本問は、『計算問題』です。仕訳の転記とT字勘定の仕組みを理解していないと解けない問題です。建設業経理士2級も、単に、解き方を憶えるだけでは、ダメな試験に変わりつつあります。基本的なことの理解をシッカリしていきましょう。ただ、作業そのものは、カンタンです。
◇問題◇
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結論から言うと、「答えはこちら」です。
本問のレベルは「ふつう」です。
ただ、注意事項が、3点、あります。
1点目は、「資料読解」です。
資料を読み違えると、とんでもない計算結果が生じるので、シッカリと資料を読み込んでください。
2点目は、「T字勘定」への記入です。
頭だけで考えると、どんどんわからなくなるので、一度、仕訳を切って、考えるようにしましょう。
3点目は、「記号による解答が求められている」ところです。
解答用紙には、勘定科目ではなく、アルファベットの記号で解答します。
『書き忘れる』という、馬鹿馬鹿しいケアレスミスをしないようにしましょう。
絶対に、書き忘れて落ちた受験生がいるはずです。他山の石としてください。
最も丁寧に読むべきは…、
…のところです。
まず、『やってはいけない』ことから、見ていきましょう。
下のような…、
…ボックス図を作成してはいけません!!!
これは、全くの誤りです。
資料には、「工事原価」となっているのですから、それを勝手に、各材料費・労務費・外注費等に、誤読してはなりません。
先の画像の赤四角のところは、「未成工事支出金」の期首残高と期末残高に該当します。
んで、「当期の工事原価発生額」は、当期に発生した工事原価なので、そっくりそのまま、当期の「未成工事支出金」に計上されるものです。
解答に当たっては、まずは、ここに注意してください。
資料が把握できたら、解答作業に入りましょう。
左の「借方」から、見ていきましょう。
先述したように、資料の「工事原価期首残高」は、「未成工事支出金」の「期首残高」に該当します。
んなもんで、「92000+47000+137000+37000」の「313000」が「未成工事支出金」の「前期繰越」となります。
「当期の工事原価発生額」は、「未成工事支出金」に借方にそれぞれの費目があるので、そっくりそのまま、転記するだけです。
資料から…、
材料費 463,000
労務費 97,000
外注費 595,000
経費 92,000
…を、「未成工事支出金」のT字勘定に転記していきます。
転記が済めば、借方の合計を出しましょう。
「313000+463,000+97000+595000+92000」で「1,560,000」が借方の合計額となります。
では、右の「貸方」に、進みます。
資料の「工事原価次期繰越額」は、「未成工事支出金」の「次期繰越」に該当します。
んなもんで、「112000+62000+145000+43000」の「362000」が「未成工事支出金」の「期末残高」となります。
んで、先に借方の合計額を出しています。
借方と貸方は、同じ数字になるので、貸方も「1,560,000」となります。
よって、「1560000-362000」の「1,198,000」が、当期に完成した工事原価(完成工事原価)となります。
よって、当該「1,198,000」が、「未成工事支出金」から「完成工事原価」に、振替られることになります。
勘定科目は、「完成工事原価」ですが、本問では、記号指定があるので、「E」となります。
なお、簿記の学習の日が浅い人は、このあたりから、(???)となるはずです。
何だか訳がわからなくなったら、仕訳を切りましょう。
当該「1,198,000」が、「未成工事支出金」から「完成工事原価」に、振替られるのですから、要は、「完成工事原価」が増えて、「未成工事支出金」が減るので…、
借方:完成工事原価 1,198,000
貸方:未成工事支出金 1,198,000
…という仕訳を切ることになります。
当該仕訳をもとに、T字勘定への転記を、行ってみてください。
こうした塩梅で、「未成工事支出金」のT字勘定は…、
…と相なります。
「未成工事支出金」で切った仕訳をもとに、考えます。
まずは、借方です。
先の「未成工事支出金」では…、
借方:完成工事原価 1,198,000
貸方:未成工事支出金 1,198,000
…という仕訳を切りました。
んなもんで、「完成工事原価」のT字勘定に記載するのは「未成工事支出金」で、数字は「1,198,000」となります。
「未成工事支出金」は、記号指定があるので、「D」となります。
次に、貸方です。
勘定科目は、「損益」と印刷されているので、そのままです。
記載する数字は、借方と貸方は同額なので、そっくりそのまま、「1,198,000」を記入するだけです。
振替の仕訳は、以下です。
要は、借方計上の「完成工事原価」を減らすだけなので…、
借方:損益 1,198,000
貸方:完成工事原価 1,198,000
…という仕訳を切ることになります。
こうした塩梅で、「完成工事原価」のT字勘定は…、
…と相なります。
問題文には、「完成工事のうち請負金の支払が次期以降のものが¥452,000あった。」とあります。
資料には、「完成工事高」に関するものは、これくらいしか見当たらないので、これで、計算することになります。
さて、解答用紙には、既に、「未成工事受入金」が「1,117,000」が記載されています。
つまりは、以前に…、
借方:現金など 1,117,000
貸方:未成工事受入金 1,117,000
…という仕訳が切られていた、ってな次第です。
んで、工事収益の認識に伴う仕訳で…、
借方:未成工事受入金 1,117,000
貸方:完成工事高 1,117,000
…という仕訳が切られ、当該仕訳が、「完成工事高」のT字勘定に、反映しているわけです。
さて、先の問題文「完成工事のうち請負金の支払が次期以降のものが¥452,000あった」ですが、これは、要は、「未成工事受入金」では賄えなかったものを、売掛金(完成工事未収入金)として、認識している、ってな寸法です。
要は…、
借方:完成工事未収入金 452,000
貸方:完成工事高 452,000
…という仕訳が切られていた、ってな寸法です。
