第29回‐総合問題 過去問(令和3年9月実施)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 第29回試験の第5問『精算表』の設問6を解説するページです。当該設問は、「貸倒引当金」を処理する問題です。問題文をよく読んで、普通の債権と懸念債権とを整理しながら、処理しましょう。基本レベルです。

第5問‐精算表:設問6‐貸倒引当金

 ◇問題◇

 

 ◇問題全文◇

 

 ◇解答用紙◇

 

 (クリックして拡大。)

解説

 結論から言うと、当該設問の「仕訳はこちら」です。

 精算表で毎年のように出る問題です。

 過去問をシッカリ解いて、要領をつかんでおいてください。

処理①

 貸倒引当金の処理ですが、「売上債権」を計算する必要があります。

 当該「売上債権」ですが、おおむね、完成工事未収入金の決済や、受取手形の貸倒処理などがあって、変動するのが常です。

 本問の計算に着手する前に、「受取手形」や「完成工事未収入金」に変動がないか、変動する仕訳がないか、すべての設問をチェックしてください。

処理②‐完成工事未収入金と受取手形

 さて、「売上債権」ですが、先も述べたように、「受取手形」と「完成工事未収入金」が該当します。

 本問では、「5」にて、「完成工事未収入金」に変動があり、「14,000」を減らした後の金額で処理することになります。

 よって、「完成工事未収入金」は、「721000-14000」で「707,000」となります。

 「受取手形」には、変動がないので、そのまんま、T/Bの数字の「68,000」で計算します。

 んなもんで、「売上債権」は、「707,000+68,000」で「775,000」となります。

処理③‐懸念債権

 さて、問題文には、「なお、当期末の売上債権のうち貸倒が懸念される債権¥15,000については、回収不能と見込まれる¥7,500を個別に貸倒引当金として計上する」とあります。

 貸し倒れ懸念債権が「15,000」あり、これは、別個の処理をせよとの指示です。

 債権総額は、「775,000」です。

 「775000-15000」で、普通の債権は、「760,000」となります。

 まとめると…、

 ・普通の債権・・・¥760,000

 ・懸念債権・・・¥15,000

 …です。

処理④‐引当金の計上

 問題文には、「1.2%の貸倒引当金を計上する」とあります。これは、普通の債権への処理です。

 「760000*0.012」で「9120」が貸倒引当金の計上額となります。

 次に、懸念債権ですが、「回収不能と見込まれる¥7,500を個別に貸倒引当金として計上する」との指示があります。

 んなもんで、そのまんま、「7500」を貸倒引当金として計上します。

 計上額は、「9120+7500」で「16620」となります。

処理⑤‐差額補充法

 本問は、「差額補充法」が指示されています。

 解答用紙をチェックすると、T/B上には、貸倒引当金が「8,400」計上されています。

 計上額は、「16620」です。

 「差額補充法」ですから、「16620-8400」で、「8220」を計上することになります。

 仕訳は、「費用」の認識と、「負債」の増加なので…、

 借方:貸倒引当金繰入額 8,220

 貸方:貸倒引当金 8,220

 …となります。

 以上で、処理が終了です。

 落ち着いて、指差し確認をしながら、「整理記入」に、転記してください。

確認用

 当該設問の仕訳は、「こちら」です。

 あと、念のために、問題全体の答えですが…、

 

 …こうなっています。

 >>> 続きはこちら。


第29回

 インデックス

第1問:仕訳

 1問:仕入割引

 2問:売買目的有価証券

 3問:建設仮勘定

 4問:利益処分

 5問:社債発行

第2問:文章問題

 1問:生産高比例法と定額法

 2問:工事進行基準

 3問:手形貸付

 4問:前払利息

第3問 理論+計算

 1問:理論問題

 2問の1:完成工事原価報告書

 2問の2:未成工事支出金残高

 2問の3:間接費配賦差異

第4問 個別問題

 車両関係費予定配賦率

第5問 総合問題

 精算表:インデックス・ポイント

 精算表:設問1

 精算表:設問2

 精算表:設問3

 精算表:設問4

 精算表:設問5

 精算表:設問6

 精算表:設問7

 精算表:設問8

 精算表:設問9

 精算表:設問10

PDF過去問の閲覧

 結論から言うと、PDF形式の過去問でイライラしている人は、「タブレット」で閲覧する、といった次第です。

 

 当方、PDF過去問の閲覧には、12インチのタブレットを使いますが、「紙」の過去問と遜色なく、問題演習に集中できています。

 公式のPDF過去問は、スマホだと画面が小さくて問題文が読み難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。

 本格的な“問題演習”には、「タブレット」が最も勝手がよく、ストレスが少ないというのが実感とするところです。

 PDFタイプの過去問演習でイライラしている方は、「タブレット」の活用を勧めます。押入れから出してみてください。

 なお、手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。

 アンドロイド製のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安く、もちろん、PDFの閲覧も可能で、コストパフォーマンスが秀逸です。

 とりわけ、スマホしか持ってない方に勧めます。小さい画面での問題演習は、倍疲れます。

 受験が終わっても、アレコレ使えますし、安価なサブ機としても使えます。これを機に「Fire HD」を買っても、損はないです。

独学向け教材

 教材の詳細は「教材レビュー」で述べていますが、読むのが面倒な方は…、

 簿記2級持ちの方は、ネットスクールの「建設業経理士 過去問題集&テキスト 2級 出題パターンと解き方」1冊で事が足ります。

 簿記3級持ちの方は、テキストと問題集は、TACの「スッキリわかる 建設業経理士2級」と「スッキリとける問題集 建設業経理士2級」を…、

 過去問には、「合格するための過去問題集 建設業経理士2級 」を使えばよいでしょう。

 建設業経理士2級は、市販されている教材が少ないので、大概、こうなるかと思います。試験会場でも、多くの人が同じような教材を手にしていました。

 ところで、電卓です。

 100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。

 高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。

 簿記2級では必須の高品質電卓と避けるべきペラペラ計算機

 左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。

 高品質な計算機

 考えるのが面倒な人は、わたしが愛用している「DF-120GT」にすればよいでしょう。これで支障ありません。建設業経理士もこれで受験しました。

建設業経理士2級のこまごましたもの

 建設業経理士に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。

 「建設業経理士の投稿記事」をばご参考ください。

 合格体験記は「建設業経理士2級の合格体験記」で、合格証書は「建設業経理士2級の合格証書」です。

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