第24回‐文章問題 過去問(H30/9実施)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は『社債償還』の処理です。第24回試験の第2問‐文章問題の3問目の難易度は「ふつう」。買入償還の基礎的な処理の問題で、知っていさえいれば、難しいところはありません。テキストと過去問を繰り返しておけば、取れます。

第3問‐社債償還

 ◇問題◇

 

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解説

 結論から言うと、「答えはこちら」です。

 本問のレベルは「ふつう」です。

 あまり出ない論点ですが、試験範囲には入っています。

 「社債」そのものは、頻出論点です。できなければ、何回も解いて、おさらいしておきましょう。

 ところで、「借方」は「左がわ」で、フォーク・お茶碗・スマホを持つ方です。

 対して、「貸方」は「右がわ」で、ナイフ・お箸を持ったり、配偶者にゴマ油をかけるときの方です。

ポイント1‐前期期首

 本問のポイントは、『前提』を把握することです。

 問題文には、「前期の期首に社債券面総額¥30,000,000(償還期限5年)を額面¥100につき¥97で発行した」とあります。

 つまり、前期期首には…、

 借方:現金など 29,100,000

 貸方:社債 29,100,000

 …という仕訳が切られていた、ってな寸法です。

 なお、「29,100,000」という数字ですが、「額面¥100につき¥97」で発行しているので、「30,000,000×97%」的な計算で求められます。

 社債の発行については、社債の額面金額ではないので、注意してください。実際の入金額で処理します。

ポイント2‐前期期末

 さて、社債が発行されたのは、前期期首です。

 忘れてならないのは、前期の期末で行なう社債発行差金の償却です。

 問題文には、「社債発行差金は償還期間にわたり定額法により償却している」とあります。

 んなもんで、前期の期末には、社債の額面と発行価額の「差=社債発行差金」を、償却している、ってな寸法です。

 当該償却には、「社債利息」の勘定で処理します。

 んで、当該「社債利息」の分だけ、貸方の「社債」を増やす処理を行ないます。

 んでは、前期期末における償却を計算しましょう。

 額面と発行価額の「差」は、「30,000,000-29,100,000」で「\900,000」です。

 社債の償却は、『月割り』です。

 本問では、償還期限は5年なので、分母が「5*12」の「60ヶ月」となります。

 んで、期首発行なので、償却月数は、「12ヶ月」となります。

 これらの数字で計算すると…、

 900000*12/60

 …で、「\180,000」が、前期の償却額となります。

 この数字で仕訳を切ると…、

 借方:社債利息 180,000

 貸方:社債 180,000

 …と相なります。

 つまり、当期期首には、「社債」が「29,100,000+180,000」の「\29,280,000」が計上されているってな寸法です。

 これで、ようやく、当期の処理に入れます。

ポイント3‐当期の償却

 役者はそろったので、当期の買入償還に入ります。

 問題文には、「¥5,000,000を当期の期末に額面¥100 につき¥101で買入償還した。」とあります。

 買い入れた社債の「帳簿価額」を求めます。

 ここで忘れてはいけないのは、「当期の期末に(略)買入償還した」ことです。

 そう、前期同様、当期でも、社債発行差金の処理を行なわないといけない、ってな次第です。

 処理は、先と同様です。

 額面と発行価額の「差」は、「30,000,000-29,100,000」で「\900,000」です。

 償還期限は5年なので、分母が「5*12」の「60ヶ月」で、当期の償却月数は、「12ヶ月」となります。

 これらの数字で計算すると…、

 900000*12/60

 …で、「\180,000」が、当期の償却額となります。

 この数字で仕訳を切ると…、

 借方:社債利息 180,000

 貸方:社債 180,000

 …と相なります。

 つまり、当期期末には、「社債」が「29,280,000+180,000」で「\29,460,000」が計上されているってな寸法です。

ポイント3‐当期の買入償還

 当期期末の「社債」の帳簿価額は、先に見たように、「\29,460,000」です。

 んで、買入償還したのは、額面「\30,000,000」のうち「\5,000,000」分です。

 んなもんで、「比」を計算すると…、

 5,000,000:30,000,000=X:29,460,000

 1:6=X:29,460,000

 6X=29,460,000

 X=4,910,000

 …となり、買い入れた社債「\5,000,000」の帳簿価額は、「\4,910,000」なことがわかります。

