管理業務主任者の独学

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 管理業務主任者の独学は、「順番」がコツです。まず民法は後回し。適正化法からはじめて、区分所有法・標準管理規約・マンション標準管理委託契約書と駒を進め、残りは適当に消化していきます。テキストを3回読み込んで過去問を3回繰り返せば、合格ラインです。管業の独自規定や団地は飛ばすなどの注意事項を。

ひとくち基本方針

 一口で言うと、「テキストを3回読んで、過去問を3回解いていれば受かる」のが、管理業務主任者という試験です。

 ですから、マンション管理の実務本を読み込んだり、その他の資料に目を通す必要はありません。

 そんなことをする時間があれば、テキストと過去問を開きましょう。

 目の前のテキストと過去問を、「3回」制覇することだけを考えてください。

 「やったこと」がストレートに点数に反映します。「がんばった」じゃないよ、「やったこと」なので勘違いしないように。こつこつ、「数」を消化してください。

 なお、管理業務主任者の使用教材は、「全くの法律ド素人」か、「法学部卒・民法学習済み・宅建合格者」かで、大きく分かれます。

 教材選択を間違えると、独学は超絶に難航します。

 使用教材の詳細は「教材レビュー」で述べていますが、読むのがメンドウな人は、わたしも使ったことがあり、合格者の使用動向を見るにつけても評価の高い、以下の教材を推奨します。

 テキストには、「管理業務主任者 基本テキスト」を、

 問題集には、「管理業務主任者 項目別過去7年問題集」を使えば、支障ありません。

 ただし、法律的な勉強をしたことのないド素人には向きません。挫折します。先の「教材レビュー」で述べる通りに選ぶことを勧めます。

勉強の順番

 宅建合格者等は、好きなようにやってください。どこからやっても支障はありません。

 試験勉強を開始して1週間もすれば、「あ、このレベルなのね」と、悟るはずです。

 法学部を卒業した人や、他資格で法律の勉強をした事のある人、宅地建物取引士の合格者は、勉強時間さえ確保できれば、合格できます。自分のペースとやり方で進めて全く支障はありません。

 以下は、主にド素人の人を対象に、“挫折の少ない”進め方を述べていきます。

民法からやってはいけません。

 一番最初にあるからといって、民法から始めるくらいなら、「建物・設備」からやる方がまだマシです。

 民法が未学習だからといって、他の科目の勉強ができないわけではありません。全然できます。

 民法学習済みのわたしも、民法はイヤでイヤでたまらず、“メンドクサイ”の一言で一番最後にしました。

 民法が重要な科目なのは重々承知の助ですが、最難関でもあるので、最初はパスしましょう。

 無理をして初っ端の民法で挫折してしまえば、元も子もありません。

最初は適正化法‐独学の定番

 管理業務主任者の試験勉強で最初に手を付けるのは、最も簡単な「マンション管理適正化法」です。

 適正化法は、「これはこうで、これはこうしてください」といった、条文知識を記憶する科目です。

 本法は、一口で言えば、「完全な決まりごと」です。禁錮は2年・帳簿は5年といった数字、管理業務主任者証には住所表記があるといった小ネタを、そのまま憶えるだけです。

 超ウンザリするかもしれませんが、民法や区分所有法などの理解が求められる科目と比べたら、適正化法の負担は圧倒的に少ないです。しかも、『憶えたらそれだけで点数』となるので、知識ゼロの最初から、「点が取れる実力」が身に付きます。

 マンション管理適正化法から着手するのが独学の定石です。早々に点数が確保できるんで、非常に気が楽になるはずです。

 なお、当然のことながら、区分所有法等の知識がないといまいちわからないところもあります。

 でも、先も言ったように、どのみち「3回」やるのだから、付箋をはさむなりわからない旨のメモするなりして、後でじっくり腰を据えてやればいいです。

次は、区分所有法・標準管理規約・マンション標準管理委託契約書

 法律学習者にとっては、非常に“楽しめる”のが区分所有法です。区分所有法からはじめて、標準管理規約・マンション標準管理委託契約書に駒を進めると、楽しくお勉強ができます。

 区分所有法は、マンションや貸しビルの法律なんですが、一般の所有概念と大きく違うのが特徴です。(大きく制限がかかっているとか、共用と所有のバランスどころとか。)

 本法は、基本は暗記科目なのですが、個々の規定の意義を考えだすと、「よく考えられてるなあ」と中々に興味深く、知的な満足が得られます。

 区分所有法から入って、後から、本法が具現化された、標準管理規約・マンション標準管理委託契約書に進めば、理論と実践の“違い”が見えてきて、理解と記憶はマシマシです。お勧めの勉強順です。

 対して、ド素人は、標準管理規約かマンション標準管理委託契約書から始めます。

 区分所有法は、けっこう『法律・法律』しているので、法律的な文章に慣れていないと、ひどい頭痛でアスピリンが手放せなくなります。

 一方の、標準管理規約やマンション標準管理委託契約書は、想像力を駆使したら何となくわかりますし、自分や家族や知人の住んでいるマンションを頭に浮かべて勉強していけば、理解できるところはたくさんあります。

