第26回‐個別問題 過去問(R1/9実施)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は『完成工事原価報告書』の問題。第26回試験の第4問の問2の難易度は「ふつう」。資料をキッチリ読んで、やるべき作業をつかめば、それで終わる問題です。怖いのは、ただただ、計算ミスです。カンタンな部類なので、落ち着いて解きましょう。

第2問‐完成工事原価報告書

 ◇問題◇

 

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解説

 結論から言うと、「報告書の答えはこちら」で、「配賦差異の答えはこちら」です。

 本問のレベルは「ふつう」です。

 奇を衒わない、ふつうの計算問題です。

 あっちに飛んだりこっちに飛んだりする問題なので、正確に、落ち着いて、計算機を叩きましょう。

 解いた後も、念のため、検算してください。

ポイント

 まず、資料に当たって、キーワードを“見抜いて”いきましょう。

 まずは、「1」の「当月の工事状況は次のとおりである。なお、収益の認識は工事完成基準を適用している。」です。

 「工事完成基準」なので、当月に未完成のものは、原価に含めないことになります。

 資料によると、工事:1202は、竣工が「来月以降」なので、最終的な工事原価の計算には、参入しないことになります。

 本試験にて、同種の問題を解くときは、資料の工事:1202のところには、「原価に含めない」くらいのメモ書きを傍記しておきましょう。

 なお、「竣工」とは、「完成」の意味です。

 次に、重要なキーワードは、「3」の「材料消費単価の決定方法は移動平均法による」です。

 「移動平均法」なので、仕入の都度、払い出し単価を計算することになります。

 致命的なものは、ざっとこのくらいです。

 この辺りが読み取れないと、点数できないので、注意してください。

解答用紙もチェック

 本問は、「完成工事原価報告書」の作成です。

 作業の前に、“どの数字が求められているか”を、チェックします。

 解答用紙を見ると、「材料費」「労務費」「外注費」「経費」しか、求められていません。

 つまりは、工事ごとの詳細な数字は、必要ではない、ってな次第です。

 んなもんで、メモ用紙には、「材料費」「労務費」「外注費」「経費」の“解答用のT字勘定を、作っておきましょう。

 

