第二種電気工事士(2電工)の令和2年度(2020年度)下期の午前筆記の総評や、各科目(電気理論・配電理論・配線設計・電気機器・工具材料・電気工事・検査・法令・配線図)へのコメント。過去問演習に当たっての参考にしてください。
「R2下期の午前筆記試験」ですが、きちんと勉強した受験生なら、穏当に合格できた試験となりました。
ざっくり雑感を述べていきます。
何問か、そこそこ古い過去問が出題されました。
「第9問:幹線の太さ」や、「第12問:ゴムコード」、「第27問:計器記号」などです。
これらは、近年では、ほとんど問われなかったので、ぬるい過去問演習だった人は、落としたはずです。
まあでも、他の問題でいくらでも挽回できるので、致命的な影響はなかったように思います。
次に、下期試験恒例の“難問”は影を潜めて、グーグル検索をしないとわからないタイプの問題は、1問もありませんでした。
「下期試験」では、なぜか、テキストにも載っておらず、検索を掛でもしないとわからない「難問」がしばしば出題されていました。
しかし、当該試験では、ほとんどが「過去に出題実績のあるもの」となっています。
つまり、大半が定番問題・頻出問題であり、キッチリ勉強した人なら、ほぼ確実に合格点の6割は、確保できた、ってな次第です。
やはり、2電工の筆記は、「過去問演習」が最も重要です。
あと、後述しますが、「電気理論」が厳しかったのと、「法令」で頭を悩ます問題が出ていますが、まあ、大丈夫かと思います。
第1部の「一般問題」ですが、少々手強い問題がありますが、それでも、大半は、過去問レベルでした。
先述したように、難問の類がなかったので、点数の可能性は、高かったといえます。
以下、科目ごとの総評です。
「電気理論」にて、文系泣かせの問題が多々出題されています。
まずもって、「1問:直流回路電流」は、そこそこ手強く、即答できない問題です。
次に、「4問:交流回路の力率」や「5問:電動機の力率」には、眩暈がしたはずです。
まあ、「6問:三相3線式 電力損失」と「7問:単相3線式 電力損失」が、ほぼ同じ論点だったので、ある意味、“救済”措置が施されていますが、それでも、文系には厳しかったと思います。
まあ、「電気理論」では、文系は、「7問」のうち、「3~4問」取れたら穏当です。
できない問題が続いても、気落ちせず、他の問題でカバーするようにしましょう。
「配電理論・配線設計」ですが、おおむね例年通りの出題であり、ちゃんと過去問を消化していれば、正解できる問題が多いです。
「配電理論・配線設計」を苦手としている人が多いですが、公式の暗記で取れる問題がそこそこあるので、そこだけに絞るのが吉です。
たとえば、「10問:分岐回路設計」などは、ほぼ毎回出ている論点です。
こういう問題で点を稼ぐようにしましょう。
まあ、「9問:幹線の太さ」などは、文系にとっては苦痛ですが、それでも、公式を丸憶えしていれば、ぜんぜん解ける問題です。
「電気機器・工具材料」ですが、文章問題・写真鑑別ともに、まったく難しくなく、穏当に点が稼げたはずです。
こういう問題で、「電気理論」の失点をカバーしてください。
「電気工事・検査」ですが、基礎的な出題で、特に、手こずることなく、解答できたと思います。
ただ、「20問:工事方法」は、横断的な問題の上に、電技解釈の細かい規定が問われているため、落とした人も多いかと思います。
まあでも、筆記で満点を取る必要はないので、わからなければわからないで、他の問題で活路を見出しましょう。
最後に、個人的に、「22問:D種接地工事」は、「良問」だと思います。何回も解くことをお奨めします。
「28問:電気工事士法」ですが、近年とは少し毛並みが違うので、戸惑うかと思います。
しかし、落ち着いて考えれば、解けると思います。
「29問:電気用品安全法」と「30問:一般用電気工作物」は、オーソドックスなので、問題ないかと思います。
第2部の「配線図」ですが、最初に指摘しておきたいのは、「配線図を解き始める前に、第49問・第50問をチェックする」です。
その理由は、「未使用問題」を効率的に解くためです。
「未使用問題」とは、「使用されていない○○はどれか?」という問題です。
この種の問題は、資料を端から端まで調べる必要があり、かなり、手間を食います。
当該「未使用問題」は、最後になって着手するのではなく、最初からやるべきです。
本問のように、「未使用問題」の対象が「コンセント」なら、第31問から解く際に、資料の「コンセント」にチェックを入れていけば、実に効率的です。
第49問・第50問あたりになって、慌てて資料を調べるのは、泥縄であり、非効率です。
「未使用問題」が出ることを前提に、問題を解いていってください。
さて、本問の「配線図」ですが、これまた、特に難しい問題がありませんでした。
多くは、基礎・基本的なものばかりだったので、穏当に、点が取れたはずです。
「図記号」や「写真鑑別」、その他の問題も、まったく問題なしかと思います。
強いて言えば、「46問:機器図記号」に手間取りそうですが、まあ、定番の器具なので、解答できたはずです。
さて、第2問の「配線図」といえば、「複線図」の問題がネックです。
個人的には、「複線図」は、捨ててもよいと思います。
わたし自身、受験生当時は、「捨て問」としていました。
というのも、「筆記」では、どうしても「複線図」の理解ができなかったからです。
こうしたらいいという理屈はわかるのですが、なんだか、わからなかったのです。
わたし自身、「技能」の実物をもって、やっと理解したため、「筆記」においては、そう無理してやらなくてもよいと思います。
理想を言えば、「筆記」から「複線図」を勉強し、少しでも、点が取れるようにしておくのがベストです。
しかしながら、「複線図」が解けないと、絶対に合格できないわけではないです。他の問題でいくらでも失点はカバーできます。
どのみち、「技能」でミッチリやるのです。
特に、文系の方は、何回かテキストに当たっても、(フーム)状態なら、無理してやらなくてもいいと思います。
令和2年の下期の午前筆記は、ざっと、こんな次第です。
やはり、「過去問」が大事です。
近年では出題されてない古い過去問でも、キッチリ解くようにしてください。
2020年10月13日 9:41 AM
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