第26回‐理論問題 過去問(R1/9実施)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は、『計算問題』です。仕訳の転記とT字勘定の仕組みを理解していないと解けない問題です。建設業経理士2級も、単に、解き方を憶えるだけでは、ダメな試験に変わりつつあります。基本的なことの理解をシッカリしていきましょう。ただ、作業そのものは、カンタンです。

第3問‐計算問題

 ◇問題◇

 

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解説

 結論から言うと、「答えはこちら」です。

 本問のレベルは「ふつう」です。

 ただ、注意事項が、3点、あります。

 1点目は、「資料読解」です。

 資料を読み違えると、とんでもない計算結果が生じるので、シッカリと資料を読み込んでください。

 2点目は、「T字勘定」への記入です。

 頭だけで考えると、どんどんわからなくなるので、一度、仕訳を切って、考えるようにしましょう。

 3点目は、「記号による解答が求められている」ところです。

 解答用紙には、勘定科目ではなく、アルファベットの記号で解答します。

 『書き忘れる』という、馬鹿馬鹿しいケアレスミスをしないようにしましょう。

 絶対に、書き忘れて落ちた受験生がいるはずです。他山の石としてください。

資料読解

 最も丁寧に読むべきは…、

 

 …のところです。

 まず、『やってはいけない』ことから、見ていきましょう。

 下のような…、

 

 …ボックス図を作成してはいけません!!!

 これは、全くの誤りです。

 資料には、「工事原価」となっているのですから、それを勝手に、各材料費・労務費・外注費等に、誤読してはなりません。

 先の画像の赤四角のところは、「未成工事支出金」の期首残高と期末残高に該当します。

 んで、「当期の工事原価発生額」は、当期に発生した工事原価なので、そっくりそのまま、当期の「未成工事支出金」に計上されるものです。

 解答に当たっては、まずは、ここに注意してください。

作業1‐未成工事支出金の借方

 資料が把握できたら、解答作業に入りましょう。

 左の「借方」から、見ていきましょう。

 先述したように、資料の「工事原価期首残高」は、「未成工事支出金」の「期首残高」に該当します。

 んなもんで、「92000+47000+137000+37000」の「313000」が「未成工事支出金」の「前期繰越」となります。

 「当期の工事原価発生額」は、「未成工事支出金」に借方にそれぞれの費目があるので、そっくりそのまま、転記するだけです。

 資料から…、

 材料費 463,000

 労務費 97,000

 外注費 595,000

 経費 92,000

 …を、「未成工事支出金」のT字勘定に転記していきます。

 転記が済めば、借方の合計を出しましょう。

 「313000+463,000+97000+595000+92000」で「1,560,000」が借方の合計額となります。

作業2‐未成工事支出金の貸方

 では、右の「貸方」に、進みます。

 資料の「工事原価次期繰越額」は、「未成工事支出金」の「次期繰越」に該当します。

 んなもんで、「112000+62000+145000+43000」の「362000」が「未成工事支出金」の「期末残高」となります。

 んで、先に借方の合計額を出しています。

 借方と貸方は、同じ数字になるので、貸方も「1,560,000」となります。

 よって、「1560000-362000」の「1,198,000」が、当期に完成した工事原価(完成工事原価)となります。

 よって、当該「1,198,000」が、「未成工事支出金」から「完成工事原価」に、振替られることになります。

 勘定科目は、「完成工事原価」ですが、本問では、記号指定があるので、「E」となります。

 なお、簿記の学習の日が浅い人は、このあたりから、(???)となるはずです。

 何だか訳がわからなくなったら、仕訳を切りましょう。

 当該「1,198,000」が、「未成工事支出金」から「完成工事原価」に、振替られるのですから、要は、「完成工事原価」が増えて、「未成工事支出金」が減るので…、

 借方:完成工事原価 1,198,000

 貸方:未成工事支出金 1,198,000

 …という仕訳を切ることになります。

 当該仕訳をもとに、T字勘定への転記を、行ってみてください。

 こうした塩梅で、「未成工事支出金」のT字勘定は…、

 

