簿記3級の第1問の仕訳問題で頻出なのが「固定資産の期中購入」。当該仕訳についての“狙われる理由”と注意事項を最低限に述べる。当該論点は「付随費用の処理」と「減価償却費」と「勘定科目」の3点をいっぺんに問えるので、けち臭い出題者のお気に入り論点となっている。
固定資産の購入は、仕訳問題で頻出です。また、第3問の総合問題でも顔を出すので、丁寧に見ておかねばならない論点です。
狙われる理由は、「付随費用の処理」が絡むのと、「期中購入だと減価償却費」にひと手間かかるからです。
仕訳のそのものはカンタンですが、だからといって甘く見ていると、“ころっ”と処理を“ド”忘れして採点時に身体が震えるので、注意してください。
また、絶妙な「問題文」のときがあるので、読解力も磨いておく必要があります。
よくある問題は…、
「5月1日に、建物5,000,000円(残存価額10%、定額法、10年)を買った。代金は翌月に払う。登記料の収入印紙30,000円と仲介手数料20,000円は現金で支払った。当期の会計期間は1/1から12/31である。」
…といった塩梅です。
正解の仕訳は以下。
まず、「取得費用」は、取得原価、つまり、建物に含めて計算します。
問題文は、実に“イヤらしく”、付随費用だけ、現金で支払っているので、注意です。
邪な出題者は、問題の使用勘定科目に、「支払手数料」とか、登記料は収入印紙で払うので「租税公課」といった勘定科目を挿入してくる筈です。
まず、「付随費用は取得原価」を、きっちり憶えておきましょう。
建物価額に、各種手数料を合算して、「5,050,000」で計上します。
単純なだけに、忘れがちです。ついうっかり、付随費用を「支払い手数料」などで処理しかねません。
取得原価は、最後に述べる「減価償却費」にも関ってくるので、ここを間違うと、工場を閉鎖したジャムおじさんになってしまいます。
次に注意なのが、代金の処理です。
問題文では、「代金は翌月に払う。」となっているところを、読み落としてはいけません。
普通の問題では、「小切手を切った」で「当座預金」で購入することが多いので、ついウッカリ、忘れてしまいます。
営業『外』の未払いは「未払金」で処理します。
目ざとい出題者は、受験生が固定資産の処理ばかりに目が行っているのをいいことに、こうした心の間隙を付く問題を好んでいます。
「代金は翌月に払う。」なので、必ず、「未払金」で処理します。
固定資産を期中購入すると、期末の減価償却の計算では、「月割」をすることになります。
他の取得済みの固定資産とは、別に計算しないといけないので、注意です。
会計期間は1/1から12/31で、5月1日に購入したので、「8ヶ月」分を計上することになります。
なお、減価償却は「月割」です。たとえば、「5月31日」という末日購入でも、「1ヶ月」とします。
忘れてはいけないのが「付随費用を含めた金額」にするところです。
建物は、建物単体の「5,000,000」ではなく、付随費用を含めた「5,050,000」で計算します。
減価償却費は、「5,050,000×90%÷10年」に「8/12」をかけた「303,000」といった次第です。
受験生の1~2割は、付随費用を忘れて「5,000,000」で計算して、減価償却費を「300,000」で解答することでしょう。
また、何人かは、減価償却の月割りを忘れて、「年」で計算して、ばってんをもらうはずです。
ヒャハ、引っかかってるよとつぶやく、意地の悪い出題者の笑顔が浮かびます。
こんな次第で、「固定資産の期中購入」は、何気についウッカリ間違える可能性をはらんだ論点となっています。
言うなれば、当該論点は、「普段の練習のときは間違えないけど、緊張する本試験というときでは、つい間違う」傾向の強いものとなっています。
この種の問題を落とすと、「黄色信号」どころか「黄疸信号」でかなりやばいです。
最近の簿記3級は、「解ける問題を確実にとっておかないと、失点が追いつかない」傾向となっています。
「固定資産の期中購入」は、1つ1つをきっちり処理していけば、点が取れます。しっかり練習しておきましょう。
なお、仕訳がうまく切れないという人は、「取引の8要素」が頭に刻まれていないからです。
「独学の簿記3級:商業簿記」を参考にしてください。当該8要素が頭に入ってないなら、無理して問題を解かなくていいです。まずはここからです。
また、独学向け教材については「簿記3級の教材レビュー」を一読ください。
2016年10月11日 11:56 AM
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