本問は、『完成工事原価報告書』です。完成工事原価や未成工事支出金、配賦差異を計算する総合問題です。本問は、完成工事原価を計算します。作業そのものは、シンプルなのですが、怖いのが「計算ミス」です。どうすれば「計算ミス」をしないかを、各自で追及してください。
◇問題◇
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結論から言うと、「答えはこちら」です。
本問のレベルは「ふつう」です。
資料1を読むと、当月に完成したのは、「201」と「212」と「213」であることがわかります。
んなもんで、「201」と「212」と「213」に関する数字が、「完成工事原価」の計算対象となります。
んで、残る「202」は、当月に未完成です。
よって、「202」に関する数字が、「未成工事支出金」の計算対象となります。
この把握が本問の肝なので、ガチで押えてください。
資料3の(2)に、「現場共通費」なる勘定があります。
資料を続けて読むと、「予定配賦」とあるので、これがいわゆる「間接費」なことがわかります。
ざっくり、配賦していきましょう。
まずは、「甲部門費」からです。
資料には、「甲部門費の配賦基準は直接作業時間であり、当月の予定配賦率は時間当たり¥1,200である」とあり、その下に「作業時間」の表があるので、これに応じて、配賦することがわかります。
@1200で、表の各時間に掛け算していくと…、
・No.201…40時間→「40*1200」で「48000」。
・No.202…20時間→「20*1200」で「24000」。
・No.212…15時間→「15*1200」で「18000」。
・No.213…30時間→「30*1200」で「36000」。
…と相なります。
念のため、検算をしましょう。
合計の「105」時間を計算すると、「105*1200」で「126,000」。
先に計算した数字を集計すると、「126,000」となり、計算に間違いのないことがわかります。
さて、上記のような、「同じ数字を使っての計算」は、「定数計算」といいます。
カシオの計算機なら、「1200××」と入力すれば、液晶に「K」が表示されて、定数計算モードになります。
それ以後は、「40=」「20=」「15=」「30=」と押すだけなので、かなり計算が楽になります。
ぜひ、取り入れてください。
参考:計算機の小技-定数計算
なお、先ほどの検算用の「105」時間の「126,000」ですが、上記のように定数計算をして、「GT」を押せば、即、集計ができます。
「GT」は、「グランドトータル」です。便利なので、これも押えておきましょう。
次は、「乙部門費」からです。
資料には、「乙部門費の配賦基準は直接材料費法であり、当月の予定配賦率は15%である。」とあります。
直接材料費法ですので、当月の材料費に配賦率である「15%」を掛けることになります。
資料3(1)の工事直接費の「材料費」に、「15%」を掛けていくと…、
・No.201‐¥30,000→「30000*0.15」で「4500」。
・No.202‐¥120,000→「120000*0.15」で「18000」。
・No.212‐¥50,000→「50000*0.15」で「7500」。
・No.213‐¥250,000→「250000*0.15」で「37500」。
…と相なります。
ここも、先と同じように、「定数計算」を使うと楽です。
カシオの計算機なら、「0.15××」と入力すれば、定数計算モードになります。
それ以後は、「30000=」「120000=」「50000=」「250000=」と押すだけです。
んで、最後に「GT」を押せば、予定配賦の総額「¥67,500」が、一瞬で計算できます。
以下は、当方の「わたし」のやり方です。
本問で最も怖いところは、「計算ミス」です。
よって、どうすれば計算ミスをしないかを、考えないといけません。
当方は、面倒くさいし、時間もかかるのも承知ですが、計算用紙に「表」に近いものを作って、資料の数字を転記するようにしています。
当方の計算用紙を見やすくしたものは…、
…といった風です。(元の計算用紙は、もっと汚くてぐちゃっとしてます。)
なぜ、ここまで手をかけるのかというと、「計算ミスの予防」に加えて、「検算をしやすくするため」です。
ここまでキッチリまとめておくと、後々の検算が実に楽に、かつ、短時間で済みます。
全問解き終わった後の見直しも、格段に速く正確になります。
各費用ごとに、工事NOを書いて、「未成分」と「当月分」の数字を転記するのは手間ですが、後々の「見直し」のためにも、ここまでやっておくことを推奨します。
書き方は自由なので、各自で、いかに「後で楽をするか」を念頭に、資料のまとめ方・書き方を追求してください。
さて、今回は、何故に、ここまでキッチリやっているのかと言うと、後々の問題を『偵察』したからです。
次の第4問は、ざっと見で単純な予定配賦の問題とわかりますし、第5問の設問を見れば、(精算表もいつも通りだなー)とわかります。
んなもんで、当該第3問の2の問題は、(時間をかけてもいいな)、と判断した次第です。
建設業経理士2級は、日商簿記とは違って、受験生に配慮があるので、時間のバランスが取れた出題をします。
すべての問題の難易を把握してから、「時間をかける・かけない」を判断するとよいでしょう。
少し脱線しましたが、計算していきましょう。
