第25回‐仕訳過去問(H31/3実施)

まずは初めに結論を。一口で言うと。まとめ。要旨。

 本問は『工事進行基準』の仕訳。第25回試験の第1問‐仕訳問題の4問目。本問は『工事進行基準』の仕訳。最初は「工事完成基準」だったのに、「工事進行基準」に切り替えた年度の処理を行います。過去にあまり出題のない問題なので、ケアレスミスで、ついウッカリ間違う人が多いはずです。しっかり復習しましょう。

第4問‐工事進行基準

 ◇問題◇

 


 ◇勘定科目群◇

 

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解説

 結論から言うと、「答えはこちら」です。

 本問のレベルは「やや難」です。

 多くの方が、ケアレスミスで、間違うと思います。

 今は、間違えていいので、今後は、ミスをしないようにしましょう。

 ところで、「借方」は「左がわ」で、フォーク・お茶碗・スマホを持つ方です。

 対して、「貸方」は「右がわ」で、ナイフ・お箸を持ったり、配偶者にノミ取りシャンプーをかけるときの方です。

ポイント1

 問題文には、「前期に着工したY工事については、信頼性を持った総工事原価の見積もりができなかったため、工事進行基準を適用していなかった」とあります。

 「工事進行基準ではない」ということは、つまりは、「工事完成基準」で処理していたわけです。

 要は、前期着工のY工事では、完成工事高も完成工事原価も、未計上であったという塩梅です。

ポイント2

 設問では、当期から、「工事進行基準」を採用しています。

 んなもんで、あの公式を思い出すだけです。

 

計算する

 問題文には、「請負金額¥75,000,000、総工事原価見積額¥67,500,000、前期の工事原価発生額¥10,500,000、当期の工事原価発生額¥43,500,000であった。」とあります。

 先の公式に、数字を当てはめましょう。

 工事収益総額は、請負金額の「75,000,000」です。

 分子の「当月までの実際発生工事原価」は、「10,500,000+43,500,000」の「54000000」となります。

 分母の「見積り工事原価総額」は、総工事原価見積額の「67,500,000」となります。

 最後の「過年度工事収益累計額」ですが、先に見たように、前年は、「工事完成基準」であったので、工事収益は、計上されていません。よって、「0」となります。

 公式に数字をはめ込むと…、

 75000000*54000000/67,500,000-0

 …となり、工事収益は、「60,000,000」と相なります。

 これが、当期に計上される「完成工事高」となります。

完成工事高の仕訳

 後は、ふつうに、「完成工事高」の仕訳を切るだけです。

 工事代金は、まだ受け取っていませんから(問題文に指示がありませんから)、穏当に、「完成工事未収入金」で処理することになります。

 資産の増加と、収益の認識なので、仕訳は…、

 借方:完成工事未収入金 60,000,000

 貸方:完成工事高 60,000,000

 …と、相なります。

【ケアレスミス】完成工事原価の仕訳【続出】

 収益を認識したなら、費用も認識せねば、片手落ちです。

 しかし、ここに、ケアレスミスの大穴が待っています。

 先に見たように、前年度は、「工事完成基準」でした。んなもんで、前年の完成工事原価は、未だ、未計上なのです。

 よって、当期では、前年分を含めた完成工事原価を、計上することになります。

 よって、先に計算した「10,500,000+43,500,000」の「54,000,000」を、工事原価として、当期に計上することになります。

 処理ですが、「未成工事支出金」を「完成工事原価」に振り替えます。

 費用の認識と、資産の減少なので、仕訳は…、

 借方:完成工事原価 54,000,000

 貸方:未成工事支出金 54,000,000

 …と、相なります。

 前年分と当期分の合計額を計上するので、間違わないでください。

 わたしは、間違えて、当期分しか計上してませんでした。完全なケアレスミスでした。

 本問のような、過去の工事原価をまとめて当期に計上する処理は、過去問にもほとんどないので、間違えやすくなっています。

 今後の定番となりそうなので、意識して、憶えてください。

仕訳合体

 先の仕訳群を合体すると…、

 借方:完成工事未収入金 60,000,000

 借方:完成工事原価 54,000,000

 貸方:完成工事高 60,000,000

 貸方:未成工事支出金 54,000,000

 …となり、これが答えとなります。

こたえ

 先の仕訳に、勘定科目の記号を付与すれば、答えは…、

 

 …です。

 >>> 次の問題へ。


必ず!チェック!!

