今回のカンニング行為は、許されるものではありません。
わたくしが同じ受験生であれば、たまったものじゃありません。犯人の青年には、深く罪を償って欲しく思います。
しかし、こういうと犯人に対してアレですが、馬鹿の上に馬鹿なことをしたなあ、と思う次第でございます。
そして、別の意味で、運が悪かったと思うのでございます。
もしも彼が、従来の古典的なカンニング行為をして、それでばれていれば、単に学内の処分で済んだのでございます。
刑法にも問われない、厳重な注意で終わったのでございます。
「こっちに来なさい」といわれて、鞄と外套を持たされ、試験会場の教室から、試験監督が集まる一室に連行、物証を挙げて、受験資格の剥奪と不合格処分が宣告されて、事は終わったのでございます。
社会的な履歴には、何も残らない程度の事件であったのでございます。試験監督官たちの茶飲み話で、よくある話で終わったのでございます。
カンニング犯の側に立てば、若さゆえの至りとも言ってよかったのでございます。
しかし、今回のカンニングは、インターネットを使ったのが、最大の失策でありました。
インターネットを使った故に、犯人の青年はこんな辱めに遭うことになってしまったのでございます。
おそらく、カンニングの歴史の中で、有数の罰となったことでしょう。
大学側は、カンニング行為が行なわれていれば、可能な限り、取りうる手段を駆使して、それを止めさせなければなりません。
しかも、迅速に、でございます。
大学側・試験監督側は、問題の一部がネットに流出している以上、流出させてカンニングしている人を、特定し、すぐにでも試験問題のダダ漏れを止めなくてはならないわけでございます。
書き込んでいるカンニング犯を、特定しようとするならどうしても、書き込まれた際のIPが必要となります。
しかし、そのIPを入手するのが、現行法上、実にヤヤコシイのでございます。
該当法令は電気通信事業法でありましょうか、よほどの事情がない限りは、サーバー運営者や携帯電話会社などの事業者は、情報の開示できないのでございます。
国家の検閲阻止、プライバシーの尊重、私企業の横槍防止などの理由から、そう簡単に情報開示できない背景があるのでございます。
だからこそ、大学側は、一度警察に被害届けを提出し、刑事事件として処理しなくてはならなかったわけでございます。
通常の折衝ならば、つまり、大学と各事業者という1民間と1民間のやり取りなら、書面の準備から何までで、特定までに数ヶ月はかかったことでありましょう。それでは遅すぎるわけでございます。
また、事業者は即IPを開示したくても、法令上、できないわけでございます。
しかし、いったん刑事事件扱いにすれば、事業者は、刑事事件ですから、拒む理由がありません。すぐさま、情報提供が出来るわけでございます。
こうした背景から、古典的なカンニング事件から、今回のような社会事件へと発展してしまったわけでございます。
今回の事件は、受験の公正・公平さの確保や、受験制度の見直しに一石を投じました。
しかし、今後1番大きな問題となるのは、大学の自治・学問の自由でございます。
大学の一事業が、警察権力の手を借りないと確保できないというのは、学問の自由を侵す、由々しき自体でございます。
ある意味、学長や総長の辞任もあっておかしくはありません。大学者達の学問への軽重が問われてくるでしょう。
今回のようなカンニング事件が起きた際には、関係者が即断に動けるような法整備をも整えなくてはと、素人ながらも強く思うものでございます。お目汚しの程、ありがとうございました。
2011年3月9日 10:04 PM
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