建設業経理士2級の理論問題対策。「工事原価・非工事原価」の試験対策を述べる。独学者向け。財務諸表の知識が要るので、簿記2級合格者なら余裕だが、2級がないと苦戦する難論点。わかるところだけやるのが一番効率的。深みにはまると時間のロス。配点は8点だが、4点取れたら御の字。
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建設業経理士2級の理論問題には、「工事原価・非工事原価」という少し「難」な論点があります。
「ある費用」が「工事原価に該当するか否か」が問われるのですが、当該論点は財務諸表の知識がないと厳しいです。
簿記2級のある人なら(さんざん苦しめられたので)、当該論点は問題ありません。
しかし、2級を持っていないと、実にわかりにくい論点です。
試験対策は、「できるところだけ」です。どうにもアレだったら、「ド暗記事項」だけ頭に叩き込んでおきましょう。
細かいことは置いといて、「正確ではないが、こういう感じで見ておけば、1~2問は取れる」理屈を紹介します。
「完成工事原価報告書」関係の費用は、「工事原価」にします。
「販売費および一般管理費」関係の費用の費用は、「総原価に含め、期間費用として処理」にします。
上記以外は、「非原価」にします。
たとえば、完成工事原価報告書に記載する、労務費や材料費、外注費は、「工事原価」となる、といった次第です。
たとえば、本社の電気代や水道代は、「販売費および一般管理費」に計上するので、「総原価に含め、期間費用として処理」する、といった塩梅です。
たとえば、有価証券の売却損や評価損は、「完成工事原価報告書」と「販売費および一般管理費」に絡んでこないので、「非原価」とする、といった次第です。
なかには、上記やり方では処理できないものがありますが、だいたいは“合って”います。
完全解答を目指している人には勧めませんが、財務諸表をよく知らないので失点は覚悟の上、1~2問(2~4点)取れたら御の字だという人は、上記やり口で凌いでください。
これだけの知識でも、1問(2点)は取れるようになります。
先述したように、財務諸表の素養がないと、きちんと解けません。
かといって、今から、「財務諸表入門」などという本を買っても時間の無駄です。財務系の入門書は、配偶者の手引書と同じくらい、少しもわからないからです。
ですから、「よくわからない」ときは、ガチ暗記で凌いでください。
これから述べる5つは「非原価」、と丸覚えしておけば、1~2問は取れるはずです。
なお、長ったらしい語句が多いので、以下、「完成工事原価報告書」は「報告書」に、「販売費および一般管理費」は「販管費」と略します。
・税金(法人税など)・・・「報告書」には載せないし、「販管費」にも計上しないので「非原価」。(※)
・支払利息・・・「報告書」には載せないし、「販管費」にも計上しないので「非原価」。
・手形売却損・・・「報告書」には載せないし、「販管費」にも計上しないので「非原価」。
・有価証券関係・・・「報告書」には載せないし、「販管費」にも計上しないので「非原価」。
・災害損失・・・「報告書」には載せないし、「販管費」にも計上しないので「非原価」。
(※)なお、「税金」の一部には、租税公課として「販管費」に入れる税金もあります。印紙税とかですが、まあ、試験には出ないとは思います。「税金」は「非原価」と憶えておいて支障はありません。もしこんな問題が出たら、バーカバーカと出題者を毒づいてください。
・経営に関係しない資産の管理費等・・・「報告書」には載せないし、「販管費」にも計上しないので「非原価」。
「経営に関係しない資産の管理費等」とは、投資目的の不動産や動産、有価証券、そのほかに、長年未稼働の設備などです。
これら「工事」に貢献しない費用を「原価」に含めちゃうと、数字が正確ではなくなるため、「非原価」として処理されます。
・寄付金・・・「報告書」には載せないし、「販管費」にも計上しないので「非原価」。
・配当金の支払い・・・「報告書」には載せないし、「販管費」にも計上しないので「非原価」。
・訴訟費用・・・「報告書」には載せないし、「販管費」にも計上しないので「非原価」。
試験にはまず出ないでしょうが、念のため。
「異常な仕損・異常な減損・異常な棚卸減耗」は、「報告書」には載せないし、「販管費」にも計上しないので「非原価」です。
たとえば、材料の木にシロアリが大発生して全部おしゃかになったとかの、偶発的で非日常的な損は、「非原価」となります。特別損失扱いです。
しかし、通常の「仕損・減損・棚卸減耗」は、「非原価」ではないので注意が必要です。
なお、通常の「仕損・減損・棚卸減耗」の処理(工事原価or販管費)は、問題に指定があるはずです。(厳密に決まっていないのです。)
本試験では、迷彩がかかったものがでるので、難です。
たとえば、「使用してきた工事用機械の売却損」です。
工事用との文言があるので、「工事原価」と考えがちです。
しかし、機械の売却は、よくあることではありません。ブルドーザーと食パンの購入頻度を比べてみてください。ですから、「工事原価」ではなく、「非原価」とします。
次の例題ですが、「材料倉庫用の土地取得のための借入金の利息」です。
これまた、「工事」に絡む「材料」という文言があるため、「工事原価」と考えがちです。
しかし、工事用のための借金とはいえ、「利息」は利息なので、「非原価」です。
端的に言うと、出題者は、敢えて「工事」という文言を使うことで、受験生を惑わしにかかっている、といった寸法です。
よくよく問題文を読んで、(工事と書いてるが、工事と“直に”関係ないジャンと、ご判断ください。
ぶっちゃけて言うと、わからないのは仕方がなく、深追いは禁物です。
わたしは簿記2級があったので、サクサクと、焼き立てスフレのように消化しましたが、もし、「簿記2級のないとき」の往時に、当該論点に遭遇したら絶望したことでしょう。
正直、当該「工事原価・非原価」の論点は、「半分取れたらいい」です。
本試験では、かなり迷彩の入った問題が出るため、よく勉強していても、そこそこ難しいです。
完全解答はあきらめて、他に活路を見出す方が、精神的に楽なはずです。
本試験で遭遇したら、運が悪かったなと思って、他の問題でカバーするよう勤めてください。
なお、建設業経理士2級の独学については「建設業経理士2級の独学」を…、
独学向け教材については、「教材レビュー」を参考ください。
2017年2月27日 10:58 AM
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