独学でススメ-読むだけで独学合格できるかもしれない、適当なヒントとTips

資格の平均年収の注意事項

結論から言うと、資格の平均年収は、『当てにならない』ので、慎重に接すべき数字である、という塩梅です。

ややもすれば“一人歩きする”数字を鵜呑みにせず、勝手なイメージを抱かないように、身を処すべきかと思います。

開業系か勤務系か

たとえば、公認会計士であれば、監査法人に勤めていてお給料を貰っているので、正確な数字が出ます。

しかし、同じ公認会計士でも、開業している場合、『経費』の使い方が劇的に違ってくるので、同じ資格ながら同じ土俵で語れません。

というのも、独立開業の場合、確定申告で『年収』が決まってくるので、奥さんのスーツが経費で落ちているなど、かなりの『裁量』が含まれくるからです。

お医者さんでも、開業医と勤務医とでは、数字に大きな開きがあります。

こんな次第で、資格の平均年収を見る場合は、開業系か勤務系かを見極める必要があります。

決まっていない「年収」概念

『年収』という言葉は、「売上」や「費用」、「利益」といった言葉のように、定義されていません。

言うなれば、いくらでも、操作が効くという塩梅です。

数字を大きく見せたい人は、「年間売上高(年商)」を言うでしょう。

年間収入=年収と言えなくもないからです。

対して、数字を小さく見せたい人は、最終的な「利益」額を言うでしょう。

年収=年間収益と踏まえているからです。

会計チックな用語が出てきたので、混乱してきませんか?

そうなのです。

『年収』という単語には、かなりの混乱が背景にあるので、ある調査では年収2千万円も可能!という文言が溢れているのに、一方の調査では、控えめな数字が並んだりするのです。

言うなれば、年収という言葉には、結構な「恣意」を含ませることができる、という寸法です。

儲かってるよ!をアピールしたいとき・景気がいいのを強調したいときなどは、年収を、年商(年間売上高)として使用しているときがあります。

年収という言葉に触れた際は、要注意数字と思う方が穏当です。

母データの信憑性

平均年収が語られる際、そもそもの母データがダメなときがあります。

まずは、「アンケートの回答率」や「有効回答数」に、着目しなくてはいけません。

というのも、儲かっていない人・うまくいっていない人は、回答する強い動機がないため、返さないことが予想されるからです。

あなたが無職だとして、年収を聞かれたらきちんと返事をするでしょうか?

そういうことです。

これとは反対に、儲かっている人・成功している人は、意気軒昂してアンケートに回答することでしょう。

結果として、母データには、『儲かっている人系』の回答が多くなってしまい、そこで平均が取られ、平均年収が高まるという背景を否定できません。

アンケートの回答率が50%を切っているのなら、サングラスをかけて当該年収の数字に触れる方が賢明かと思われます。

また、アンケートの回答率や有効回答数が記載されていないなら、眉唾と思っていた方がいいでしょう。

業者の存在

たとえば、専門学校などは、講座等を受講してもらってナンボのものですから、パンフレットやチラシには、“魅力のある数字”を使うはずです。

それは商売なので仕方がありません。

先の回答率の低いアンケートでも、「調べた事実」がある以上、決して「嘘」ではありませんから、使っていいはずです。

データや数字を精査分析するのは、「こちら側」の仕事。

わたしたちは、「儲けようとして儲けさせてはいけない」という言葉を噛み締めるべきです。

そもそも、正確な年収を調べる機関がないし動機もない

資格には、業界団体があります。

とはいえ、年収を調べることは、それら業界団体の仕事ではありません。

業界団体だからといって調査に強制力があるわけでないし、団体構成員にとっても、年収額といったデリケートな質問に答える義務もなく、加えて、自分が稼いでいる額を同業者等に知られたくないというのが実際のところでしょう。

