「適用」と「準用」

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 「適用」と「準用」は、どちらもほとんど同じ使われ方をしますが、ちょっとだけ、意味が違ってきます。試験問題で問われることはあまりありませんが、予備知識程度におさえておいてください。

 条文を読んでいると、ちょくちょく「適用」と「準用」という法律用語に遭遇することになるので、ニュアンスだけ拾っていってください。

 「適用」と「準用」の、両者に共通するキーワードは「あてはめ」です。「あてはめ」のされ方がちょっぴり違ってくるのです。

適用とは?

 「適用」とは、ある特定の事象や事件、事項について、あらかじめ定めていた法律をあてはめて、処理なり処理をする、ということです。

 たとえば、災害があったときには、「災害救助法」を適用して救助活動を行います。「災害」という事象に対しては、「災害救助法」をあてがって、救助や物資の輸送、治安の回復などの処置を行うという次第です。

 たとえば、「交通事故」があれば、「刑法」や「道路交通法」を適用して犯人を処罰し、事故の損害に対しては、「民法」を適用し損害賠償請求を行います。

 ある「モノゴト」に、どんな法律を当てるか、というニュアンスが「適用」です。

 言うなれば、通常の意味での「適用」でして、難しく考える必要はありません。


準用とは?

 準用とは、「そのままあてはめる」ことです。この場合、規定本来の対象ではなく、類似の事項や事件へあてはめが行われます。

 「準用する」の具体例は…

 借地借家法第33条(造作買取請求権)

 建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。

 2 前項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了又は解約の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について準用する。

 「賃借人→賃貸人」の規定を、「転借人→賃貸人」の場合にも、当該条文の文言をあてはめます、ということです。

 本来は「賃借人→賃貸人」だけの規定なのです。そしてそれを、「転借人→賃貸人」にも、同じ法的効果を与えたいのです。

 けれども、新たにいちいち、その文言全部を書くと、当該条文が冗長になるので、省略して「準用」としている塩梅です。

 簡単にいえば、「〃(ちょんちょん)」です。・・・よく使うじゃないですか、同じことを書いたことにする「〃(ちょんちょん)」。

 書類の記入で同じことを書くときに「〃」と書くことがあるかと思いますが、「準用」も、同じことをちんたら書くのはめんどうだし、インク代がもったいないから、(同じことを書きますね)ということを「準用」としていると思います。

 ま、準用は「〃」と覚えておけば、それほど大きく外れてはいないでしょう。

「準用」と試験

 「準用」は、無理から試験問題になることがあります。

 「〇〇」の規定は、AとBのどっちに準用されているでしょう?という知識問題として出題されることがあるように思います。

 キチンと条文を覚えているか、正確に覚えているかどうかを試す格好の出題方式なので、過去問で似たような問題が出ているのなら、「準用」という表現に気をつけておきましょう。

 ※ お手数ですが、不備や間違い・勘違いがあれば、是非ともメールを下さいませ。

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