資格試験とは、いったん難化が始まると、当分難化が続くので、安易な「もう難化しない」という憶測に乗らないようにする。
端的に言うと、「難化傾向に入った試験は、今後も難化を続ける」ので、もう難しくはならないだろう的な、安易な憶測に飛びつかないことが肝心です。
昨今の資格試験の事情を鑑みると、「難化傾向」にあります。
人気のある試験だろうが何だろうが、受験者数が増加していようが減少していようが、です。
有名どころでは「宅建」で、宅建試験は、「宅地建物取引士」と名称が改められたのを機に、さらに難化しました。
引掛け問題が多発したり、判例を深く取り扱う問題が増えたり、「正解はいくつか?」的な全ての選択肢を判別できないと正解に至らない難問題が増えたりと、まあ、点が取り難くなったのです。
宅建は毎年毎年“難化”していたので、「名称が変わるといっても、毎回難しくなっているから、“これ以上”は難しくはならず、例年通りの出題となるだろう」的な予想を覆しての、「さらなる難化」となっていました。
その他の事例としては、マイナーどころの「第3種冷凍機械責任者(通称:冷3)」です。
この試験は、以前は、定番問題が数多く出題された試験で、軽く勉強すれば誰でも合格する試験でした。
不自然な選択肢も多く、たとえば、「○○の場合は、AとBという作業はするが、Cはしなくてよい」というような出題が結構あるので、中身を知らなくても、何かヘンだ的に選択肢が選べてしまい、あまり勉強しなくても合格点を確保できたのです。
が、この近年で、以前にはない出題がちらほら増えだし、昨年度(2014年度)は、1科目丸々が難化し、本年度(2015年度)に到っては、全ての科目が難化し、かつての過去問が霞んでしまうほどの大変化を遂げたのでした。
まさか、こんなマイナーな試験が難化するとは、というのが第1の感想で、難化して受験者数が激減すれば手数料収入も減る→マイナー試験にとっては死活問題→だから更なる難化はない、と思っていた矢先の変化で、本試験では頭を抱えたものです。
試験の難化については、「通関士」という試験も知っておくべき素材です。
難化して受験者数が減っても、試験は難化するという見本だからです。
通関士は、例年1万人前後が受験していたのに、試験が難化したこともあって、現在では7500人近くしか受けない試験となってしまいました。そう、4分の1減、25%減になったのです。
以前は本屋の本棚が丸々通関士だったのに、今では、半分以下のスペースとなったくらいに、下火になってしまいました。しかし、それでも、絶賛難化中なのです。
ちなみに宅建は毎年20万人近く受ける人気資格で、対して、冷3は例年7000~8000人程度しか受けない試験です。
規模の大小に違いがあっても、「試験というものの性質」は、いったん難化が始まると、よほどのことがない限り、難化傾向は続く、というのが実感としてヒリヒリ感じている次第です。
テキストなり過去問なりで、「難化」という文言に触れたら、安直な「もう難化はないだろう」的な憶測に乗ってはいけません。
もっともっと難しくなって、見たことも聞いたこともない問題に当たる可能性が高く、さらに難化してもいい心構えを作って試験に臨むのが、よほどに「安全」です。
2015年12月22日 12:16 PM
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