 …と相なります。

作業3‐完成工事原価

 「未成工事支出金」で切った仕訳をもとに、考えます。

 まずは、借方です。

 先の「未成工事支出金」では…、

 借方:完成工事原価 1,198,000

 貸方:未成工事支出金 1,198,000

 …という仕訳を切りました。

 んなもんで、「完成工事原価」のT字勘定に記載するのは「未成工事支出金」で、数字は「1,198,000」となります。

 「未成工事支出金」は、記号指定があるので、「D」となります。

 次に、貸方です。

 勘定科目は、「損益」と印刷されているので、そのままです。

 記載する数字は、借方と貸方は同額なので、そっくりそのまま、「1,198,000」を記入するだけです。

 振替の仕訳は、以下です。

 要は、借方計上の「完成工事原価」を減らすだけなので…、

 借方:損益 1,198,000

 貸方:完成工事原価 1,198,000

 …という仕訳を切ることになります。

 こうした塩梅で、「完成工事原価」のT字勘定は…、

 

 …と相なります。

作業4‐完成工事高

 問題文には、「完成工事のうち請負金の支払が次期以降のものが¥452,000あった。」とあります。

 資料には、「完成工事高」に関するものは、これくらいしか見当たらないので、これで、計算することになります。

 さて、解答用紙には、既に、「未成工事受入金」が「1,117,000」が記載されています。

 つまりは、以前に…、

 借方:現金など 1,117,000

 貸方:未成工事受入金 1,117,000

 …という仕訳が切られていた、ってな次第です。

 んで、工事収益の認識に伴う仕訳で…、

 借方:未成工事受入金 1,117,000

 貸方:完成工事高 1,117,000

 …という仕訳が切られ、当該仕訳が、「完成工事高」のT字勘定に、反映しているわけです。

 さて、先の問題文「完成工事のうち請負金の支払が次期以降のものが¥452,000あった」ですが、これは、要は、「未成工事受入金」では賄えなかったものを、売掛金(完成工事未収入金)として、認識している、ってな寸法です。

 要は…、

 借方:完成工事未収入金 452,000

 貸方:完成工事高 452,000

 …という仕訳が切られていた、ってな寸法です。

 やっと、これで、「完成工事高」の貸方の合計額がわかります。

 「452000+1117000」の「1,569,000」が貸方の合計額で、そっくりそのまま、借方の数字となります。

 なお、T字勘定の記載は記号なので、「完成工事未収入金」は、「B」となります。

 後は、「完成工事高」を、「損益」に振り替えるだけです。

 要は、貸方計上の「完成工事高」を減らすだけなので…、

 借方:完成工事高 1,569,000

 貸方:損益 1,569,000

 …という仕訳を切る、ってな寸法です。

 T字勘定の記載は記号なので、「損益」は、「F」となります。

 こうした塩梅で、「完成工事高」のT字勘定は…、

 

 …と相なります。

作業5‐販管費

 「販管費」は、ボーナス問題です。

 解答用紙の数字を、足し算して、損益に振り替えるだけです。

 解答用紙から、「112000+103000」の「215,000」が「損益」に振り返られることになります。

 振替の仕訳は、借方計上の「販管費」を減らすだけなので…、

 借方:損益 215,000

 貸方:販管費 215,000

 …という仕訳を切る、ってな寸法です。

 T字勘定の記載は記号なので、「損益」は、「F」となります。

 こうした塩梅で、「販管費」のT字勘定は…、

 

