本問は『工事別原価計算』の問題。第24回試験の第4問‐個別問題の2問目の難易度は「ふつう」。ふつうの計算問題です。建設業経理士2級の定番の問題で、難しいところはありません。計算ミスに気をつけて、落ち着いて電卓を叩きましょう。解説とともに、注意点なども述べていきます。
◇問題◇
(クリックして拡大。)
本問のレベルは「ふつう」です。
落ち着いて計算すれば、まず間違いなく、点の取れる問題です。
焦らなくていいです。ゆっくりでいいです。正確に電卓を叩いていきましょう。
計算ミスによる再計算こそが、最大のロスです。
第4問のコツは、“とりあえず、問題文と資料と解答用紙を、3回見る”です。
第4問は、これこれこうしたらよい、という解き方がありません。
先の問題文と資料と解答用紙の3つをつらつら眺めているうちに、(この数字は、ここに記入していくんでないかい?!)的な検討がついてきます。
受験生のうち、本問を即効で解ける人は、ほとんどいません。
大半の受験生は、(これはあーして、ここはこーするみたい)的に、うだうだ考えています。
まずは、「3回」見てから、解答に入ってください。
問題文には、「前月から繰り越した工事原価に関する各勘定の前月繰越高は、次のとおりである。」とあり、次いで、資料(表)が続いています。
んなもんで、資料の「未成工事支出金」は、解答用紙の「月初未成工事原価」に集計しそう、という見当が付きます。
では、資料の各費用の数字を、計算機で叩いていきましょう。
X工事は、「389,000+133,000+542,000+125,000」なので、合計は、「\1,189,000」となります。
Y工事は、「501,000+164,000+623,000+142,000」なので、合計は、「\1,430,000」となります。
これで、X工事とY工事の「月初未成工事原価」の欄を、埋めることができます。
では、「当月発生工事原価」のところを、埋めていきましょう。
やる事は、普通の計算です。
問題文には、「労務費に関するデータ」があるので、これを元に、表を埋めていきます。
問題文には、「労務費計算は予定賃率を用いており、当会計期間の予定賃率は時間当たり¥1,000である。」とありますから、「@1000」を元に、掛け算するだけです。
X工事は「52時間」なので、「1000*52」の「\52,000」が「X工事の労務費」となります。
Y工事は「64時間」なので、「1000*64」の「\64,000」が「Y工事の労務費」となります。
Z工事は「115時間」なので、「1000*115」の「\115,000」が「Z工事の労務費」となります。
総計も、ついでに出してしまいます。
X・Y・Z工事のそれぞれを足し算すると、「52000+64000+115000」の「231,000」となります。
ここまで至れば、検算もしてしまいます。
総時間は「52+64+115」の「231時間」です。総計は、「1000+*231」の「231,000」となります。
これで、計算が正しかった事がわかります。
なお、労務費の欄ですが、解答用紙では、「2番目」の欄です。
記入するところを、絶対に間違えないようにしましょう。本試験という、緊張するときだと、得てして起きるケアレスミスです。
解答用紙に記入の際は、『指差し確認』をして、記入を始めます。転ばぬ先の配偶者です。
材料費と外注費、直接経費の工事直接費ですが、資料と解答用紙を眺めると、表の数字を、そっくりそのまま、転記するだけなのがわかります。
注意すべきは、転記ミスです。
意外によく起きるケアレスミスなので、先ほど同様、資料と解答用紙とを『指差し確認』した後で、転記していってください。
繰り返しますが、ケアレスミスこそ、最大の時間のロスです。
転記できたら、それぞれの合計を計算してください。
工事間接費は、資料の指示に基づいて処理します。
計算上、必要な指示は…、
1 工事間接費については直接原価基準による予定配賦法を採用している。
2 当会計期間の直接原価の総発生見込額は¥20,600,000である。
3 当会計期間の工事間接費予算額は¥721,000である。
…の3つです。
上記指示に従って、細々した計算を行ないます。
本問では、直接原価基準で予定配賦しています。
んなもんで、各工事の「直接原価」を計算しなくてはいけません。
直接原価とは、先の「材料費」と「労務費」と「外注費」と「直接経費」が該当します。解答用紙を見ながら集計していくと…、
X工事の直接原価は、「76,000+52,000+127,000+43,000」の「\298,000」となります。
Y工事の直接原価は、「116,000+64,000+228,000+62,000」の「\470,000」となります。
Z工事の直接原価は、「281,000+115,000+458,000+94,000」の「\948,000」となります。
これらの数字を書くところがないので、問題用紙の余白にでも、メモしていきましょう。
問題の指示によると…、
「2 当会計期間の直接原価の総発生見込額は¥20,600,000である。」
「3 当会計期間の工事間接費予算額は¥721,000である。」
…となっています。
これらの数字を元に、予定配賦率を計算します。割り算をするだけです。
「721,000/20,600,000」の「3.5%」が配賦率となります。
各工事ごとの直接原価に、先に求めた配賦率「3.5%」を掛けて、工事間接費を計算します。
X工事の直接原価は、「\298,000」です。「3.5%」を掛けると「\10,430」となります。
Y工事の直接原価は、「\470,000」です。「3.5%」を掛けると「\16,450」となります。
Z工事の直接原価は、「\948,000」です。「3.5%」を掛けると「\33,180」となります。
ここまで来たら、工事間接費の集計も出しましょう。
「10,430+16,450+33,180」の「\60,060」が工事間接費の合計となります。
資料には、「月末にはX工事とZ工事が完成した。」とあります。
X工事とZ工事は、当月に完成しているので、それぞれの「当月完成工事原価」を計算します。
「当月完成工事原価」は、「月初未成工事原価」と「当月発生工事原価(材料費と労務費と外注費と直接経費と工事間接費)」の合計となります。
