第37回試験の第5問『精算表』の設問4を解説するページです。当該設問は、「減価償却」を処理する問題です。基礎・基本的なものばかりなので、難しいところはありません。テキストと過去問を繰り返しておけば、まず、取れます。
◇問題◇
◇問題全文◇
◇解答用紙◇
(クリックして拡大。)
結論から言うと、当該設問の「仕訳はこちら」です。
おなじみ「減価償却」の処理です。
複雑な処理ではないです。単なる計算問題です。計算ミスだけに、気を付けてください。
問題文には…、
「機械装置(工事現場用) 実際発生額 ¥85,000」
「なお、月次原価計算において、月額¥7,500 を未成工事支出金に予定計上している。」
「当期の予定計上額と実際発 生額との差額は当期の工事原価(未成工事支出金)に加減する。」
…とあります。
年額の減価償却費を計算します。
「月額¥7,500」で償却しているので、年額では、「7500*12」の「90,000」です。
実際発生額は、「¥85,000」ですから、過大に償却していることがわかります。
償却し過ぎの分は、「90,000-85,000」で「5,000」となります。
当該¥5,000分を修正仕訳するだけです。
便宜的に、期中の仕訳をまとめると…、
借方:未成工事支出金 90,000
貸方:機械装置減価償却累計額 90,000
…という仕訳が切られているわけです。
この修正仕訳なので…、
借方:機械装置減価償却累計額 5,000
貸方:未成工事支出金 5,000
…と、相なります。
②の備品ですが、問題文には…、
「② 備品(本社用)」
「取得原価 ¥100,000 残存価額 ゼロ 耐用年数 4 年 減価償却方法 定額法」
「このうち取得原価¥20,000(減価償却累計額¥10,000)分は当期首に売却しているが未処理である。売却代金 ¥12,000 については仮受金で処理している。」
…とあります。
(本社用)となっているので、工事原価には含めず、ふつうに処理します。
まず、期首の売却分の処理をしましょう。ふつうに、固定資産の除去ですね。
「負債」の減少と、「資産」の減少なので、ひとまず、仕訳は…、
借方:備品減価償却累計額 10,000
貸方:備品 20,000
…と、相なります。
簿価を計算すると、「20,000-10,000」で「10,000」となります。
んで、「売却代金 ¥12,000 については仮受金で処理している。」の処理に入ります。
要は期中に…、
借方:現金 12,000
貸方:仮受金 12,000
…という仕訳が切られていたわけです。
仮受金をなくす仕訳を切ると…、
借方:仮受金 12,000
…となりますね。
さて、簿価が「10,000」の備品が¥12,000で売れたのですから、「12,000-10,000」で「2,000」の益が出ていることになります。
「解答用紙」を見ると、「固定資産売却益」とあります。
この仕訳を切ると、「収益」の認識なので…、
貸方:固定資産売却益 2,000
…となります。
上記仕訳を合体すると
借方:備品減価償却累計額 10,000
借方:仮受金 12,000
貸方:備品 20,000
貸方:固定資産売却益 2,000
…と、相なります。
やっと、売却処理が終わりました。期首売却なので、期中の償却処理は、無用ですよ。
残るは、ふつうの期末の減価償却の処理です。
備品のうち¥20,000は、期首売却なので、償却対象は、「100,000-20,000」で「¥80,000」です。
「残存価額 ゼロ 耐用年数 4 年 減価償却方法 定額法」と指示されてます。
定額法なんで、「4」で割るだけですね。
「80,000/4」で「20,000」と相なります。
仕訳は、「費用」の認識と、「負債」の増加なので…、
借方:備品減価償却費 20,000
貸方:備品減価償却累計額 20,000
…と、相なります。
③の建物ですが、問題文には…、
「建設仮勘定 適切な科目に振り替えた上で、以下の事項により減価償却費を計上する。」