 …と相なります。

作業6‐損益

 「損益」の出てきた仕訳をまとめましょう。

 借方に「損益」が出てくるのは、費用系の…、

 借方:損益 1,198,000

 貸方:完成工事原価 1,198,000

 …と…、

 借方:損益 215,000

 貸方:販管費 215,000

 …です。

 この仕訳をもとに、解答用紙のT字勘定に転記していきます。

 「完成工事原価」の記号は「E」で、数字は「1,198,000」です。

 「販管費」の記号は「G」で、数字は「215,000」です。

 次に、貸方に「損益」が出てくるのは、収益系の…、

 借方:完成工事高 1,569,000

 貸方:損益 1,569,000

 …です。

 解答用紙に転記します。

 「完成工事高」の記号は「A」で、数字は「1,569,000」です。

 借方の「繰越利益剰余金」は、差額から求めます。

 「1569000-1198000-215000」の「156,000」が「繰越利益剰余金」となります。

 こうした塩梅で、「損益」のT字勘定は…、

 

 …と相なります。

まとめとこたえ

 ぜんぶの答えは…、

 

 …と相なります.

 >>> 次の問題へ。


26回

 インデックス

第1問:仕訳

 1問:売買目的有価証券・・・「ふつう」。

 2問:営業外支払手形・・・「ふつう」。

 3問:購入時材料費処理法・すくい出し方式・・・「ふつう」。

 4問:貸倒処理・・・「難」。

 5問:新株発行・・・「ふつう」。

第2問:文章問題

 1問:本支店会計・内部利益・・・「ふつう」。

 2問:工事進行基準・・・「ふつう」。

 3問:消費税・・・「ふつう」。

 4問:配当処理・・・「ふつう」。

第3問 計算問題

 1問:計算問題・・・「ふつう」

第4問 個別問題

 理論問題・・・「ふつう」

 完成工事原価報告書・・・「ふつう」

第5問 総合問題

 精算表:インデックス・ポイント・・・「ふつう」。

 精算表:設問1・・・「やや難」。

 精算表:設問2・・・「ふつう」。

 精算表:設問3・・・「難」。

 精算表:設問4・・・「ふつう」。

 精算表:設問5・・・「ふつう」。

 精算表:設問6・・・「ふつう」。

 精算表:設問7・・・「ふつう」。

 精算表:設問8・・・「ふつう」。

 精算表:設問9・・・「ふつう」。

 精算表:設問10・・・「難」。

PDF過去問の閲覧

 結論から言うと、PDF形式の過去問でイライラしている人は、「タブレット」で閲覧する、といった次第です。

 

 当方、PDF過去問の閲覧には、12インチのタブレットを使いますが、「紙」の過去問と遜色なく、問題演習に集中できています。

 公式のPDF過去問は、スマホだと画面が小さくて問題文が読み難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。

 本格的な“問題演習”には、「タブレット」が最も勝手がよく、ストレスが少ないというのが実感とするところです。

 PDFタイプの過去問演習でイライラしている方は、「タブレット」の活用を勧めます。押入れから出してみてください。

 なお、手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。

 アンドロイド製のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安く、もちろん、PDFの閲覧も可能で、コストパフォーマンスが秀逸です。

 とりわけ、スマホしか持ってない方に勧めます。小さい画面での問題演習は、倍疲れます。

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 教材の詳細は「教材レビュー」で述べていますが、読むのが面倒な方は…、

 簿記2級持ちの方は、ネットスクールの「建設業経理士 過去問題集&テキスト 2級 出題パターンと解き方」1冊で事が足ります。

 簿記3級持ちの方は、テキストと問題集は、TACの「スッキリわかる 建設業経理士2級」と「スッキリとける問題集 建設業経理士2級」を…、

 過去問には、「合格するための過去問題集 建設業経理士2級 」を使えばよいでしょう。

 建設業経理士2級は、市販されている教材が少ないので、大概、こうなるかと思います。試験会場でも、多くの人が同じような教材を手にしていました。

 ところで、電卓です。

 100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。

 高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。

 簿記2級では必須の高品質電卓と避けるべきペラペラ計算機

 左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。

 高品質な計算機

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建設業経理士2級のこまごましたもの

 建設業経理士に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。

 「建設業経理士の投稿記事」をばご参考ください。

 合格体験記は「建設業経理士2級の合格体験記」で、合格証書は「建設業経理士2級の合格証書」です。

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