第33回 理論問題 過去問(令和5年9月実施)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は『工事別原価計算表』の問題。「工事別原価計」の計算で、予定配賦と配賦差異も、普通のレベルです。テキストと過去問を繰り返しておけば、まず、取れます。

第4問 設問2

 ◇問題◇

 

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解説

 結論から言うと、「答えはこちら」です。

 本問のレベルは「ふつう」です。

 過去問の定番問題です。

ポイント

 第4問の計算問題は、解答用紙を最初に目を通すようにしてください。

 「どういう計算・処理が求められるか」は、解答用紙を見た方が、イメージが湧きやすいです。

 本問では、「工事別原価計算表」とあるので、個々の工事の数字を集計するんだなー的な推測が付くかと思います。

処理1‐未成工事支出金

 問題の資料と解答用紙を眺めると、No.501とNo.502の「月初未成工事原価」が計算できそうです。

 (1)未成工事支出金にある数字を、足し算します。

 No.501は、「235,000+329,000+650,000+115,000」で「1,329,000」となります。

 No.502は、「580,000+652,000+1,328,000+218,400」で「2,778,400」となります。

 よって、「月初未成工事原価」の合計は、「1,329,000+2,778,400」で「4,107,400」となります。

 計算ミスに気を付けてください。2回くらい、検算しましょう。

処理2‐労務費

 問題文の資料の「当月の工事別直接原価額」を見ると、ご丁寧にも、「労務費(資料により各自計算)」とあります。

 よって、「労務費に関するデータ」を、計算していきましょう。

 問題文には、「1 労務費計算は予定賃率を用いており、当会計期間の予定賃率は時間当たり¥2,100 である。」とあります。

 んで、「2 当月の直接作業時間」には、「No.501 153 時間、No.502 253 時間、No.601 374 時間、No.602 192 時間」とあります。

 要は、予定賃率の¥2,100を、各工事の作業時間に、かけ算するだけです。

 ここでは、電卓機能の「定数計算」が便利です。

 カシオだと「2100××」と打ちます。

 液晶には、「k」と表示されます。

 No.501は、「153=」で「321,300」です。

 No.502は、「253=」で「531,300」です。

 No.601は、「374=」で「785,400」です。

 No.602は、「192=」で「403,200」です。

 んで、「GT」を押すと、「2,041,200」と集計されます。

 参考:感動!GT(グランド・トータルキー)