 (あーあの管理人のおっさんは、こういう契約書の下にやってんだなー)とか、(エントランスの張り紙にはこういう背景があったんだなー)といった感想をたくさん持てるはずです。

 本に書かれたことと現実がリンクすると、面白くなってきます。応じて、試験勉強にも張りが出るでしょう。

 これら2つが終わってから、区分所有法に着手すれば、法律の「口の苦さ」もだいぶ和らぐかと思います。

 なお、中盤以降は、素人玄人ともに、区分所有法・標準管理規約・マンション標準管理委託契約書の個々を、「比較対照」する作業が必要となります。

 区分所有法ではこうなっている、しかし、標準管理規約ではこうなっている、ところが、標準管理委託契約書ではこうなっているという風に、それぞれの「違い」を意識して勉強してください。超絶頻出事項です。

管業の独特‐「規約でホニャララ」

 「何々の届出は○日以内」とかいう出題は、他資格でもよくある、定番の出題形式です。しかし、当該管理業務主任者には、他にはない独特の規定があります。

 たとえば、「集会開催の届出」です。

 集会の召集通知は、原則として「1週間前」と法律では定められています。ふつうは、1週間を憶えて終了です。

 しかし、当該規定は、「規約で伸縮できる」となっています。

 もう一度言います。「伸縮」です。

 つまり、1週間を伸ばして20日に、縮めて3日に、規約ですることができる塩梅です。

 たとえば、「立替決議」です。当該決議を行う集会の通知は「2ヶ月前」と法で定められています。

 しかし、「規約で伸ばす」ことはできるのです。つまり、期間を延長して3ヶ月にはできるが、短くして1ヶ月にはできないという塩梅です。

 大概の試験では、届出等の日数規定は「○日」と決まっていて、変化はないのですが、管理業務主任者では、規約で変更が認められるケースがあります。

 最初のころは間違えやすく混同しやすいので、注意が必要です。わたしのように本試験直前になって“発見”しないように。

管業の独特‐「規約の定め」と「集会の決議」

 先の3科目(区分所有法・標準管理・契約書)の勉強で、「規約の定め」と「集会の決議」との文言を目にしたら、慎重に、注意深く条文を読んでいってください。

 「規約の定め」と「集会の決議」が絡む規定は、非常に複雑で、試験でも頻出です。

 「規約で定める」とは、「集会の決議では決めれない」という次第です。

 たとえば、区分所有法の20条の管理所有者です。

 規約で定めないと管理所有者を決めることができません。つまり、集会の決議では管理所有者を決めれません。つまり、規約を変更する「4分の3」が必要になってくるわけです。(集会決議は過半数。要件がきついわけです。)

 たとえば、訴訟の提起です。

 訴えは、「集会の決議で定める」ので、「規約だけでは決めれない」のです。

 「ゴミを捨てたら、即、訴える」と規約で定めていても、「集会の決議」を経ていないので、訴えられないわけです。

 これだけでも、結構ややこしいのに、条文や規定によっては、「規約の定め」か「集会の決議」の、どっちかだけでいいのもあり、混乱に気化ガソリンが散布されます。

 ここいらの独特な箇所が、区分所有法で一番難しいところで、ここさえ突破できれば、本試験では十分な得点を稼ぎ出せます。

 1つ1つを軽く扱わず、それぞれの違いを明白に意識して、憶えていってください。

「団地」はメンドクサイので後回し

 区分所有法等で、「団地」規定を目にするでしょうが、後回しです。

 「団地」は、「1棟のマンション」の法律関係・位置づけが終わってから本腰を入れます。

 「団地」は、「1棟のマンション」の法規定・管理規定を、複合的に・応用的に当て嵌めるものなので、全体が済んでからやった方が早いのです。

 しかも、ややこしいくせに、出題頻度はそれほどでもありません。後回しの一手です。「捨て問」でもいいでしょう。

その他の法律‐メイン科目の箸休め

 不動産登記法や宅地建物取引業法、品質確保法、消費者契約法、個人情報保護法などの法律科目は、まずはパスです。費用対効果が低いからです。

 ガッツリと点数の取れる、適正化法、区分所有法、標準管理規約、マンション標準管理委託契約書が一通り終わってから、『得点を数点積み上げるべく』取り組んでいくのがベストです。

