本問は『完成工事原価報告書』の問題。払い出しの計算は、「先入先出法」で、難しくありません。予定配賦率と配賦差異も、普通のレベルです。テキストと過去問を繰り返しておけば、まず、取れます。
◇問題◇
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結論から言うと、「答えはこちら」です。
本問のレベルは「ふつう」です。
過去問の定番問題です。
第4問の計算問題は、解答用紙を最初に目を通すようにしてください。
「どういう計算・処理が求められるか」は、解答用紙を見た方が、イメージが湧きやすいです。
本問では、「完成工事原価報告書」の計算で、材料費等が載っているので、これらを集計しそう、くらいの見当がつくかと思います。
問題文には、「20X2 年9月の工事原価に関する次の<資料>に基づいて、当月(9月)の完成工事原価報告書を完成しなさい」とあります。
んなもんで、「9月」に竣工した工事の集計をするな、と判断がつきます。
資料1を見ると、9月竣工なのは、「No.701」と「No.801」と「No.901」なことがわかります。当該3つが完成工事原価報告書の計算対象です。
対して、「No.902」の工事は、「12月竣工予定」とあるので、これは、完成工事原価報告書の対象外なことがわかります。
資料1のところか、計算用紙の端っこに、「No.902 対象外」くらいに“大きく”メモして、一目でわかるようにしておきましょう。
意外に、“勢い”で集計することがよくあるからです。
計算ミスをすることを前提に、対策を練っておきましょう。
なお、「竣工」とは、「建物などの完成」といった意味です。
資料の2の(1)未成工事支出金のところを見ます。
「No.701」と「No.801」の未成工事支出金ですが、最後の集計に使いそうなので、各項目を集計しておきましょう。
電卓をたたくだけですが…、
材料費:「218,000+171,000」で「389,000」。
労務費:「482,000+591,000」で「1,073,000」。
外注費:「790,000+621,000」で「1,411,000」。
経費:「192,000+132,000」で「324,000」。
…となります。
資料2には、(2)の配賦差異がありますが、これは、「後回し」としましょう。
資料3には、「当月における材料の棚卸・受払に関するデータ(材料消費単価の決定方法は“先入先出法”による)」があります。
資料4の「当月に発生した工事直接費」の「材料費」には、「各自計算」とあるので、資料3で計算することになります。
計算方法は、問題文にあるように、「先入先出法」です。
当該は、ご存じのように、先にあるもの(在庫)を、先に払い出していきます。
難しくないと思いますが、数字を挙げると…、
「No.701」・・・「600*250」の合計「150,000」。
「No.801」・・・「400*220」の「88,000」。
「No.901」・・・「400*220」の「88,000」と、「800*250」の「200,000」と、「200*250」の「50,000」と、「200*180」の「36000」とで、合計「374,000」。
「No.902」・・・「500*180」の「90,000」。
…となります。
次に、資料5の工事間接費の配賦を行います。
まずは、「甲部門費」から見ていきましょう。
資料には、「1 甲部門の配賦基準は直接材料費基準であり、当会計期間の予定配賦率は3% である」とあります。
んなもんで、甲部門の工事間接費は、個々の工事の材料費に、配賦率の3%を掛けたらよいとわかります。
単純な掛け算ですが、電卓をたたくと…、
「No.701」・・・「150,000*0.03」で「4,500」。
「No.801」・・・「88,000*0.03」で「2,640」。
「No.901」・・・「374,000*0.03」で「11,220」。
「No.902」・・・「90,000*0.03」で「2,700」。
…と相なります。
なお、電卓に「定数計算」の機能があると、ラクです。
カシオだと、「0.03**」と入力した後、「150000=」と打つと「4,500」が、そして、「88,000=」と打つと「2,640」以下が計算できるはずです。
参考:計算機の小技-定数計算
さて、後々で、配賦差異の計算をするので、集計しましょう。
「4,500+2,640+11,220+2,700」で「21,060」が甲部門費の合計となります。
なお、この集計ですが、先の定数計算をした後に、「GT」キーを押すと、するっと計算できます。
乙部門費の間接費を計算します。
資料には、「乙部門の配賦基準は直接作業時間基準であり、当会計期間の予定配賦率は時間当たり¥2,200 である」とあります。
資料の作業時間に配賦率の\2,200を掛ければよいとわかります。
要は、資料の「当月の工事別直接作業時間」を見ながら、電卓をたたくだけです。
計算すると…、
「No.701」・・・「15*2,200」で「33,000」。
「No.801」・・・「32*2,200」で「70,400」。
「No.901」・・・「124*2,200」で「272,800」。
「No.902」・・・「29*2,200」で「63,800」。
…となります。
ここも、先に見た電卓の定数計算機能を使えばラクです。「2200**」です。
集計します。
「33,000+70,400+272,800+63,800」で「440,000」が乙部門費の合計です。
配賦差異の計算です。
当方は、自己流のやり方でやっています。
興味のある人は、「配賦差異の機械的作業‐建設業経理士2級の勉強」を一読願います。
まずもって、「甲部門費」の配賦額は、「21,060」です。
資料には、「工事間接費の当月実際発生額 甲部門 ¥20,000」とあります。
T字勘定で表すと…、
…となります。
差額は、「21060-20000」で「1,060」です。
甲部門費の「借方」が「1,060」増える仕訳を切ると…、
借方:甲部門費 1,060
貸方:甲部門配賦差異 1,060
…となります。
んで、資料2の(2)には、「工事間接費配賦差異 甲部門 ¥5,600 (借方残高) 乙部門 ¥2,300 (貸方残高)」とあります。