未成工事支出金

 工事:1001と、工事1101の「未成工事支出金」の資料があります。

 これらの数字は、そっくり、先に切った「材料費」「労務費」「外注費」「経費」のT字勘定に、「繰越」くらいのメモをして、記入していきます。

 ここは、「これだけ」です。

材料費の計算

 では、「3」の「材料費」の計算からしていきましょう。

 「1日」の在庫は、1800kgで@100です。

 「3日」に、工事:1001に、100kgが投入されています。

 @100ですから、「100*100」で「10,000」が投入されています。

 材料費のT字勘定に、「1001・・・10,000」と、記入しましょう。

 「5日」に、工事:1101に、1200kgが投入されています。

 @100ですから、「1200*100」の「120,000」が使用されました。

 材料費のT字勘定に、「1101・・・120,000」と、記入しましょう。

 「7日」には、仕入があります。

 残っているのは、500kgで、@100です。よって、「500*100」の「50,000」が在庫です。

 仕入は、1500kgで、@120です。よって、仕入価額は、「1500*120」の「180,000」です。

 ここで、新単価を、「移動平均法」で、計算します。

 価額は、「50000+180000」で「230000」です。

 数量は、「500+1500」で、「2000kg」です。

 「230000/2000」で、「@115」が新しい単価となります。

 「10日」に、工事:1201に、1000kgが投入されています。

 言うまでもなく、新単価の「@115」で、計算します。

 「1000*115」の「115000」が使用されたことになります。

 材料費のT字勘定に、「1201・・・115,000」と、記入しましょう。

 「14日」には、またも、仕入があります。

 在庫は、1000kgで、@115です。よって、価額は、「1000*115」の「115000」です。

 仕入は、1500kgで、@110です。よって、価額は、「1500*110」の「165000」です。

 新単価を計算します。

 価額合計は、「115000+165000」の「280000」です。

 数量合計は、「1000+1500」の「2500kg」です。

 「280000/2500」で、新単価は、「@112」となります。

 「18日」には、工事:1202に、1000kgが使用されています。

 「1000*112」の「112,000」が使用されたことになります。

 材料費のT字勘定に、「1202・・・112,000」と、記入しましょう。

 しかし、思い出してください。工事:1202は、当月では、未完成です。「工事完成基準」なので、当該材料費は、工事原価の対象となりません。

 よって、当該金額「112,000」は、「未成工事支出金」の「次期繰越」となる数字です。

工事直接費

 資料「4」の工事直接費ですが、難しくはありません。

 それらの数字を、先の解答用のT字勘定に、転記するのみです。

 落ち着いて、指差し確認をしながら、転記していってください。

 しかし、思い出してください。工事:1202は、当月では、未完成です。「工事完成基準」なので、工事原価の対象となりません。

 工事:1202のは、「未成工事支出金」の「次期繰越」となる数字です。

工事間接費A

 A部門費は、「直接材料費」基準です。

 予定配賦率は、「5%」です。

 「材料費」は、先に計算して算出したものを利用します。

 材料費の数字は…、

 1001:10,000

 1101:120,000

 1201:115,000

 1202:112,000

 …でした。

 んで、個々に「5%」を掛けると…、

 1001:10,000*5%=500

 1101:120,000*5%=6,000

 1201:115,000*5%=5,750

 1202:112,000*5%=5,600

 …となります。

 差異の計算は、「後回し」にします。

 さて、資料によると、工事間接費は、「経費」で処理されるとあります。

 ここで、思い出してください。

 工事:1202は、未完成なので、工事原価の対象外です。

 工事:1202の「5,600」は、「未成工事支出金」の「次期繰越」となる数字です。

 経費の計算においては、工事:1202は、含めないので、注意してください。

工事間接費B

 B部門費は、「直接作業時間」基準です。

 予定配賦率は、「1時間当たり1,800」です。

 資料から…、

 1001:12h*1800=21,600

 1101:24h*1800=43,200

 1201:42h*1800=75,600

 1202:16h*1800=28,800

 …です。

 差異の計算は、「後回し」にします。

 さて、ここで、思い出してください。

 工事:1202は、未完成なので、工事原価の対象外です。

 工事:1202の「28,800」は、「未成工事支出金」の「次期繰越」となる数字です。

 経費の計算においては、工事:1202は、含めないので、注意してください。

集計する

 文字で見るのは面倒なので、画像にすると…、

 

 …です。

 以下の記述は、この画像の計算です。

 材料費のT字勘定を合計します。

 「借方」は、「216000+118000+10000+120000+115000+112000」です。

 ここから、次期繰越の工事:1202の「112,000」を引いて、「579,000」が工事原価となり、解答となります。

 労務費のT字勘定を合計します。

 「借方」は、「294000+171000+52000+115000+186000+62000」です。

 ここから、次期繰越の工事:1202の「62000」を引いて、「818,000」が工事原価となり、解答となります。

 外注費のT字勘定を合計します。

 「借方」は、「680000+396000+92000+134000+325000+108000」です。

 ここから、次期繰越の工事:1202の「108000」を引いて、「1,627,000」が工事原価となり、解答となります。

 直接経費のT字勘定を合計します。

 「110000+64000+31000+56000+65000+28000」が「借方」の合計です。

 ここから、次期繰越の工事:1202の「28000」を引いて、「326,000」が、工事原価となります。

 間接経費のT字勘定を合計します。

 「500+6000+5750+5,600+21600+43200+75600+28800」が「借方」の合計額です。

 ここから、次期繰越の工事:1202の「5600+28800」を引いて、「152,650」が、工事原価となります。

 直接費と間接費の合計「326000+152650」の「478,650」が、最終的な経費となります。

 完成工事原価の総計は、「579,000+818,000+1627000+478650」の「3,502,650」です。

 答えです。

 

