第33回‐仕訳過去問(令和5年9月実施)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は『社債』の仕訳。端数処理ですが、ここまで突っ込まれた出題は、初めてかと思います。たぶん、解けないです。過去問に出たことは、甘く見てはいけないので、解けるようにはなっておきましょう。

第3問‐社債

 ◇問題◇

 


 ◇勘定科目群◇

 

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解説

 結論から言うと、「答えはこちら」です。

 本問のレベルは「難」です。

 ところで、「借方」は「左がわ」で、お茶碗を持つ方です。

 対して、「貸方」は「右がわ」で、お箸を持ったり、配偶者をお縄にするときの方です。

解説

 本問を解くにあたって、最初に気を付けないといけないのは、「社債」の判断です。

 当該社債の買い入れですが、問題文のどこにも『自社が発行した社債』的な記述がありません。

 つまり、自社発行の社債の買い入れ償還をしたわけではないのです。

 単に、他社の社債を買ったわけで、単に、債券を買っただけなのです。

 この点を、勘違いしないでください。

処理1

 問題文には、「社債(額面総額:¥5,000,000、償還期間:5年、年利:1.825 %、利払日:毎年9月と3月の末日)を¥100 につき¥98 で5月1日に買入れ、端数利息とともに小切手を振り出して支払った」とあります。

 まずは、社債の買い入れから見ていきます。

 額面総額:¥5,000,000の社債を、¥100 につき¥98で買っています。

 んなもんで、「5000000*(98/100)」で「4900000」が購入金額となります。

 さて、勘定科目ですが、他社の社債を買っただけですから、ふつうの債券と同じ扱いです。

 「勘定科目群」を見ると、「投資有価証券」とあるので、これを使うことがわかります。

 さて、仕訳ですが、「資産」の「増加」なので…、

 借方:投資有価証券 4,900,000

 …と相なります。

処理2

 次に、本問の最難関の「端数利息(はすうりそく)」の計算に入ります。

 当該端数利息ですが、「前利払い日の翌日から、売買日当日までの日数」が計算対象となります。

 問題文には、「利払日:毎年9月と3月の末日」と「5月1日に買入れ」とあります。

 起算日は、「前利払い日の翌日から」なんで、「3月の末日」の翌日となり、「4月1日」が起算日となります。

 4月は、全部で「30日」です。

 そして、「売買日当日まで」とあります。

 「5月1日に買入れ」とあるので、買い入れ当日の「5月1日」までを計算することになります。

 5月1日は、「1日」です。

 以上のことから、「30+1」の「31」日で端数利息を計算することになります。

 そして、これも難しいのですが、問題文に指示はなくとも、「365」日で計算します。

 んなもんで、「31/365」を掛けることになります。

 社債の額面は、「¥5,000,000」です。

 年利は、「1.825 %」です。

 んなもんで、「5000000*0.01825*31/365」の「7750」となります。

 端数利息は、¥7,750で、支払うことになります。

 当該端数利息ですが、「勘定科目群」を見ると、「有価証券利息」とあるので、これを使うことがわかります。

 仕訳は、「費用」の「認識」なので…、

 借方:有価証券利息 7,750

 …と相なります。

補足

 当該端数利息で注意すべきは、使う勘定科目です。

 「支払利息」を使ってはいけません。

 当該支払利息は、借入金の利息の支払いで使う勘定科目です。

 そして、「社債利息」も、注意してください。

 これは、自社が発行した社債の利払いに使用する勘定科目です。

処理4

 買った社債と、端数利息の支払い処理をします。

 買った社債は、¥4,900,000です。

 支払った端数利息は、¥7,750です。

 んなもんで、「4900000+7750」の「4907750」が支払額となります。

 問題文には、「小切手を振り出して支払った」とあるので、「当座預金」で処理します。

 仕訳は、「資産」の「減少」なので…、

 貸方:当座預金 4,907,750

 …と相なります。

仕訳まとめ

 先ほどの仕訳を合体すると…、

 借方:投資有価証券 4,900,000

 借方:有価証券利息 7,750

 貸方:当座預金 4,907,750

 …と相なります。

 後は、それぞれの記号を、「勘定科目群」から探して、付記するだけです。

まとめとこたえ

 記号を付せば、答えは…、

 

 …です。

 >>> 次の問題へ。


第33回

 インデックス

第1問:仕訳

 1問:別途積立金取り崩し

 2問:建築仮勘定

 3問:社債

 4問:固定資産の保険処理

 5問:完成工事補償引当金

第2問:文章問題

 1問:棚卸減耗

 2問:工事進行基準

 3問:総合償却法(加重平均法)

 4問:賞与引当金

第3問 個別問題

 1問:部門費振替表

第4問 理論+計算

 理論問題

 工事別原価計算表

第5問 総合問題

 精算表:インデックス・ポイント

 精算表:設問1

 精算表:設問2

 精算表:設問3

 精算表:設問4

 精算表:設問5

 精算表:設問6

 精算表:設問7

 精算表:設問8

 精算表:設問9

 精算表:設問10

 精算表:設問11

PDF過去問の閲覧

 結論から言うと、PDF形式の過去問でイライラしている人は、「タブレット」で閲覧する、といった次第です。

 

 当方、PDF過去問の閲覧には、12インチのタブレットを使いますが、「紙」の過去問と遜色なく、問題演習に集中できています。

 公式のPDF過去問は、スマホだと画面が小さくて問題文が読み難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。

 本格的な“問題演習”には、「タブレット」が最も勝手がよく、ストレスが少ないというのが実感とするところです。

 PDFタイプの過去問演習でイライラしている方は、「タブレット」の活用を勧めます。押入れから出してみてください。

 なお、手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。

 アンドロイド製のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安く、もちろん、PDFの閲覧も可能で、コストパフォーマンスが秀逸です。

 とりわけ、スマホしか持ってない方に勧めます。小さい画面での問題演習は、倍疲れます。

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 教材の詳細は「教材レビュー」で述べていますが、読むのが面倒な方は…、

 簿記2級持ちの方は、ネットスクールの「建設業経理士 過去問題集&テキスト 2級 出題パターンと解き方」1冊で事が足ります。

 簿記3級持ちの方は、テキストと問題集は、TACの「スッキリわかる 建設業経理士2級」と「スッキリとける問題集 建設業経理士2級」を…、

 過去問には、「合格するための過去問題集 建設業経理士2級 」を使えばよいでしょう。

 建設業経理士2級は、市販されている教材が少ないので、大概、こうなるかと思います。試験会場でも、多くの人が同じような教材を手にしていました。

 ところで、電卓です。

 100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。

 高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。

 簿記2級では必須の高品質電卓と避けるべきペラペラ計算機

 左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。

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建設業経理士2級のこまごましたもの

 建設業経理士に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。

 「建設業経理士の投稿記事」をばご参考ください。

 合格体験記は「建設業経理士2級の合格体験記」で、合格証書は「建設業経理士2級の合格証書」です。

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