簿記3級の第1問の仕訳問題で頻出なのが「借入金の借入と返済」。当該仕訳についての“狙われる理由”と注意事項を最低限に述べる。出される理由は「計算が煩雑で、処理がややこしい」から。利息の計算は計算ミスの温床。当該計算で受験生が狩られる。そして、商売についての基礎知識も問えるので、さらに、受験生が倒れる。
仕訳問題で狙われるのが、「借入金の借入と返済」です。
最近の仕訳問題では、「問題文が読めているか、よくある商取引を理解できているか」を、ことさらに試しに来ます。
当該論点の仕訳はカンタンなのですが、問題文に少々“難”があるので、仕訳や処理の方法を丸暗記しただけは、間違ってしまいます。
取引の意味と目的も、きちんとテキストで押えておきましょう。
「借り入れ」で、よくある問題文としては…、
「1,000,000円を、借入期間6ヶ月、年利率14%で借りることにした。利息分が差し引かれた額が振り込まれた。」
…となっています。
また、「返済」の問題文は…、
「1,000,000円を、借入期間6ヶ月、年利率14%で借りていた。支払期限が到来したので元利合計を当座預金より支払った。」
…という出し方もあります。
答えの仕訳を先に挙げておきます。
借入時の仕訳は…、
…となっています。
返済時の仕訳は…、
…です。
意外に間違えるのが、「利息の計算」です。
問題文では、「6ヶ月」という指定があります。
焦っていると、「年利14%」という言葉に引きずられて、「1年」で計算しかねません。
借入は「6ヶ月」ですから、きちんと「100万×14%×6/12」の「70,000」と計算してください。
利息の計算は、『計算ミスの温床』です。
単純な計算こそ間違えるので、問題文をしっかり読んで、借入条件と借入期間を、きっちり読み取ってください。
先の問題では、単純に借入や返済の仕訳が切れるかどうかを試すほか、「問題文が理解できているか、商売の基礎的用語を知っているか」も調べています。
きちんと読まないといけないのは…、
借入の場合の「利息分が差し引かれた額が振り込まれた。」と…、
返済の場合の「元利合計を当座預金より支払った。」の2つです。
商売について多少の知識がないと、この部分で「???」となって途方に暮れてしまいます。
借入の場合の「利息分が差し引かれた額が振り込まれた。」の部分ですが、これは「実務」でよくある借り入れ方法です。
立場が弱い場合、このように、先に利息が引かれてしまいます。
これは、試験とは関係ないので、読み飛ばしてもらって結構ですが、このような「利息天引き」だと、「年利率14%」ではなくなります。
この問題の場合、利息の金額は、先述したように、「100万×14%×6/12」の「70,000」ですが、借り手が使えるのは「930,000円」しか使えないのです。
実質「93万」の借入で、支払う利息が「7万」ですから、年換算で「15.05%」の利息となり、実質、14%より高い利息を払っていることとなります。
(※ 利息7万は半年分なので、1年換算は14万。14÷93で、年利は「0.15」です。)
「利息天引き」のような、一見するとわからないが、計算してみると損する「数字のマジック」もあるので、借金の際は注意しよう、という金融ネタでした。
ま、話がそれましたが、きちんと問題文を読んで、そのとき受け取れる金額(振り込まれる金額)を正確に計算して、仕訳を切ってください。
返済の場合の「元利合計を当座預金より支払った。」ですが、「元利合計」の意味はわかっていないと、仕訳が切れません。
「元利」とは、「“元”本と“利”息」の略語です。
「元利合計を当座預金より支払った」とは、借りた金額と、付いた利息額とを合わせて返済する、という意味です。
社会人の方なら余裕ですが、学生の人には、「縁」がないので、難しいかと思いますが、実務では、「こういう」ことなので、マルッと憶えるしかありません。
なお、FP技能士を受けようと思っている人は、この略語を正確に覚えておきましょう。試験では、「元本均等返済」やら「元利金等返済」といった用語が問われるからです。
仕訳自体はカンタンですが、きちんと問題文を読んで、その通りに、正確に仕訳を切ってください。
仕訳問題は、「もう、カンタンな問題」は出ないと思っていてください。
子供から後ろ指を指されている出題者は、問題文に、何かしらの“注文”を付けてきます。
暗記や記憶で処理の仕方だけを憶えるのではなく、テキストで述べられている「取引の意味や目的」も、きちんと吸収してください。
『心の軍師』に、『敵は、仕訳のみとは限りませんぞ』と、助言してもらってください。
なお、仕訳がうまく切れないという人は、「取引の8要素」が頭に刻まれていないからです。
「独学の簿記3級:商業簿記」を参考してください。当該8要素が頭に入ってないなら、無理して問題を解かなくていいです。
また、独学向け教材については「簿記3級の教材レビュー」を一読ください。
2016年10月24日 12:00 PM
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