「 当期 7 月 1 日に完成した本社事務所(取得原価 ¥84,000 残存価額 ゼロ 耐用年数 24 年 減価償却方法 定額法)」
…となっています。
「建設仮勘定」は、単に「建物」に振り替えるだけです。
「資産」の増加と、「資産」の減少なので…、
仕訳は、「費用」の認識と、「負債」の増加なので…、
借方:建物 84,000
貸方:建設仮勘定 84,000
…と、相なります。
次は、減価償却ですね。「 当期 7 月 1 日に完成」とあります。
んで、会計期間は、問題文の最初の方に、「会計期間は 1 年( 1 月 1 日から 12 月 31 日)である」とあります。
ですから、7月1日から12月31日までの分を、つまり、「6ヶ月」分を償却します。
「取得原価 ¥84,000 残存価額 ゼロ 耐用年数 24 年 減価償却方法 定額法」とあります。
よって、「84,000/24*6/12」の「1,750」と相なります。
仕訳は、「費用」の認識と、「負債」の増加なので…、
借方:建物減価償却費 1,750
貸方:建物減価償却累計額 1,750
…と、相なります。
以上で、「4」の処理が終了です。
落ち着いて、指差し確認をしながら、「整理記入」に、転記してください。
当該設問の仕訳は、「こちら」です。
あと、念のために、問題全体の答えですが…、
…こうなっています。
結論から言うと、PDF形式の過去問でイライラしている人は、「タブレット」で閲覧する、といった次第です。
当方、PDF過去問の閲覧には、12インチのタブレットを使いますが、「紙」の過去問と遜色なく、問題演習に集中できています。
公式のPDF過去問は、スマホだと画面が小さくて問題文が読み難く、PCだとキーボードやマウス、配線等が邪魔で、かなりイライラします。
本格的な“問題演習”には、「タブレット」が最も勝手がよく、ストレスが少ないというのが実感とするところです。
PDFタイプの過去問演習でイライラしている方は、「タブレット」の活用を勧めます。押入れから出してみてください。
なお、手許に「タブレット」がない人は、最もコスパの高い、アマゾンの「Fire HD」を推薦します。
アンドロイド製のタブレットと性能が遜色ないくせに、値段は数割安く、もちろん、PDFの閲覧も可能で、コストパフォーマンスが秀逸です。
とりわけ、スマホしか持ってない方に勧めます。小さい画面での問題演習は、倍疲れます。
受験が終わっても、アレコレ使えますし、安価なサブ機としても使えます。これを機に「Fire HD」を買っても、損はないです。
教材の詳細は「教材レビュー」で述べていますが、読むのが面倒な方は…、
簿記2級持ちの方は、ネットスクールの「建設業経理士 過去問題集&テキスト 2級 出題パターンと解き方」1冊で事が足ります。
簿記3級持ちの方は、テキストと問題集は、TACの「スッキリわかる 建設業経理士2級」と「スッキリとける問題集 建設業経理士2級
」を…、
過去問には、「合格するための過去問題集 建設業経理士2級
」を使えばよいでしょう。
建設業経理士2級は、市販されている教材が少ないので、大概、こうなるかと思います。試験会場でも、多くの人が同じような教材を手にしていました。
ところで、電卓です。
100円ショップで売ってるような、ぺらぺら計算機は計算ミスの元です。
高品質な電卓を使っていない方は、「簿記検定試験の計算機(電卓)選び」や「売れ筋の電卓は、結局なに?」を参考に、買い換えてください。
左のがぺらぺらで、中と右が高品質の計算機です。絶対的に高品質の方が打ちやすいです。
考えるのが面倒な人は、わたしが愛用している「DF-120GT」にすればよいでしょう。これで支障ありません。建設業経理士もこれで受験しました。
建設業経理士に関するこまごましたことは、ブログに投稿しています。
「建設業経理士の投稿記事」をばご参考ください。
合格体験記は「建設業経理士2級の合格体験記」で、合格証書は「建設業経理士2級の合格証書」です。
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