 検算して、数字に間違いがないようなら、解答用紙の各工事の「労務費」に、記入していきましょう。

処理3‐残りの工事別直接原価額

 残りの工事別直接原価額の材料費、外注費、経費ですが、問題文には、これといった指示もないです。

 んなもんで、資料の数字を解答用紙に記入していきます。

 材料費は、「258,000+427,000+544,000+175,000」で「1,404,000」です。

 外注費は、「765,000+958,000+2,525,000+419,000」で「4,667,000」です。

 直接経費は、「95,700+113,700+195,600+62,800」で、「467,800」です。

 念のため、検算して、解答用紙に記入しましょう。

処理4‐配賦率

 「工事間接費」の計算をします。

 資料の「5.工事間接費の配賦方法と実際発生額」を、ツラツラ見ると…、

 「1 工事間接費については直接原価基準による予定配賦法を採用している。」とあります。

 「2 当会計期間の直接原価の総発生見込額は¥56,300,000 である。」とあります。

 「3 当会計期間の工事間接費予算額は¥2,252,000 である。」とあります。

 まず、予定配賦率を計算します。

 「2,252,000/56,300,000」で「0.04」と相なります。

 「直接原価基準」では、こうするくらいに、処理の仕方を丸憶えしましょう。

処理5‐直接原価基準1

 次に、問題文から、「直接原価基準による予定配賦法を採用」とあります。

 直接原価に配賦率を掛けていきます。

 過去問だとおなじみの計算ですね。

 さて、直接原価ですが、「材料費、労務費、外注費、経費」の合計額です。

 「No.501」は、「258,000+321,300+765,000+95,700」の「1,440,000」です。

 「No.502」は、「427,000+531,300+958,000+113,700」の「2,030,000」です。

 「No.601」は、「544,000+785,400+2,525,000+195,600」の「4,050,000」です。

 「No.602」は、「175,000+403,200+419,000+62,800」の「1,060,000」です。

処理6‐直接原価基準2

 続きです。

 予定配賦率は、「0.04」でした。

 ふつうに計算すると、以下のとおりです。

 「No.501」は、「1,440,000*0.04」の「57,600」となります。

 「No.502」は、「2,030,000*0.04」の「81,200」となります。

 「No.601」は、「4,050,000*0.04」の「162,000」となります。

 「No.602」は、「1,060,000*0.04」の「42,400」となります。

 合計は、「343,200」です。

 ここも、「定数計算」が便利ですね。

 カシオの電卓だと、「0.04××」で、定数計算です。

 「No.501」は、「1,440,000=」の「57,600」となります。

 「No.502」は、「2,030,000=」の「81,200」となります。

 「No.601」は、「4,050,000=」の「162,000」となります。

 「No.602」は、「1,060,000=」の「42,400」となります。

 「GT」を押すと、合計は、「343,200」となります。

 検算して、解答用紙に記入しましょう。

処理7‐集計

 個々の工事の集計をしていきます。

 ここは、解答用紙を見て計算しましょう。どの工事が終わって、どの工事がまだなのか、考えなくて済みます。

 「No.501」は、「1,329,000+258,000+321,300+765,000+95,700+57,600」の「2,826,600」となります。

 「No.502」は、「2,778,400+427,000+531,300+958,000+113,700+81,200」の「4,889,600」となります。

 「No.601」は、「544,000+785,400+2,525,000+195,600+162,000」の「4,212,000」となります。

 「No.602」は、「175,000+403,200+419,000+62,800+42,400」の「1,102,400」となります。

 「当月完成工事原価」は、「2,826,600+4,212,000」の「7,038,600」です。

 「月末未成工事原価」は、「4,889,600+1,102,400」の「5,992,000」です。

 念のため、検算しましょう。

処理8‐工事間接費配賦差異

 やっと、最後の「工事間接費」の配賦差異の計算です。

 問題文には、「工事間接費の当月実際発生額は¥341,000である」とあります。

 処理6を見ると、予定配賦額は、「343,200」でした。

 差額は、「343,200-341,000」で、「2,200」です。

 配賦差異の計算は、自己流のやり方でやっています。

 興味のある人は、「配賦差異の機械的作業‐建設業経理士2級の勉強」を一読願います。

 実際発生額は、「341,000」です。

 予定配賦額は、「343,200」です。

 T字勘定で表すと…、

 

 …となります。

 「工事間接費」の上記画像の赤線点線を埋めるような、仕訳を考えると…、

 借方:工事間接費 2,200

 貸方:配賦差異 2,200

 …となります。

 当該仕訳を、「配賦差異」のT字勘定に転記すると…、

 

 …となります。

 差額は、「3500-2200」の「1,300」となります。

 んで、先のT字勘定から、「借方差異」なので、「A」となります。

まとめとこたえ

 答えは…、

 

 …です。

 >>> 次の問題へ。


第33回

 インデックス

第1問:仕訳

 1問:別途積立金取り崩し

 2問:建築仮勘定

 3問:社債

 4問:固定資産の保険処理

 5問:完成工事補償引当金

第2問:文章問題

 1問:棚卸減耗

 2問:工事進行基準

 3問:総合償却法(加重平均法)

 4問:賞与引当金

第3問 個別問題

 1問:部門費振替表

第4問 理論+計算

 理論問題

 工事別原価計算表

第5問 総合問題

 精算表:インデックス・ポイント

 精算表:設問1

 精算表:設問2

 精算表:設問3

 精算表:設問4

 精算表:設問5

 精算表:設問6

 精算表:設問7

 精算表:設問8

 精算表:設問9

 精算表:設問10

 精算表:設問11

PDF過去問の閲覧

 結論から言うと、PDF形式の過去問でイライラしている人は、「タブレット」で閲覧する、といった次第です。

 

 当方、PDF過去問の閲覧には、12インチのタブレットを使いますが、「紙」の過去問と遜色なく、問題演習に集中できています。

 公式のPDF過去問は、スマホだと画面が小さくて問題文が読み難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。

 本格的な“問題演習”には、「タブレット」が最も勝手がよく、ストレスが少ないというのが実感とするところです。

 PDFタイプの過去問演習でイライラしている方は、「タブレット」の活用を勧めます。押入れから出してみてください。

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 簿記3級持ちの方は、テキストと問題集は、TACの「スッキリわかる 建設業経理士2級」と「スッキリとける問題集 建設業経理士2級」を…、

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 ところで、電卓です。

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 簿記2級では必須の高品質電卓と避けるべきペラペラ計算機

 左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。

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建設業経理士2級のこまごましたもの

 建設業経理士に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。

 「建設業経理士の投稿記事」をばご参考ください。

 合格体験記は「建設業経理士2級の合格体験記」で、合格証書は「建設業経理士2級の合格証書」です。

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