ポイント4‐当期の支払額

 社債の買い入れに伴う支払額を求めます。

 これは、カンタンです。

 「額面¥100 につき¥101」なので、「5,000,000*101%」で「\5,050,000」が買い入れ額です。

ポイント5‐損益の計算

 買い入れた社債の帳簿価額は、「\4,910,000」です。

 支払った金額は、「\5,050,000」です。

 んなもんで、「4,910,000-5,050,000」で、「\-140,000」の損失が出た事がわかります。当該数字が答えです。

補足‐仕訳

 本問は、計算問題ですが、仕訳問題で出る可能性もあります。

 当該買入償還の処理の仕訳ですが、「償却」の仕訳は…、

 借方:社債利息 180,000

 貸方:社債 180,000

 …と相なります。

 んで、買い入れ時の処理は…、

 借方:社債 4,910,000

 借方:社債償還損 140,000

 貸方:現金とか 5,050,000

 …と相なります。

 仕訳も狙われるので、きっちり切れるようになっておきましょう。

こたえ

 答えは…、

 

 …です。

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24回

 index

第1問:仕訳

 1問:有価証券・・・「ふつう」。

 2問:完成工事補償引当金・・・「ふつう」。

 3問:利益処分・・・「ふつう」。

 4問:減価償却・・・「ふつう」。

 5問:収益認識・・・「ふつう」。

第2問:文章問題

 1問:未成工事支出金・・・「ふつう」。

 2問:工事進行基準・・・「ふつう」。

 3問:社債償還・・・「ふつう」。

 4問:総合償却法・・・「難」。

第3問:計算問題

 部門費配分・・・「ふつう」。

第4問 個別問題

 1問:理論問題・・・「ふつう」。

 2問:工事別原価計算・・・「ふつう」。

第5問 総合問題

 精算表:設問1~3・・・「ふつう」。

 精算表:設問4~6・・・「ふつう」。

 精算表:設問7~10・・・「ふつう」。

PDF過去問の閲覧

 結論から言うと、PDF形式の過去問でイライラしている人は、「タブレット」で閲覧する、といった次第です。

 

 当方、PDF過去問の閲覧には、12インチのタブレットを使いますが、「紙」の過去問と遜色なく、問題演習に集中できています。

 公式のPDF過去問は、スマホだと画面が小さくて問題文が読み難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。

 本格的な“問題演習”には、「タブレット」が最も勝手がよく、ストレスが少ないというのが実感とするところです。

 PDFタイプの過去問演習でイライラしている方は、「タブレット」の活用を勧めます。押入れから出してみてください。

 なお、手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。

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独学向け教材

 教材の詳細は「教材レビュー」で述べていますが、読むのが面倒な方は…、

 簿記2級持ちの方は、ネットスクールの「建設業経理士 過去問題集&テキスト 2級 出題パターンと解き方」1冊で事が足ります。

 簿記3級持ちの方は、テキストと問題集は、TACの「スッキリわかる 建設業経理士2級」と「スッキリとける問題集 建設業経理士2級」を…、

 過去問には、「合格するための過去問題集 建設業経理士2級 」を使えばよいでしょう。

 建設業経理士2級は、市販されている教材が少ないので、大概、こうなるかと思います。試験会場でも、多くの人が同じような教材を手にしていました。

 ところで、電卓です。

 100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。

 高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。

 簿記2級では必須の高品質電卓と避けるべきペラペラ計算機

 左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。

 高品質な計算機

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建設業経理士2級のこまごましたもの

 建設業経理士に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。

 「建設業経理士の投稿記事」をばご参考ください。

 合格体験記は「建設業経理士2級の合格体験記」で、合格証書は「建設業経理士2級の合格証書」です。

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