 出題はオーソドックスですし、難問が出たら誰も解けないので致命的な失点にはなりませんし、配点も多くありませんので、テキストの読解と過去問演習だけで突破できます。

 メイン科目に飽きてきたら、これらの法律の勉強をはさむ感じでやっていけばいいでしょう。

 ただし、油断は絶対に禁物です。「捨て問」も絶対ダメです。

会計と仕訳問題

 ぶっちゃけ言うと、テキストの数ページの解説で、仕訳問題が解けるようになりません。

 時間がない人は、仕訳問題は捨てましょう。で、その分を、民法に投入しましょう。

 時間のある人は、テキストでは勉強せず、簿記3級のテキストで勉強しましょう。

 「簿記3級のテキスト・問題集・過去問レビュー」で紹介していますが、簿記3級には、簡易廉価版の教材が売られています。

 テキストと問題集が一緒になった「スッキリわかる 日商簿記3級」で2週間くらい勉強すれば、まず間違いなく「1点」取れるようになります。

 本式の簿記教材の方が、絶対的にわかりやすいので、確実に1点が確保できます。餅は餅屋。遠回りに見えて一番近いです。

 管理業務主任者では、管理会計が採用されていますが、簿記3級で企業会計の何たるかが肌でわかるようになっていれば、より一段、会計科目で点数が取れるようになるはずです。

 また、管理業務主任者は、書類を多数扱う事務職でもあり、かつ、出納にも関わってくるので、『事務能力』の証でもある簿記3級を取っておいて、絶対に損はないです。

 参考:簿記3級の独学

建物・設備‐難関

 管理業務主任者試験の1つ目の難関です。

 建築基準法から消防法、配管の角度から自転車置き場の明るさ(ルクス数)まで、雑多でバラエティに富んだ科目で、対策がとりずらいこと、この上ありません。

 本科目は、全問不正解という、致命的な失点を防げるようになってればいいです。

 要は、テキストを読み込み、過去問演習を繰り返し、過去に問われたことを、取れるようになっていればいいです。

 正直、これ以外にやりようがなく、わたしもテキストと過去問だけで、数点をもぎ取りました。

 建物・設備のお勧め勉強方法は、『1日3問なり5問を必ず消化する』です。

 一気にやると超メンドクサイし、絶対に長続きしません。ブランクが空くと余計に頭に入っていかないので、毎日少しずつ、に慣れて行くのがコツです。

 なお、万人に推薦できませんが、設備関係の知識がゼロの人で、とても苦手としている人に、「絵で学ぶビルメンテナンス入門」という本を勧めます。

 ビルとマンションでは、直接関係ありませんが、水道電気下水等、設備で被るものは多々あるので、“感じ”はつかめるかと思います。

 別段読まなくとも合格はできます。が、ビルメンテナンスの会社が、マンション管理をしているケースも多く、就・転職用の参考書として、よいかと思います。

 なお、ほとんどが「マンガ絵」です。昔の4コママンガ風の絵柄です。ンモー。

民法‐合格の保険

 2つめの、管理業務主任者の難関です。

 一口で言うと、全問不正解という、致命的な失点を防げるようになってればいいです。

 おおむね10問出題ですが、5~6点は、最低でも取れるようになっておきます。過去問演習を徹底していれば、なんとか確保できます。

 条文数も多く、面白くともなんともなく、厄介で、ただただ長くてメンドクサイだけですが、耐えに耐えてください。これが『勉強』です。

 なお、安心してもいいのは、最近の試験傾向からして、「民法の出来不出来で、合否が決まるわけではない」ということです。

 つまり、他の区分所有法や適正化法が仕上がっていれば、民法が3~4割のひどい出来でも、合格はできるという塩梅です。

 しかし、試験は水物。

 優秀な受験生が大挙して受験すると、合格点が上がってしまい、民法でどれだけ点が取れたかで、合否が分かれかねません。

 合格の保険が民法です。民法ができればできるほど、合格は確実になっていくので、時間があればあるだけ、取り組んでください。

民法が超イヤな人

 民法には、本当にジュウジュウと手を焼きます。

 テキストが視界に入るのすらイヤになってきたら、挫折の一歩手前。

 いったん民法の試験勉強は止めて、別方向から反撃を開始しましょう。

 別方向からの刺客、それは『読書』です。

 お勧めの入門本は、「弁護士が教える分かりやすい「民法」の授業」と「民法はおもしろい」です。

 本書は、まず、ぶ厚くありません!

 カチコチの条文解釈は少なく、具体的事例を中心に民法の“ありよう”を説明するので、初心者でも挫折しないで読み通せるのが特徴です。

 『読書』というワンクッションを置くと、民法に親しみが湧くし、多少の条文知識・判例知識も身に付くしで、かなり勉強しやすくなります。

 宅建の民法にも使えるので、損はありません。

 また、基本的な法律用語の意味がシックリ来ていないので、民法が苦手な人も多いかと思います。

 「法律用語のコツ」を一読して、用語の使い方の違いをしっかり認識してください。

 なお、適正化法では「直ちに」「遅滞なく」「速やかに」が、区分所有法では「適用」と「準用」多用されています。参考までに。

管理業務主任者のこまごましたもの

 管理業務主任者に関するこまごましたことは、ブログにも投稿しています。

 興味のある方は、「管理業務主任者:ブログ記事」をばご参考ください。

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