ネットスクールの「とおる簿記シリーズ」は、新たに「日商簿記2級に合格するための学校」にリニューアルされた。わかりやすさを追求したが、バーターで「長文」や「詳細」を省いてしまったために、本格版の教材ではなくなってしまった。
一口で言うと、新しいとおる簿記シリーズの「日商簿記2級に合格するための学校」は、保留で、様子見です。
わたしが「とおる簿記シリーズ」に求めているのは、“そういうものではない”という塩梅です。
端的に言うと、新シリーズは、“良質な”簡易版です。
簿記2級の独学の定番教材だった「とおる簿記シリーズ」は、出題区分の大改定もあったことから、すべて刷新され、装い新たに「日商簿記2級に合格するための学校」となりました。
それぞれに、テキスト(TEXT)と問題集(EXERCISE)とがあります。
当該「日商簿記2級に合格するための学校」は、他の粗製乱造された教材と比べたら、“悪くはない”テキストと問題集です。
新・とおる簿記シリーズは、旧シリーズの長所は踏襲されており…、
①文章には、会計用語を多用せず、会計チックなものに極力しない努力。
②読み易さに徹したレイアウト、文字数を抑える工夫。
③イラストやコラムによる学校的演出。
…といったよい点はたくさんあります。
加えて、新シリーズからは、過去問の解き方が追加されており、過去問との橋渡し的な役割も担っていて、“悪くはない”テキストと問題集に仕上がっています。
しかし、“悪くはない”だけで、決して手放しで推薦できるものではないのです。
ダメ教材によくあるケースは、表紙で「わかりやすさ」を全面的に打ち出しているのに、内容は大学の教科書や会計規則集から文章をコピペしただけで、一切まったく噛み砕いておらず、一言で言えば、読み手を舐めている教材です。
かわいらしいイラストと歯切れのいいだけの短文を多用すれば、手にとってくれるし買ってもくれる、そして、大半の買い手は最後までやらないし受験もしないから、“この程度でいい”という出版社のマーケティングが透かし彫りのダメ教材は、本屋の簿記コーナーの棚を結構占めています。
対して、新・とおる簿記シリーズは、こうしたダメ教材とは、一線を画した“作り手の見える教材”であることは間違いありません。
どうすれば「わかる」か、「理解できるか」をシッカリ考えた上で、文字を起こし、編集し、製品化しています。
新しい工夫を、随所に施しています。長文でウンザリしないよう、改行を多用してセンテンスを短く・読みやすくする独特のレイアウト、などです。
よくある、有象無象のダメ教材では決してありません。
しかし、わたしは、先述したように「保留・様子見」です。
端的に言うと、新シリーズは、“良質な”簡易版です。
しかし、簡易になった分、文章は短めで、図(勘定連絡図的なもの)やイラストも少なくなっています。
キッチリ・徹底して・最後まで述べて説明すると長くなるし、冗長になるしで、ライト層からそっぽを向かれるのでしょう。
だから、簡易・簡潔にしたのでしょうが、やはり、新シリーズは、舌足らずなところが目に付きます。
Webや電話相談で補うことができるとはいえ、当該教材だけ完結していないというのは、いただけない、というのが感想です。
わたしが「とおる簿記シリーズ」に求めていることは、『冗長』でもいいし、『文章量が多く』てもいいし、『ブ厚くても』、『値段が高く』てもいいのです。
きっちり理解させてほしいのです。当該教材だけで試験勉強を完結させてほしいのです。
簡潔・簡明なだけの廉価な教材は、他にいくらでもあります。
しかし、そういう教示は、当然の如く説明が端折られていますから、後々、自分で調べたりしないといけないし、メールやら何やらで質問したりする羽目に陥ります。
わたくし事ですが、メールで相談してくる人の大半の教材は、だいたい簡易廉価版を使っています。
そういう手間が苦にならない人は別段構わないのですが、わたしは、そういうメンドクサイ作業を極力省きたいし、時間を割きたくないのです。そのため、教材にはお金をかけます。
もっと言うと、わたしが簿記2級の受験当時、簡易廉価版の教材を使ってドツボに嵌ったからこそ、同じ轍を踏まないよう、“本格派”を推薦している次第です。
本屋で当該新シリーズを目にはしていたのです。その時は、(ああ、ネットスクールも簡易廉価版出すんだ)という感想しかありませんでした。
しかし、とおるシリーズを、全面的に当該新シリーズ「合格するための学校」に切り替えるとは、思いもしませんでした!大丈夫か?
個人的な憶測ですが、マーケティング上、いちばんボリュームのあるライト層を狙った教材、と感じています。
本格版は、何かと簡易廉価版に押され気味なので、挽回の意図もあるのかなとも考えました。
悪くはない、新シリーズです。
が、“これだけで済ませたい・終わらせたい・他に余計なものを買ったりしたくない”という本格志向の人のニーズは、満たしません。
参考:日商簿記2級に合格するための学校【テキスト】商業簿記」
参考:日商簿記2級に合格するための学校【テキスト】工業簿記」
新しい教材は、“良質な”簡易廉価版となっていますが、一方の、過去問は大変優れています。
簿記2級の過去問は、常に最新の傾向が反映されたものを使ってください。
傾向を掴み損ねると致命的です。
「○月試験対応」といった文言を、購入の際はチェックしてください。
参考:日商簿記2級過去問題集(日商簿記に合格するための学校-とおる簿記シリーズ)
ま、簿記2級の教材は「教材レビュー」を参考ください。
2015年9月28日 12:04 PM
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結論から言うと、タイトルのママですが、資格試験を受けるなら、「ゼッタイに「過去問」を甘く見てはいけな...続きを見る