配賦差異の計算‐A部門費

 配賦差異の計算をします。

 「配賦差異の機械的作業‐建設業経理士2級の勉強」のやり方に準拠しています。

 さて、先に計算したA部門費の予定配賦額は…、

 1001:10,000*5%=500

 1101:120,000*5%=6,000

 1201:115,000*5%=5,750

 1202:112,000*5%=5,600

 …でした。

 合計は、「500+6000+5750+5600」の「17,850」。

 資料によると、A部門費の実際発生額は、「\16,950」とあります。

 よって、差額は「17850-16950」の「900」となります。

 実際発生額は「借方」で、予定配賦は「貸方」でした。

 つまり、A部門費は、「実際発生額 16,950 / 配賦額 17,850」なわけです。

 「借方」が少ないので、「借方」を「900」増やす仕訳を考えると…、

 借方:A部門費 900

 貸方:A部門費配賦差異 900

 …となります。

 さて、資料2の(2)によると、「工事間接費配賦差異A部門¥3,600(借方残高)」とあります。

 先の仕訳によって、A部門費配賦差異の貸方に、900が計上されます。

 んなもんで、A部門費配賦差異の残高は、「3600-900」の「2700(借方残高)」となります。

配賦差異の計算‐B部門費

 次に、B部門費の配賦差異を見ていきます。

 B部門費の予定配賦額は…、

 1001:12h*1800=21,600

 1101:24h*1800=43,200

 1201:42h*1800=75,600

 1202:16h*1800=28,800

 …です。

 予定配賦の合計は、「21,600+43200+75600+28800」の「169,200」となります。

 資料によると、B部門費の実際発生額は、「\172,200」とあります。

 よって、差額は「172200-169200」の「3,000」となります。

 実際発生額は「借方」で、予定配賦は「貸方」でした。

 つまり、B部門費は、「実際発生額 172,200 / 配賦額 169,200」なわけです。

 貸方の方が少ないので、「貸方」を「3,000」増やす仕訳を考えると…、

 借方:B部門費配賦差異 3,000

 貸方:B部門費 3,0000

 …となります。

 資料2の(2)によると、「工事間接費配賦差異 B部門¥5,000(貸方残高)」とあります。

 先の仕訳によって、B部門費配賦差異の「借方」に、3,000が計上されます。

 んなもんで、B部門費配賦差異の残高は、「5000-3000」の「2000(貸方残高)」となります。

配賦差異の解答

 A部門費配賦差異の残高は、「3600-900」の「2700(借方残高)」です。

 B部門費配賦差異の残高は、「5000-3000」の「2000(貸方残高)」です。

 「2700-2000」の「700」が、配賦差異の月末残高です。

 借方のほうが多いので、「借方残高」となります。んなもんで、記号は、「A」となります。

 答えです。

 

まとめとこたえ

 答えは…、

 

 

 …です。

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26回

 インデックス

第1問:仕訳

 1問:売買目的有価証券・・・「ふつう」。

 2問:営業外支払手形・・・「ふつう」。

 3問:購入時材料費処理法・すくい出し方式・・・「ふつう」。

 4問:貸倒処理・・・「難」。

 5問:新株発行・・・「ふつう」。

第2問:文章問題

 1問:本支店会計・内部利益・・・「ふつう」。

 2問:工事進行基準・・・「ふつう」。

 3問:消費税・・・「ふつう」。

 4問:配当処理・・・「ふつう」。

第3問 計算問題

 1問:計算問題・・・「ふつう」

第4問 個別問題

 理論問題・・・「ふつう」

 完成工事原価報告書・・・「ふつう」

第5問 総合問題

 精算表:インデックス・ポイント・・・「ふつう」。

 精算表:設問1・・・「やや難」。

 精算表:設問2・・・「ふつう」。

 精算表:設問3・・・「難」。

 精算表:設問4・・・「ふつう」。

 精算表:設問5・・・「ふつう」。

 精算表:設問6・・・「ふつう」。

 精算表:設問7・・・「ふつう」。

 精算表:設問8・・・「ふつう」。

 精算表:設問9・・・「ふつう」。

 精算表:設問10・・・「難」。

PDF過去問の閲覧

 結論から言うと、PDF形式の過去問でイライラしている人は、「タブレット」で閲覧する、といった次第です。

 

 当方、PDF過去問の閲覧には、12インチのタブレットを使いますが、「紙」の過去問と遜色なく、問題演習に集中できています。

 公式のPDF過去問は、スマホだと画面が小さくて問題文が読み難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。

 本格的な“問題演習”には、「タブレット」が最も勝手がよく、ストレスが少ないというのが実感とするところです。

 PDFタイプの過去問演習でイライラしている方は、「タブレット」の活用を勧めます。押入れから出してみてください。

 なお、手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。

 アンドロイド製のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安く、もちろん、PDFの閲覧も可能で、コストパフォーマンスが秀逸です。

 とりわけ、スマホしか持ってない方に勧めます。小さい画面での問題演習は、倍疲れます。

 受験が終わっても、アレコレ使えますし、安価なサブ機としても使えます。これを機に「Fire HD」を買っても、損はないです。

独学向け教材

 教材の詳細は「教材レビュー」で述べていますが、読むのが面倒な方は…、

 簿記2級持ちの方は、ネットスクールの「建設業経理士 過去問題集&テキスト 2級 出題パターンと解き方」1冊で事が足ります。

 簿記3級持ちの方は、テキストと問題集は、TACの「スッキリわかる 建設業経理士2級」と「スッキリとける問題集 建設業経理士2級」を…、

 過去問には、「合格するための過去問題集 建設業経理士2級 」を使えばよいでしょう。

 建設業経理士2級は、市販されている教材が少ないので、大概、こうなるかと思います。試験会場でも、多くの人が同じような教材を手にしていました。

 ところで、電卓です。

 100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。

 高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。

 簿記2級では必須の高品質電卓と避けるべきペラペラ計算機

 左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。

 高品質な計算機

 考えるのが面倒な人は、わたしが愛用している「DF-120GT」にすればよいでしょう。これで支障ありません。建設業経理士もこれで受験しました。

建設業経理士2級のこまごましたもの

 建設業経理士に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。

 「建設業経理士の投稿記事」をばご参考ください。

 合格体験記は「建設業経理士2級の合格体験記」で、合格証書は「建設業経理士2級の合格証書」です。

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