解答用紙の数字を見ながら、集計していきましょう。
X工事の当月完成工事原価は、「1,189,000+76,000+52,000+127,000+43,000+10,430」の「\1,497,430」となります。
Z工事の当月完成工事原価は、「281,000+115,000+458,000+94,000+33,180」の「\981,180」となります。
後は、計算した数字を、解答用紙に埋めていくだけです。
Y工事は、いまだ工事中です。んなもんで、「月末未成工事原価」を計算することになります。
まあ、要領的には、先と同じで、「月初未成工事原価」と「当月発生工事原価(材料費と労務費と外注費と直接経費と工事間接費)」を計算するだけです。
Y工事の月末未成工事原価は、「1,430,000+116,000+64,000+228,000+62,000+16,450」の「\1,916,450」となります。
後は、計算した数字を、解答用紙に埋めていくだけです。
やっと、終わりが見えてきました。後は、工事間接費配賦差異月末残高を出すだけです。
資料から、解答に必要なものを抜き出すと…、
「工事間接費配賦差異¥9,500(借方残高)」
「工事間接費の当月実際発生額は¥58,000である。」
…のところが該当します。
実際発生額は「\58,000」なので、これが工事間接費の「借方」の数字となります。
んで、当期の工事間接費の配賦額は、先に計算したように、「\60,060」でした。これが工事間接費の「貸方」の数字となります。
「配賦差異の機械的作業‐建設業経理士2級の勉強」を参考に、「T字勘定」を書くと…、
ってな感じになります。
先のリンクページに従えば、「借方」の「\2,060」の部分を埋めるような、仕訳を切ると・・・
借方:工事間接費 2,060
貸方:配賦差異 2,060
…と相なります。
先のリンクページでも述べていますが、ここは、考え出すと、わけがわからなくなります。
んなもんで、“機械的に”、先のような“工事間接費を埋めるような仕訳”を切ってください。
配賦差異のT字勘定は、先の配賦差異「\2,060」と、問題文の「工事間接費配賦差異¥9,500(借方残高)」から作る事ができます。
当該T字勘定は…、
…ってな塩梅となります。
当該T字勘定から、残高を求めれば、「9,500-2,060」の「\7,040」が残高となります。
また、T字勘定の左側に残高があるので、「借方差異」となって、記号は「A」となります。
なお、答えには関係ありませんが、「借方差異」は、「不利差異」と言われます。
対して、「貸方差異」は、「有利差異」とも言われます。
万が一、こういう語句で出ても混乱しないように、憶えておきましょう。
答えは…、
…です。
1問:有価証券・・・「ふつう」。
2問:完成工事補償引当金・・・「ふつう」。
3問:利益処分・・・「ふつう」。
4問:減価償却・・・「ふつう」。
5問:収益認識・・・「ふつう」。
1問:未成工事支出金・・・「ふつう」。
2問:工事進行基準・・・「ふつう」。
3問:社債償還・・・「ふつう」。
4問:総合償却法・・・「難」。
部門費配分・・・「ふつう」。
1問:理論問題・・・「ふつう」。
2問:工事別原価計算・・・「ふつう」。
精算表:設問1~3・・・「ふつう」。
精算表:設問4~6・・・「ふつう」。
精算表:設問7~10・・・「ふつう」。
結論から言うと、PDF形式の過去問でイライラしている人は、「タブレット」で閲覧する、といった次第です。
当方、PDF過去問の閲覧には、12インチのタブレットを使いますが、「紙」の過去問と遜色なく、問題演習に集中できています。
公式のPDF過去問は、スマホだと画面が小さくて問題文が読み難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。
本格的な“問題演習”には、「タブレット」が最も勝手がよく、ストレスが少ないというのが実感とするところです。
PDFタイプの過去問演習でイライラしている方は、「タブレット」の活用を勧めます。押入れから出してみてください。
なお、手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。
アンドロイド製のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安く、もちろん、PDFの閲覧も可能で、コストパフォーマンスが秀逸です。
とりわけ、スマホしか持ってない方に勧めます。小さい画面での問題演習は、倍疲れます。
受験が終わっても、アレコレ使えますし、安価なサブ機としても使えます。これを機に「Fire HD」を買っても、損はないです。
教材の詳細は「教材レビュー」で述べていますが、読むのが面倒な方は…、
簿記2級持ちの方は、ネットスクールの「建設業経理士 過去問題集&テキスト 2級 出題パターンと解き方」1冊で事が足ります。
簿記3級持ちの方は、テキストと問題集は、TACの「スッキリわかる 建設業経理士2級」と「スッキリとける問題集 建設業経理士2級」を…、
過去問には、「合格するための過去問題集 建設業経理士2級 」を使えばよいでしょう。
建設業経理士2級は、市販されている教材が少ないので、大概、こうなるかと思います。試験会場でも、多くの人が同じような教材を手にしていました。
ところで、電卓です。
100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。
高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。
左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。
考えるのが面倒な人は、わたしが愛用している「DF-120GT」にすればよいでしょう。これで支障ありません。建設業経理士もこれで受験しました。
建設業経理士に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。
「建設業経理士の投稿記事」をばご参考ください。
合格体験記は「建設業経理士2級の合格体験記」で、合格証書は「建設業経理士2級の合格証書」です。
★みんなとシェアする