間接費の配賦が済んだら、先に述べたように、集計しやすいように数字を整理して、数字の転記ミスや、転記忘れなどがないかを確かめてから、工事原価等の計算をしていきましょう。
再度、述べておきますが、「完成工事原価」の対象となるのは、当月に完成した「201」と「212」と「213」です。
計算中に、まだ未完成の「202」の数字が入り込まないよう、注意してください。
材料費を集計します。
「201」と「212」と「213」の…、
「未成工事分」は、「1,230,000+380,000」です。
んで、「当月分」は、「30,000+50,000+250,000」です。
よって、合計は、「1,940,000」となります。
労務費を集計します。
「201」と「212」と「213」の…、
「未成工事分」は、「560,000+143,000」です。
んで、「当月分」は、「81,000+40,000+134,000」です。
よって、合計は、「958,000」となります。
外注費を集計します。
「201」と「212」と「213」の…、
「未成工事分」は、「3,800,000+520,000」です。
んで、「当月分」は、「382,000+69,000+652,000」です。
よって、合計は、「5,423,000」となります。
経費を集計します。
「201」と「212」と「213」の…、
「未成工事分」は、「231,000+39,000」です。
んで、「当月分」は、「57,000+22,000+18,000」です。
よって、合計は、「367,000」となります。
んで、「現場共通費」の甲部門費と乙部門費は、「現場共通費はすべて経費に属するものである」とあるので、経費に算入します。
「201」と「212」と「213」の甲部門費と乙部門費ですが、
甲部門費は…、
・No.201「48000」。
・No.212「18000」。
・No.213「36000」。
合計で、「102,000」となります。
乙部門費は…、
・No.201‐「4500」。
・No.212‐「7500」。
・No.213‐「37500」。
合計で、「49,500」となります。
両部門の合計は、「102000+49500」で「151,500」となり、これを、経費に加えます。
「367,000+151,100」で、「518,500」と相なります。
完成工事原価ですが、「1940000+958000+5423000+518500」で「8,839,500」と相なります。
答えは…、
…と相なります。
結論から言うと、PDF形式の過去問でイライラしている人は、「タブレット」で閲覧する、といった次第です。
当方、PDF過去問の閲覧には、12インチのタブレットを使いますが、「紙」の過去問と遜色なく、問題演習に集中できています。
公式のPDF過去問は、スマホだと画面が小さくて問題文が読み難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。
本格的な“問題演習”には、「タブレット」が最も勝手がよく、ストレスが少ないというのが実感とするところです。
PDFタイプの過去問演習でイライラしている方は、「タブレット」の活用を勧めます。押入れから出してみてください。
なお、手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。
アンドロイド製のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安く、もちろん、PDFの閲覧も可能で、コストパフォーマンスが秀逸です。
とりわけ、スマホしか持ってない方に勧めます。小さい画面での問題演習は、倍疲れます。
受験が終わっても、アレコレ使えますし、安価なサブ機としても使えます。これを機に「Fire HD」を買っても、損はないです。
教材の詳細は「教材レビュー」で述べていますが、読むのが面倒な方は…、
簿記2級持ちの方は、ネットスクールの「建設業経理士 過去問題集&テキスト 2級 出題パターンと解き方」1冊で事が足ります。
簿記3級持ちの方は、テキストと問題集は、TACの「スッキリわかる 建設業経理士2級」と「スッキリとける問題集 建設業経理士2級」を…、
過去問には、「合格するための過去問題集 建設業経理士2級 」を使えばよいでしょう。
建設業経理士2級は、市販されている教材が少ないので、大概、こうなるかと思います。試験会場でも、多くの人が同じような教材を手にしていました。
ところで、電卓です。
100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。
高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。
左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。
考えるのが面倒な人は、わたしが愛用している「DF-120GT」にすればよいでしょう。これで支障ありません。建設業経理士もこれで受験しました。
建設業経理士に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。
「建設業経理士の投稿記事」をばご参考ください。
合格体験記は「建設業経理士2級の合格体験記」で、合格証書は「建設業経理士2級の合格証書」です。
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