先の仕訳を、甲部門配賦差異のT字勘定に転記すると…、
…となります。
よって、甲部門費は、「借方」の残高は、「5,600-1,060」で「4,540」となります。
同様に、乙部門費の配賦差異を計算します。
乙部門費の配賦額は、「440,000」です。
資料には、「工事間接費の当月実際発生額 乙部門 ¥441,000」とあります。
差額は、「441,000-440,000」で「1,000」です。
T字勘定で表すと…、
…となります。
「乙部門費」の「貸方」が「1,000」増える仕訳を切ると…、
借方:乙部門配賦差異 1,000
貸方:乙部門費 1,000
…となります。
んで、資料2の(2)には、「工事間接費配賦差異 甲部門 ¥5,600 (借方残高) 乙部門 ¥2,300 (貸方残高)」とあります。
先の仕訳を、乙部門配賦差異のT字勘定に転記すると…、
…となります。
乙部門費は、「2,300-1,000」の「1,300」となり、「貸方」残高となります。
解答用紙を見ると「工事間接費配賦差異月末残高」としかないので、甲と乙の部門費を合体することがわかります。
先に見たように…、
甲部門費は、「借方」の残高が「4,540」となります。
乙部門費は、「貸方」の残高が「1,300」となります。
相殺すれば、「4540-1300」の「3,240」で、「借方」残なので「A」と、相なります。
これで1つ終わりました。
残るは、完成工事原価報告書の集計です。
ひとまず、ここで深呼吸して、何を集計したらいいか(何が計算対象なのか)、もう一度確認しましょう。
9月に完成した工事は、「No.701」と「No.801」と「No.901」です。これらの個々を集計します。
一度、資料や計算用紙に当たってみて、どこを計算するか、丸なりチェックなりを入れていってください。こうする方が間違いません。(未成工事支出金の存在を忘れないでください。そして、No902は、計算しちゃダメです。)
さて、集計していくと…、
材料費:「389,000+150,000+88,000+374,000」で「1,001,000」。
労務費:「1,073,000+450,000+513,000+819,000」で「2,855,000」。
外注費:「1,411,000+1,120,000+2,321,000+1,523,000」で「6,375,000」。
…となります。
なお、経費ですが、資料5の(4)には、「工事間接費は経費として処理している」とあります。
直接経費は、「324,000+290,000+385,000+302,000」で「1,301,000」。
甲間接費:「4,500+2,640+11,120」で「18,360」。
乙間接費:「33,000+70,400+272,800」で「376,200」。
んなもんで、経費は、「1,301,000+18,360+376,200」の「1,695,560」となります。
原価の合計額は、「1,001,000+2,855,000+6,375,000+1,695,560」で「11,926,560」となります。
後は、落ち着いて、各数字を解答用紙に記入するだけです。
答えは…、
…です。
結論から言うと、PDF形式の過去問でイライラしている人は、「タブレット」で閲覧する、といった次第です。
当方、PDF過去問の閲覧には、12インチのタブレットを使いますが、「紙」の過去問と遜色なく、問題演習に集中できています。
公式のPDF過去問は、スマホだと画面が小さくて問題文が読み難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。
本格的な“問題演習”には、「タブレット」が最も勝手がよく、ストレスが少ないというのが実感とするところです。
PDFタイプの過去問演習でイライラしている方は、「タブレット」の活用を勧めます。押入れから出してみてください。
なお、手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。
アンドロイド製のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安く、もちろん、PDFの閲覧も可能で、コストパフォーマンスが秀逸です。
とりわけ、スマホしか持ってない方に勧めます。小さい画面での問題演習は、倍疲れます。
受験が終わっても、アレコレ使えますし、安価なサブ機としても使えます。これを機に「Fire HD」を買っても、損はないです。
教材の詳細は「教材レビュー」で述べていますが、読むのが面倒な方は…、
簿記2級持ちの方は、ネットスクールの「建設業経理士 過去問題集&テキスト 2級 出題パターンと解き方」1冊で事が足ります。
簿記3級持ちの方は、テキストと問題集は、TACの「スッキリわかる 建設業経理士2級」と「スッキリとける問題集 建設業経理士2級」を…、
過去問には、「合格するための過去問題集 建設業経理士2級 」を使えばよいでしょう。
建設業経理士2級は、市販されている教材が少ないので、大概、こうなるかと思います。試験会場でも、多くの人が同じような教材を手にしていました。
ところで、電卓です。
100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。
高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。
左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。
考えるのが面倒な人は、わたしが愛用している「DF-120GT」にすればよいでしょう。これで支障ありません。建設業経理士もこれで受験しました。
建設業経理士に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。
「建設業経理士の投稿記事」をばご参考ください。
合格体験記は「建設業経理士2級の合格体験記」で、合格証書は「建設業経理士2級の合格証書」です。
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