やっと、これで、「完成工事高」の貸方の合計額がわかります。
「452000+1117000」の「1,569,000」が貸方の合計額で、そっくりそのまま、借方の数字となります。
なお、T字勘定の記載は記号なので、「完成工事未収入金」は、「B」となります。
後は、「完成工事高」を、「損益」に振り替えるだけです。
要は、貸方計上の「完成工事高」を減らすだけなので…、
借方:完成工事高 1,569,000
貸方:損益 1,569,000
…という仕訳を切る、ってな寸法です。
T字勘定の記載は記号なので、「損益」は、「F」となります。
こうした塩梅で、「完成工事高」のT字勘定は…、
…と相なります。
「販管費」は、ボーナス問題です。
解答用紙の数字を、足し算して、損益に振り替えるだけです。
解答用紙から、「112000+103000」の「215,000」が「損益」に振り返られることになります。
振替の仕訳は、借方計上の「販管費」を減らすだけなので…、
借方:損益 215,000
貸方:販管費 215,000
…という仕訳を切る、ってな寸法です。
T字勘定の記載は記号なので、「損益」は、「F」となります。
こうした塩梅で、「販管費」のT字勘定は…、
…と相なります。
「損益」の出てきた仕訳をまとめましょう。
借方に「損益」が出てくるのは、費用系の…、
借方:損益 1,198,000
貸方:完成工事原価 1,198,000
…と…、
借方:損益 215,000
貸方:販管費 215,000
…です。
この仕訳をもとに、解答用紙のT字勘定に転記していきます。
「完成工事原価」の記号は「E」で、数字は「1,198,000」です。
「販管費」の記号は「G」で、数字は「215,000」です。
次に、貸方に「損益」が出てくるのは、収益系の…、
借方:完成工事高 1,569,000
貸方:損益 1,569,000
…です。
解答用紙に転記します。
「完成工事高」の記号は「A」で、数字は「1,569,000」です。
借方の「繰越利益剰余金」は、差額から求めます。
「1569000-1198000-215000」の「156,000」が「繰越利益剰余金」となります。
こうした塩梅で、「損益」のT字勘定は…、
…と相なります。
ぜんぶの答えは…、
…と相なります.
1問:売買目的有価証券・・・「ふつう」。
2問:営業外支払手形・・・「ふつう」。
3問:購入時材料費処理法・すくい出し方式・・・「ふつう」。
4問:貸倒処理・・・「難」。
5問:新株発行・・・「ふつう」。
1問:本支店会計・内部利益・・・「ふつう」。
2問:工事進行基準・・・「ふつう」。
3問:消費税・・・「ふつう」。
4問:配当処理・・・「ふつう」。
1問:計算問題・・・「ふつう」
理論問題・・・「ふつう」
精算表:インデックス・ポイント・・・「ふつう」。
精算表:設問1・・・「やや難」。
精算表:設問2・・・「ふつう」。
精算表:設問3・・・「難」。
精算表:設問4・・・「ふつう」。
精算表:設問5・・・「ふつう」。
精算表:設問6・・・「ふつう」。
精算表:設問7・・・「ふつう」。
精算表:設問8・・・「ふつう」。
精算表:設問9・・・「ふつう」。
精算表:設問10・・・「難」。
結論から言うと、PDF形式の過去問でイライラしている人は、「タブレット」で閲覧する、といった次第です。
当方、PDF過去問の閲覧には、12インチのタブレットを使いますが、「紙」の過去問と遜色なく、問題演習に集中できています。
公式のPDF過去問は、スマホだと画面が小さくて問題文が読み難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。
本格的な“問題演習”には、「タブレット」が最も勝手がよく、ストレスが少ないというのが実感とするところです。
PDFタイプの過去問演習でイライラしている方は、「タブレット」の活用を勧めます。押入れから出してみてください。
なお、手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。
アンドロイド製のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安く、もちろん、PDFの閲覧も可能で、コストパフォーマンスが秀逸です。
とりわけ、スマホしか持ってない方に勧めます。小さい画面での問題演習は、倍疲れます。
受験が終わっても、アレコレ使えますし、安価なサブ機としても使えます。これを機に「Fire HD」を買っても、損はないです。
教材の詳細は「教材レビュー」で述べていますが、読むのが面倒な方は…、
簿記2級持ちの方は、ネットスクールの「建設業経理士 過去問題集&テキスト 2級 出題パターンと解き方」1冊で事が足ります。
簿記3級持ちの方は、テキストと問題集は、TACの「スッキリわかる 建設業経理士2級」と「スッキリとける問題集 建設業経理士2級」を…、
過去問には、「合格するための過去問題集 建設業経理士2級 」を使えばよいでしょう。
建設業経理士2級は、市販されている教材が少ないので、大概、こうなるかと思います。試験会場でも、多くの人が同じような教材を手にしていました。
ところで、電卓です。
100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。
高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。
左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。
考えるのが面倒な人は、わたしが愛用している「DF-120GT」にすればよいでしょう。これで支障ありません。建設業経理士もこれで受験しました。
建設業経理士に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。
「建設業経理士の投稿記事」をばご参考ください。
合格体験記は「建設業経理士2級の合格体験記」で、合格証書は「建設業経理士2級の合格証書」です。
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