 建設業経理士2級の仕訳問題には、『解答に記号を付す』という、他の簿記試験にはない、固有の特徴があります。

 

 このように、勘定を書く左側に「記号欄」があり、当該記号は「使用勘定科目群」にあります。

 本試験という緊張している時だと、“ついウッカリ”忘れることがあります。

 あまり意味がないので面倒ですが、普段から、記号を記入する訓練をしておきましょう。毎回やっていると、身体が覚えるので、本試験でポカをしません。

25回

 インデックス

第1問:仕訳

 1問:自家消費・・・「ふつう」。

 2問:仕入割引・・・「ふつう」。

 3問:預り金・・・「ふつう」。

 4問:工事進行基準・・・「やや難」。

 5問:手形割引・・・「ふつう」。

第2問:文章問題

 1問:のれん償却・・・「ふつう」。

 2問:材料評価損・・・「ふつう」。

 3問:銀行勘定調整・・・「やや難」。

 4問:未収利息・・・「ふつう」。

第3問 計算問題

 1問:理論問題・・・「ふつう」

 2問:工事原価明細表・・・「ふつう」

第4問 個別問題

 部門費振替表‐階梯式配賦法・・・「ふつう」

第5問 総合問題

 精算表:インデックス・ポイント・・・「ふつう」。

 精算表:設問1・・・「ふつう」。

 精算表:設問2・・・「ふつう・難」。

 精算表:設問3・・・「ふつう」。

 精算表:設問4・・・「ふつう」。

 精算表:設問5・・・「ふつう」。

 精算表:設問6・・・「ふつう」。

 精算表:設問7・・・「ふつう」。

 精算表:設問8・・・「ふつう」。

 精算表:設問9・・・「ふつう」。

 精算表:設問10・・・「ふつう」。

 精算表:設問11・・・「難」。

PDF過去問の閲覧

 結論から言うと、PDF形式の過去問でイライラしている人は、「タブレット」で閲覧する、といった次第です。

 

 当方、PDF過去問の閲覧には、12インチのタブレットを使いますが、「紙」の過去問と遜色なく、問題演習に集中できています。

 公式のPDF過去問は、スマホだと画面が小さくて問題文が読み難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。

 本格的な“問題演習”には、「タブレット」が最も勝手がよく、ストレスが少ないというのが実感とするところです。

 PDFタイプの過去問演習でイライラしている方は、「タブレット」の活用を勧めます。押入れから出してみてください。

 なお、手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。

 アンドロイド製のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安く、もちろん、PDFの閲覧も可能で、コストパフォーマンスが秀逸です。

 とりわけ、スマホしか持ってない方に勧めます。小さい画面での問題演習は、倍疲れます。

 受験が終わっても、アレコレ使えますし、安価なサブ機としても使えます。これを機に「Fire HD」を買っても、損はないです。

独学向け教材

 教材の詳細は「教材レビュー」で述べていますが、読むのが面倒な方は…、

 簿記2級持ちの方は、ネットスクールの「建設業経理士 過去問題集&テキスト 2級 出題パターンと解き方」1冊で事が足ります。

 簿記3級持ちの方は、テキストと問題集は、TACの「スッキリわかる 建設業経理士2級」と「スッキリとける問題集 建設業経理士2級」を…、

 過去問には、「合格するための過去問題集 建設業経理士2級 」を使えばよいでしょう。

 建設業経理士2級は、市販されている教材が少ないので、大概、こうなるかと思います。試験会場でも、多くの人が同じような教材を手にしていました。

 ところで、電卓です。

 100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。

 高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。

 簿記2級では必須の高品質電卓と避けるべきペラペラ計算機

 左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。

 高品質な計算機

 考えるのが面倒な人は、わたしが愛用している「DF-120GT」にすればよいでしょう。これで支障ありません。建設業経理士もこれで受験しました。

建設業経理士2級のこまごましたもの

 建設業経理士に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。

 「建設業経理士の投稿記事」をばご参考ください。

 合格体験記は「建設業経理士2級の合格体験記」で、合格証書は「建設業経理士2級の合格証書」です。

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