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固定資産の割賦購入で、薄っぺらい受験生が落ちる‐簿記2級新論点ノート

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

新論点の固定資産の割賦購入には、3つの論点がある。「割賦購入時の仕訳」と「固定資産の取得原価」と「手形振出」の3論点が、入り組んで出題される可能性が高い。1つ1つの論点をしっかり理解しておかないと、貴重な1点を失う。新論点の中でも要注意である。

新論点の仕訳のうち、やや注意なのが「固定資産の割賦購入」です。

新旧の論点が入り組んで出題されるので、何気にウザイ論点です。

特にウザイのが「支払利息‐前払費用」を計上しなくてはいけない点で、問題文中には「利息」云々の文字がないので、殊更に厄介な論点です。

個々の論点を、きちんと理解しておく必要があります。

主要論点は、「3つ」

「固定資産の割賦購入」には、主要な論点が「3つ」あります。

その3つとは、「割賦購入時の仕訳」と「固定資産の取得原価」と「手形振出」です。

これら3論点が入り組んでいるので、それぞれをきっちりおさえてないと、まず、ポカをするという塩梅です。

「固定資産の割賦購入」の問題を見たら、まず、「注意点が3つあったな」と思い出して、慎重に解答しましょう。敵は、どこぞに、罠をしけてくるはずです。

割賦がらみの処理

「固定資産の割賦購入」で厄介なところは、「前払利息‐支払利息」が絡んでくるところです。

固定資産を割賦で(分割払い)で購入すると、支払いが長引くので、その分だけの「利息」が発生するという塩梅で、当該利息を、仕訳に落とし込まねばならない、といった手合いです。

公式のサンプル問題は以下。

『(1)静岡商店は、X1 年 11 月 1日に営業用軽トラック(現金販売価額 ¥1,200,000)を割賦契約で購入した。代金は毎月末に支払期限の到来する額面¥250,000の約束手形 5枚を振り出して交付した。』

『(2)X1 年 11 月 30 日 静岡商店は上記約束手形のうち、期日到来したものが当座預金口より引き落とされた』

解答の仕訳は以下。

まず上の(1)の仕訳は…、

…となっており、下の(2)の仕訳は…、

…となっています。

このように、割賦で買うと、「支払利息」を計上するよう指示されており、加えて、購入時には、返済期限が到来していないので、「前払費用」で処理するよう、指示されている塩梅です。

で、支払期限が来たなら、前払利息を、該当する支払利息に振り返るといった次第です。

利息分の把握は、問題文に明記がない場合は、貸借差額で求めるようです。(手形支払額と現金販売価額との差)

「固定資産の割賦購入」の論点で第1は、このように割賦に絡んだ「前払利息‐支払利息」の仕訳が切れるかどうか、です。

先に述べたように、問題文のなかには、「利息」云々の表記がないので、“知っていないとまず仕訳が切れない”という、殊更にイヤらしい論点といえましょう。

「固定資産の割賦購入」を目にした場合は、割賦分の「利息」処理に意を払ってください。

なお、公式では、購入時に支払利息を全額を計上し、決算時に未到来分を前払費用で処理してもよい、とも指摘しており、「決算整理」の問題としても、出題可能性が“大”です。

付随費用の存在‐取得原価に入れる・入れない

「固定資産の割賦購入」が、上記のように「支払利息」がらみだけなら、「ふーん」で終わりなのですが、そうは問屋がおろさないのです。

思い出してください。

固定資産を購入する際、当該購入に費やした諸費用は、「取得原価に含めて」処理したはずです。

先の割賦購入に、当該付随費用の論点が加わると、途端に頭が混乱してきます。

先のサンプルの問題文に、たとえば、「購入にかかる運送料と整備料の計40,000円は現金で支払った」などとあれば、当該費用を「車両」に含めて仕訳を切らなくてはいけません。

このとき、先の「支払利息‐前払利息」の計上を忘れてしまって、当該利息分までも、固定資産の取得原価に入れかねない、という塩梅です。

こんな感じです。

正しくは…、

こんな次第で、「固定資産の割賦購入」は、固定資産の取得原価の論点まで含めて出題されかねないので、それぞれの理解が殊更に必要となっています。

当該取得原価云々は、簿記3級の論点であり、だからこそ、簿記2級では手薄になって、ついウッカリ間違えやすくなっています。

出題者は、大いに突いてくると思われます。

営業外支払手形にも注意

最後に、「固定資産の割賦購入」では、「営業外支払手形」が絡んでくるはずです。

これが、「支払は翌月末である」ならば、「未払金」だけで済むのですが、出題者はそう甘くありません。

営業外目的で手形を振り出した場合の処理も、突っ込んでくるはず、という塩梅です。

ウッカリした受験生だと、サンプル問題文の…、

『額面¥250,000の約束手形 5枚を振り出して交付した。』

…のところで脳髄反射して、「支払手形」の仕訳を切りかねません。

おそらく、5%くらいの受験生は、当該「支払手形」勘定で仕訳を切って、貴重な1点を落とすはずです。

固定資産の購入は「営業外」ですので、「営業外支払手形」で仕訳を切ることを、頭の片隅に置いておきましょう。

まとめ

こんな次第で、「固定資産の割賦購入」には、論点がてんこ盛りであり、新論点の中ではかなり要注意なものとなっています。

新論点の「割賦購入」時の処理のみならず、旧論点の「取得原価の算定」と「営業外支払手形」まで、きちんと把握しておく、といった手合いです。

まず、新論点の「割賦購入」の際は、「利息計上」しなくてはいけません。勉強不足の薄っぺらい受験生はここでまず失点します。

付随費用発生時の「取得原価」の計算が加われば、薄っぺらい受験生は即死でしょう。

そして、「営業外支払手形」で、おっちょこちょいな受験生をふるい分けします。

こんな次第で、「3つ」も受験生を陥れる罠ポイントがあるといった塩梅で、慎重に、丁寧に理解しておく必要があります。

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