(2020年度)の東京都 登録販売者試験は、ざっと斯くの如しです。
勉強方法や独学の進め方などは、「登録販売者の独学」を一読ください。
2021年2月13日 11:07 AM
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