第24回‐総合問題 過去問(H30/9実施)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は『精算表』の問題。第24回試験の第5問‐総合問題の難易度は「ふつう」。本ページでは、設問の4から6を掲載しています。減価償却がメインです。時間がかかるので、丁寧に処理してください。

第5問‐精算表:設問4~6

 ◇問題◇

 

 ◇解答用紙◇

 

 (クリックして拡大。)

解説

 本ページは、設問4から7を解説しています。

 「設問1~3はこちら」です。

 んで、「設問7~10はこちら」です。

 なお、「答えはこちら」です。

設問4‐仮受金

 

 仮受金の処理です。

 これも、『前提』を把握すると、すっと解けます。

 「仮受金」なのですから、以前に、「仮」にお金を受け取っていたわけです。つまり…、

 借方:現金 21,000

 貸方:仮受金 21,000

 …という仕訳が以前に切られていた、ってな寸法です。

 要は、「貸方」に「仮受金」が「\21,000」計上されている、ってな次第です。

 後は、「仮」に受け取った理由が判明した分だけ、振り替え処理をするだけです。

 問題文には…、

 「① 完成工事の未収代金回収分¥7,000」

 「② 工事契約による前受金¥14,000」

 …とありますから、それぞれ、判明したものに振り替えるだけです。

 ①ですが、代金を回収したので、その分だけ、「完成工事未収入金」を減らすだけです。

 負債の減少と、資産の減少なので、仕訳は…、

 借方:仮受金 7,000

 貸方:完成工事未収入金 7,000

 …となります。

 次に、②ですが、契約前の現金受け取りなので、これは、「未成工事受入金」で処理するものです。

 負債の減少と、負債の増加なので、仕訳は…、

 借方:仮受金 14,000

 貸方:未成工事受入金 14,000

 …となります。

設問5‐貸倒引当金

 

 貸倒引当金の処理です。

 問題文には、「売上債権(上記1 の不渡手形を除く)の期末残高の2%について貸倒引当金を計上する(差額補充法)。」とあります。

 さて、貸倒引当金の計算ですが、残高の変化に注意してください。

 まず、「受取手形」の残高は、設問1で変化しています。

 受取手形は、「442000-120000」の「430,000」で計算します。

 次いで、「完成工事未収入金」ですが、これも、設問4で変化しています。

 完成工事未収入金は、「602,000-7000」の「595,000」で計算します。

 んなもんで、売上債権は、「430,000+595,000」で「1,025,000」となります。

 問題文には、「期末残高の2%について貸倒引当金を計上」とあるので…、

 「1,025,000*0.02」の「\20,500」が計上額(B/S額)となります。

 んで、本問は、「(差額補充法)」との指示があります。

 貸倒引当金の残高は、「19,500」なので、「20,500-19,500」の「\1,000」を計上することになります。

 費用の認識と、負債の減少なので、仕訳は…、

 借方:貸倒引当金繰入額 1,000

 貸方:貸倒引当金 1,000

 …と相なります。

 さて、設問1のところで述べましたが、「差額補充法」の計算の際は、1で設定した貸倒引当金を含めて計算してはいけません。

 設問5の引き当て処理は、言うなれば、「通常の債権」が対象です。

 設問1の債権は、「不渡手形」という「通常ではない(異常な)債権」が対象なので、通常の貸倒引当金とは別物になっています。ここは、注意です。

設問6‐減価償却

 

 減価償却の処理です。

 そこそこ手を焼く設問です。何回も解いて、慣れておきましょう。

 まず、①の「機械装置(工事現場用) 実際発生額¥43,000・・・なお、月次原価計算において、月額¥3,500を未成工事支出金に予定計上しており、当期の予定計上額と実際発生額との差額は当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する」ですが、予定計上額を計算します。

 予定計上額は、「3,500*12ヶ月」の「\42,000」です。

 んで、実際発生額は、「\43,000」となっています。

 機械減価償却累計額のT字勘定を書くと…、

 

 …となります。

 「機械減価償却累計額」の貸方が「\1,000」、不足しているので、これを埋めようとすると…、

 借方:配賦差異 1,000

 貸方:機械減価償却累計額 1,000

 …という仕訳をきればよいことになります。

 んで、問題文では、配賦差異は、「未成工事支出金」で加減せよとあるので…、

 借方:未成工事支出金 1,000

 貸方:機械減価償却累計額 1,000

 …と相なります。

 次に、②の「備品(本社用) 以下の事項により減価償却費を計上する。・・・取得原価¥95,000、残存価額ゼロ、耐用年数5年、減価償却方法:定額法」です。

 これは普通の減価償却の処理です。

 注意すべきは、「備品(本社用)」となっているところです。

 よって、当該減価償却費は、「販管費」で計上することになります。

 取得原価¥95,000、残存価額ゼロ、耐用年数5年、減価償却方法は定額法です。

 「95000/5」の「\19,000」が計上されることになります。

 仕訳は…、

 借方:販管費 19,000

 貸方:備品減価償却累計額 19,000

 …と相なります。

 >>> 続きはこちら。

全解答

 念のため、すべての答えを挙げておくと…、

 

 …こうなっています。




24回

 index

第1問:仕訳

 1問:有価証券・・・「ふつう」。

 2問:完成工事補償引当金・・・「ふつう」。

 3問:利益処分・・・「ふつう」。

 4問:減価償却・・・「ふつう」。

 5問:収益認識・・・「ふつう」。

第2問:文章問題

 1問:未成工事支出金・・・「ふつう」。

 2問:工事進行基準・・・「ふつう」。

 3問:社債償還・・・「ふつう」。

 4問:総合償却法・・・「難」。

第3問:計算問題

 部門費配分・・・「ふつう」。

第4問 個別問題

 1問:理論問題・・・「ふつう」。

 2問:工事別原価計算・・・「ふつう」。

第5問 総合問題

 精算表:設問1~3・・・「ふつう」。

 精算表:設問4~6・・・「ふつう」。

 精算表:設問7~10・・・「ふつう」。

PDF過去問の閲覧

 結論から言うと、PDF形式の過去問でイライラしている人は、「タブレット」で閲覧する、といった次第です。

 

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 簿記2級では必須の高品質電卓と避けるべきペラペラ計算機

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建設業経理士2級のこまごましたもの

 建設業経理士に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。

 「建設業経理士の投稿記事」をばご参考ください。

 合格体験記は「建設業経理士2級の合格体験記」で、合格証書は「建設業経理士2級の合格証書」です。

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