まとめ的なもの

こんな次第で、資格の平均年収ほど当てにならないものはない、という次第です。

情報源を偏らせず、情報はきちんと精査し、プラスの情報があればそれと同数のマイナスの情報を集めて、当該資格の年収を判断しましょう。

資格別年収表

資格別の年収表です。

控えめな数字で、個人的には、実態を突いているように思います。

知り合い等の生活レベルを勘案しても、このあたりの数字に収まる、って感じがします。

もちろん、バリバリ仕事をして稼いでいる人もいる“例外”な人もいるでしょうが、特殊なケースは参考になりません。

真実はこうだ!とはいいませんが、だいたいの目安は、これらの数字内かと思われます。

医療系

医師:1,000万~1,200万円

獣医師:600万~700万円

歯科医師:500~600万

診療放射線技師:500万~550万

薬剤師:450万~500万

臨床検査技師:450万~500万

看護師:300万~500万

法律・会計系

公認会計士・税理士(※):750万~850万

弁護士:750万~800万

司法書士・弁理士:650~750万

(※)当該公認会計士は、監査法人に勤めている人ではなく、開業している人かと思われます。だから、税理士と並置されているのでしょう。

建設・不動産

不動産鑑定士:650万~750万

土地家屋調査士:500万~600万

一級建築士:500~550万

測量士:400万~500万

その他

栄養士:300万~400万

保育士:300万~350万

理容師・美容師:250万~400万

まとめと一言コメント

基本、『資格で儲ける』という文言は、業者の言葉です。

儲けは、資格ではなく、仕事でも稼ぐものです。

仕事は、やはり、その社会的責任や価値で対価が決まるものです。

ヘンな数字に惑わされず、自身の適性とやりがいから、資格を見てください。

あと、「雇われ」と「独立開業」とでは、経費の使い方が全く異なるため、数字は大きく変わります。要注意です。

資格商法・資格詐欺対策

資格商法や資格詐欺に対して、大事なことは、「儲けようとして、儲けさせてはいけない」という商売のオキテを思い出すことだと思います。

これらは、今では下火ですが、まだまだ、まだまだ、横行している手口です。

要は、「この資格を取ると、仕事を斡旋する、月10万以上はかたい」という触れ込みで申し込みをさせて、数十万のテキストやDVDが送られてくるといった塩梅で、当然、当該資格の履修が終わっても、仕事の斡旋はほとんどない、という次第です。

弁護士ですら廃業し、公認会計士でさえ実務経験が積めずに一般企業に勤める昨今、『儲かる資格』など「ない」です。

正直、儲かるじゃねえよ、です。

みんな真面目に仕事をして、対価を頂いているわけで、「儲かる」云々でやってねえよという次第です。

「儲かる資格があるよ」という話が来たら、「あ、キタな」くらいの心構えが大事です。

資格商法に引っかからないために

資格商法に引っかからないためには、「知らない資格は取らない」ことです。

ハッキリ言って、誰も知らない資格をとっても、面接で説明する手間がかかるだけです。

履歴書に書いても、面接官は見向きもしないどころか、逆に、突っ込んだ質問が飛んできて右往左往することなど、枚挙に暇がありません。

かいつまんで当該資格について説明できなかったら、説明能力が低いと見なされて心証は悪くなるし、きちんと説明しても「フーン」で終わることが多々で、これまた、興味喚起ができない低い説明能力とされて、踏んだり蹴ったりとなります。

知名度のある資格でも、それをPRしたり武器にしたりするには、それなりの準備と意図とを併せ持っていなければなりません。

知られていない資格など、墓穴を掘ることの方が多いくらいです。

なら、資格商法や資格詐欺がよく使うPC何たら資格や医療○○資格、美容ホニャララ資格など、百害あって一利なしと、白眼視するのが一番と相なります。

今人気!も眉唾

「今人気のある資格!」も、虻蜂取らずの枝垂れ柳です。

人気のある資格とは、「宅建」のように、老若男女が年20万人受けて、本屋の棚なり一角がその資格のテキスト・問題集で占められていて、「人気がある」といえるのです。

広告、DM、電話、メール、メールマガジン、無料セミナー等々で人気!!などと称される資格は、「そう演出している」だけです。

ハッキリ言って、面接官は、会社の業務以外の資格について知りませんし、興味もありません。

人気があっても、今流行でも、おそらく、面接官はその資格の実情など、知りもしません。

世の中の8割の人は、税理士と公認会計士の区別が付きません。

資格の知名度など、その程度です。

結局、人間は、やったことしか評価されません。

「人気のある資格」など、取ったところで「やったことにならない」ので、放置するのが一番です。